1951年に開園した、北海道で最も古い歴史を誇る「札幌市円山(まるやま)動物園」。周辺に住宅街がありながらも、天然記念物「円山原始林」に隣接している自然豊かな動物園です。札幌市民や北海道民だけでなく、全国からも多くの観光客が訪れています。
約22.5ヘクタールの広大な敷地の中には、約150種800点ほどの動物たちを飼育しており、それぞれの特性を生かしながら、のびのびと過ごせる「動物福祉」に配慮した飼育展示が行われています。新施設も続々とオープンし、ホッキョクグマ保護の国際基準に則って建設された「ホッキョクグマ館」や、全国初の屋内プールを備えた国内最大級の「ゾウ舎」が大人気。雪が降り積もる冬季には、ユキヒョウ、オオカミなど北方に生息する動物たちが活動的に暮らす様子も観察することができます。
四季を通じてさまざまに楽しめる札幌市円山動物園の見どころと、周辺のスポットをご紹介します。
目次
札幌市円山動物園へのアクセス
札幌市円山動物園は、JR札幌駅から車で約15分とアクセスしやすい立地。公共交通機関を利用する場合は、地下鉄さっぽろ駅から円山公園駅で下車し、徒歩約15分。または、円山公園駅から直通バスで約7分です。新千歳空港からは車で約1時間の距離にあります。
広大な敷地の中でたくさんの動物を観察できる
東京ドーム約5個分の広大な敷地には、「カンガルー館」「サル山」「ゾウ舎」「こども動物園」「アジアゾーン」「アフリカゾーン」「チンパンジー館」「ホッキョクグマ館」などの動物舎のほか、レストハウスやお土産ショップもあります。
国内最大級の施設で迫力満点の「ゾウ舎」
2019年3月にオープンした「ゾウ舎」は、全国初の屋内プールを備えた展示施設。
ここではアジアゾウの親子の姿を間近で観察したり、生態を学んだりすることができます。子どもはもちろん、大人もワクワクする仕かけが満載。
屋内プールの大きな窓越しに見える、水遊びをするゾウの姿は必見です。ゾウの気分にもよりますが、夏場は水浴び中の姿を見ることができるかもしれません。
頭上を泳ぐホッキョクグマやアザラシの姿に感動
2018年3月にオープンした「ホッキョクグマ館」では、北方で暮らすホッキョクグマとアザラシの生態を観察できます。
目玉は全長18mにもおよぶ水中トンネル。
トンネルはホッキョクグマ用とアザラシ用と2つに分かれており、それぞれがダイナミックに泳ぐシーンを間近で見られます。
野生では単独で行動しているホッキョクグマが、より快適に過ごせるよう工夫されています。
冬の時期は寝床から外に出て活動することも多く、雪の上で寝転ぶ姿や広大な敷地を自由に遊びまわる姿を見ることができます。
近くの「総合水鳥舎」には、かわいいフンボルトペンギンたちの姿も。
アフリカゾーン「キリン館」「カバ・ライオン館」
円山動物園西門近くのアフリカゾーンは、「キリン館」と「カバ・ライオン館」の2棟の建物で構成されるエリア。「キリン館」ではキリンをはじめ、ダチョウやサーバルキャット、ミーアキャット、ハダカデバネズミが飼育されています。
「カバ・ライオン館」にいるのは、カバやペリカン、ブチハイエナ、シマウマなどアフリカ大陸で生息する動物たち。屋内や2棟の建物の間にある小道「サバンナ・ストリート」で眺めることができます。
