一棟貸しの邸宅ホテル「穴吹邸」で体験する、瀬戸内ヒュッゲと休息のひととき

穴吹邸

水平線の向こうに、たくさんの島影が広がる瀬戸内海。そんな穏やかな海の玄関口、香川県高松港のほど近くに、1日1組限定・一棟貸しの「穴吹邸」があります。

1970年に建てられて以来、高松の街を静かに見守り続けてきた邸宅が宿泊施設として生まれ変わり、「時間の余白を楽しむ」新しい旅のあり方を提案し続けています。そんな「穴吹邸」での、居心地の良いひとときをご紹介しましょう。

 

高松市中心部、閑静な住宅街に佇む邸宅ホテル

「穴吹邸」は高松空港から車で約40分、JR高松駅からは車で約5分という場所に位置しています。高松空港、高松駅から送迎サービス(有料)も手配してもらえるので、予約の際にはご相談を。

香川県のローカル線を楽しみたいという人には、「ことでん」の愛称で親しまれている琴電琴平線でのアクセスもおすすめ。高松駅から1駅の片原町駅から宿までは、徒歩約5分の距離です。

 

穴吹邸

「穴吹邸」の正面玄関に到着。この壮観な門構えや塀の外からでもわかる立派な松の木を前に少しだけ緊張しつつも、これから滞在する邸宅ホテルへの期待で胸が高まります。

 

穴吹邸

中へ入ると、広々とした日本庭園が広がり、天守閣を備えた邸宅が目の前に!

 

穴吹邸

迎えてくれたのは、邸主の穴吹英太郎さん。ここは、穴吹さんの祖父・穴吹夏次氏から受け継いだもので、穴吹さん自身もここで生まれ、家族と一緒に住んでいた家なのだそう。

 

穴吹邸

宿に到着すると、まずは1階のダイニングでチェックイン。「穴吹邸」の歴史や成り立ちをはじめ、屋外スパやサウナなど館内の設備、日本庭園、宿での過ごし方について、穴吹さんが丁寧に説明してくれます。

穴吹家は戦後、街の復興のために工務店を創業。しかし、時流や穴吹家みなさんのライフステージの変化などに伴って、2015年には住む人のいない空き家状態になってしまったのだとか。

それでも、「高松の街を見守ってきたこの家をなんとか残したい」という穴吹さんの強い想いから、2019年に宿泊施設としてスタート。2022年の改装工事を経て、1日1組貸切(9名まで)の「時休=時を休む宿」として生まれ変わりました。

 

家族や仲間とゆったり楽しめる1階

穴吹邸

チェックインの手続きが終わったら、早速、穴吹さんの案内でルームツアーへ。

まずは、広々としたリビング・ダイニングスペース。やわらかな雰囲気で空間に溶け込む北欧家具を中心に、生花や観葉植物などがバランスよく配置され、思い思いの過ごし方を実現してくれそうです。

奥の障子戸は、改装前から使われている穴吹家のものを活かしているそう。暖炉にソファ、障子と、和と洋が同じ空間に存在しても違和感はなく、落ち着いた佇まいとなっています。暖炉は寒い季節になると薪が入り、あたたかな団らんの時間を演出してくれます。

 

穴吹邸

シンプルでモダンなキッチンは、ダイニングとともにミニバーのあるラウンジを兼ねています。奥の冷蔵庫にはオールインクルーシブの飲み物(一部有料)やウェルカムフルーツ、戸棚には食器類やカフェグッズ、地元菓子店の焼き菓子などが用意され、自由にカフェタイムやバータイムを楽しむことができます。

 

穴吹邸

1階の奥の壁に使われているのは、香川県北東部の庵治(あじ)地方を産地とする庵治石。硬くて加工が難しい良質な石材のため、扱うには熟練の職人技が必要で、その美しさから「花崗岩(かこうがん)のダイヤモンド」とも呼ばれています。

 

穴吹邸

庵治石の壁の横には、二間続きの広々とした和室が。イサム・ノグチの照明や欄間が和モダンな雰囲気を演出していて、ヨガやエステ、お茶、生け花などの体験ができるリラクゼーションルームとしても活用されています(※体験は要事前相談)。

 

穴吹邸

さらに、1階には広いパウダールームのあるバスルームや、トイレが2カ所あり、大人数で訪れてもストレスなく過ごすことができるよう配慮されています。

 

