太平洋に四国山地、四万十川に仁淀川(によどがわ)。自然豊かな高知県は山海の幸に恵まれたグルメ天国です。またお酒好きな県としても名高く、街には一杯やりながら土佐名物のカツオのたたきやウツボの唐揚げなどを味わえる店もいっぱい!
高知駅から徒歩圏内の市内中心部にある「高知城」や「はりまや橋」、「日曜市」など定番の観光スポットをしっかりおさえながら、地元民にも人気の「ひろめ市場」や「屋台街」などのグルメスポットをご紹介します。
土佐の三志士像にご対面して高知旅をスタート!
南国高知の空の玄関、高知龍馬空港より空港連絡バスに乗って約30分。まずはJR高知駅より、高知観光をスタートしましょう。駅に到着してまず目に付くのは、広場に立つ大きな3体の像。彼らは、高知が誇る幕末の偉人で、左から武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の3人。高さは約5.3m、台座まで含めれば約8.3mもあります。
一見ブロンズのように見えますが、実はこの像は発砲スチロールとウレタンからできており、強風が懸念される時はトラックに乗せられて倉庫へと避難しています。そんな理由で、台風の季節には台座のみを残してお留守にしている場合も。
駅前からは市民の足、路面電車も発着しています。今回紹介するスポットは全て高知駅より徒歩圏内ですが、実際に歩くと「はりまや橋」までは歩いて約10分、「高知城」までは約20分と、夏場には少々辛いかも。
そんな時に利用したいのが、とさでん・路面電車。500円で市内の一定区間が乗り放題になる「電車一日乗車券」が観光には便利です。
高知駅に到着したら龍馬で一服!「COCHI COCOCHI コーヒー」
高知駅に着いたら、まず駅ビル1階にある「COCHI COCOCHI コーヒー(コチココチコーヒー)」でひとやすみ。移動の疲れを癒しましょう。
「龍馬カプチーノ」(460円)で高知の偉人・坂本龍馬のラテアートとご対面すれば、高知旅情も高まること間違いなし!最新の「令和」バージョンもありますよ。
シフォンケーキやワッフルなどのスイーツのほか、オムライスやうどんなどの軽食メニューも揃っています。カフェですが、ビールや日本酒だってオーダーOKなのは、さすが呑兵衛が多い高知ですね。
COCHI COCOCHI コーヒー
- 住所
- 高知県高知市栄田町2-1-10
- 営業時間
- 6:30〜20:00
- 定休日
- 無休
- アクセス
- 高知駅より徒歩約1分
駅隣接の「こうち旅広場」で楽しみながら観光情報をゲット
高知駅と志士像の間にある、「たびひろ」こと「こうち旅広場」は、高知旅をサポートしてくれるサービスがいっぱいの総合観光案内所。
内部には、高知県内のあらゆる観光情報が集まった「とさてらす」や大河ドラマのセットを再現した「龍馬伝 幕末志士社中(ばくまつしししゃちゅう)」、高知土産が揃う「とさ屋」があり、高知の魅力が一目でわかるように凝縮されています。
とさてらすでは、「カツオ一本釣り重さ体験」「サイバーサイクリング」などの体感コーナーのほか、手荷物一時預かり(500円/個)や高知県内の宿泊施設へ配送する「手ぶら観光」サービス(1,000円/個)も受け付けています。
無料のレンタサイクルサービスまであるので、観光をスタートする前にはかならず立ち寄ってお得な情報をゲットしましょう。
こうち旅広場・とさてらす
- 住所
- 高知県高知市北本町2-10-17
- 営業時間
- 8:30~18:00
- 定休日
- 無休
- アクセス
- 高知駅から徒歩約1分
高知の屋台街「ひろめ市場」で高知伝統の昼呑みを
とさてらすで情報収集ができたら、高知伝統の「昼呑み」を体験しに、電車通りを歩いて15分ほどの「ひろめ市場」へ。
「酒国、土佐」といわれるほど高知県はお酒好きな県民性で知られており、高知市内には昼からお酒が飲める、いわゆる昼呑み店が数多くあります。ここは40軒以上の飲食店が集まる高知一のグルメスポットで、昼呑みならぬ朝から一杯やっている朝呑みも目にするディープな場所。
「お城下広場」や「いごっそう横丁」などのエリアに分けられ、広い屋台村のような雰囲気の市場内。高知名物のカツオや鯨料理はもちろん、中華、イタリアン、スペインバル風などバラエティに富んだ食事とお酒が楽しめます。
