長野県の温泉旅館が、鳥獣被害削減とSDGsの貢献に「鹿肉シチュー」を販売

「創業大正十五年 蓼科 親湯温泉」の売店に並ぶ「鹿肉シチュー」

長野県の茅野市と諏訪市で3軒の旅館を経営する合資会社親湯温泉が、県内の鳥獣被害対策とSDGs(持続可能な開発目標)に貢献するため、各旅館の売店で「鹿肉シチュー」缶の販売を開始しました。


3軒の旅館の中で本館となる「創業大正十五年 蓼科 親湯温泉」の売店が、「100周年カウントダウンプロジェクト」の一環として2021年にリニューアル。その新装オープンにあたって、地域への還元につながる商品の販売を考え、「鹿肉シチュー」に着目したそうです。


長野県では野生の鹿による農作物の被害が多発。そこで、ジビエを食べることで、鳥獣被害を減らし、廃棄肉削減を含むSDGsへの寄与になることから、県内で捕獲された鹿肉を使用した「鹿肉シチュー」が誕生しました。
 

長野県の鳥獣被害額が13年で約10億円減少

2019年より全館リニューアルを敢行した「創業大正十五年 蓼科 親湯温泉」

売店で「鹿肉シチュー」を販売するのは、茅野市の「創業大正十五年 蓼科 親湯温泉」と、諏訪市の「上諏訪温泉 しんゆ(親湯)」、「寛ぎの諏訪の湯宿 萃sui-諏訪湖」の3軒です。この3軒の旅館がある長野県では、以前から野生の鹿が周辺の田畑の農作物を食べてしまい、農村に多大な被害をもたらしています。2007年度の県庁データによると、長野県内での年間・鳥獣被害額は約17.4億円にのぼっていました。ところが13年後の2020年度には、年間被害額が7.4億円に減少。その減少の要因の一つが、県庁の継続的な鳥獣の捕獲活動だったのです。


合資会社親湯温泉では、地域への還元として、この県の鳥獣捕獲活動に注目。長野県庁の鳥獣対策室兼ジビエ振興室(現在部署編成のため、鳥獣対策とジビエ振興が分担)およびジビエ振興に取り組む飲食事業者と協力して「鹿肉シチュー」を開発し、3軒の旅館の売店にて販売を開始しました。捕獲した鹿を処分するのではなく、ジビエとして味わう文化を広めることで、廃棄肉の削減を目指しています。
 

県内で捕獲された鹿肉を使った「鹿肉シチュー」の缶詰

県内で捕獲された鹿肉を使った「鹿肉シチュー」は、「甘め」、「中辛」、「辛め」の3種類を用意。リンゴとスパイスが香り高い「甘め」、バターの濃厚なコクと完熟トマトの酸味が合わさった「中辛」、青唐辛子の辛さが引き立つカシューナッツ入りの「辛め」があり、シチューをまとった柔らかな鹿肉を楽しめます。
 

野生の鹿肉を使用することは地球環境にも優しい

「創業大正十五年 蓼科 親湯温泉」の近辺に現れた野生の鹿

捕獲した鹿の廃棄肉を有効活用するために考案された「鹿肉シチュー」缶ですが、鹿肉を使うことは、捕獲活動を支えるだけでなく、地球環境への負荷を抑える効果も期待されています。例えば、牛や豚の飼育には電気などの資源を使うため、多くの二酸化炭素を排出。また、牛のゲップによって放出されるメタンは、二酸化炭素の25倍もの温室効果があると言われています。こういった背景から、自然で育った鹿肉に注目することは、温暖化防止をはじめとする自然環境を守ることにつながり、結果としてSDGsへの取り組みとなるのです。


長野県を訪れた際には、「鹿肉シチュー」でジビエを楽しむ食文化に触れながら、地域の鳥獣被害対策やSDGsに貢献してみてはいかがでしょうか。
 

 

創業大正十五年 蓼科 親湯温泉

住所
長野県茅野市北山蓼科高原4035
総部屋数
52室
アクセス
【車】中央自動車道「諏訪」ICより約30分
【バス】JR茅野駅より約30分(無料送迎バスあり)

 

 

上諏訪温泉 しんゆ(親湯)

住所
長野県諏訪市湖岸通り2-6-30
総部屋数
28室
アクセス
【車】中央自動車道「諏訪」ICより約15分、長野自動車道「岡谷」ICより約15分
【バス】JR「上諏訪」駅より徒歩約10分(無料送迎バスあり)

 

 

寛ぎの諏訪の湯宿 萃sui-諏訪湖

住所
長野県諏訪市湖岸通り2-5-27
総部屋数
8室
アクセス
【車】中央自動車道「諏訪」ICより約15分、長野自動車道「岡谷」ICより約15分
【バス】JR「上諏訪」駅より徒歩約10分(無料送迎バスあり)

 

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