能登半島の里山でリトリート。「大呑ビレッジ 遊心庵」で農泊体験

大呑ビレッジ 遊心庵

石川県七尾市の大呑(おおのみ)地区。海と山に囲まれた自然豊かな農村の高台に、一棟貸しの宿「大呑ビレッジ 遊心庵」があります。もともとこの地にあった古い山荘をリノベーションしており、能登半島の自然を満喫しながらおしゃれで快適に過ごせる宿です。

農村の暮らしを味わう「農泊」が体験できる場所としても注目を集める大呑ビレッジ 遊心庵は、2020年に始動したばかり。まだあまり知られていない穴場の大呑地区で、1泊2日のモニター滞在をしてきました。

 

 

1日目

15:00 チェックイン

大呑ビレッジ 遊心庵
アクティビティの相談もできる大呑ハウス

遊心庵は一棟貸しの建物のため、ホテルのフロントにあたる施設がありません。チェックインの際は宿近くの「大呑ハウス」へ向かいます。ここは遊心庵に携わる地域の人たちが集まる拠点のような場所で、サイクリングなどのアクティビティに出かける起点にもなります。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
森に抱かれた「大呑ビレッジ 遊心庵」

チェックインを済ませた後は、いよいよ遊心庵へ。高台に建つ建物は、とある画家のアトリエとして使われていた山荘をリノベーションしています。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
薪ストーブの前でくつろげるリビング

遊心庵の広さはおよそ80平米。既存の梁を生かしてリノベーションした空間は天井が高く、広々としています。薪ストーブのあるリビングスペースに、キッチンとつながった小上がりが続きます。テレビはないので、音楽を聴いたり会話を楽しんだり、ゆったりとした時間を過ごせそうです。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
ゆったり休めるセミダブルベッド

寝室にはセミダブルのベッドが3台並んでいます。さらにシングルサイズのマットレスを3つまで増設でき、最大6名まで宿泊できます。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
調理器具や食器類が揃えられたキッチン

キッチンにはIHクッキングヒーターが2口、電気ケトルのほか電子レンジや炊飯器もあります。鍋やフライパン、食器類もあるので、地元の食材を使ってちょっとした料理もできます。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
木のぬくもりを感じる浴室

洗い場付きのバスルームには窓があり、建物の裏に広がる木立を眺められます。木の香りでリラックスできました。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
ゆったり使える洗面台

洗面ボウルがふたつ並ぶ洗面室には、洗濯機と物干し用のバーも設置されています。

引き出しの中にはバスタオルにフェイスタオル、歯ブラシなどのアメニティ。ドライヤーもあります。ナイトウェアは用意されていないので、お気に入りを持参しましょう。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
バスルームとは独立したつくりのトイレ

トイレも広々としています。バスルームとは別室にあるので、家族やグループでの長期滞在でも快適に過ごせそうです。

 

16:00 木彫作家さんの工房を見学

大呑ビレッジ 遊心庵
岸和田だんじり祭りの山車彫刻なども手がける瀧川千春さん

遊心庵から車で数分の「たきかわ木彫」を見学しました。木彫作家の瀧川千春さん・佐智子さんご夫妻が日々創作活動を行なっている工房です。考えてみれば、宿泊先の遊心庵も、もとはアトリエだった建物。大呑という土地には、どこかクリエイティビティを刺激する何かがあるのかもしれません。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
つい見入ってしまう制作風景

作品のみならず、作業の内容によっては工房での制作風景を見学することもできます。七尾市生まれのご主人、瀧川千春さんは、最近では伊藤若冲の絵画にインスピレーションを受け、この土地に暮らす動物や鳥、魚たちの生き生きとした姿を木彫で制作したいと考えているのだそう。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
世界でひとつだけのオリジナルアクセサリー作り体験

そんなお話を聞きながら工房を見学した後は、ちょっとした体験の時間も。この日は端材などを再利用した木製のパーツに、ウッドビーズやロープを組み合わせてアクセサリーを作りました。この土地に生きるアーティストの感性に触れ、木のぬくもりを感じた時間でした。

 

19:00 大自然の中で開放的なバーベキュー

大呑ビレッジ 遊心庵
無料でレンタルできるバーベキューセット

遊心庵では、事前に予約をすれば、無料でバーベキューセットが借りられます。BBQコンロとテーブルセットはもちろん、照明や簡易テント、カトラリーや食器までそろっているので、宿泊者は食材のみ用意すればOKです。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
地元の「氷見牛」を使ったBBQ