客室とライブラリー。落ち着いたプライベートを過ごせる2階

穴吹邸

客室のある2階に上がってみました。ベッドルームは全部で5つあり、シングル、ツイン、キングなどさまざまなサイズのベッドが選べるので、友人同士や2世帯などで訪れても、各グループにあった部屋でくつろげます。

こちらは、シングルベッドが備えられた1人用タイプ。デスクで書き物や読書をしたりと、のんびり過ごせそう。

 

穴吹邸

キングサイズのベッドルーム。2人でもゆったり寝られる大きさです。

 

穴吹邸

こちらはツインタイプ。「穴吹邸」では多様な過ごし方が叶いますが、こうしてプライベートもしっかり確保できるのはうれしいですね。

 

穴吹邸

着心地の良い、上下セパレートタイプのルームウェアも完備しています。フィンランドのテキスタイルメーカー「LAPUAN KANKURIT(ラプアンカンクリ)」のバスローブは、リネン、コットン、テンセルの混合素材で織られたもので、さらりとした肌触り。速乾性にも優れています。

 

穴吹邸

アメニティに選ばれているのは、オーガニックな国産素材にこだわったコスメブランド「THREE(スリー)」。スキンケアやメイクアイテムで幅広い層から支持を得ている人気のブランドなので、これだけで心躍る女性も多いはず。

 

穴吹邸

2階の中央部にあるのは、ライブラリースペース。本棚には、香川県にルーツを持つ著名なアーティストたちの作品や書籍をはじめ、丸亀うちわ、菓子木型など地元ゆかりの伝統工芸品なども並びます。天井にぶらさがっている印象的なざるは、ざるうどんが大好物だったという穴吹夏次氏へのオマージュなのだそう。

ベッドルーム3部屋とライブラリーからはテラスに出ることもでき、庭園を違った角度から楽しむことができます。

 

穴吹邸

   

穴吹邸
穴吹邸

1階同様、2階にも十分な広さの洗面スペースがあるのはうれしいポイント。シャワールームは、サウナ上がりの汗をさっと流すのに便利です。

1、2階のバスルームとシャワールームにも「THREE」のシャンプー、コンディショナー、ボディソープを完備。シャンプーやボディソープは、自然由来成分のみで作られているのにしっかりときめ細かく泡立ち、洗い上がりはしっとり。旅先で疲れた体を癒やしてくれます。

 

スパや庭園など、癒やしのスペースは屋外にも

穴吹邸

続いて屋外エリアを見学。邸宅の脇には、オープンエアで気持ちの良いスパ&サウナがあります。

 

穴吹邸

スパエリアは水着の着用が必須となりますが、男女ともにレンタル水着も用意されているので安心です。

 

穴吹邸

庭園の一角にはウッドデッキが設置してあり、ブランコに乗ってゆったりと日向ぼっこができます。のんびり読書をしたり、カフェタイムを楽しんだり、子どもと一緒に遊んだりと、それぞれの滞在スタイルに応じてさまざまな楽しみ方ができそうです。

 

思い思いに過ごす自由時間

穴吹邸

施設の見学を一通り終えたところで、ちょっとひと休み。キッチン脇のミニバー(冷蔵庫)から、小豆島のオリーブを使った「オリーブサイダー」や「温州みかんジュース」など、香川や瀬戸内エリアにちなんだドリンクを取り出し、ウェルカムフルーツとともにいただきます。

 

穴吹邸

2階のテラスにあるハンモックも体験。やわらかい日差しとハンモックに包まれる感覚が心地よく、揺られながら思わずうとうと……。せっかくの旅行だからと予定を詰め込んでしまいがちですが、こんな豊かな時間が日々の疲れを癒やしてくれるんですね。

 

穴吹邸

のんびりと過ごした午後。夕食までにまだ時間があったので、「サンセットがきれいですよ」と穴吹さんにおすすめされた高松港へサイクリングすることに。「穴吹邸」にはゲストが自由に利用できるミニベロ(小径自転車)が4台あるので、街や港へ買い物に出かけるのにも便利です。

  

穴吹邸
穴吹邸

ゆっくり自転車を走らせること約10分。夕日に染まる瀬戸内海の美しさに、思わず息をのみます。赤く光る灯台は高松港玉藻防波堤灯台(たかまつこうたまもぼうはていとうだい)といい、なんと総ガラス張りの造りだそう。地元の人からは「せとしるべ」という愛称で親しまれ、「日本三大夜灯台」に認定されています。

