
サトウキビ畑の緑とサンゴ礁のターコイズブルーの優しい色合いに包まれた「小浜島(こはまじま)」は、昔ながらの素朴さが今も健在な癒しの離島です。八重山諸島の中央にちょこんと浮かび、人口は700人を少し上回るくらい。冬でもシュノーケリングやゴルフを楽しめるのでアクティブ派はもちろん、海を目の前にしたホテルはおこもり派に人気と、思い思いの過ごし方ができます。
目次
1.小浜島の場所&アクセス

小浜島は沖縄県の離島ですが、那覇のある沖縄本島とは400km以上も離れています。空港がある石垣島、2021年に世界遺産に登録された西表島の中間に小浜島は位置しており、同じ八重山諸島には日本最南端の波照間島や最西端の与那国島といった個性豊かな島々が含まれているのです。

小浜島までは、石垣島から出ているフェリーで向かいます。東京・大阪・名古屋・福岡から石垣空港行きの直行便が出ているほか、那覇経由という方法も。フェリーが出航する石垣港離島ターミナルは、石垣空港からだとタクシーで約30分(路線バスで約40分)の距離です。ターミナル内には、酔い止めやおみやげが購入できるショップやレストランも併設。フェリーは1日8便ほど出ていて、約25分で小浜島に到着します。



小浜島での宿泊を予約をしている場合は、フェリーが到着する時間にあわせて宿の送迎車※が来てくれるので、迷うことなく手軽に宿泊先にチェックインできます。 また、小浜港ターミナルを出てすぐの場所には、レンタサイクルやレンタカーの貸出店があるので、そちらを利用する方法もあります。
※送迎者の有無やタイミングは予約の際に、直接宿へご確認ください。
2.年間の気候は?冬は泳げるほど温暖
![石垣島(小浜島)平均気温[参照元:気象庁観測データ]](/mytrip/sites/mytrip/files/2022-02/spot-kohamajima_06.jpg)
熱帯のイメージが強い小浜島ですが、春夏秋冬で季節が分けられています。海開きの3月と同時に春が2カ月間続きます。夏は5~9月と一番季節が長く、日差しが強くなります。秋(10~11月)になっても暖かな気候が続きます。但し、この時期は台風の到来も。12月から冬が始まり、風の勢いも増す季節になりますが、それでも平均気温は18~20℃前後と南国らしい気候です。
旅行代金では、夏休み期間が一番のピーク。逆に冬になると賑わいも落ち着き、航空券や宿泊費も安くなります。
3.小浜島でやりたいことリスト
①島内観光
移動アイテムをレンタルして、早速出発!
小浜島に訪れたなら、島特有のゆるやかな空気を満喫できる島内散策がおすすめ。フェリーが到着する小浜港目の前で自転車やバイク、自動車もレンタル できます。

全長16kmほどの小浜島は、自動車なら2時間、自転車でゆっくり名所を巡っても3時間で一周でき、道も整備されています。自動車の往来も少なく、雄大な景色の中を進むドライブ・サイクリングは開放的。島全体が丘陵地でアップダウンがあるので、自転車の場合は電動アシスト付きを借りるのがおすすめです。
また、島内をバスで巡る観光ツアーも1日数便、運行しています。
- 小浜港前から出発
- 石垣港から出発(小浜島 日帰り観光)
トゥマールビーチ
小浜港を出発したら、まずは近くの「トゥマールビーチ」で八重山ブルーと称される蒼海を観賞しましょう。静かな浜辺が広がるビーチは、名前の由来通り、まさに「海」を一望できる場所。さっきまで滞在していた石垣島を見据え、島時間がゆっくりと始まろうとしています。


シュガーロード
海からの爽やかな風でリフレッシュしたら、島の集落に続く道「シュガーロード」へ。NHKの連続テレビ小説にも登場した、小浜島を代表する有名スポットです。サトウキビ畑や草原といった牧歌的な風景の中を1kmにもおよぶ道がまっすぐ一直線に伸びている様子は、さながら空へと続く滑走路のように見えます。


大岳に向かう前に、近くのカフェでひと休みするのもおすすめ。「ヤシの木」では、黒糖を使ったスイーツも味わえるほか、小浜島をモチーフにした絵葉書やグッズも手に入れることができます。
大岳(うふだき)
地元島民の大多数が暮らす小浜集落を走り抜け、次に向かうのは島の中央にそびえる最高峰「大岳(うふだき)」。最高峰といっても標高は99mで、約250段の階段を登って頂上を目指します。山頂からはターコイズブルーのまばゆい海が360度に見渡せ、今までの疲れを忘れてしまう壮麗な美しさ。小浜島を囲う黒島や新城島(パナリ島)といった八重山の島々も望め、小浜島が「八重山のてんぶす(へそ)」と言われる由縁に納得です。


西大岳(にしうふだき)
時間と体力があれば、大岳のすぐ隣にある2番目に高い「西大岳(にしうふだき)」にも立ち寄ってみて。山頂への階段は大岳より半分の約100段ですみ、整備された展望台は大岳より広め。ピクニックテーブルも数か所ありますので、のんびりできる絶好の穴場スポットになっています。


