西表(いりおもて)島は90パーセント以上が手つかずの亜熱帯原生林。沖縄離島の中でも、観光地として高い人気を誇ります。とはいえ島のほとんどがジャングルというと、具体的にどんな体験ができるのか、所要時間や必要な装備なども気になるところですよね。体験ツアーにもたくさんの種類があり、迷ってしまうことでしょう。そこで、西表島の外さない楽しみ方を5つご紹介。思いっきり体を動かしたい方、のんびり過ごしたい方、滞在時間が短い方、それぞれにおすすめの西表島の過ごし方があります。
目次
「東洋のガラパゴス」とも呼ばれ、日本最大規模のマングローブ原生林が広がる西表島。沖縄県内では、本島の次に大きな島です。離島ならではの絶景ビーチやリゾートホテル滞在から、ジャングルでの数々のアクティビティまで、幅広い楽しみ方ができるとあって、観光地として多くの人から人気を集めています。
西表島での観光は、アクティビティツアーに参加するのがおすすめ。島中に広がっているジャングルは、個人的に奥地に向かうと危険が伴いますし、進入禁止の神聖な場所もあります。提供されているツアーは、数時間のものやいくつかの体験を組み合わせた1日がかりのもの、体を思いっきり動かすものや遊覧船で落ち着いて観光できるものなど、各社様々。興味や時間に合わせて選ぶことができます。
西表島へのアクセス
西表島へは、石垣島から高速船で45分程度。大原港と上原港の2つの港があり、ツアーの内容や天候次第でどちらかの港から目的地まで向かいます。朝は、石垣島離島ターミナル発7:00~8:00頃の高速船に乗るのが目安。帰りは、半日ツアーの場合はお昼過ぎ、1DAYツアーの場合は各港発17:00~18:30頃の石垣港行きの船に乗って帰るのが一般的です。西表島に宿泊する場合は、基本的には宿泊先まで送迎してもらえます。
※あくまでも目安であり、参加ツアーにより集合・解散時間が異なります。
概要が分かったところで、西表島の各アクティビティに参加すると、どんな景色に出会えるのか、どんな体験が待っているのかをご紹介。本格的な自然体験から、アウトドア初心者やのんびりと離島を満喫したい方も楽しめるものまで、外さない5つのアクティビティです!
マングローブとは、川と海の水が混じり合うところの干潟に生息する植物の総称で、その水面を行くのが、SUPとカヌーの体験。干潟に自生するマングローブを川面から間近で観察することができます。
川は波がないので、カヌーやSUPに乗ったことのない人でも比較的簡単に漕ぐことができます。コースにもよりますが、小学生以上であれば参加可能。道具や漕ぎ方、落ちた際の対処法などをガイドさんが丁寧に説明してくれます。
立ち上がって高い目線から景観を楽しみたい方はSUP、立ち上がったり漕ぐ体力に不安があったりするという方はカヌーを選ぶのがおすすめです。
初心者は、はじめのうちは落水してしまうことも。ですが、貸し出しのライフジャケットがあるので安心です。暑い時期には自ら川に飛び込む人もいるほどで、濡れるつもりで行くとより楽しめますよ。
SUPの場合、仰向けに寝転んだり、立ったり、座ったり、自由なスタイルで楽しめるところがメリット。川に向かって伸びるマングローブの枝を潜り抜けるなど、西表島ならではの体験が待っています。
川の両岸に生えているのは、主にヤエヤマヒルギ、メヒルギ、オヒルギ。時折、流れてくるこの種子を拾うのも楽しみのひとつです。干潟に挿してあげると自生してくるかもしれません。
川岸に落ちていたのは「サガリバナ」。主に7月上旬の20時頃に開花し、夜明けと共に散ってしまう「幻の花」です。バニラやカカオのような甘い香りが特徴で、花言葉は「幸運が訪れる」。
通常は、西表島に宿泊して夜中や早朝のツアーに参加することで、夜明けの川面に花が浮かぶ幻想的な風景を見られますが、午前のツアーでも運が良ければ、落ちずに残った花を見られることも。花言葉の通り、見つけたら幸せな気持ちになれますね。
SUP・カヌー取材協力:西表島KEN GUIDE
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見176
- 電話
- 0980-85-5785(受付8:00~22:30)
- 営業時間
- 8:00~23:00
- ツアー料金
- 半日ツアー6,000円〜、1DAYツアー7,500円〜
ジャングルを歩き探検気分を味わいたい方には、トレッキングがおすすめ。コースによっては、道のない渓流を進んで行き、枝の下をくぐり抜けたり、川の中を歩いたりして進んでいきます。
ジャングルを抜けたあとには、秘境の滝めぐり、シャワートレッキング、キャニオリング、鍾乳洞見学など、最終目的はコースにより様々ですが、奥地まで行くからこその体験ばかり。体力や所要時間にあわせて選択可能です。
最初から徒歩でジャングルの奥地へと行くツアーもあれば、SUPやカヌー、船で川の上流まで行ってからトレッキングを開始するツアーもあります。体力的には、上流まで行ってからトレッキングする方が楽なことが多いようです。
