自然に溶け込む全室スイートの「直島旅館 ろ霞」で、日本文化×現代アートの癒し旅

直島旅館 ろ霞

現代アートの聖地として世界中から親しまれている、瀬戸内海に浮かぶ直島。青い空や海など、島が誇る豊かな自然を背景に、街を巡りながらアート作品を鑑賞できるのが大きな魅力です。

そんな芸術の島に、島内初の本格的な旅館として2022年に誕生した「直島旅館 ろ霞(ろか)」。庭園や囲炉裏を備え、日本文化とともに現代アート作品を発信する拠点でもあります。全室スイートルーム&露天風呂付きの客室には若手アーティストの作品が展示され、くつろぎの空間で新たなアートを見つけることができます。そして、作品はもちろん、人や街との心躍る出会いも待っているはず。さあ、直島でのアート体験の旅へ出かけましょう。

 

船旅を楽しみながら、「直島旅館 ろ霞」へ

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今回の旅では、岡山県の宇野港から「直島旅館 ろ霞」最寄りの港・宮浦港を目指します。宇野港へのアクセスはJR宇野駅から徒歩約5分。大人片道300円(往復は割引で570円※支払いは現金のみ)のチケットを購入し、四国汽船が運行するフェリーで宮浦港へ向かいます。

 

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赤のドット柄がかわいいフェリー「なおしま」に揺られること約20分。瀬戸内海の風景を満喫しながら、あっという間に目的地の宮浦港に到着します。

 

赤かぼちゃ
草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地

宮浦港では、世界を舞台に活躍する芸術家・草間彌生氏の「赤かぼちゃ」が訪れたゲストをお出迎え。空の青とかぼちゃの赤のコントラストが美しく、海風を浴びながらもうっとりしてしまいます。

港へは宿の無料送迎車が運行。予約時に乗船予定のフェリーの時刻を伝えておくと、到着時間に合わせて迎えに来てくれますよ。

 

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送迎車の側面には「ろ霞」を上空から見た図が描かれています。施設内にある水田や囲炉裏の配置を三角形で結ぶと、日本人が最も美しいと感じる「白銀比(大和比)」になっているのだとか。到着前から「ろ霞」のこだわりに触れて、どんなお宿なのか、ますます期待が膨らみます。

 

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「ろ霞」へ到着すると、玄関前に広がる庭園「山祉水明(さんしすいめい)」に目を奪われました。枯山水が美しい庭園は、直島の御影石(みかげいし)や木々、香川の庵治石(あじいし)など地元の自然素材で作庭されています。日が暮れると鮮やかにライトアップされるので、夜の庭園も必見です。

 

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ここで特に注目してほしいのは、天地に伸びる水をイメージした彫刻家・名和晃平氏の作品「Ether#80」。庭園に溶け込みながら独特の存在感を放っています。

 

旅人への思いが随所に詰まった館内

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庭園の美しさに触れながら、暖簾をくぐって館内へ。ロビーを兼ねたカフェ・バー「moya」でチェックインします。

「moya」のカウンターは船をイメージしたデザイン。自然と調和するという「ろ霞」のコンセプトのもと、瀬戸内海の地層を表現した土壁が心地いい空間を演出しています。

 

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ほうじ茶をベースに、ジャスミンやカルダモンなどが入ったウェルカムドリンクのオリジナルティーをいただいて、ほっと一息。

 

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カウンターに目をやると、タイムやグローブ、ローズマリー、オリーブリーフなどをお酒に漬け込んだ「自家製薬酒」がズラリと並んでいます。これは 「心と体を元気に」というオーナー・佐々木慎太郎さんの思いから、薬酒・薬膳酒協会監修のもとに作られたもの。21時からのバー営業では、薬酒を使ったさまざまなオリジナルカクテルが味わえます。夜のお楽しみがまた一つ増えました。

 

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「moya」の隣にあるのは、レストラン「EN」。瀬戸内の食材を贅沢に使い、京都の有名ホテルで経験を積んだ料理長による会席料理が味わえます。料理のコンセプトは「五味一風」。五つの味の要素(甘・塩・酸・苦・旨味)が最大限引き出されるよう、素材本来のおいしさを追求した料理が提供されます。

 

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開放的なレストランからは、「ろ霞」を象徴する囲炉裏が見えます。こちらも「現代アートを愛する旅人たちが語り合う場所になってほしい」という、オーナーの思いから作られました。旅先のインドで、火を囲みながら村人にチャイを振る舞ってもらった体験がきっかけとなっているそうです。