正門のそばにある「カンガルー館」では、カンガルーやインコ、エゾタヌキ、スローロリスが展示されています。
空中を自在に動き回るチンパンジーや猿たちをじっくり観察
高いジャングルジムと人工のアリ塚を設置した「チンパンジー館」では、自然に近い状態で類人猿の知能の高さや集団生活の様子を観察できます。
隣接する「モンキーハウス」には、マンドリルやワオキツネザルなど世界各国の猿が展示されているので、それぞれの生態の違いを比べてみるのもおもしろいですね。
動物園のほぼ中央にあるサル山。ここに展示されているのはニホンザルです。
2015年に改修を行い、植物や川など環境を整えた円形の展示施設では、自然に近い景観でニホンザルの様子を眺められます。
サル山に隣接する「展望レストハウス」。高いところに登るサルの姿をじっくり見たい人は、ここからガラス越しに観察しましょう。施設内にはキッズスペースもあるので、猿を見ながら子どもたちと遊ぶこともできます。
表情豊かな動物がいっぱいのアジアゾーン
アジアゾーンは「寒帯館」「高山館」「熱帯雨林館」に分かれており、それぞれの建物には、アジアに生息するさまざまな動物が飼育されています。
「寒帯館」で見ることができるのは、アムールトラやユキヒョウ。
「高山館」にいるのは、人気者のレッサーパンダとヒマラヤグマ。のんびり過ごす姿についつい気持ちもほっこり。
「熱帯雨林館」に暮らすのは、マレーグマやクロザル、テナガザル、コツメカワウソなど。
屋内は熱帯雨林の様子をイメージした造りとなっていて、ジャングルを冒険しているような気分を味わえます。
アジアゾーンの奥へ進むと、「は虫類・両生類館」が見えてきます。
ここにいるのは、カメやワニ、カエルやトカゲの仲間たち。
北海道ならではの動物たちもいっぱい
「エゾヒグマ館」「エゾシカ・オオカミ舎」「こども動物園」「猛禽(もうきん)舎」など、園内のあちこちに北海道だけにしか生息しない動物たちもたくさん。
エゾヒグマやエゾシカ、エゾモモンガ、シマフクロウにエゾユキウサギ、エゾリスなどが展示されているので、ぜひ探してみましょう。
動物園をもっと楽しめる人気のイベント
毎日開催の「円山ZOOガイド」
「円山ZOOガイド」では、飼育員さんによる動物の生態などのくわしい解説を聞くことができます。
動物の生態や生息環境の状況など、毎日さまざまな動物たちをガイドしています。
円山ZOOガイド
- 場所
- 各獣舎
- 時間
- 内容によって異なる
※毎朝10:00過ぎに当日・翌日のメニューを公式サイトにて更新
実りの秋の特別給餌
毎年、秋のシルバーウィークの時期には、動物たちの「食」をテーマにした生態をじっくり観察するイベントが実施されています。円山動物園で毎日用意する餌は約100種類以上。動物たちがどんなものを食べているのか、飼育担当者がわかりやすく教えてくれます。
子どもたちに大好評のスノーフェスティバル
さっぽろ雪まつりの時期には、「円山動物園スノーフェスティバル」を開催。「氷のすべり台」や「雪の迷路」など、雪や氷でつくられた遊具のほか、動物の雪像、足あと広場、「毛皮を比べようコーナー」など、動物にまつわる企画も盛りだくさんです。
そのほか、春の「飼育の日」や夏の企画展など、四季を通じてさまざまなイベントが開かれています。
動物モチーフのグッズやグルメも!
