提供:ことりっぷ
国際的なアートの祭典「大地の芸術祭」の舞台として、国内外の注目を集める新潟県の越後妻有。現在は、第8回「越後妻有 大地の芸術祭 2022」が開催中で(11月13日まで)、緑豊かな自然の中に300を超える斬新な芸術作品が点在しています。里山に映える作品をめぐって、アートな新潟を旅してみませんか。
越後妻有の風土や文化が体感できるアートの祭典
世界的に有名な芸術家・草間彌生による巨大な花の野外彫刻「花咲ける妻有」©︎Nakamura Osamu
新潟県南部の十日町市と津南町からなる越後妻有は、世界有数の豪雪地帯として知られる場所。1年の半分は雪で覆われる厳しい環境の中で育まれた、雪国ならではの豊かな食や建築様式などの独自の伝統文化が今も脈々と受け継がれる地域です。
冬には3メートルを超える積雪に埋もれる大地は、晩春の融雪期を過ぎると眠っていた植物が目を覚まし、まぶしいほどの緑にあふれる里山の風景が広がります。
まつだい「農舞台」で見られる「10のアルバム 迷宮」イリヤ&エミリア・カバコフ ©︎Kioku Keizo
「越後妻有 大地の芸術祭」は、そうした美しい里山を舞台に2000年にスタートし、今年で8回目を数えます。十日町、川西、中里、松代、松之山、津南の6つの広大なエリアに、世界各国のアーティストが手がけた約200の常設作品を展示。今年はさらに新作が追加され、300を超えるアート作品が訪れる人を魅了しています。
2つの施設を拠点に、里山のアートをめぐりましょう
(左)まつだい「農舞台」の館内にある越後まつだい里山食堂(右上)食堂から見える作品「棚田」イリヤ&エミリア・カバコフ©︎Nakamura Osamu(右下)日替わりランチの里山ごはん1200円
芸術祭の主要施設となるのが、十日町の「越後妻有里山現代美術館 MonET」と、松代の「まつだい『農舞台』」。この2大拠点を中心にめぐれば、効率的に多くの作品を鑑賞することができます。
特にまつだい「農舞台」の周辺には、約40の作品が点在しており“里山とアート”を最も体感できるエリアだと言われています。農舞台の館内に併設された食堂で里山の恵みを味わい、新しいアートとの出会いに胸を踊らせながら、アートめぐりの計画を立ててみてはいかがですか。
2021年に大幅リニューアル。体感型の作品が並ぶ美術館「越後妻有里山現代美術館 MonET」
「Palimpsest:空の池」レアンドロ・エルリッヒ ©︎Kioku Keizo
まつだい「農舞台」と並ぶ、大地の芸術祭の主要施設が、こちら。リニューアルに伴い、以前の「キナーレ」から「モネ」に改称されました。常設作品も半分近くが入れ替わり、地域の自然や風土をテーマにした体感型の作品が並びます。
館内にミュージアムショップやカフェを併設するほか、敷地内には地元の人が通う温泉「明石の湯」もあります。
(左上)「16本のロープ」イリヤ&エミリア・カバコフ ©Kioku Keizo(左下)ミュージアムショップ(右上)サロンMonET(右下)「エアリエル」ニコラ・ダロ ©Kioku Keizo
館内には、パラシュート布で作られた吊り人形が機械仕掛けで踊る「エアリエル」や、張りめぐらされたロープに小さな会話を記したメモを吊り下げた「16本のロープ」などといった、新作アートがいっぱい。
2階にはアートめぐりの休憩スポットとして利用できるカフェ「サロンMonET」や、アートなオリジナルアイテムがそろうミュージアムショップも。雪室で熟成した豆を使ったコーヒーとスイーツを味わったり、おみやげを探したりして、ゆっくり過ごすことができますよ。
里山にたたずむアート作品を探しに
(左上)「Tunnel of Light」マ・ヤンソン/ MADアーキテクツ ©︎Nakamura Osamu(左下)「ブラックシンボル」サンティアゴ・シエラ ©︎Nakamura Osamu(右上)「Kiss&Goodbye」ジミー・リャオ ©︎Ishizuka Gentaro(右下)「砦 61」クリスチャン・ラピ ©︎Nakamura Osamu
ほかにも、日本三大峡谷のひとつに数えられる清津峡をはじめ、越後妻有の広範囲なエリアにユニークなアートが点在しています。
これらの作品は公共交通機関や車でめぐることができるほか、ガイド付きの日帰りオフィシャルツアーや半日のセレクトバスツアーを利用することもできます。詳細は公式HPをチェックしてくださいね。
文:小野澤啓子 写真:山田ミユキ