能登半島と言えば新鮮な魚介のイメージが強いのですが、実はお肉もおいしい地域。厚切りの氷見牛をサッとあぶれば珠玉の一皿に! 季節の野菜や魚介などを一緒に焼いて、キャンプのような気分で楽しみました。

近隣に民家がないため、煙の行方が気にならないのも、うれしいポイントです。たき火をしてゆらめく炎を眺めたり、雲のない日には美しい星空を観賞したり、スロウな夜を満喫できます。

 

2日目 

7:00 富山湾の朝焼け

大呑ビレッジ 遊心庵
テラスから眺める朝焼け

自然光で目覚めた朝。ウッドデッキの向こうには、富山湾の朝焼けが広がっています。雲が多めでも充分すぎるほど美しい景色でした。

目の前に広がるのは、伝統的な棚田です。11月は刈り取り後の姿でしたが、水がはられた様子や黄金色の稲穂が実った姿も見てみたくなります。季節によっては地元の人たちと一緒に行う田植えや畑仕事の体験なども実施しているのだとか。初めて訪ねたのに、どこか懐かしさを感じる風景でした。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
備え付けのドリップコーヒーで朝のコーヒータイム

ホットコーヒーを飲みながら過ごす朝のひととき。あっという間に日が昇ってしまうので、見逃さないようにしてくださいね。

 

8:00 氷見のブリを丼で食べ比べ!海鮮丼の朝ごはん

大呑ビレッジ 遊心庵
ブリとフクラギの食べ比べ丼

地元の食材を使った朝ごはんを食べるのも、暮らすような旅ならではの楽しみのひとつです。今回は炊き立ての富山県産コシヒカリで、ブリの食べ比べ丼を作りました。

具材は富山湾で獲れた新鮮な「ブリ」と「フクラギ」。フクラギとはあまり聞きなれない魚ですが、出世魚であるブリの幼魚のこと。関東では「イナダ」、関西では「ハマチ」にあたり、体長30〜40cmほどの大きさのものを北陸地方では「フクラギ」と呼びます。クセがなく比較的さっぱりした味わいのフクラギは、ブリとはまた違ったおいしさでした。

アクセントに富山湾のイカをトッピング。季節ごとの旬の魚を使った朝ごはんは、シンプルだけど贅沢なごちそうです。

 

9:00  大呑を五感で楽しむサイクリングへ!

大呑ビレッジ 遊心庵
ガイドさんについてサイクリングスタート

この日のアクティビティはサイクリング。チェックインで出向いた郵便局裏の広場に集合します。電動クロスバイクに乗って、大呑の探検に出かけましょう。ガイドさんについて走ればOKです。始まったばかりの試みですが、大呑を一周しながら地域の人たちとのふれあいも楽しめる素敵なツアーでした。

今後は楽天トラベルからサイクリングツアー付きのプランも発売される予定です(2022年12月現在は、宿泊予約時にサイクリングツアーも希望する旨を伝えて予約)。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
丘の上に立つ阿良加志比古神社

まずは地域の総社である「阿良加志比古神社(あらかしひこじんじゃ)」へ。旅の安全祈願をするとともに、ご神木の五本杉を見学します。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
パワースポットと言われる五本杉

その名の通り、幹が大きく5つに分かれた杉の巨木はダイナミックで神秘的。長い間この地にあって集落を見守ってきたお社とご神木を眺めていると、何だか心が浄化されるような、不思議な気持ちになりました。

 

10:00 田園風景を抜けて漁港へ

大呑ビレッジ 遊心庵
静かな漁港

神社から自転車を走らせ、穏やかな海に面した漁港へ。透明度の高い海の中には、小さな魚が泳いでいる様子も見えます。漁を終えた漁師さんが戻ってきているタイミングであれば、漁船や獲れたての魚を見学できることもあります。

 

10:30 ミカンを収穫してゴール!