こちらでは、お茶(無料)やバーメニューが楽しめます。

 

全室露天風呂付きのスイートルームで過ごす贅沢な時間

直島旅館 ろ霞
直島旅館 ろ霞

チェックインを済ませたら、渡り廊下を通ってお部屋へ向かいます。宿泊棟へ入る扉にも鍵がかかっているので、ルームキーをかざして入ります。

宿泊棟は、11室のお部屋が連なる長屋造り。長廊下では宿泊客があいさつを交わすなど、ここでも旅人同士の交流が生まれるそう。夜になれば各部屋のやわらかい明かりが廊下にこぼれ、温かな気持ちにさせてくれます。

 

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客室はすべてスイートルームで3タイプ。全室露天風呂付きの贅沢な空間です。今回は、スタンダードな「デラックススイート」(56平米)に宿泊しました。お部屋の内装は、日本らしい美意識がテーマ。淡路島の土を使って左官職人が丁寧に仕上げた土壁や、土佐和紙が使われた障子など、瀬戸内近隣の自然素材を生かした優しい空間に心が安らぎます。

 

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檜の香りに癒される露天風呂からは里山が眺められます。里山の草木はあえて根本から刈り上げず、昔のままの姿が残されています。華道家・萩原亮大さんによる風をイメージしたアート作品も展示されているので、お湯に浸かりながら、自然とアートが一体となった風景を楽しみましょう。

 

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お風呂で特筆すべきは、グループ旅館がある岡山・湯郷温泉(ゆのごうおんせん)のクラフト温泉入浴液が用意されていること。美人の湯と名高い湯郷温泉の成分を濃縮還元した入浴液で、お湯に入れるだけで岡山を代表する名湯が手軽に体験できます。

 

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アメニティグッズには「無添加工房 OKADA」のクレンジング、化粧水、石けんなどがそろいます。100%精製オリーブオイルで作られているので、肌に優しい低刺激のスキンケア用品です。石けんは泡立てネット付きで、持ち帰れるのもうれしい。さっぱりとした使い心地が気に入った方は、館内のショップで同メーカーの商品が販売されているのでチェックしてみてください。

 

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館内では、オーガニックコットン100%で肌触り抜群の館内着に着替えてリラックスを。お部屋にはオリジナルデザインの作務衣、浴衣、Tシャツ、足袋が用意されています。

驚いたのが、特注の浴衣の帯。マジックテープでワンタッチで留められるようになっているので、海外の方でも簡単かつしっかりと締められ、気軽に浴衣が着られます。木や土など直島の自然を連想させるようなナチュラルな色合いも素敵です。

 

直島旅館 ろ霞
直島旅館 ろ霞

館内着に着替えたら、和三盆のお菓子で一息。客室には煎茶、紅茶、コーヒーが用意されています。お部屋に馴染むシンプルなデザインのティーカップやバルミューダのケトルがかわいいので、いつもとは違う特別なティータイムが過ごせそうです。

 

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そして、冷蔵庫にはフリードリンクのミネラルウォーター、トニックウォーター、瓶ビールがスタンバイ。スタイリッシュなボトルがおしゃれで、お水を飲むひと時でさえ丁寧な時間を過ごしたくなります。飲みたい衝動を抑えつつ、ビールはお風呂上がりの楽しみに取っておくことにしました。

 

直島旅館 ろ霞

ほかのタイプのお部屋もご紹介。「デラックススイート」と間取りは変わりませんが、62平米と少し大きい「プレミアムスイート」がこちら。「ろ霞」の客室はすべて、畳の上に厚手のマットレスを重ねた布団ベッドというスタイルです。

 

直島旅館 ろ霞

続いて、一室だけ用意された「ろ霞スイート」。106平米(最大5名)という広さで、のびのび過ごせる空間となっています。

 

直島旅館 ろ霞

独立したベッドルームも広々。全室の襖には、京都にある日本唯一の唐紙屋「雲母唐長(きらからちょう)」の唐紙が使われていて、「ろ霞スイート」には特別に唐紙師・トトアキヒコ氏のオリジナル作品が描かれています。

「ろ霞」のお部屋にはあえて時計やテレビが備え付けられていないので、時間や情報に追われることなく、ゆっくりと過ごせます。何もしないという贅沢な時間が、いつも忙しく動いている頭を空っぽにしてくれるはずです。

 

