日本有数の人気温泉街・熱海。紅葉の絶景や旬の食材を堪能できる場所も多く、夏に比べて落ち着いた雰囲気を楽しめるのが秋ならではの熱海の魅力です。首都圏から日帰りできるアクセスの良さもポイント。温泉に秋の醍醐味も加えて、熱海の秋は「食べたいもの」「見たい景色」の宝庫です。
目次
「MOA美術館」で紅葉&芸術の秋を満喫
海抜270mの高台にある「MOA美術館」は、国宝『紅白梅図屏風』など幅広い東洋美術を所蔵する美術館です。地下1階から地上3階で構成された建物は約14,000平米(サッカー場の約2個分)と広大で、さらに芝生や日本庭園が広がります。
熱海の紅葉は遅く、見ごろは11月下旬から12月上旬。「茶の庭」では150本以上の紅葉が色づき、錦に染まる頭上は絶景と評判。茶室「一白庵」(いっぱくあん)では抹茶と和菓子も提供しており、紅葉を眺めながらの一服も。この時期には特別にライトアップも開催され、雅な時間を過ごせます。(2022年は12月3日開催予定)
撮影スポットも多くあり、特に「円形ホール」は幻想的な写真が撮れると人気。世界最大級の万華鏡が天井全体に投影され、刻々と変化する色鮮やかな世界に心地よいピアノの調べが流れます。
「万華鏡の動きをそのまま映しているので、今眺めている景色と同じものは2度と見られません。うさぎなどのかわいい動物やハートも登場するのでぜひ見つけてみてください」と、学芸部の石倉さん。
海を一望できる「ムアスクエア」は、海を背景にそのまま撮る以外にも、建物のインド砂岩をフレーム代わりにして絵画風に仕上げる楽しみ方も。春には眼下の桜が満開になり、ピンク色のじゅうたんが海へと続きます。
MOA美術館
- 住所
- 静岡県熱海市桃山町26-2
- TEL
- 0557-84-2511(代表電話)
- 開館時間
- 9:30~16:30(最終入館16:00まで)
- 休館日
- 木曜 (祝休日は開館)、展示替え日
- 公式・関連URL
- MOA美術館
「初島」でまったり自然浴とBBQ
太平洋に面する熱海にとって、離島は気軽に遊びにいける場所です。熱海駅より熱海港まではバスで約15分。船に乗ること約30分で到着する「初島」は1周4kmほどの小さな島ですが、レジャー施設やレストランが充実。1日10便と定期船が多く、日帰りで訪れることができます。
・定期船 往復料金:大人2,640円、小人1,320円
・初島の定期便・アクセス詳細はこちら
島の北部に位置する「初島灯台」は、日本でも珍しいのぼれる灯台。上からはヤシの木など緑の自然に覆われた島の全景と海が見渡せて開放的。晴れた日には富士山や伊豆大島、房総半島まで見通せます。
初島灯台
- 住所
- 静岡県熱海市初島444
- 料金
- 中学生以上300円
- 営業時間
- 10:00~16:00(最終入場15:40)
- 公式・関連URL
- 初島灯台
南国リゾートの雰囲気が漂う「アジアンガーデンR-Asia」では、広々とした芝生にハンモックやパラソルが並び、リラックスするのにぴったりな環境。さらに海と空を独り占めできるブランコとハンモックは、童心に帰ることができる大人にこそ必要なアイテムです。
アジアンガーデンR-Asia
- 住所
- 静岡県熱海市初島
- 入園料
- 大人950円、小人(3歳~小学生)550円
- 営業時間
- 9:00~16:00(季節による変動あり)
- 定休日
- 木曜(年末年始・GW・7月~9月中旬は営業)
- 公式・関連URL
- アジアンガーデンR-Asia
敷地内のテラスレストラン「ENAK〈エナ〉」では、エビやホタテ、骨付きウィンナーなどのBBQ(3,000円~/人)を味わえるほか、ガパオライスといったアジアン料理やビールも揃えています。爽やかな風を感じながらの食事は開放感たっぷり!1年中BBQが楽しめるスポットです。
Terrace Restaurant ENAK(エナ)
- 住所
- アジアンガーデンR-Asia敷地内
- 営業時間
- 11:00~16:00(L.O.14:30 テイクアウトのL.O.15:00)