オフィシャルショップ
動物園正門から入ってすぐ左手の「動物科学館」の中には、オフィシャルショップがあります。
オフィシャルショップには、動物をモチーフにしたぬいぐるみなどが勢ぞろい。
「パンケーキ」(各種680円〜)や「ロコモコボウル」(950円)など、飲食メニューも提供されています。
ほかにも動物科学館の中には、動物の剥製や骨格標本の展示などがあります。
ミュージアム・ショップ・円山
正門から入って右手のところにはあるのは、2022年7月に新しくオープンした「ミュージアム・ショップ・円山」。
店内は木を基調にした温もりのあるデザインで、オリジナルのぬいぐるみなど、ここでしか購入できないグッズがずらり。
人気はエゾリス、エゾシカ、エゾユキウサギなどがモチーフの「北海道コレクション」(各種1,500円)。ほかにもおもちゃやお菓子など、さまざまなアイテムがそろっているので、お土産を選ぶのにぴったりのスポットです。
札幌市円山動物園
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮ケ丘3-1
- 営業時間
- 3月1日〜10月31日/9:30〜16:30、11月1日〜2月末/9:30〜16:00(最終入園は閉園30分前)
- 定休日
- 毎月第2、4水曜日(8月のみ第1、4水曜日)、12月29日〜31日
※ほか、4月と11月に不定休あり - 入場料
- 大人800円、高校生400円、中学生以下無料
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅より徒歩約15分
- 公式サイト
- ホーム/札幌市円山動物園
円山動物園周辺のおすすめスポットもご紹介
札幌市民の憩いの場「円山公園」「北海道神宮」
札幌市円山動物園から北東に約15分歩くと「円山公園」が見えてきます。車では約5分の距離です。
ここは、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季それぞれの美しさを求めて多くの人が訪れるスポット。
敷地内には天然記念物に指定されている円山原始林があり、トレッキングコースとしても人気です。
円山公園
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮ヶ丘3
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅より徒歩約5分
- 公式サイト
- 円山公園 | -さっぽろ 桜の名所-
円山公園には「北海道神宮」が隣接しています。1869年に建立され、北海道開拓・発展の守護神として知られる「大国魂神(おおくにたまのかみ)」「大那牟遅神(おおなむちのかみ)」「少彦名神(すくなひこなのかみ)」の三柱の神々(開拓三神)が祀られています。
北海道神宮
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮ヶ丘474
- 営業時間
- 2月1日~2月末日・11月~12月31日/7:00〜16:00、
3月1日~3月31日/7:00~17:00、4月1~10月31日/6:00〜17:00
※正月期間は特別時間帯で営業。詳細は公式サイトよりご確認ください。 - 定休日
- なし
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅より徒歩約15分
- 公式サイト
- 北海道神宮
スキージャンプの魅力を知る!「大倉山ジャンプ競技場」
円山動物園からバスで約10分、地下鉄円山公園駅からはバスで15分ほどの場所にあるのが、「大倉山ジャンプ競技場」。1972年の冬季オリンピック札幌大会の舞台として使用され、現在も数多くの国際的なジャンプ競技大会が開催されています。
大倉山ジャンプ競技場
- 住所
- 札幌市中央区宮の森1274
- 営業時間
- 各施設により異なる
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅よりバス「くらまる号」乗車、「大倉山ジャンプ競技場」下車
- 公式サイト
- 大倉山ジャンプ競技場
競技シミュレーターもある「札幌オリンピックミュージアム」
大倉山ジャンプ競技場にはさまざまな施設があり、「札幌オリンピックミュージアム」ではオリンピック・パラリンピックの歴史と感動を身近に体感できます。
ミュージアムには、冬季オリンピックの歴史や精神を伝える数々の展示のほか、スキージャンプやクロスカントリーなどの競技を体験できる6種のシミュレーターが設置されています。
エントランス付近にある「ミュージアムショップ」では、オリンピックやウインタースポーツに関連したさまざまなグッズを購入できます。
札幌オリンピックミュージアム
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮の森1274
- 営業時間
- 4月29日~10月31日/9:00〜18:00、11月1日~4月28日/9:30〜17:00
※入館は営業終了の30分前まで - 定休日
- なし
- 入場料
- 大人600円、65歳以上450円、中学生以下無料
