提供:ことりっぷ
さまざまな名古屋名物が集まる名古屋駅周辺。なごやめしのお店も豊富にそろうなか、老舗の昆布専門店による「棊子麺茶寮 いしこん(きしめんさりょういしこん)」は、ひときわ個性が光る麺処。味にも空間にも本物へのこだわりが感じられるお店で、ワンランク上のきしめんはいかがでしょう。
大正時代創業で一等級の昆布のみを扱う専門店
有松絞りの暖簾が鮮やかなショップ「味の石昆」
「棊子麺茶寮 いしこん」を手がける石昆は、1918(大正7)年に創業した昆布の専門店。すべて一等級の天然品を取り扱い、その品質の良さは高く評価されています。乾燥昆布をはじめ、丁寧に手作業で作られる昆布巻や佃煮、昆布の出汁を利用した加工品など、現在では多彩な商品を展開。手羽先やうなぎを使った商品は、名古屋みやげとしても人気を集めています。
2021年11月には名古屋駅前の商業ビル、ミッドランド スクエアにショップ「味の石昆」と初めての飲食店「棊子麺茶寮 いしこん」をオープン。ショップには石昆の商品がずらりと並び、名古屋駅限定の商品もそろっています。
名古屋の味をお持ち帰り。おみやげ選びにも便利
昆布巻(さけ)一本1080円(店内イートインは600円)。脂ののったさけを北海道産の天然一等厚葉昆布で一本一本丁寧に巻いている
きしめんをゆっくり味わえる隠れ家的な空間
カウンター中央の目隠しにあしらわれているのは、長さ5mもある本物の真昆布
「気軽に入って手早く食べられる麺の店が多いなかで、ゆっくりと落ち着いて味わえる空間を作りたいと考えました」と話すのは石昆の四代目、石川哲司社長。「昆布の出汁を麺類に生かしてはという構想は先代からありましたし、日ごろ口にする機会の少ない昆布巻などのおいしさを知ってほしいという気持ちもありました」。昆布巻は一品料理として注文できるほか、きしめんセットの一品として添えられることもあり、昆布のおいしさをあらためて感じてもらう機会につながればと考えているそうです。
本物の味を堪能してもらうにはその空間も大切にしたいと考えた、石川さん。日本の素材を積極的に取り入れ、文化を発信するような造りにこだわりました。桜の一枚板を使った重厚感あふれるカウンターや、美濃和紙を使った照明、飛騨の木材を用いた間仕切りなど、落ち着きと安らぎを感じる店内。カウンターと個室風のテーブル席があるので、一人でも会食でも利用しやすくなっています。
出汁はもちろん麺や具にもとっておきの逸品が集結
棊子麺 かしわ2000円。上質な旨みがたっぷりの出汁に、なめらかな食感ともちもちした弾力を兼ね備えた麺、名古屋コーチンが加わる
きしめんが運ばれると、出汁のいい香りがふわり。石昆が誇る北海道産の天然真昆布や利尻昆布など数種類の昆布と、かつおやうるめなどの節、朝挽きの名古屋コーチン、数種類の野菜などが濃厚で奥深い味わいを醸し出します。麺には愛知県産小麦のきぬあかりを独自に配合。出汁がのりやすいよう幅は広めにし、食べやすさに配慮して厚みは薄めに仕上げています。
きしめんはシンプルな「かけ」をはじめ、「お揚げさん」「卵とじ」「九条ねぎ」など約10種類がそろい、夏には香露(ころ)も登場するなど豊富なラインナップ。鶏肉や卵はすべて名古屋コーチンを使うなど、具も厳選した素材ばかりです。すべてのきしめんに季節ごとに変わる炊き込みご飯と、日替わりで昆布巻、手羽先などおまかせの一品が付くので、ボリュームも十分。添えられたとろろ昆布は少しずつ加えて、味の変化を楽しんでみてくださいね。
うみぁーっ手羽 4本600円。しっかりと味が染みて、箸でほぐれるほどやわらかい
昆布巻や佃煮、手羽先や牛すじの煮込みなど、お酒が進みそうな一品料理も充実。お酒とともに軽くつまんでから、きしめんで締めるという人もいるそうです。
通しで営業しているので、ランチタイムには遅れたけれどしっかり食べたいというときにもおすすめ。名古屋駅のにぎやかな街並みを忘れるようなくつろぎの空間で、本物の出汁のおいしさをゆっくりと味わってみませんか。
文:豊野 貴子 撮影:ふるさと あやの