ちょっとした余白の時間に、高松の風光明媚な光景にふれることができ、大満足。宿で借りた自転車もすいすい進んで乗りやすく、快適でした。こちらの自転車は、香川県さぬき市で生まれた「Tyrell(タイレル)」という国産ブランドのもの。普段あまり自転車に乗らない人でも走行しやすく、機能性とデザイン性を兼ね備えています。

 

会話を楽しみながら、目の前で調理されるディナーを堪能

穴吹邸

宿に戻ると、あたたかい光で庭園がライトアップされていました。暗くなってからの「穴吹邸」の佇まいも、上品で落ち着きがあり、昼間とは違う魅力にあふれています。

 

穴吹邸

いよいよ、待ちに待ったディナータイム。「穴吹邸」では夕食・朝食ともに地元で活躍するシェフをキッチンに招き、ゲストの目の前で調理するという距離感と時間にこだわっています。ゲストからは事前に好き嫌いやアレルギーの有無、家族構成などをできるだけ詳細にヒアリング。イタリアンか和食を選べ、旬の食材を使った特別なコースを堪能できます。

シェフのこだわりや食材について、直接話が聞ける貴重な時間、そして調理の様子を間近で見られるライブ感。自分たちだけに提供される特別なコース料理に舌鼓を打つ…なんてぜいたくなディナータイムでしょう。

 

穴吹邸

この日のディナーを担当してくれたのは、「La Salute(ラ・サルーテ)」のシェフ・中野誠司さんと奥様の隆子さん。本格的なイタリアンを一番おいしいタイミングで提供するケータリングサービスを得意としていて、地元食材を通してゲストに香川の魅力を伝えています。

  

穴吹邸
穴吹邸

前菜は、保存食として香川で長く愛されているしょうゆ豆のブルスケッタ、オリーブの実のグラッセ。しょうゆ豆はそら豆を漬け込んだもので、ほんのり甘みがあるので風味は栗に似ています。

そして、鱧(はも)のフリット、ホタテの貝柱、タコのほか、無花果(いちじく)や柿が添えられたインサラータは、「魚介のサラダ」という意味だそうです。

 

穴吹邸
穴吹邸
穴吹邸
穴吹邸

 「マッシュルームのズッパ」「鶏もも肉のジェノベーゼソースカサレッチェ」「瀬戸内の鯛のアクアパッツァ」「和牛フィレ肉のアロスティ―レ」など、地元の食材とイタリアンを掛け合わせた料理が続きます。料理一つひとつにシェフの想いが込められているので、旅先の土地の魅力を食事からダイレクトに感じることができます。

特に和牛はやわらかく、風味と旨みが豊かで、添えられた洋梨との相性が抜群。一口一口しっかりと堪能しました。

 

穴吹邸

デザートは「『三谷製糖』の和三盆糖と『かめびし醤油』のセミフレッド」。セミフレッドとは半分凍った状態のスイーツで、濃厚ながらも冷たく、軽い口溶けが心地よい、ふわっと食感が絶妙のデザートでした。和三盆糖は香川県の特産であることや、「かめびし屋」は江戸時代から続く、香川の醤油蔵なのだと説明を受けます。

「食器もなるべく香川のものにこだわって提供しています」と話してくれたのは、隆子さん。食事をしながら自然と会話に花が咲き、「またここに来たい」と思わせてくれるような、あたたかなディナータイムでした。

 

夕食後は軽く一杯。屋外スパ&サウナも満喫

穴吹邸

楽しい夕食を終えた後は、好きな音楽を流しながらリビングで軽く一杯。ミニバーには香川県「TSUBAME BREWERY」のクラフトビールが用意されていて、宿に着いたときからずっと気になっていました。旅先でその土地のならではのものをいただく。これぞ旅の醍醐味ですね。

 

穴吹邸

そして、軽くシャワーを浴びた後は、水着に着替えて屋外スパへ。ミニキッチンやテーブルセットも備えたこだわりのスパは24時間いつでも利用可能なので、滞在中は好きなときに楽しめます。

この日はちょうど月がきれいで、飲み物をいただきながら、ゆっくりしたチルタイムを満喫することができました。どの時間に利用してもオープンな雰囲気で気持ちよく楽しめますが、落ち着いた照明が美しい夜の時間帯は特におすすめです。

 

穴吹邸

スパの一角には本格的なフィンランド式サウナも。自分で薪をくべたり、アロマ水をかけたりして蒸気を出し、ロウリュを楽しめます。サウナストーンにはなんと庵治石が、またサウナうちわには伝統工芸・丸亀うちわが使われています。

