伊豆大島は東京都心からのアクセスも良く、火山関連の見どころが多く集まっている島です。現在でも活動を続けている「三原山」や透明度の高い海を満喫できる「トウシキ遊泳場」などの絶景はもちろん、「べっこう」などのグルメ、椿油(つばきあぶら)の生産地としても有名。今回は島の魅力を感じる1日モデルコースをご紹介します。
「伊豆大島」ってどんな島?
伊豆大島は1986年には三原山の噴火が起こったことでも有名で、いまだに活火山の存在を強く感じることができるスポットが島中にあり、自然好きには魅力満点の場所です。
飛行機と船で東京都心からアクセスでき、飛行機の場合は「調布飛行場」から約25分、船の場合は竹芝桟橋から出発し、高速船だと約1時間45分、大型船だと約8時間です。
伊豆大島は海から吹く風の影響もあり、都心よりも夏は涼しく、冬は暖かい気候です。島の面積は広く、周囲が40kmほどあるので、島内の移動手段はレンタカーがおすすめです。北部から南部をつなぐバスもありますが、便数が1時間に1〜2本程度と少なく、予定を組む際には注意しましょう。
まずは島の南部に位置する「波浮港(はぶみなと)」へ
東京からの船が着くのは島の北部にある「岡田港」と「元町港」ですが、島の南部にも波浮港という漁港があります。港を高台から見渡せるのが「波浮港見晴台」です。港がぽっかりと湾の形になっていることがよくわかりますが、実は元々ここは火口湖だった場所。地震と津波の影響で外海とつながり、大きな工事を経て漁港となりました。
明治から昭和初期には、遠洋漁業の中継地として多くの人でにぎわっていましたが、現在はお寿司屋さんや商店、カフェなど数軒が営業しています。ゆっくり散策するにはぴったりです。
波浮港
- 住所
- 東京都大島町波浮港
- 営業時間
- 散策自由
- アクセス
- 【車】元町港から約20分
「トウシキ遊泳場」は天然のプール!圧倒的な透明度に吸い込まれる
島の南部の海岸沿いにある「トウシキ遊泳場」。溶岩流によって形成された海岸で、海水が流れ込むスポットがあり、夏には天然のプールとして楽しむことができます。
大島周辺の海水はとても透明度が高く、まるで南国のリゾート地のような美しい海を楽しむことができます。ただ、砂浜があるわけではなく、ゴツゴツとした岩場の真ん中にぽっかりと空いたくぼみのような場所なので、足を切ったり擦りむいたりしないように気をつけてください。
トウシキ遊泳場
- 住所
- 東京都大島町差木地下原
- 営業時間
- 散策自由
- アクセス
- 【車】元町港から約19分
バウムクーヘンと呼ばれる「地層大切断面」は見逃し厳禁
波浮港もトウシキ遊泳場も火山に関連した場所ですが、「地層大切断面」も火山地帯ならではの貴重な景色を見られるスポット。ここでは、さまざまな年代に噴火によって降り積もった堆積物が美しい地層となった様子を間近に見ることができます。
驚きなのは、この地層が島を南北につなぐ大きな道路を作る際に偶然発見されたという点。テレビ番組でも取り上げられるなど、現在では島内の観光地として高い人気を誇っています。
バス停がかわいいバウムクーヘン型になっているので、お見逃しなく。
地層大切断面
- 住所
- 東京都大島町野増
- 営業時間
- 散策自由
- アクセス
- 【車】元町港から約11分
登山で人気な伊豆大島のシンボル的存在「三原山」
ここまででも火山に関連した見どころを紹介してきましたが、その火山というのは島のほぼ中央に位置する「三原山」のことを指しています。現在も活動を続けている活火山で、最近では1986年に大きな噴火を起こしたことで知られています。
三原山は島の至るところからその姿を見ることができますが、登山道もしっかりと整備されていて、中腹まで車でアクセスできます。
駐車場周辺にはレストセンターや、お土産屋があり、ここで食事をすることも可能です。おすすめは三原山に登る前にこちらで伊豆大島のグルメを食べること。島の名物である「明日葉(あしたば)」を使ったメニューが提供されています。
腹ごしらえが済んだら登山道へ。登山とはいえ駐車場周辺から火口までは、しっかりと舗装された道を歩いて40〜50分ほどで到着します。ごくまれに冬季には雪が積もることもあるので、動きやすい服装と歩きやすい靴で登りましょう。