- 定休日
- 木曜(年末年始・GW・夏季は営業)
- 公式・関連URL
- Terrace Restaurant ENAK〈エナ〉
「十国峠」から眺める富士山とパノラマ景色
扇状地に街が築かれたため、山との距離が近いのも熱海の特徴です。伊豆半島の南北を走る連山の中でも頭一つ抜けている「十国峠」からは、パノラマ景色を360度にわたって一望できます。
江戸時代に信濃など10の国を見渡せたことが地名の由来。その眺望の良さは今も健在で、富士山や房総半島、さらには東京スカイツリーを確認できるほど。
2022年夏に大幅リニューアルした山頂テラスに関して、従業員の神田さんは「十国峠の文字を象った巨大モニュメントや十国を指す矢印などのフォトスポット、それにハンモック付きのデッキが登場し、幅広い年齢層の方々にお越しいただくようになりました。昔ながらの雰囲気良い部分も残っているので、ぜひ両方を楽しんでいただきたいです。」
テラスにある「TENGOKU CAFÉ」では、富士山をモチーフにした「1059モンブラン」(1,000円)が人気。静岡茶のペーストがたっぷりと盛られたスイーツは、中身が生クリームではなく抹茶のアイスクリームを使用しているため、お茶の風味が光るさっぱりとした味わい。サックサクな食感の「峠チュロス」(500円)は、食べられる写真映えアイテムとしても大活躍です。
山頂へはケーブルカーで約3分。ワンちゃんも乗車できるので、愛犬と一緒に観光を楽しむのもおすすめです。乗り場のある「森の駅 箱根十国峠(旧:十国峠レストハウス)」には、箱根や熱海のおみやげが並び、食事ができる飲食店やテイクアウトコーナーも並びます。
十国峠
- 住所
- 静岡県田方郡函南町桑原1400-20
- TEL
- 0557-81-6895 (十国峠パノラマケーブルカー)
- 営業時間
- ケーブルカー 9:00~17:00
- 定休日
- 年中無休 ※メンテナンスや天候により臨時休業する場合があります
- 料金
- ケーブルカー往復 大人(中学生以上)730円、こども(小学生)370円
- 公式・関連URL
- 十国峠
「ACAO ROSE SQUARE」で秋メニューに舌鼓
熱海の絶景フォトスポットとして注目を集めている「ACAO FOREST」の入口に、2022年4月に誕生した「ACAO ROSE SQUARE」。食事や買い物が楽しめるお店が全4店舗入っています。小田原と下田を結ぶ国道135号沿いにあるので、ドライブ途中に気軽に立ち寄るのもOK。
ブリオッシュドーナツ専門店「DONUT ROOM」は、原料に米粉や塩こうじを取り入れており、ふわっふわっな生地が特徴。秋限定の栗や、かぼちゃのメニュー(各390円)もあり、秋の優しい甘さに笑みがこぼれます。
約40種類のパンを店内で焼き上げるクラフトベーカリー「薔薇堂」(そうびどう)は、惣菜、スイーツ、ハード、ソフトと豊富な品揃え。人気のパンドーロ(200円)は、しっとり食感にバターのコクがじんわり広がる、リッチな気分に浸れるパンです。キノコをつかった、きのこのタルティーヌ(350円)も秋らしさ満点。
地元の名品を集めたセレクトショップ「herb house」には、生産者の想いが詰まったジャムやおしゃれなパッケージのハーブティーなど、素敵な贈り物になるおみやげがたくさん。オリジナルのローズソフトクリーム(580円)も販売しています。
最上階のピッツェリア「CODA ROSSA」は、全席がオーシャンビュー。ナポリスタイルのピザを中央の窯で焼いており、秋の味覚を使った「かぼちゃとケール、パンチェッタのピザ」(1,980円)も食欲をそそります。
ACAO ROSE SQUARE
- 住所
- 静岡県熱海市上多賀1027−8
- 営業時間
- DONUT ROOM、薔薇堂、herb house 9:00-17:00
CODA ROSSA 11:30-21:30(L.O.20:30) - 定休日
- 年中無休
- 公式・関連URL