館内でアート巡り。注目の若手アーティストの作品に触れる

若手現代アーティストの発信拠点として、「ろ霞」では館内の至るところに若手アーティストの作品を展示しています。世界で活躍する才能を発掘すべく、アートプロデュースを担当するのは、精力的に現代アートの情報を発信する、京都芸術大学教授の後藤繁雄氏。エッジの効いたキュレーションにより、新たな作品が世界中のアートを愛する人々へ発信されています。

 

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カフェ・バー「moya」には、品川亮氏の「四季花鳥図」が展示されています。伝統的な日本画の様式や素材を用いながら、現代絵画のエッセンスを取り入れた作風が特徴的です。

 

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各作品の脇には、アーティスト名、作品名、二次元コードが記載されたプレートが設置されています。この二次元コードを読み込むと、作品概要、アーティストプロフィール、個展情報などが掲載されているサイトへ。気になる作品があれば、ぜひ詳細をチェックしてみてください。

 

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レストラン「EN」のカウンター席の正面に飾られているのは、名和晃平氏の写真作品「Moment Photography (R2021:05:15 13:56:28)」。高速で移動する列車から撮影された作品です。庭園にある彫刻「Ether#80」とは趣が異なり、表現の幅の広さがうかがえます。

 

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「EN」の奥の壁には、山本捷平氏の「Calcite on Myth -Laocoonte-」を展示。神話の彫像写真をパネルに転写し、その上で方解石(炭酸塩鉱物の一種)を混ぜた絵の具を自作のローラーで反復させています。

 

直島旅館 ろ霞
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「EN」には、数々のアートアワードを受賞し、刷毛(はけ)を駆使した現代アートを描く山田康平氏の作品も。「ろ霞」では半年ごとに1人の若手アーティストをピックアップし、その未発表作品を全客室に展示しています。今回の旅で客室に飾られていたのが、山田康平氏の作品でした(※山田氏の作品展示は2023年4月20日11時までの予定)。

全11室の展示作品は、宿泊者向け限定で抽選販売を実施。作品を気に入った方は、お部屋にある作品リストに記載された二次元コードから購入を申し込むことが可能です。このようにアートとの偶然の出会いを楽しめるのも「ろ霞」の大きな魅力。基本的に、宿泊したお部屋の作品しか実際には見られませんが、宿泊予約時にアートツアーを申し込めば、チェックイン前に各部屋の作品を見て回ることもできますよ。

 

直島建築など見どころ満載の本村エリアを散歩

直島旅館 ろ霞

館内のアートを鑑賞後、まだ夕食まで時間があるので、宿から近い本村エリアを散歩することに。本村エリアには、国内外の有名建築家が手がけた「直島建築」をはじめ、空き家などを改修し、アーティストが空間そのものを作品化した「家プロジェクト」や、世界的な建築家・安藤忠雄氏が過去に設計した建築模型やスケッチ、写真などを展示する「ANDO MUSEUM」など、多数の見どころがあります。

また、ふと入った路地で家の壁に絵が描いてあるなど、街中にもアートが点在。玄関前に何気なくディスプレイが飾られていて「これもアートかな?」と思えてくるので、道中は自分だけのアートを見つける楽しみもあります。

 

直島旅館 ろ霞

「ろ霞」から歩いて10分ほどで直島港(本村港)に到着。少し歩くだけで、瀬戸内海の景色が広がります。

 

直島旅館 ろ霞

こちらは直島建築の一つで、石井和紘氏設計の直島町役場。安土桃山時代の名建築「飛雲閣」など、実在する日本の建築様式をオマージュして建てられています。すぐ近くには、数々の建築賞を受賞した直島ホール(直島町民会館)もありますよ。

 

直島旅館 ろ霞
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さらに、島内に点在しているのが、使用済みの浮き玉(ブイ)を利用した、かわいいリサイクルアート「うきたまかえる」。島に350個以上あると言われ、行く先々でその姿を見つけることができます。

宿に戻ってきたら、ちょうど夕暮れのタイミング。庭園とアートが夕日に染まる瞬間は、思わず写真におさめたくなる美しさです。

 

新鮮な魚介など、瀬戸内食材を心ゆくまで堪能できる会席料理

直島旅館 ろ霞

お待ちかねの夕食は、レストラン「EN」でいただきます。瀬戸内の食材をふんだんに使った料理が楽しめるこちらでは、1日限定9食の寿司会席か、月ごとに内容が変わる会席のどちらかを選べます。