「龍馬通り」には、鮮魚店や精肉店などの生鮮食品店も並びます。
トーストやサラダなどのモーニングサービスに、なんと生ビールがセットになった「ビアモーニング」(750円)は、自由広場エリアの「ダーツスポット ブル」で。
ひろめ市場
- 住所
- 高知県高知市帯屋町2-3-1
- 営業時間
- 月~土曜日8:00~23:00、日曜日7:00~23:00
- アクセス
- とさでん「大橋通」下車徒歩約2分、JR高知駅より徒歩約17分
悶絶級に旨いカツオのたたきを「明神丸」で
高知といえば、やっぱりカツオのたたき。ひろめ市場でおすすめしたいのが、明神丸(みょうじんまる)の「藁(わら)焼き鰹塩たたき」。藁焼きにした香ばしいカツオを天日塩で食べる、本場土佐流の食べ方にこだわった一品。カツオは鮮度が味を左右する魚なので、このおいしさは地元高知でないと味わえません。
塩、またはゆずが効いたタレで食べる「藁焼き鰹たたき」は、切数に応じて小~特大までの4種類(700円~)。
生中片手に、藁焼きたたきと青さのりの天ぷら(180円・手前左)、うつぼの天ぷら(450円・手前右)で一杯楽しんだら、高知らしさを食で満喫できるはず。
ちなみにこちらは、近所にある系列店「明神丸 帯屋町店」。開店前から大行列で、いかに高知で「明神丸」が人気かがわかります。
みょうじんまる ひろめいちばてん
明神丸 ひろめ市場店
- 住所
- 高知県高知市帯屋町2-3-1(ひろめ市場内)
- 営業時間
- 11:00~21:00 ※日曜日は10:00~20:00
- 定休日
- 無休(ひろめ市場休館日に準ずる)
- アクセス
- とさでん「大橋通」下車徒歩約2分、JR高知駅より徒歩約17分
天守閣に登れる! 高知市のシンボル「高知城」
ひろめ市場で軽く飲んだ後は、すぐそばの「高知城」の見学へ。ひろめ市場から高知城入口の追手門までは徒歩5分ほど、天守閣入場口までは10分程度という近さです。
土佐藩初代藩主の山内一豊によって1601年に築城された高知市のシンボル「高知城」。国内に現存する12天守の1つで、その中でも天守と本丸の両方が残る唯一の城です。城内にある15棟の建造物が国の重要文化財に指定されています。
標高約44mの小高い丘に築かれた城の天守閣からは眺望を遮るものがないので、どの方角も遠くまで見渡すことができます。
こちらは天守閣東側からの眺め。中央手前に見えるグレーの細長い建物が2017年にオープンした「高知城歴史博物館」、その隣の白いビルの奥が先ほど立ち寄った「ひろめ市場」です。
気持ちのよい風が吹き抜ける天守閣。ついつい夢の中に入ってしまうお客さんもいるのか、注意書きにはクスっとさせる一文が。
高知城
- 住所
- 高知県高知市丸ノ内1-2-1
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入館は16:30まで)、公園内は入園自由
- 入館料
- 懐徳館・天守 大人420円、18歳未満無料
- 休館日
- 12/26~1/1
- アクセス
- とさでん「高知城前」下車徒歩約5分、JR高知駅より徒歩約25分
高知の民謡・よさこい節にも登場する「はりまや橋」
高知城を見学した後は、東に20分ほど歩いてもう1つの市内の名所「はりまや橋」へ。民謡よさこい節の歌詞の中にも登場する、僧侶・純信とお馬の悲恋物語で有名な場所です。訪れてみると思いのほか小さな橋で、近年ではがっかり名所として人気が高まっている場所でもあります。
橋の向かいは小さな公園になっていて、一定の時間になると「南国土佐を後にして」の歌とともに2匹のクジラが潮を吹く仕掛けがあり、観光客を楽しませてくれます。
はりまや橋
- 住所
- 高知県高知市はりまや町
- アクセス
- とさでん「はりまや橋」下車徒歩約1分、JR高知駅より徒歩約10分
はりまや橋周辺にある京町、帯屋町一帯はアーケード商店街となっており、天候にかかわらずいつも大勢の地元民や観光客で賑わっています。ぶらぶら歩きながらお店をのぞいて、高知らしいお土産を見つけてみましょう。
はりまや橋公園の隣は、日本で最初の木造アーケード商店街となった「はりまや橋商店街」です。商店街の一角には、こんな自虐的な顔はめパネルも。
カツオがデザインされたご当地靴下や、