- ACAO ROSE SQUARE
栗本来の甘さを味わいに「和栗菓子kiito-生糸-」へ
とろける甘さにほっこり気分になるモンブランは秋にこそ食べたいメニューです。熱海銀座通りにある「和栗菓子kiito-生糸-」に一歩足を踏み入れれば、ジャズの落ち着いたBGMに迎えられ、くつろぎの空間がそこに。
カウンターに置かれた特製の絞り機からは細さ1mmの繊細なペーストが姿を見せ、それはまさに糸を紡ぐよう。店長の川岸さんいわく、「ここまで細くすることで口あたりは軽くなり、さらに空気に触れる面積も多くなるので、栗が持つ本来の香りも堪能していただけます」とのこと。
熊本県上益城郡産の和栗11個をふんだんに使った「生糸モンブラン」(1,980円)は、高さ10cmと王者の風格を感じさせる一品。しかし、スプーンを入れればふわっとした手ごたえ、口に含めばその軽やかな味に驚くはず。塩キャラメルやフルーツを使ったソースが添えられ、さらにペアリングドリンク付きなので、さまざまな味の変化を楽しめます。
食感の変化を味わいたいなら「和栗と季節の果物パフェ」(2,750円)がおすすめ。秋はシャインマスカット(写真)、冬は橙など旬のフルーツで彩られたパフェは、モンブランペーストをはじめ、シャーベットやクッキーなど異なる食材が9層も積み重なり、口の中で絶妙なハーモニーを奏でます。
和栗菓子kiito-生糸-
- 住所
- 静岡県熱海市銀座町8-9
- TEL
- 0557-52-3551
- 営業時間
- 10:00~16:00(テイクアウトのL.O. 17:00)
- 公式・関連URL
- 和栗菓子kiito-生糸-
「杉本鰹節商店」のハロウィンみそ玉を持ち帰り
かつお節、みそといった通年販売されている商品にも、秋は訪れるようです。明治22(1889)年創業の「杉本鰹節商店」は、伊豆直送の干物、削り節を販売するお店。かつお節をはじめ、さば、いわしなど複数の削り節が並んだ店内はダシの芳醇な香りに包まれ、思わず胸いっぱいに深呼吸したくなります。
「かつお節は味だけでなく香りも魅力なのでお吸い物、さばといわしはコクがあるのでお味噌汁がおすすめです」と、4代目の杉本隆さん。ダシを使った料理は香りと旨みがしっかりと残り、お湯を足しても薄まらないと言います。
お湯を注ぐだけで本格的なみそ汁が完成する「即席みそ玉」(540円)は、ダシの旨みが際立つ商品。秋にはかぼちゃ型に海苔で顔を表したハロウィンバージョンも登場。梅花のお麩が目印の通常版に加え、季節を楽しんでもらおうとクリスマスやバレンタインデーにもかわいいデザインのみそ玉が並びます。店内には、熱海ブランド認定の「特製ふりかけ」(680円)といった手軽に削り節を味わえる品もあるので、おみやげにもおすすめです。
お店奥には2代目の時代から大切に使われてきた貴重な削り機があり、現在も活躍中。熱海には、縁起物のかつお節を芸妓さんが独り立ちする際にお祝いとして贈る伝統があると聞きます。旅館の厨房だけでなく、まさに熱海の文化をも支えてきた、縁の下の力持ちといえるお店です。
熱海 杉本鰹節商店
- 住所
- 静岡県熱海市昭和町1-13
- TEL
- 0557-81-2648
- 営業時間
- 9:00~19:00
- 定休日
- 日曜
- 公式・関連URL
- 熱海 杉本鰹節商店
波音響くテラス席「Cafe&Restaurant Nagisa」
1947年にオープンした「Cafe&Restaurant Nagisa」は、熱海で最も歴史がある老舗喫茶店。1階と2階に分かれていて、広々とした2階テラス席はヨットハーバーや水平線が眺められる特等席になっています。
ディナーのAセット(1,650円)は、前菜のサラダ、スープに始まり、メインが5品(魚料理・オムライス・パスタなど)から選べ、最後にデザートとドリンクが付いたお得なコース料理。
メインのオムライスは見た目の美しさもさることながら、大きなマッシュルームやシャキシャキとしたタマネギがケチャップライスの中で存在感を発揮。シーフードトマトのパスタはエビの香ばしさとトマトの酸味がお互いを引き立てあい、最後まで濃厚な味を楽しめます。
