温泉ファンなら一度は訪れてみたい絶景露天風呂が多数存在する東北。美しい海の景色が楽しめる温泉ホテルから山間の秘境温泉までそろいます。今回は、旅行作家の野添ちかこさんに東北ならではの大自然が楽しめるロケーションが魅力の絶景露天風呂を厳選してもらいました。
野添ちかこさん「絶景露天風呂がある東北の温泉宿」 ステイリスト
世界自然遺産・白神山地の麓、景勝地・黄金崎に建つ一軒宿「黄金崎不老ふ死温泉」。海岸の波打ち際と一体化した赤褐色の温泉露天風呂を求めて、全国からたくさんの温泉ファンが訪れます。
夕焼けが海に沈む風景を眺めながら温泉にゆったりと浸かれば、心に滲み入る感動とくつろぎを与えてくれます。湯けむりの向こうに雄大な日本海の景色が広がる大浴場には、サウナや日本海パノラマ展望風呂もあり。
前浜の海の幸が堪能できるお料理も自慢。素材の味を引き出す飾らない漁師料理は、ここでしか味わえない旬の味覚が満載です。
海に突き出すように造られたひょうたん型の露天風呂から眺める夕景はため息が出るほど感動的。景色はもちろんのこと、鉄分を含んだ茶褐色の湯はよく温まり、泉質も最高。料理は見た目以上においしくて料金と比較しても非常に満足度の高い宿だと思います。
吾妻連峰の北側標高約1,300mに位置する「桝形屋」は、渓谷美と野趣あふれる露天風呂が自慢の一軒宿。山形県内温泉旅館随一の絶景温泉とあって秘湯ファンに人気。営業は4月末から11月上旬にかけての期間限定で、特に春の新緑、秋の紅葉の季節の景色は必見の美しさです。
坂を少し上ったところにある露天風呂は、女性専用風呂が1カ所、混浴風呂の2カ所の計3カ所。渓谷が立ちはだかる温泉場は、日本画の中に入り込んだような美しさを体感できます。
情緒あふれる木造2階建ての建物は、懐かしさを感じる佇まいと純和風の客室に心が落ち着きます。館内にある檜造りの内風呂は宿泊者のみ利用可能です。
渓谷に佇む秘湯の宿。青みがかった乳白の湯が満たされた露天風呂は、奇岩怪石がそびえる絶壁に三方を囲まれ、荒々しい自然の息吹を間近に感じられます。一番奥に「山姥の湯」(混浴)。一番手前には女性専用の「瑠璃の湯」があります。混浴はバスタオル巻きもOK。
荒川の清流沿いに佇む、昔ながらの温泉ホテル「土湯温泉 ホテル山水荘」。源泉掛け流しの露天風呂・大浴場から眺める絶景と、温かみのある色調でまとめられた和の空間が自慢。壮大な滝の音を聞きながらくつろぎの時間を過ごせます。
荒川と2段の滝を眺める展望露天風呂は、豊富な湯量の温泉に浸かりながら、開放感と渓谷に囲まれた自然美を満喫。深湯・浅湯・みはらしの湯・桶ぶろなど、さまざまな趣のお風呂を備えた大浴場、5つの貸切風呂や約25mの温水プールなどもあり、湯めぐり気分も楽しめます。
夕食は、地元食材を生かした季節の味を堪能。地酒と一緒に存分に味わってみてください。
山水荘のお風呂は6階の大浴場「淵の湯」「瀧の湯」と1階部分に大浴場「たまゆらの湯」「つれづれの湯」。さらに、混浴の露天風呂「太子の湯」のほか、貸切風呂(有料)が5つもあり、すべて源泉かけ流し。浴槽の温度、深さ(深湯、浅湯)、眺めがそれぞれよく考えて造られているのでとても入り心地のいい温泉です。なかでも展望大浴場の眺めは最高で、開放的な湯浴みができます。混浴風呂ですが、女性専用時間があるのもポイントです。
岩手山の南西麓、標高約760mの高原に建つ「休暇村 岩手網張温泉」。秋田駒ケ岳や早池峰連山を見渡す絶景、小岩井農場や雫石盆地を見晴らす景観と、趣の異なる5つ浴場の湯めぐりが楽しめます。
本館「大釈の湯」、本館「白泉の湯」、混浴野天風呂「仙女の湯」、温泉館「薬師の湯」、「鹿追足湯」で温泉三昧。硫黄の香り漂うお湯は、豊かな効能も魅力です。
夕食は、約40種類のメニューが並ぶ「ビュッフェ」と季節の「会席料理」からプランをチョイス。初夏から紅葉のシーズンまで賑わう「展望リフト」「網張温泉キャンプ場」、冬季はウィンタースポーツが楽しめる「網張温泉スキー場」と、屋外施設も充実しています。
宿の中に男女別の内湯と大浴場がありますが、おすすめは混浴露天「仙女の湯」。本館の建物から7分ほど森の中を歩いていく野天風呂で、すぐそばを亀滝・湯ノ沢を望む絶好のロケーション。湯浴み着をレンタル(300円)して入れば女性も安心です。
八幡平の山頂付近にある山の温泉宿「藤七温泉 彩雲荘」。標高1,400mの視界の開けた場所に露天風呂が点在。朝焼けや雲海、星空を眺めながら、自然の一部に溶け込むようなワイルドな温泉体験ができます。
湯床からは温泉がプクプクと湧き、乳白色の単純硫黄泉を堪能。男女別の内湯でも源泉100%掛け流しで温泉を楽しめます。客室は6畳の和室がメイン。6月1日から9月30日までの期間は、1室限定で1名用の和モダンルームもあります。
食事は朝・夕とも、山菜がメインのヘルシーなメニューがそろったバイキングを用意(宿泊客数が少ない場合はお膳での提供)。登山で早朝に出発する場合はおにぎりを用意してくれるのもうれしいポイントです。
開放的な混浴風呂は足元から湧いていて、神秘的な雰囲気。男女別露天風呂からは夜は落ちてきそうな星が、朝は眩いばかりのご来光が望めます。八幡平の大自然を満喫できて、来てよかったと思えるはず。
野添 ちかこ(のぞえ ちかこ)さん
旅行作家、温泉ナビゲーター。神奈川県出身。旅行・観光の業界新聞記者を経て、2006年フリーランスに。Web、雑誌、書籍などの企画・編集・執筆に携わりながら、日本各地の温泉と宿の隠れた魅力や面白い情報を独自の目線で分かりやすく伝えている。