よさこいグッズ、昭和30年ごろから市内の野村煎豆加工店が加工・販売して県民に愛され続けている「ミレービスケット」、
サツマイモを衣でふっくらと揚げた県民のおやつ「いも天」の専門店など、高知らしい品揃えやグッズのお店が並んでいます。
ローカルムードに浸れる老舗居酒屋「葉牡丹(はぼたん)」
街歩きでそろそろお腹もこなれてきたら、2軒目の昼呑みに行ってみましょう。
はりまや橋から電車通りを西に2分ほど歩いたところにある「葉牡丹」は、創業60年を超える元祖昼呑み居酒屋。ひろめ市場が観光客が多いのに対し、葉牡丹は地元民の割合が高く、ローカルな雰囲気の中で飲める居酒屋です。
昼11時からオープンするお店は、地元のお客さんたちでいつも大賑わい。カウンターに座れば、人懐っこい隣のおばちゃんやおじちゃんが高知弁で話しかけてくれます。
昭和の雰囲気が漂う店内は一見窮屈そうですが、奥に長い造りになっていて、宴会もできる2階席を含めて全部で150席もあるのだとか。
昔から変わらないおいしさの葉牡丹のメニューは、串が5種ものった「串フライ盛り合せ」(287円)や「ホルモン煮込み」(173円)と驚きの値段!コスパのよさに、毎日通ってしまう高知市民がいるのも納得ですね。
こちらはウツボの唐揚げ(810円)。海のギャングと呼ばれるあのウツボが、高知ではカツオと並ぶ人気食材としてよく食べられています。 骨取り処理が難しく高知以外では滅多に目にすることのない珍味なので、高知に来られた際にはぜひ味見を。どう猛な顔つきからは想像できない、あっさりとした上質な鶏肉のようなおいしさです。
はぼたん
葉牡丹
- 住所
- 高知県高知市堺町2-21
- 営業時間
- 11:00~23:00
- 定休日
- 無休
- アクセス
- とさでん「はりまや橋」下車徒歩約1分、JR高知駅より徒歩約15分
「高知よさこい情報交流館」で「よさこい 」を知る
高知ローカルの昼呑みでほろ酔い気分になった後は、酔い覚ましに葉牡丹から東に7分ほど歩いた「高知よさこい情報交流館」に行ってみましょう。
ここでは、よさこい祭りの歴史展示のほか、大型スクリーンに映し出される映像を見ながら踊ったり、衣装を身に着けて記念撮影をしたりと、よさこいの魅力がたっぷり体感できるようになっています。
館内には、南国高知の夏祭りらしい個性的で色鮮やかな衣装がたくさん。きらびやかなよさこいのデザインに触発されたら、踊る際に手に持って音を鳴らす「鳴子」づくりにチャレンジしてみませんか?自分だけのオリジナル鳴子は高知土産にぴったり(体験料1,000円)。
高知よさこい情報交流会館
- 住所
- 高知県高知市はりまや町1-10-1
- 開館時間
- 10:00~18:30(最終入場18:00)
- 休館日
- 水曜日、12/29~1/1
- 入館料
- 無料
- アクセス
- とさでん「はりまや橋」下車徒歩約3分、JR高知駅より徒歩約12分
高知の宵は「酔鯨亭(すいげいてい)」で鯨料理
高知のよさこいパワーに触れた後は、よさこい情報館から歩いて5分ほどの「酔鯨亭(すいげいてい)」で夕食。
ここは名前の通り高知名物の鯨(くじら)料理がメインの店ですが、鯨のほかにもイワシの稚魚の「どろめ」やアナゴの稚魚の「のれそれ」など、高知名物の海鮮を味わうことができます。
手前がベーコン、サエズリ(舌)、花鯨(尾びれのつけ根)が載った鯨三種盛(1,080円)、左奥より山菜のイタドリのおひたし(432円)、鯨竜田揚げ(1,080円)
高知のブランド地鶏・土佐ジローの卵を使った、フワフワで濃厚な「土佐ジローの玉子焼き」(648円)も絶品。
同名の高知県の酒造メーカー「酔鯨酒造」の日本酒ももちろん取り揃えています。スッキリとしたキレのよい呑み口の純米大吟醸「酔鯨」(864円)は、高知の海の幸によく合います。
すいげいてい
酔鯨亭
- 住所
- 高知県高知市はりまや町1-17-25
- 営業時間
- 火~土曜・祝前日/11:30~14:00 17:00~22:00 (L.O. 料理21:00、ドリンク21:30)、日曜・祝日/17:00~22:00 (L.O. 料理21:00、ドリンク21:30)
- 定休日
- 月曜日
- アクセス
- とさでん「はりまや橋」下車徒歩約3分、JR高知駅より徒歩約13分
高知の夜の〆は「屋台安兵衛」で決まり!