今回は全11品の会席をオーダー。「ろ霞」は海外からのゲストも多く、ヴィーガン、ベジタリアン、ペスカタリアンの方への対応も可能です。

 

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最初に運ばれてきた食前酒は、奈良県・久保本家酒造のにごり酒「生酛(きもと)のどぶ」。コクがありながらもキレがいい飲み口です。冬はこっくりとした辛口、夏はさっぱりとしたスパークリングなど、季節に合わせた日本酒が提供されます。

 

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一品目は、香川県産のカブラを使用した「蕪の茶碗蒸し 椎茸 蕪」。カブラの甘味を引き出すため、卵白のみで仕上げています。一口食べると、香川の讃岐コーチンから取った出汁の旨味と、カブラの甘味が広がっていきます。茶碗蒸しの上には、マグロ節とカツオ節の一番出汁がかけられているので、旨味をさらに感じられますよ。

 

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次の椀物は「蛸真丈 柚子白玉 水菜 バチ柚子」。利尻昆布とカツオの合わせ出汁が主役の一品です。柚子を練り込んだ白玉とタコの食感がアクセントになった真丈と一緒にいただきます。まずは、お椀をあけた瞬間の出汁の香りを楽しんでください。

 

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旬の魚介が味わえる「瀬戸内のお造り二種」は、ヒラメとサワラ。オリーブオイルが垂らされたヒラメは、海藻が入った藻塩でいただきます。皮目が炙られたサワラも新鮮。添えられているのは、和歌山のみかん農園で採れたシークワーサーというのも珍しいです。

 

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続いて、お酒がすすみそうな八寸が運ばれてきました。岡山県奈義町産のなぎビーフにゴボウを巻いた「牛八幡巻」や、瀬戸内のサバを使った「鯖小袖寿司」、香川県産の赤味噌で焼き上げられた「小芋田楽」、さらに「干し柿と熨斗梅(のしうめ)クリームチーズ」などに、雪輪蓮根や車海老旨煮などが添えられています。

 

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焼物は、瀬戸内のブリに味噌と麹をつけて炭火で焼き上げた「鰤味噌焼き 胡桃味噌和え」。ふっくらした白身に味噌の香ばしさがよく合います。岡山・倉敷の老舗「藤澤藤左衛門商店」の本みりんと赤味噌を使ったクルミの味噌和えと一緒にいただきます。

 

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続いては、瀬戸内のサワラとすりおろした蓮根の蒸し物。もちもちとした蓮蒸しに、利尻昆布とカツオ出汁を合わせたあんがかけられています。ワサビを効かせたあんがポイントで、体が温まる一品。

 

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メインは「牡蠣グラタン焼 松木の子」。岡山県産の牡蠣を小豆島のオリーブオイルでソテーし、香川県産の小麦粉「さぬきの夢」を使ったベシャメルソースをのせて焼き上げられています。松茸と椎茸から作られた「松木の子」もトッピング。濃厚でクリーミーなベシャメルソースに包まれながらも、牡蠣の旨味が前面に感じられます。最後にふりかけられた、岡山・吉備中央町にある吉田牧場の無添加チーズ「コダカ」の香りもたまりません。

 

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さっぱりと味わえる「タイラギ貝 みぞれ和え」は、食感のいいタイラギ貝を小豆島のもろみ醤油で和えています。刻んだ広島菜と塩昆布入りの大根おろしをのせ、その上から瀬戸内レモンのジュレと皮が添えられています。さわやかな香りとタイラギ貝の食感が楽しめます。

 

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ご飯は、艶やかでふっくらとした香川県産のお米「あきさかり」を越前焼の釜で炊き上げた「鱧御飯 占地」。胡麻醤油をかけながら焼き上げたハモを混ぜて味わいます。釜の底にはうれしいおこげも! 大根のべったら漬け、長芋の醤油漬け、ゴボウのポン酢漬けの3種の自家製お漬物と一緒にいただきます。

 

直島旅館 ろ霞
直島旅館 ろ霞

締めくくりは「南瓜モンブラン」と「南瓜アイス」の2種のデザート。優しい甘さに仕上げられているため、カボチャ本来の甘味が楽しめます。

そして、なんと夕食時に使用したお箸とナプキンは持ち帰ることができます。お箸には「ろ霞」にちなんだ一言など、6種の言葉が掘られています。どんな言葉に出会えるかは当日のお楽しみ。帰宅してからも宿での楽しい食事の思い出が蘇るようで、とてもうれしいプレゼントとなりました。

