古くから避暑地として愛されてきた軽井沢。中でも「星のや軽井沢」のあるエリアは、自然の木々に囲まれ、小川のせせらぎと鳥の声が響くとても静かな場所。谷の集落に一歩入れば、そこには日本の原風景が広がっています。自然を感じられるこだわりの部屋やテラスでくつろぎ、100年以上の歴史をくむ星野温泉につかれば、日々の疲れがスーッと癒えていく。そんな星のや軽井沢で過ごす、現代の日常を休む、心と体が満ちる旅を紹介します。
星のや軽井沢は、「もう一つの日本」
野鳥の声がさえずる森の中、星のや軽井沢が建つのは、1914(大正3)年、星野温泉旅館創業の地。もし、日本が和の文化をもっと大切にしながら近代化していたら…。そんな「もう一つの日本」を表現したのが、星のや軽井沢です。木のぬくもりを感じる部屋で、暮れる夕日を眺める贅沢な時間はここならでは。そして、心のこもった和のおもてなしが旅人を迎えてくれます。
谷状の地形を生かした棚田を見ながら五感で自然を感じる
もともとの谷状の地形を生かして設計された棚田の風景を、「棚田テラス」から一望。小川のせせらぎに耳をすませ、春夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色の中で、まるで自分自身が風景の一部になったよう。五感すべてで自然を感じられます。
日常を脱ぎ捨てる、旅のはじまり
星のや軽井沢へは、東京駅からJR北陸新幹線にて約80分、「軽井沢駅」よりタクシーで約15分でレセプションに到着します。車の場合は、東京方面から関越自動車道を経由して約2時間半。大阪・京都・名古屋方面からは中央道を経由し岡谷ICへ。そこから約2時間で到着です。
レセプションが誘う非日常空間
車やタクシーで到着したらまずはレセプションへ。ここが星のや軽井沢の旅の始まりです。銅鑼(どら)やりんを配した「やぐら」で演奏される、小川のせせらぎのようなやさしい音楽が迎えてくれます。やぐらの音で聴覚、お香で嗅覚、森の景色で視覚、ウエルカムドリンクで味覚、そしてスタッフとのふれあいで触覚、いつもと全く異なる五感への刺激が非日常の世界へと誘います。
ウエルカムドリンク「ゆたに」でほっと一息。甘酒にみそを加えたもので、ほんのり自然な甘さと、みその香ばしい香りで、気持ちがほっこり。夏はすだち果汁をしぼった冷たい甘酒など、季節ごとに変わるそう。お子さんにはりんごジュースも用意されています。
もう一つの日本への入り口「集いの館」
自家用車はレセプションの駐車場に停め、ここからはスタッフの運転する専用車に乗り換えて移動。非日常の始まりです。向かうのは、フロントのある「集いの館」。和テイストの落ちついた雰囲気の館内には24時間スタッフがいて、困ったことがあれば何でも相談にのってくれます。
谷状の地形を生かして作られたこの集落は、山側、庭沿い、水辺と、自然に溶け込むように客室が立ち並びます。まずは谷の小径を歩きながら、スタッフとともに宿泊する部屋へ。
山・水・庭。自然に溶け込む3つの客室タイプ
客室は3タイプ。集落の山側に建つ「山路地の部屋」、庭に面した「庭路地の部屋」、そして集落の中心を流れる川に面した「水波の部屋」。
今回宿泊する水波の部屋は、テラスから見る水辺と自然の美しさに思わず感嘆の声を上げてしまうほど。非日常の世界に浸れます。
客室の屋根にある小屋根は、「風楼(ふうろう)」。部屋に風を通すための工夫で、夏の室温を2度ほど下げることができるのだとか。他にも、地熱エネルギーを利用した全室の床暖房など、自然と共存した過ごしやすい空間が作られています。
家よりもくつろげる気持ちの良い部屋
水辺に面した大きな窓から広いリビングへ心地よい風が通り抜け、自分の家にいるよりも家らしく、ゆったりとくつろげます。布団式の寝具はほどよい柔らかさ。一度寝転がってしまったら、ほんの少し休むつもりがあまりに心地よくて朝まで寝てしまいそうです。
本を読んだり、何もせずにぼーっとしたり、思い思いの過ごし方で使いたい水辺のテラス。忙しさに追い立てられる日常をすっかり忘れてただソファーに体を預ければ、いつまでもくつろいでいたくなります。
着心地のいい作務衣(さむえ)やパジャマは星のやオリジナルのもの。敷地内での食事や温泉へは、この作務衣を着て気軽に出かけることができます。家族で宿泊する場合は、子ども用の歯ブラシも。
ゆれる水辺を眺めながらの部屋風呂は、星のや軽井沢に宿泊したからこそ得られる贅沢な時間。ヒバの風呂にはゆずなど季節のフルーツが用意され、自然の香りを楽しみながらゆっくりとバスタイムを。