ジャングルにはたくさんの植物・生き物が生息しています。運が良ければ、特別天然記念物で絶滅危惧種の「カンムリワシ」や「イリオモテヤマネコ」に出会えることも。ジャングルの奥地までゆっくりと向かうことのできるトレッキングならではの体験です。
時にはジャングルの土壁の穴に小さなハブがいることもあります。ガイドさんが見つけて教えてくれますが、手をつく時は気を付けましょう。
トンボやカメなども、見慣れない見た目のものが多く生息しています。日本最大のチョウである、オオゴマダラチョウは、サナギが黄金色に輝いていることで有名。レアな生き物探しをしながらトレッキングするとより楽しめますよ。
おとぎ話の世界に迷い込んだかのようなジャングルの中は、大自然のエナジーを感じられる場所。満ち溢れるマイナスイオンにも癒されます。
亜熱帯に生息するシダ植物のリュウビンタイが、別の木の上に根付いている不思議な光景に出会いました。トレッキングは半日以上時間をかけるものが多いのですが、こうしたジャングルの説明を聞いたり、休憩したりしながら歩くので、山歩きに慣れていない人でも無理なく参加できます。
トレッキング取材協力:西表島KEN GUIDE
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見176
- 電話
- 0980-85-5785(受付8:00~22:30)
- 営業時間
- 8:00~23:00
- ツアー料金
- 半日ツアー6,000円〜、1DAYツアー7,500円〜
ご高齢の方や、体力に自信がないという方でも、マングローブの川を上っていくことができるのが、仲間川のクルージングです。マングローブの流域面積が日本最大である仲間川を、のんびりクルージングで進んでいきます。特別な装備は必要なく、1時間程度で参加できる手軽さがうれしいところ。
クルーズには、2つのコースがあり、「サキシマスオウノキ見学コース」では、巨大な昆布のような根を持つ奇妙な大木を見学。満潮で十分な水深がある場合のみ運航され、下船し上陸して日本最大のサキシマスオウノキを間近で観賞することができます。
干潮時にはサキシマスオウノキのポイントまで近づくことができませんが、代わりに航行される「マヤプシキコース」は、下船しないのでまったく歩かずにマングローブの川に生息する植物や生き物を観察することが可能です。
チケット購入・出航は大原港の「ショップじゅごん」から。潮の干満によって運航時刻やその時行けるコースが異なりますので、事前に調べてから行くのがおすすめです。予約なしでも乗船できますので、観光時間に合わせて柔軟に選ぶこともできますよ。
クルージング取材協力:仲間川マングローブクルーズ
- チケット販売所住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字南風見201
- 予約電話番号
- 0980-82-9836
※事前予約なしでも乗船可能
- 定休日
- 年中無休
- 運航時間
- 始発8:45~最終15:30発(潮の干満により異なる)
- 料金
- 大人1,800円、小学生900円
- 乗り場アクセス
- 大原港のショップ「じゅごん」前
川沿いのマングローブもさることながら、西表島の海も見逃せません。日本最大級のサンゴ礁が生息する海域と言われる西表島の美しい海を堪能したい方には、「バラス島」周辺でのシュノーケリングがおすすめです。
バラス島は、西表島の上原港からパワーボートで約10分の距離にあります。以前は満潮時でも3メートルほど海の上に島として出ている部分がありましたが、最近は全て沈んでしまうこともあるので「幻の島」、「奇跡の島」と呼ばれています。
ガイドさんがポイントに案内してくれると、そこはまるでサンゴのお花畑のよう。鮮やかな海底に目を奪われます。世界に生息するサンゴの半数以上にあたる、約360種がこの海域で見られてしまうわけですから、いかに海がきれいで豊かなのかが分かりますね。
サンゴだけでなく、海ガメやイソギンチャクの中にいるカクレクマノミ、ナポレオンフィッシュ、ハリセンボンなど、たくさんの魚影も見られます。
シュノーケルセットとフィン、ライフジャケットは無料レンタルしているツアーが多いようです。寒い季節は有料でウエットスーツのレンタルを用意しているところもありますので、事前に問い合わせておきましょう。
シュノーケリング取材協力:西表島KEN GUIDE
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見176
- 電話
- 0980-85-5785(受付8:00~22:30)
- 営業時間
- 8:00~23:00
- ツアー料金
- 半日ツアー6,000円〜、1DAYツアー7,500円〜
「離島ならではののんびりとした時間を過ごしたい」という方におすすめなのが、西表島からだけ渡ることのできる由布島(ゆぶじま)観光です。
渡る方法は、水牛車。水深1メートル程度の海を、水牛の心地よい揺れに身を預けながらのんびりと渡ります。ガイドさんの話や歌を聴きながらゆっくりと渡れば、沖縄離島らしい風情を堪能できます。