セットのドリンクは、追加料金なしでスパークリングワインに変更できるのも魅力。またコーヒーも宮内庁御用達である珠屋小林商店のコーヒー豆を使用するこだわりです。
Cafe&Restaurant Nagisa
- 住所
- 静岡県熱海市渚町10-5
- TEL
- 0557-81-8001
- 営業時間
- 11:30~21:00
- 定休日
- 火曜(祝日は営業)
- 公式・関連URL
- Cafe&Restaurant Nagisa
煌びやかな花柳界を覗きに「和風カフェ 猫じゃ」へ
歴史を辿れば徳川家康や数々の文人墨客が通った熱海温泉。明治時代には芸妓の前身である遊芸師が登場し、舞踊や三味線などの芸で要人をもてなしてきました。一見するとミステリアスな印象を持つ芸妓さんですが、「和風カフェ 猫じゃ」は現役の芸妓さんと交流できる希少な場所です。
ステンドグラスや欄間で装飾された空間は唯一無二の趣が感じられ、時が過ぎるのも忘れそう。リクエストがあれば、その場で踊れるように照明などが整備されているのも熱海ならでは。お稽古終わりの芸妓さんもお客さんとして立ち寄ることがあると言います。
コーヒーや紅茶などのドリンクのほか、「華のある熱海」をテーマにデザインされた熱海ビールはおみやげにも好評です。
熱海芸妓の公式マスコットキャラクター「まめっこ」のグッズも購入可能(マスク770円、タオル660円など)。夏休みが過ぎた秋は芸妓さんを見かけやすい時期でもあります。ふと周りを見渡せば古くより温泉街を華やがせてきた立役者に出会えるかもしれません。
和風カフェ 猫じゃ
- 住所
- 静岡県熱海市銀座町8-20
- TEL
- 090-2178‐2339
- 営業時間
- 12:00~22:00
不定休 - 公式・関連URL
- 和風カフェ 猫じゃ
空に咲き誇る「熱海海上花火大会」
空が冴えわたる秋から冬の夜空は、花火観賞に絶好の季節です。「熱海海上花火大会」は春夏秋冬を通して10回以上も行われる熱海の名物イベント。20分間にわたり、3,000発もの花火が打ち上げられ、迫力ある光景を望めます。
海上から打ち上げるので、湾曲している熱海の海岸線がそのまま大きな円形劇場となり、観客も分散して見ることができます。また海を除く三方が山に囲まれているため、音が反響し合う環境は花火業者も絶賛なのだとか。
海に面した宿泊施設も多いので、お部屋が花火の特別観覧席になることも。夜空を煌びやかに彩る花々をお部屋のテラスや窓から眺められるのは最高の贅沢です。
<2022年花火開催情報>
- 開催日
- 10/15、11/5、11/20、12/4、12/18、12/24
※毎年4月~12月にかけて10回以上を開催 - 打上時間
- 20:20~20:40(約20分)
- 開催場所
- 熱海湾(熱海サンビーチ~熱海港)
秋の夜長に「熱海温泉」で癒しのひとときを
実はお肌にとって秋こそ温泉が必要だったりします。夏に紫外線を多く浴びたり、寒暖差が生じてうるおいが低下したりと、秋はお肌が荒れやすい傾向。美肌効果が期待できる温泉は、まさに特効薬です。
熱海温泉は500以上の源泉を持ち、総湧出量は毎分16,000リットル以上と湯量も豊富。透明な温泉は匂いもなく、お湯もやわらかで保湿効果も期待できます。
熱海は塩化物温泉の割合が高く、塩分のはたらきにより湯冷めもしにくく、冷え性にも効果的。寒さが厳しい冬が訪れる前にぜひ改善しておきたいものです。
秋を満喫しに、今年は熱海へ
1年を通じて多くの旅行客を惹きつける熱海ですが、紅葉、海と山の絶景、栗にキノコといった旬の味覚など、秋ならではの愉しみ方が盛りだくさん。特に紅葉は日本全国で一番遅くまで楽しめるといわれており、11月下旬から12月上旬までが見ごろ。居心地が良い熱海についつい長居してしまうのは、人間だけでなく秋そのものなのかもしれません。
このページで紹介中の観光&お店MAP
撮影:岡本大樹 取材・文:浅井みらの