京都「八坂神社」の魅力を深掘り!国宝に重要文化財、良縁や美容の神様など見どころがいっぱい

八坂神社

「祇園さん」の愛称で、古くから京都市民に親しまれている「八坂(やさか)神社」。京都屈指の花街である祇園の中心にあり、常に国内外からの観光客でにぎわっています。

 

そんな八坂神社には、2020年に国宝指定された本殿をはじめ、良縁を結ぶ神様や美容の神様を祀る末社(まっしゃ※本殿以外の小さな社)など、知らないと見逃してしまいそうな見どころがたくさん。八坂神社の魅力をご紹介します。

 

 

八坂神社ってどんな神社?祇園祭との関係は? 

アクセス

八坂神社

全国に点在する八坂神社や素戔嗚尊(すさのをのみこと)を祭神とする関連神社の総本社である八坂神社。

 

最寄り駅は京阪電車「祇園四条」駅や阪急電鉄「京都河原町」駅で、いずれも徒歩約10分以内で八坂神社に到着します。京都市内を巡るのに便利なバスの場合、JR「京都」駅より市バス100・206番に乗って「祇園」停下車すぐです。

 

八坂神社のはじまり

八坂神社
西楼門近くにある狛犬の台座に書かれた青龍

八坂神社の歴史は、平安遷都以前にまでさかのぼります。「渡来人が神様をお祀りした」と「お坊さんがお堂を建立した」の2つの説が神社のはじまりとのこと。本殿の下には、青龍(せいりゅう※東方の守護神で水とゆかりの深い神様)が住むといわれる龍穴(りゅうけつ)があります。

 

西楼門(にしろうもん)近くにある狛犬の台座にも、青龍の模様が。昔から、神聖で特別な場所だったことがわかりますね。

 

日本三大祭である「祇園祭」は八坂神社の祭礼

八坂神社

平安京で疫病が流行った際、八坂神社に祈りを捧げると、流行が止んだことから疫病退散の神社として発展を遂げてきました。日本三大祭の一つである「祇園祭」も、疫病退散を願った八坂神社の祭礼です。

ちなみに、八坂神社という名前は明治以降の呼び方で、それまでは「祇園社(ぎおんしゃ)」「祇園感神院(ぎおんかんしんいん)」と呼ばれていました。西楼門を入ったところにある手水(ちょうず)舎には、当時の「感神院」の文字が刻まれています。

 

そんな八坂神社の祭神は、素戔嗚尊と櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)の夫婦神と、その子どもたち。祇園祭では、それぞれの祭神をのせた3基のお神輿が市内を練り歩きます。

 

八坂神社の見どころをチェック!

八坂神社の巡り方

この記事で紹介する見どころを巡るなら、所要時間は30分ほど。

▼おすすめの順番

西楼門→太田社→大国主社→本殿→舞殿→南楼門&石鳥居→大神宮社のご神水→美御前社→本殿裏をぐるっと巡る→円山公園方面か八坂庚申堂などがある南門方面に向かう

 

唯一無二の「祇園造り」の「本殿」

八坂神社

続いて八坂神社の境内をご紹介します。2020年に国宝に指定された本殿は、全国的にも類を見ない「祇園造り」と呼ばれる建築様式で建てられており、本殿と拝殿を檜の樹皮を用いた檜皮葺(ひわだぶき)の屋根で覆っているのが特徴です。

 

本殿の高さは約15m、床面積は約660平米と国内でも最大規模の大きさ。ちなみに現在の本殿は、1654年に徳川家綱(4代将軍)によって再建されたものです。

 

祇園の街を見渡す西楼門

八坂神社

多くの観光客が撮影を楽しんでいる西楼門(にしろうもん)は、八坂神社のなかでも最古の建築物で、国の重要文化財にも指定されています。高さは約9m、1497年に再建されています。

 

正門・南楼門と国内最古の石鳥居

八坂神社

本殿の正面にある重要文化財・南楼門は八坂神社の正門。近くには、ソメイヨシノなどが植えられていて、春には桜、秋には紅葉と四季の変化が楽しめます。

 