サウナは希望時間を伝えておくことで、その時間に合わせて用意してもらえます。

 

朝日を浴びながらいただく、滋味深い朝ごはん

穴吹邸

ぐっすり眠った翌朝は、せっかくなので1階のお風呂も体験。シックで印象的な風呂釜は鉄製で、まわりには庵治石の端材が配置された、和な造りになっています。

 

穴吹邸

朝食を担当してくれたのは、ケータリングや料理教室で活躍されている「みくりや倶楽部」の料理人・吉岡淳次さん。その時々の旬の食材を使い、“体が元気になる料理”を次々に作り上げています。

プロが目の前で作ってくれる絶品のだし巻き卵焼き。その繊細な手付きに目を奪われながら、思わずお腹が鳴ってしまいます。

 

穴吹邸

気持ちよく晴れた朝だったので、朝食は1階テラスのテーブルでいただくことに。この日のメニューは、玄米入り生姜飯、三豊(みとよ)茄子の汁物。そして、まながつお味噌つけ焼きや焼きもえび、茗荷酢漬け、軍鶏竜田揚げなどが彩る一皿に、先ほどのだし巻き卵焼き、無花果求肥巻き(大福)という満腹の食事でした。

日光を浴びながらゆっくりいただく朝ごはんに、体と心が喜んでいるなぁとしみじみ実感。

 

瀬戸内海を独り占め!貸切ヨットクルーズに出発

穴吹邸

「穴吹邸」で過ごす時間がとても名残惜しいですが、チェックアウト後にもお楽しみは続きます。「穴吹邸」では、香川の街と海を存分に楽しんでほしいという想いから、「瀬戸内ヨットチャーター」のヨットクルーズなどアクティビティもアレンジしてくれるんです。

  

穴吹邸
穴吹邸

高松港から出発して、瀬戸内海の海原へ。遠くに見えていた島を近くに感じたり、海の青と空の青を楽しんだりと、ぜいたくで忘れられない、ゆっくりとした時間を過ごせます。

 

穴吹邸

今回は、ランチ付きの「プライベートランチクルーズ(6時間/貸切)」を体験しました。その名の通り船上でランチが楽しめるプランで、穏やかな瀬戸内海上で本格的なイタリアンランチを堪能できます。

いただいたのは、アワビと海老のマリネ・かぼちゃのペーストカレー風味や季節の野菜を使ったラタトゥイユ、瀬戸内産真鯛のパイ包みくじら島風、フィットチーネパスタのデミグラス仕立て、季節のフルーツとジェラートという大満足なメニュー。

ちなみに、クルーズの内容はゲストのリクエストを聞いてオリジナルプランを提案してもらえます。例えば、ランチ後に近くの島へ上陸し、アート鑑賞をしたり、カフェを楽しんだりすることも可能です。

 

穴吹邸

チャーターしたい時間や楽しみたい内容によってコースやプランは相談可能。ヨットには、8人がけテーブルのある船外デッキ、キッチン、船内サロン、客室、お手洗いなども備えているので、雄大な自然の中でさまざまな過ごし方が叶います。

船酔いすることもなく、瀬戸内海の上でのんびりとした時間に身を委ねることができました。

 

穴吹邸

眠くなったらハンモックでうとうとして、レンタサイクルで高松の街を探索しながら夕焼けを楽しみ、心ゆくまで屋外スパで過ごす……。振り返ってみると「穴吹邸」で過ごした1泊2日には、慌ただしい時間がまったくなく、ときの流れに身を任せながら滞在することができました。

「現代社会は何かとストレスの多い毎日で、旅行ですらせわしないことが多い。『穴吹邸』ではぜひ”瀬戸内ヒュッゲ”(居心地の良い空間や時間)を楽しみ、時間の余白を感じてほしいです」と、邸主の穴吹さんは話します。そんな心地いい時間や空間を「穴吹邸」で体感してみませんか?

 

穴吹邸

住所
香川県高松市城東町1-7-15
アクセス
高松空港から車で約40分、JR高松駅から車で約5分、琴電片原町駅から徒歩約5分
チェックイン
15:00
チェックアウト
12:00
駐車場
あり 屋内駐車場3台(高さ制限180cmまで)、屋外駐車場1台(高さ制限なし、要予約)

 

撮影/大林博之 取材・文/安藤未来

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