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅よりバス「くらまる号」乗車、「大倉山ジャンプ競技場」下車
- 公式サイト
- 札幌オリンピックミュージアム
日本の食文化とフランス料理の競演「ヌーベルプース大倉山」
「札幌オリンピックミュージアム」隣接の「札幌オリンピックミュージアム・アネックス」の2階には、レストラン「ヌーベルプース大倉山」があります。
「ここだけの美味しさ、ここだけのエンターテイメント。」をテーマにした北海道フレンチを、圧巻のジャンプ台を望む絶景とともに味わってみてはいかがでしょうか。
ヌーベルプース大倉山
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮の森1274 札幌オリンピックミュージアム アネックス2階
- 営業時間
- ランチ/11:30〜15:00(L.O. 14:00)、ディナー/17:30〜21:30(L.O 20:00)
- 定休日
- 水曜日
- アクセス
- 地下鉄円山公園駅よりバス「くらまる号」乗車、「大倉山ジャンプ競技場」下車
- 公式サイト
- Nouvelle Pousse Okurayama
スキージャンプを擬似体験できる「大倉山展望台」
「札幌オリンピックミュージアム アネックス」からさらに奥へ進み、スキージャンプの競技選手も利用する2人乗りリフトに約5分乗ると、山頂の「大倉山展望台」に到着。
リフトを降りてすぐ目の前に広がるのは、標高307mに広がる大パノラマ。ジャンプスタート地点のスリルある急な傾斜を体感できます。
夜には札幌市内の美しい夜景を楽しむことができるので、時間を問わずに多くの観光客が足を運びます。
展望ラウンジの片隅には、2023年4月に誕生したキツネとクマのキャラクターが。
大倉山展望台
- 住所
- 北海道札幌市中央区宮の森1274
- 営業時間
- 大倉山展望台 リフト
夏季営業(4月29日~10月31日)/8:30~18:00
夜間延長営業(7月1日~9月30日)/18:00~21:00
冬期営業(11月1日~4月28日)/9:00~17:00 - 定休日
- なし
- 料金
- 往復リフト料金
大人1,000円、65歳以上900円、小学生以下500円 - アクセス
- 地下鉄円山公園駅よりバス「くらまる号」乗車、「大倉山ジャンプ競技場」下車
- 公式サイト
- 大倉山展望台・リフト
メルヘンいっぱいのお菓子のテーマパーク「白い恋人パーク」
円山動物園から北西の方角へ車で約16分。札幌市西区にあるのが「白い恋人パーク」です。
ここは「白い恋人」で有名なISHIYAが運営するテーマパーク。チョコレートの歴史を学べるほか、白い恋人の工場見学やお菓子作り体験などが楽しめます。
チョコレートについて「見て」「知って」「味わって」学ぶことができる、「チケットセンター」内の「スタディベース・カカオポッド」(有料エリア)。
おかし作りを体験できる「チョコトピアマーケット」(有料エリア)内の「スイーツワークショップ・ドリームキッチン」。
4階「チョコトピアマーケット」にある「チョコレートラウンジ・オックスフォード」では、「白い恋人」「白いロールケーキ」など、石屋製菓のさまざまなスイーツが一度に味わえる「ISHIYA満喫セット」(2,600円)が人気。
無料エリアの「チュダーハウス」には各種ショップが軒を連ねています。
「白い恋人」(12枚入り 950円)はもちろん、白い恋人のチョコレートを使ったパーク限定のパン「スノードーム ホワイト」(350円)や、オリジナルキャラクターの「プルミとラムルのキーホルダー」(1,320円)など、白い恋人パークならではの商品がそろっています。
手持ちの写真やスタッフにその場で撮ってもらった写真を入れて作る「白い恋人オリジナル缶」も注文できるので、旅の記念にひとつ作ってみては(所要時間は約30分。作り方や手順など詳細は公式サイトよりご確認ください)。
さらに、パーク内には円山動物園とコラボした「自然と動物にやさしいノート」(300円)のカプセルトイも。ノートには動物についての紹介文や動物園、白い恋人パークの取り組みなどが紹介され、売り上げの一部は動物園に寄付されます。
白い恋人パーク
- 住所
- 北海道札幌市西区宮の沢2-2-11-36
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 年中無休
- アクセス
- JR札幌駅から車で約20分、または地下鉄宮の沢駅から徒歩約6分
- 公式サイト
- 白い恋人パーク
札幌市円山動物園は、野生動物のいきいきとした姿や表情を楽しく観察できるほか、生態や生物多様性の保全などについて考えられるスポット。四季を通じて楽しめる展示やイベントがさまざま用意されているので、シーズンごとに足を運ぶのもおすすめです。近隣にも楽しいスポットがたくさんあるので、札幌旅行の際には、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・文/柏崎 直人 撮影/加藤ミチロウ
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