洗面台の鏡には子どもでも使いやすいよう、台が用意されていました。子連れでも気を遣わずに過ごせるように配慮されています。
温泉や散策に出かけるときには、星のやオリジナルのお散歩バッグに貴重品を入れて。バッグは旅の思い出に持ち帰ることができます。
思い思いにくつろげる敷地内を散策
部屋でゆっくりくつろいだ後は、谷の集落をお散歩。自生していた木々に極力手を加えていない自然の中の小径を歩きながら、水音や鳥のさえずり、風の音に耳を傾けます。呼吸をするたびに、森のひんやりした空気が体の中に取り込まれ、すがすがしい気分に。ところどころにあるベンチに座ってお気に入りの場所を見つけて過ごすのも、宿泊者だけの特権です。
自然のままの地形を生かしたゆるい坂道や水辺の道など、子どもからご年配の方までのんびりと散策を楽しめます。
自然の中でゆっくりとティータイム
15:30~17:30は、屋外の風景をのぞみながらお茶とお茶菓子を楽しめる「谷のひととき」の時間。棚田テラスのイスに座ってお茶を飲みながら、せせらぎの音に癒されてゆったりティータイム。
季節ごとに変わるお茶とお茶菓子。秋から初冬のお茶は、紅葉への移り変わりをイメージした玄米緑茶、そば茶、りんごほうじ茶の3種から好きなものを選べます。お茶菓子は長野県の名産・栗を使ったようかん。
リラックスするために作られた館内設備
館内は随所にリラックスできるスペースが用意されています。集いの館の2階にあるのが、ライブラリーラウンジ。大きなソファーで本を読みながら、くつろぎの時間を楽しんで。
ラウンジのそばに用意されるドリンクは、コーヒー、ハーブティーのほか、時間帯ごとのメニューも。午前中は「目覚めの利き水」と題して、浅間山麓の伏流水とお酒造りの仕込み水、2種類の水を飲み比べ。夜には果実酒やウイスキー、日中にはスパークリングワインも並びます。
子どもが喜ぶ自由に使えるキッズルーム
集いの館には7:00~23:00までいつでも利用できるキッズスペースがあります。木のおもちゃやおままごとで子どももご機嫌。久しぶりに夫婦だけの夕食を楽しみたいときなどは、30分1,000円(税・サービス料別)で託児サービスもあります。
- 時間
- 7:00~23:00
- 料金
- 無料(託児サービスは30分1,000円、税・サービス料10%別)
- 予約
- 不要(託児サービスは要予約)
旅の思い出や長野名産のお土産はここで
同じく集いの館にあるショップでは、長野県の名産商品や星のや軽井沢で使用されているアメニティなどを購入することができます。お世話になっている方へのお土産や、思い出の品もここで調達。
大きな紫花豆(1,048円)は長野県の名産品。この地方ではお赤飯も花豆でたくそうです。甘く煮た花豆をお土産に。
- 時間
- 8:00~22:00
ディナーには、休息のための料理「山の懐石」を
木のぬくもりを感じられるメインダイニング「日本料理 嘉助」。通路は「川」、客席は「川床」をイメージして設計され、食事をしながら自然を感じられる空間です。窓に目を向ければ、壮大な絵のような棚田の風景が一面に広がり、料理の美しさに華を添えます。
個室もあり、家族水入らずで食事することもできます。
今回頂いたのは「山の懐石」(12,000円、税・サービス料10%別)。信州の風景を切り取ってお皿に表現した料理の数々は、手をつけるのをためらってしまうほどの美しさ。見た目、香り、そして味…持てる感覚を総動員して味わう料理は格別のおいしさです。信州の旬の恵みを懐石料理で丸ごと頂けば、思わず笑みがこぼれる幸せなディナータイムに。
長野県の名産りんごをお皿にした見た目にもかわいい先付けや、まるでオブジェのように盛り付けられた八寸。素材は2カ月ごとに変わります。メイン料理は魚が基本ですが、プラス料金でお肉もリクエストできます。
お子さま弁当は3,000円(税・サービス料10%別)、小学生向けの懐石料理は6,000円(税・サービス料10%別)。ハンバーグやエビフライなど子どもが大好きなメニューが並びます。
- 時間
- 夕食:17:00~21:00LO
朝食:7:00~11:45LO
- 予約
- 必要(朝食は不要)
敷地内に限らず自由に食事場所を選ぶ「泊食分離」をコンセプトにしている、星のや軽井沢。1泊はダイニングで、もう1泊は近隣のお店を紹介・予約してもらって外に出るのも楽しみ方の一つです。隣接の「星野エリア」でデリをテイクアウトしてゆったりと部屋でくつろいだり、軽井沢のフレンチレストランへ出かけたり、思うままに滞在を楽しめます。
静かな谷の夜も楽しんで