三原山は火口周囲を歩けるようになっていて、富士山のように「お鉢巡り」をすることができます。所要時間は50分ほど。最大の見どころはカルデラとなっている山の中央部を深く覗き込める「三原山中央火口」です。時折、噴煙が上がっている様子も見られ、三原山が活火山であることを実感できます。
また、火口周辺からは、利島(としま)や新島などの伊豆諸島が並んでいる様子を見ることができます。お鉢巡りをしている最中も景色が移り変わり、飽きることなく楽しめるので、気に入った景色があれば足を止めて、離島の高台ならではの絶景を堪能しましょう。
三原山
- 住所
- 東京都大島町野増
- 営業時間
- 散策自由
- アクセス
- 【車】元町港から約19分
「ぶらっとハウス」で島外では出合えないソフトクリームを味わう
伊豆大島で生産されているもののひとつに牛乳があります。「大島牛乳」という名前で島内のスーパーなどで売られていますが、島外には流通していません。その大島牛乳の工場兼牧場が空港の近くにあり、農産物直売所「ぶらっとハウス」を営業しています。
ここでぜひ味わってほしいのが、大島牛乳を使ったソフトクリームです。牛乳本来の風味を味わえる製法で、そのまま飲んでもおいしい牛乳をソフトクリームにしていて絶品です!
ぶらっとハウス
- 住所
- 東京都大島町岡田新開87-1
- 営業時間
- 9:00〜16:00
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【車】元町港から約10分
島のお土産にピッタリな椿油は「高田製油所」でゲット
「椿油」は、伊豆大島では港やお土産屋で売られている特産品です。伊豆大島には約300万本の椿の木があるとされており、シーズンになると島中で椿の実の収穫が始まります。「高田製油所」は、昔ながらの椿油の作り方を現役で続けている数少ない会社のひとつ。ショップを兼ねた作業場には重厚な機械類が並んでいて、島と椿油の歴史の深さが感じられます。
椿油といえば、整髪料としての用途を思い浮かべるかと思いますが、こちらの商品は髪だけでなく直接肌に塗っても大丈夫なもので、ハンドクリームなどのスキンケア用品も販売しています。サイズも小瓶から選べるので、お試しで使ってみてはいかがでしょうか。
また、オリーブオイルと同じように料理に使える椿油もこちらでは取り扱っています。血中脂質を下げるといわれている「オレイン酸」の組成量が多くヘルシーなことに加え、揚げものに使うとスッキリとした味わいになるため、島の飲食店などでもよく使われています。
高田製油所
- 住所
- 東京都大島町元町1-21-1
- 営業時間
- 12:00頃〜15:00頃
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 【車】元町港から約2分
夕食は「べっこう」を堪能しよう
夕食におすすめが、島で獲れた魚を使った料理が自慢の「雑魚や 紀洋丸(ざこや きようまる)」です。観光客はもちろん地元の人にも人気のお店です。
特にお店の名物として人気のあるメニューが「べっこう丼」です。「べっこう」とは、魚の切り身を唐辛子醤油につけた料理で、島内の飲食店ではお寿司や丼メニューとして提供されています。刺身の「ヅケ」とは少し違い、唐辛子の辛味が特徴的。紀洋丸のべっこうは、臭みなく仕上げられている逸品なので、ぜひ一度食してみてください。
雑魚や 紀洋丸
- 住所
- 東京都大島町元町馬の背
- 営業時間
- 11:30〜13:30(L.O)、17:30〜20:00(L.O)
※月・火曜日は昼のみ - 定休日
- 木曜日・日曜日
- アクセス
- 【車】元町港から約3分
はるか雄大な富士山と夕日の絶景で一日の締めを
伊豆大島の魅力を紹介してきましたが、島の北西部からははるか先に富士山を見ることができます。夕日が本州の向こうに落ちていくため、海と富士山と夕日を一緒に楽しむことができる数少ない場所です。
離島といえば沖縄や海外のリゾートが人気ですが、伊豆大島にも美しい海が広がり、自然豊かな見所が島中にあふれています。ぜひ一度足を運んで、その魅力を満喫してみてください。
取材・撮影・文/岡本大樹