 

自家製薬酒のカクテル、夜の庭園、焚き火など、夜のお楽しみ

直島旅館 ろ霞
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夕食後は、バータイムの「moya」へ。ライトアップされた庭園を眺めながら、自家製薬酒のカクテル「Relax」(1,200円)をいただきます。バオバブの花の華やかな香りが広がる一杯で、その香りに身も心も癒されていきます。

カクテル片手に見る夜の庭園は、「世界で起きた事象が海を越えて直島に伝わるように」とプログラミングされた光によって輝いています。その光とリンクするように、里山の野鳥などの声が聞こえるオリジナルサウンドにも風情が感じられます。

 

直島旅館 ろ霞

日没後には囲炉裏に火が灯るので、焚き火を囲んで「ろ霞」ならではの夜を過ごしましょう。火を眺めてのんびり過ごせば、さらに心が和らいでいきます。季節により異なりますが、24時頃まで焚き火を楽しめるそう。バーカウンターでドリンクを注文すれば囲炉裏にあたりながら飲むこともできますよ。

 

直島旅館 ろ霞

お部屋に戻ったら、露天風呂で1日の疲れを癒します。開放的な昼間の雰囲気とは異なり、静けさに包まれた夜の露天風呂も趣があります。風の音、木々が揺れる音、そんな自然の音を聞きながらゆっくりとお湯に浸かるだけで、身も心も癒されていきます。クラフト温泉入浴液のおかげで、お肌もすべすべに。素敵なお風呂に癒されて、今日の旅を振り返りながらお休みします。冷蔵庫のビールを飲むのもお忘れなく。

 

瀬戸内の魚と炊き立てご飯が食欲をそそる朝食

直島旅館 ろ霞

翌朝の朝食も、夕食と同じく「EN」で。お好みで和食か洋食を選べます。

和食は、釜炊きの「あきさかり」をはじめ、香川県産の味噌を使ったお味噌汁、ブリやサワラなど旬の焼き魚、だし巻きなどがそろいます。ごはんはそのままでも食べられるほどのおいしさですが、岡山県笠岡市真鍋島「じろうや」の最高級海苔と一緒に食べると、さらにご飯が進みますよ。

 

直島旅館 ろ霞

洋食は、岡山市の人気精肉店「肉のクマザワ」から取り寄せた無添加のベーコンとウインナー、パンと無添加の手作りジャム3種、自家製ピクルス、コンソメスープ、鶏ハムなど。おいしい朝食を食べながら、「今日はどこを巡ろうかな」と考えるだけで、とっておきの一日が始まりそうです。

 

オリジナルの燻製オイルなど、旅の記念に直島土産を

直島旅館 ろ霞

チェックアウトの前に、館内のショップで旅の記念にお土産を買いましょう。

 

直島旅館 ろ霞
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特に人気なのは、レストランの厨房で作られているカキのオイル漬け「瀬戸内燻製オイル」(2,400円〜)。お酒のおつまみにピッタリです。お料理に欠かせない、直島のオリーブオイル「手摘み」(1,800円)も販売されています。そのほか、お風呂と同じクラフト温泉入浴液をはじめ、オーガニックシャンプーや、アーティストの作品集など多彩な商品がそろいます。

お土産も買えたところで、チェックアウトを済ませて宮浦港へ向かいます。宿の送迎車で港まで送っていただき、周辺のアートを鑑賞しながら、行きと同じくフェリーに乗って帰路につきました。

 

日本の伝統的なおもてなしを大切にしながら、海外ゲストもゆったりくつろげる「直島旅館 ろ霞」。現代アートと露天風呂を心ゆくまで楽しんだ素敵なステイでした。里山の自然に触れながら過ごす「ろ霞」では、忙しない時間を手放す旅となるはず。アートを目の前にすると、「これは何を表現しているんだろう?」とつい正解を求めたくなりますが、心も体も軽くしてくれるこの宿では、人やアートとの出会いを楽しみながら、ただその美しさに浸り、思いふける時間を過ごすことをおすすめします。

 

直島旅館 ろ霞

住所
香川県香川郡直島町1234
アクセス
宮浦港から車で約8分(無料送迎あり)
駐車場
8台(無料)※要予約
チェックイン
15:00〜18:00
チェックアウト
11:00

 

撮影/福羅 広幸 取材・文/左近 智子

 

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