毎日16:00頃、暮れゆく夕日の水辺に、灯りを灯すための船が浮かびます。そのおごそかな風景は、しばし時を忘れて見入ってしまうほど。
リビングからも美しく静かな集落の夜景が。都会のネオンに慣れた目には、ほのかな灯りが神秘的に映ります。
露天風呂から軽井沢の自然をのぞむ「星野温泉 トンボの湯」
バスタイムには、部屋風呂だけでなく、歴史ある名湯・星野温泉に浸かることも。集落西側、ウッドチップの散策路を歩くこと3分ほどのところにある、日帰り温泉施設「星野温泉 トンボの湯」を利用することができます。内湯も露天風呂も広々として開放感があり、自然を望みながらの入浴は、とても贅沢。朝8:30~10:00は宿泊者限定の時間帯なので、ゆったりとお湯につかるならこの時間もおすすめです。
- 時間
- 8:30~23:00(22:00受付終了)
※8:30~10:00は宿泊者専用時間
- 料金
- 宿泊者は無料
風景をめでながら、のんびりといただく朝食
深い休息から目覚めた朝は、部屋の景色を楽しみながら、ルームサービスで朝食を。和食と洋食から選べ、子ども用メニューも用意されています。周りを気にしない、ゆっくりした朝食の時間です。
- 時間
- 7:15~11:45LO
- 料金
- 2,900円(税・サービス料10%別)
- 予約
- 必要
滞在をより満喫するための豊富なアクティビティ
谷の集落での滞在をより充実したものにするのが、豊富なアクティビティ。四季折々の自然の中で解放感と深いリラクゼーションを満喫できるプログラムの一部をご紹介します。
ピッキオ「野鳥の森ネイチャーウォッチング」
日本野鳥の会の創始者である中西悟堂氏は、星野温泉に逗留して野鳥の観察に熱中したそうです。今も昔も変わらず、たくさんの野鳥や動物たちが棲む星のや軽井沢周辺は、自然観察をするのに最高の場所。野生動植物に詳しい専門集団「ピッキオ」のスタッフのガイドで「軽井沢野鳥の森」を散策する「野鳥の森ネイチャーウォッチング」は、毎日違う発見がありリピーターも多いそうです。
ピッキオスタッフ・井上基さんの案内で、森を約2時間かけて散策。生き物の足跡や水の流れなど、自分たちだけで歩いていては気づけない、森の楽しさや厳しさを教えてもらえます。参加者に合わせてコースを決めるので、子どもからご年配の方までどなたでも参加可能です。
- 時間
- 午前の部 10:00出発~12:00まで
午後の部 13:30出発~15:30まで(4~11月のみ実施)
- 料金
- 大人2,100円、4歳~小学生1,000円
- 予約
- 必要
自分へのご褒美、「星のやスパ」でリラックスタイム
毎日がんばっている自分へ「星のやスパ」をご褒美に。豊かな自然に囲まれる谷の集落は、施術を受けるのにうってつけの場所です。4室あるスパルームのうち、1室は2名で同時に施術可能。心身ともリラックスできるオイルトリートメントのコース(80分16,000円~)や、鍼や温灸、指圧など日本の伝統手技を使った(80分19,000円)のコースなどメニューも豊富。また、部屋で受けられる経絡(けいらく)指圧60分コース(12,000円)も。
※いずれの価格も、税・サービス料10%別
- 時間
- 9:30~22:00
- 予約
- 必要
冬季限定・天然氷のリンクでスケート体験
冬季限定のアクティビティとして人気なのが、集いの館から歩いて1分ほどのところにある、ケラ池スケートリンクでのスケート。
毎年10月中旬にオープンし、10月30日前後は紅葉を見ながらスケートが楽しめる全国でも珍しいリンクです。12月には天然氷が張り、スケートリンクが広がります。
- 期間
- 2019年10月30日~2020年3月8日予定
※2020年1月7~9日は休業予定
- 時間
- 10:00~16:00
- 料金
- 大人(中学生以上):1,900円
小学生以下:1,300円
※貸し靴料込
- 予約
- 不要
耳をすませば鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえる、浅間山麓の豊かな自然に囲まれた星のや軽井沢。1泊目は日常のせわしなさから離れて、谷の集落や部屋でゆっくり過ごす。2泊目はアクティビティに参加して大自然を満喫。たくさんの思い出がつまった非日常の休日は、訪れる人みなの胸に刻まれて、かけがえのない思い出になるはずです。
- 住所
- 長野県軽井沢町星野
- アクセス
- 【電車】JR北陸新幹線「軽井沢駅」よりシャトルバスまたはタクシーで約15分
【車】碓氷軽井沢ICより約30分
- 客室数
- 77
写真/田辺エリ モデル/太田順子、太田蓮 取材・文/山本美和