八坂神社

南楼門の手前にある石鳥居も重要文化財で、自然石の鳥居では国内最古のもの。祇園祭で3基のお神輿が出発するものこちらの門からです。

 

八坂神社

この石鳥居の近くにある灯籠には「宿坊 松之坊」という文字が書かれています。実は、西楼門前の祇園の街や東側に位置する円山公園も八坂神社の境内だった神仏習合時代があり、その名残で宿坊があったことを示しているものです。

 

祇園祭の時には幻想的で美しい舞殿

八坂神社

南楼門と本殿の前にある舞殿も国の重要文化財に指定されている建物。普段は舞などが奉納される舞殿は、祇園祭の時期になると3基のお神輿が奉安されます。夜になると提灯に明かりが灯り、昼間とは違う美しい様子を楽しむことができます。

 

縁結びの神様として人気な大国主社

八坂神社

本殿の西側にある大国主社も人気の末社。祭神は、素戔嗚尊の孫神にあたる大国主神(おおくにぬしのかみ)で、縁結びの神様としても知られています。大国主社の前には、大国主神と八上姫の縁を結んだとされる因幡の白うさぎと大国主神の石像があります。

その横には、良縁祈願のハート型の絵馬がズラリ。目の前にあるお守りの授与所で購入することができるので、良縁を祈願してみてはいかがでしょうか?

 

美御前社は女性の美と健康の神様

八坂神社

大国主社と並んで女性に人気があるのが、美をつかさどる3人の女神様が祀られている美御前社です。

 

祭神は、容姿端麗な美の神様・宗像三女神(むなかたさんじょしん)で、舞妓さんや芸妓さんなどの芸能関係者をはじめ、美容や化粧品関係の方からの厚い信仰を集めています。

 

八坂神社

美御前社の前には、「美容水」と呼ばれるご神水の湧き水があり、美御前社を訪れた後に、手で美容水をすくい、2、3滴お肌につけると身も心もきれいになるといわれています(飲料水ではありません)。

 

そのほかにも見どころがたくさん!

八坂神社

舞殿の東側にある大神宮社の前には、地下約90mから湧き出る御神水(ごしんすい)があります。「力水」とも呼ばれるこちらの水を汲みに来る地元の方も多いのだとか。御神水は煮沸してから飲むようにしましょう。

 

八坂神社

大国主社の隣側にある太田社。末社の一つで、猿田彦命(さるたひこのみこと)と宇受女命(うずめのみこと)を祀っており、芸能にまつわるご利益があるといわれています。

 

八坂神社

本殿の裏をぐるっと一周できます。「あまり観光の方には知られていないのですが、本殿の周りを3回時計回りに回ることで、1,000回分のお参りをしたことになる“お千度詣”と呼ばれる回り方もあります」と権禰宜(ごんねぎ※神職の職階のひとつ)の福本翔一郎さんは語ります。

 

お守りや御朱印もチェック!

八坂神社
美守(水色)1,000円
八坂神社
厄除開運御守(萌黄)1,000円

参拝が終わった後は、授与所に立ち寄りましょう。「厄除開運御守」から、女性の美しさを守ってくれる「美守」などさまざまなお守りや御朱印が授与されます。

 

一年を通じて見どころがいっぱいの八坂神社

円山公園
円山公園の桜

京都の桜といえば、八坂神社の隣に位置する「円山公園」の桜を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、八坂神社の南楼門の桜もさまざまな種類のものが時期をずらして開花するためとてもきれいです。

 

春の桜だけでなく、緑がまぶしい夏や秋の紅葉、さらに冬の雪景色など、季節ごとの美しさを感じられる八坂神社。京都観光の定番スポットとして、ぜひじっくりと回ってみてはいかがでしょうか。

 

八坂神社

住所
京都府京都市東山区祇園町北側625
アクセス
【電車】京阪電車「祇園四条」駅から徒歩約5分、阪急電鉄「京都河原町」駅より徒歩約8分
【バス】JR「京都」駅より市バス100・206番「祇園」停下車すぐ
駐車場
なし
参拝時間
24時間(社務所の受付時間は9:00~17:00※ご祈祷は16:00まで)
公式サイト
八坂神社

 

撮影・文/立岡美佐子



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