海人公園
島の全容が掴めたところで、細崎(くばざき)と呼ばれる島の西側にある「海人(うみんちゅ)公園」を目指します。手前の細崎海岸からも存在感を発揮している、巨大なマンタの展望台が目印。展望台からはここから2kmしか離れていない西表島がくっきりと見ることができます。



海人公園のある、島の端っこ細崎(くばざき)まで来れば小浜島の散策はほぼ終了!この頃には小浜島の道も分かり、まるで昔から住んでいたような親しみを覚えるはず。
②幻の島へ上陸

潮の満ち引きに応じて形を変えたり、突然出現したりと変幻自在な姿から通称「幻の島」と呼ばれている浜島(はまじま)は、小浜島から船で10分ほどで辿り着く無人島です。 遠浅な幻の島は、足もつくことからシュノーケリングの練習場所としても愛用されています。上陸ツアーは冬を含む通年開催で、さらに午前と午後で選べることから気軽に参加できると評判です。

一面が白い砂浜になっていて、上陸すると蒼い大海原が自分を中心に広がる壮大な光景は、息を呑むほど。写真撮影や海水浴といった無人島の醍醐味を味わえます。
まだまだあります!「幻の島」行きを扱うアクティビティ事業者
■ 石垣島シュノーケリング(シュノーケル)皇「しめらぎ」公式サイト
■石垣島・幻の島・小浜島でのシュノーケリング「シーテクニコ」公式サイト(小浜島出発 プラン一覧)
■ 小浜島遊び専門店 mine公式サイト
③多彩なマリンアクティビティ


国内最大の広さを誇るサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」内に位置する小浜島では、マンタ以外にもカクレクマノミといった熱帯魚やウミガメなど多種多様な海のいきものが生息しており、冬※でもシュノーケリングやダイビングで会いに行けるのが魅力。
※冬の催行は、アクティビティ事業者によって異なります。


潜るポイントも、カラフルな熱帯魚が集まるお魚畑や、潮の満ち引きによって姿が変わる幻の島、抜群の透明度で有名なパナリ島などがあり、1か所から数か所巡るツアーが催行されています。


そのほか、シーカヤックやSUP(スタンドアップパドル)も、通年で開催の人気アクティビティ。日中に開催のほか、夕日観賞をセットにしたコースがあります。
さらに風が強い環境を活かしたウィンドサーフィンや、最近注目の海上を飛ぶジェットブレード、熱帯魚が釣れるフィッシングといった幅広いアクティビティも勢揃いし、どれに参加しようか迷ってしまう充実ぶり。
また、ボートを1隻チャーターして、ベテランガイドに人気ポイントを案内してもらうのも旅の素敵な思い出になるはず。自然豊かな無人島に上陸してみたり、夕暮れのあかね色に染まる空を船上から眺めたりと、贅沢なひとときを過ごせます。アクティビティは、ツアーの運営会社で予約するほか、宿泊先のホテルで予約できる場合もあります。
小浜島の多彩なツアーをチェック!
■ 石垣島シュノーケリング(シュノーケル)皇「しめらぎ」公式サイト
■石垣島・幻の島・小浜島でのシュノーケリング「シーテクニコ」公式サイト(小浜島出発 プラン一覧)
■ 小浜島遊び専門店 mine公式サイト
④南国ならではの植物・マングローブを観察

マングローブが見られるスポットというと、西表島(いりおもてじま)のイメージが強いですが、小浜島にもマングローブ林が存在。塩水と淡水が混じりあう汽水域でシーカヤックを楽しみながらマングローブ林を目指したり、マングローブ林の干潟や潮だまりでカニや貝、稚魚などの生き物と触れ合いを楽しんだりできるツアーがあり、亜熱帯ならではの自然探検が叶います。
⑤最南端・最西端のゴルフ場でプレー



小浜島には18ホールを備えたゴルフ場「小浜島カントリークラブ」があります。日本最西端と日本最南端のコースをそれぞれ有し、日本一温暖なゴルフコースと称するだけあって一年中プレーが可能。海に面したコースは眺望も好評で、時間によっては島に生息する孔雀とも遭遇するという南国感漂うゴルフ場です。
ゴルフクラブとシューズはレンタルできるほか、9ホールのみプレーするハーフラウンドも実施。午前にゴルフ、午後はシュノーケリングといった海とリゾートそれぞれの楽しみ方も小浜島なら同日で実現できます。
⑥島グルメを満喫
ラフテーをはじめとするジューシーな肉料理、ゴーヤの苦味が効いたチャンプルー、料理の決め手に欠かせない黒糖と、小浜島に訪れたなら沖縄料理は外せません。飲食店があるのは、フェリーが発着する小浜港、島中央部の小浜集落、そして西側の細崎の全3か所で、どの飲食店も個性的です。
ヤシの木