宵の夕食で終わらないのが、高知の夜。酔鯨亭から10分ほど北に歩いた、歓楽街の追手筋と交差する、道路中央に植樹された道「グリーンロード」には、夜になると10軒近くの屋台が出現して、明け方近くまで賑わっています。
宵が過ぎグリーンロードに屋台が並び始めたら、昭和45年に始まった屋台餃子の老舗「屋台安兵衛」へ足を運んでみてください。
焼いたとも揚げたとも違う安兵衛ならではの製法で作られた黄金色の「屋台餃子」(500円)は、薄皮がパリッ、野菜たっぷりの餡から肉汁がジュワーッとあふれ出るやみつき食感。満腹でも、なぜかこれだけはお腹に入ってしまいます。「酒を飲んだ後は屋台の餃子で〆る」が高知の文化。もちろんラーメンもありますよ。
やたいやすべえ
屋台安兵衛
- 住所
- 高知県高知市廿代町4-19
- 営業時間
- 平日/19:00~翌3:00、土曜日/19:00~翌4:00(L.O.閉店30分前)
- 定休日
- 日曜日
- アクセス
- JR高知駅より徒歩約9分
高知を訪れたのが日曜日なら名物の青空市「日曜市」へ
高知を訪れたのが日曜日なら、高知名物の「日曜市」に行ってみましょう。
よさこいとお正月期間を除き、毎週日曜日の早朝5時から18時まで一日中開催され、多い日には1万5千人以上のお客さんが集まって賑わう、国内有数の規模を誇る路上市です。
高知城まで約1kmにわたる追手筋の道に400軒以上ものテントが立ち並んで、地元産の新鮮な農産物や高知のご当地グルメなど様々な商品が売られます。
その名の通り、帽子の形に焼きあがったキュートな高知名物「ぼうしパン」。
日曜市の定番のしょうがシロップを冷たい水で割った「ひやしあめ」や、高知市東隣の香南市赤岡町のご当地グルメで、中華麺をうどんスープでいただく「中日(ちゅうにち)そば」も売られており、食べ歩きも楽しい日曜市。
食べ歩きグルメでおすすめしたいのが、こちら大平商店の「いも天」(約5個入・250円)。人気のため店の前にはいつも行列ができていますが、販売ペースがかなり早いのでさほど待つことはありません。
カリッと揚がった衣と、柔らかくて甘いホクホクのサツマイモ。天ぷらというよりドーナツみたいな食感で、いくらでもいけそうなおいしさです。
面白いところでは、「オカヤドカリ」という国の天然記念物指定のヤドカリなどの生き物も売られています。バケツに木がさしてあるのは、ヤドカリが木登りをするからなのだそう。
高知観光の〆は「土佐茶カフェ」で食べ納め
日曜市の後は、帯屋町の「土佐茶カフェ」へ。あまりお茶のイメージがない高知県ですが、実は仁淀川(によどがわ)や四万十川の上流域では、佐川茶や池川茶、四万十茶などの高知ブランドのお茶が栽培されています。こちらで香り高い土佐茶を味わいながら、楽しかった高知旅行を締めくくりましょう。
1階の食事処「土佐茶カフェ」では、地元産の食材をメインにした食事メニュー、2階の甘味処「もっと茶」では、県内各産地のお茶とともにボリュームたっぷりのスイーツをリーズナブルなお値段で楽しめます。
バターワッフルに沢渡茶(さわたりちゃ)のセット(760円)。お茶はおいしく飲むために、茶葉のまま出される本格派メニューです。ポットのお湯と湯冷まし、砂時計を使って自分で淹れるのですが、淹れ方がわからなければお店の人が教えてくれます。
スイーツ5点に仁淀川流域の二番茶を紅茶にした「香ル茶」が付いた、コスパもボリュームも抜群の「プチteaセット」(1,100円)。
ひだまり小路 土佐茶カフェ
- 住所
- 高知県高知市帯屋町2-1-31
- 営業時間
- 1F土佐茶カフェ 11:00~19:00(L.O.18:30)/2Fもっと茶 12:00〜18:00(L.O.17:30)
- 定休日
- 水曜日(祝日の場合は木曜日)
- アクセス
- とさでん「大橋通」下車徒歩約2分、JR高知駅より徒歩約17分
一度訪れると、また行きたくなるグルメ天国・高知!
自然に囲まれ、山海の幸に恵まれたグルメ天国、高知。ウツボや鯨など高知でなければなかなか味わえない珍味も多く、新鮮なカツオ料理は高知に来た人のみが味わえる悶絶級のおいしさです。
陽気な県民性と昼から一杯酌み交わす昼呑み文化が根付き、一度高知を訪れると二度三度と行きたくなってしまう、おいしさと楽しさにあふれた街です。市内中心街には高知城やはりまや橋などの定番スポットもあり、観光とグルメをあわせてめぐれる高知を訪れてみませんか?
取材・撮影・文/林ぶんこ
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