島全体が亜熱帯植物園になっており、色とりどりの南国らしい植物を1年を通して観賞することが可能。レストランやお土産物屋さんも併設されています。
由布島は、周囲約2.1キロメートル、海抜約1.5メートルの小さな島。マングローブの島ではありませんが、歩いても約1時間で周りきれてしまうので、半日のアクティビティや仲間川クルージングと合わせて訪れるのがおすすめです。
亜熱帯植物楽園 由布島
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見689
- 電話
- 0980-85-5470
- 営業時間
- 植物園:9:00~17:00
レストラン:11:30~17:00(※ラストオーダー 16:00)
- アクセス
- 大原港から路線バスで約22分
- 水牛車(往復)、入園料
- 2019年9月30日まで:大人1,720円、小学生860円
2019年10月1日以降:大人1,760円、小学生880円
せっかく西表島まで来たのなら、グルメも楽しみたいですよね。1DAYアクティビティツアーに参加の場合、お弁当やランチが付いているものもありますが、自分で探す場合には地元で愛されるお店をぜひチェックしてみてください。
中でもおすすめは、食堂と製糖工場を兼ねている「猪狩家(かまいとぅやー) 本店」。猪や八重山の黒毛和牛などを使った地元の料理が食べられます。由布島行の水牛車乗り場からすぐのところにあるので、立ち寄りにも便利な立地。
「猪狩家定食」(1,500円)は、店主が穫ってきた猪肉を使った看板メニュー。西表島のウラジロガシやイタジィなど、木の実をたっぷり食べた猪の肉のソテーは、クセが少なく甘みを含んだ絶品です。西表そばもセットで提供されるので、アクティビティでたくさん動いた日のスタミナ補給にはもってこいの定食メニュー。
赤いご飯は、島の言葉で「アカマヤーマイ」と呼ばれる、黒紫米(こくしまい)を使用。ミネラルたっぷりの古代米で、もちもちとした食感が特徴的です。西表島の味をたっぷり満喫できます。
他にも、「八重山牛丼」(850円)は、八重山の黒毛和牛を自家製の純黒糖を使った秘伝のタレで炒めた一品。島豆腐とヒトエグサの入ったアーサ汁付き(+150円)も人気です。
店頭では、手作りの純黒糖や黒糖せっけんなども販売しており、西表島のお土産にしても喜ばれますよ。
猪狩家 本店
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見与那良原784-10
- 電話
- 0980-85-5523
- 定休日
- 水曜日
- 営業時間
- 11:00~14:00 (LO13:40)
- アクセス
- 大原港から路線バスで約22分。「由布水牛車乗場」バス停、もしくは路線バスフリー乗降制「由布島入り口付近の猪狩家前」で降車しすぐ
様々な西表島での過ごし方をご紹介してきましたが、SUPやトレッキングなどジャングルの奥地まで向かう場合には必要な装備も気になるところ。事前に準備して、思いっきり楽しみましょう!
服装は長そで・長ズボンがベスト!
SUPやカヌー、ジャングルトレッキングに参加する場合の服装は、Tシャツ、短パンでも問題ありませんが、日焼けや虫刺されの危険もありますので、濡れても良い薄手の長そで・長ズボンがベストです。靴はウォーターシューズが便利ですが、貸し出してくれるツアー会社も多いようです。
港や川には更衣室がありませんので、あらかじめ水着の上に服を着て行くのがおすすめ。水着を現地で購入したりレンタルしたりすることはできませんので、用意しておきましょう。冬場は寒さ対策のために上着を持参すると安心です。
防水グッズを用意しておくと便利。持ち物やお役立ちグッズ
基本的な持ち物は、タオル、着替え、日焼け止め、化粧品などです。他にも帽子や虫よけ、スマホ用防水ケースまたは防水カメラ、小型のリュック、髪の長い方はヘアゴムも用意しておくと便利です。マングローブの川で落し物をすると見つからないこともありますので、防水ケースは首からかけられるものだと安心。貴重品や濡れては困るものは防水ケースに入れるか、預かってもらいましょう。
SUPやトレッキングなどに使う、パドル、ライフジャケット、ヘルメット、ライト、シュノーケルセットなどの装備は無料や一部有料で貸し出してくれるツアーも多いので、事前に確認を。その他に、手袋や雨具など備品の貸し出しを行っているツアーもあります。
日帰りの場合、濡れた服や水着で高速船に乗ることはできませんので、くれぐれも着替えをお忘れなく。
西表島には、体を思いっきり動かして大自然を満喫できるものから、のんびりと島らしさを堪能できるものまで、たくさんの体験が待っています。1日滞在すれば、最大3つほどアクティビティを楽しめるツアーもあるので、興味に合わせて探してみてくださいね。沖縄離島めぐりの際には西表島ならではの体験をしてみてはいかがでしょうか?
撮影・取材・文/北川りさ
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※表示価格は全て税込です。