大呑ビレッジ 遊心庵
立山連峰まで見える高台

大呑の海を満喫したら、再び山へ。サイクリングコースの最後は、伝統的な棚田の間を走って、高台にあるミカン畑を目指します。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
おいしそうなミカンを自分で収穫

ミカン農家さんのお話を聞きながら、たわわに実ったミカンを自分で収穫し、味見もできます。能登の太陽をたっぷり浴びて育ったミカンは甘味と酸味がバランスよく、ジューシーでした。

 

大呑ビレッジ 遊心庵
ミカン畑の奥に連なる棚田。大呑の原風景

足元に広がる棚田の先には美しい富山湾が広がり、晴れた日には立山連峰まで見渡せます。そこにあるのは、人を寄せ付けないような荒々しい自然ではありません。何代にもわたってこの地で伝統的な農業・漁業を営んできた人々の暮らしがあり、人と自然が共生してきた里山・里海の風景が広がっています。やさしく心に響く、いわば日本の原風景とも言える場所なのかもしれません。

 

11:00 大呑ビレッジとお別れ。次はいつ来ようかと考えているかも

大呑ビレッジ 遊心庵
地域に伝わる伝統的な保存食「巻き鰤」

自転車で大呑ハウスへ戻り、2時間ほどのサイクリングツアーを満喫しました。こうして今回の大呑ビレッジ 遊心庵での滞在は終了。冬に作られる伝統的な保存食「巻き鰤(ぶり)」を見せてもらいながら、また別の季節にも訪ねたいな、と決意を新たにしました。

体験プログラムの充実を図り、今度さらに発展していきそうな大呑ビレッジ。これからの進化が楽しみです。

 

13:00 ひみ番屋街で「きときと」の魚を堪能

大呑ビレッジ 遊心庵

大呑ビレッジ遊心庵があるのは石川県七尾市。富山県との県境に近いため、富山駅や富山空港からのアクセスも便利です。チェックアウト後は富山湾に沿ってドライブしながら、おいしいものを探しに出かけましょう。

道の駅氷見「氷見漁港場外市場 ひみ番屋街」は、ランチをしたりお土産を買ったりするのにおすすめの立ち寄りスポットです。番屋街には富山の方言で「きときと」、新鮮な魚介類が並んでいます。

 

大呑ビレッジ 遊心庵

今回は新鮮な白エビをぜいたくに使った「白エビかきあげ丼」をいただきました。そのほかにも、とれたての地魚が食べられる回転寿司や氷見うどんなど、ご当地グルメが大充実。グループ旅行なら、フードコートに好きなものを持ち寄って食べるのもおすすめです。

 

氷見漁港場外市場 ひみ番屋街

住所
富山県氷見市北大町25-5
営業時間
鮮魚・物販施設/8:30~18:00
フードコート/8:30~18:00
飲食施設/11:00~18:00
回転寿司/10:00~20:00
アクセス
【車】能越自動車道「氷見」ICから約8分
駐車場
あり(220台)
公式サイト
氷見漁港場外市場 ひみ番屋街

 

大呑ビレッジ 遊心庵

旅のしめくくりは雨晴(あまはらし)海岸で、富山湾の向こうに広がる立山連峰の絶景を楽しみました。能登半島、富山湾の自然を満喫する1泊2日の旅でした。

 

雨晴海岸

住所
富山県高岡市太田雨晴
駐車場
道の駅「雨晴」の駐車場(無料・39台)
関連サイト
高岡市観光ポータルサイト「たかおか道しるべ」

 

特別な場所、また帰りたくなる場所

大呑ビレッジ 遊心庵

都会の喧騒を離れた静かな農村で本来の自分を取り戻す、リトリートな宿。それが「大呑ビレッジ 遊心庵」です。田植えの時期に訪れたら次は収穫の頃に…など、何度でも再訪したくなる宿です。

単なる一棟貸しのコテージ滞在ではなく、地域で過ごすことそのものを目的に出かけてみてください。農泊ならではのアクティビティを楽しみ、美しい風景の中でのんびりした時間を過ごすうちに、大呑ビレッジが特別な場所、また帰りたくなる場所になるかもしれません。

 

大呑ビレッジ 遊心庵

住所
石川県七尾市花園町ワ部2-1
チェックイン
15:00~18:00
チェックアウト
9:30
総部屋数
1室(一棟貸し)
駐車場
あり・無料
アクセス
【車】能越自動車道「七尾大泊」ICより約5分

 

 

取材・撮影・文/羽田さえ

Article survey

お客様のご意見をお聞かせください
このページは気に入っていただけましたか?

ワクワクする旅のきっかけから現地で役に立つ情報まで、確かな情報を旅行者にお届けします。

※当ページのランキングデータ及び記事内容の無断転載は禁止とさせていただきます。
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。
※(税抜)表示以外の価格はすべて税込価格です。場合によって税率が異なりますので、別価格になることがあります。

 
 

TOP