美術家と絵本作家のご夫婦が営む「ヤシの木」は、島内観光の最中にふらっと立ち寄りたくなるカフェ。オリジナルの手ぬぐいやTシャツも販売されていて、あどけない表情のヤギや、のんびりした小浜島の過ごし方を描いたイラストはおみやげにぴったりです。

人気メニューの「黒糖サンデー」は、沖縄で有名なブルーシールアイスクリームに自家製黒糖シロップをトッピングしたもの。黒糖シロップはメニューによって使い分けるこだわりで、かき氷にはサラッと溶け込むよう水分が多めのもの、一方のサンデーにはバニラアイスと絡み合うようとろみがあるものを使用。牛乳の甘味を黒糖が引き立て、上品な甘さが感じられるスイーツです。
ヤシの木
- 住所
- 沖縄県八重島郡竹富町小浜島2584
- 電話
- 0980-85-3253
- 営業時間
- 11:00~16:00(季節により変動あり)
- 定休日
- 水曜・木曜
- 公式・関連HP
- [ぐるなび]ヤシの木
BOB’s CAFE

八重山ブルーの海を眺めて食事をしたいなら、小浜港のすぐ側にある「BOB’s CAFE」がおすすめ。建物2階の店内からは港と海が一望でき、アメリカンテイストの家具が並ぶ店内はオシャレな雰囲気に包まれています。



初代が開発した「小浜バーガー」は、代々のオーナーに受け継がれてきた自慢の看板メニュー。小浜島産の黒糖でつくるテリヤキソースは甘さにコクがあり、ここでしか味わえないもの。ハンバーガーにはソースがたっぷりしみ込んだパティに加え、ベーコン、目玉焼き、オニオン、チーズ、レタス、トマトと具沢山。島唐辛子を使った刺激的なスパイシー小浜バーガーに加え、八重山そば、タコライスなどもいただけます。
BOB’s CAFE
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町字小浜3400-38
- 電話
- 0980-85-3970
- 営業時間
- 11:00~小浜島発最終便出港まで(売り切れ次第終了)
- 定休日
- 月曜
- 公式・関連HP
- [ぐるなび]BOB’s CAFE
島ダイニング ゆうな

ほかの離島に比べ、居酒屋の割合が多い小浜島。賑やかな夜を過ごしたいなら「島ダイニング ゆうな」へ。集落の古民家を改装した店内は、まるで友人のお宅に遊びに来たようなアットホーム感。沖縄民謡と三線のBGMが耳に心地よく、沖縄の離島にいることをさらに実感できます。

石垣島の泡盛を数種類取り揃え、オリオンビールや沖縄の地ビール、さらにハブエキスが入った琉球ハブボールなど、好奇心がそそられるものばかり。食事も、1番人気の「軟骨ソーキのマース煮」(930円)は、マース(塩)の優しい風味とほろっととろけるお肉の柔らかさが絶妙な一品。食事の締めにぴったりな「八重山焼きそば(塩)」(830円)は、細めのもちっとした麺に、オーナー自ら作るピパーチ(島胡椒)の存在が光ります。

小浜島では、多くの居酒屋が宿泊施設までの送迎を無料で実施しています。これも送迎が近距離ですむ小浜島ならではのうれしいおもてなし。帰路のことを心配せず、全員がお酒を楽しめるのです。
島ダイニング ゆうな
- 住所
- 沖縄県八重山郡竹富町小浜43
- 電話
- 0980-85-3700
- 営業時間
- 17:00~23:00
- 定休日
- 火曜
- 公式・関連HP
- 島ダイニング ゆうな
⑦ホテルでのんびりステイ

小浜島にはリゾート感を堪能できるラグジュアリーホテルから、島暮らしを体感できる宿泊施設までと複数の施設が揃っています。「星野リゾート リゾナーレ小浜島」は、全60室のオールスイート仕様で、プライベート感を味わえるビーチや、海を眺めながら読書にふける空間があるなど、多彩なアクティビティと施設が魅力です。
八重山地方の言葉で南十字星を意味する「はいむるぶし」は、客室148室を有する小浜島で最大規模のリゾートホテル。展望大浴場では、清涼な潮風を感じるだけでなく、西表島に沈む夕陽の様子も見られる特等席として人気。
「ゲストハウス パナパナ」は、島の西側にある唯一の宿泊施設。全室がオーシャンビューで、ビーチが目の前すぐという立地が評判です。夜になれば満点の星空と天の川を見ることができ、島特有の居心地の良さを満喫できます。
コテージをまるまる1棟貸し切れる「BRIDGE 小浜島」は、まさに暮らすように滞在できる場所。サンゴ礁が広がり、海水浴場で人気のコーラルビーチから徒歩圏内の立地で、キッチン設備と調理器具も完備。寝室も2部屋あり、最大5名で利用できます。
4.掲載中の観光&グルメスポットMAP
小浜島の大きさは8平方kmと、隣接する石垣島、西表島と比べるとかなり小さく、集落は島の中央部もしくは西端と限定されていて、それ以外の場所は草原に覆われ、サトウキビ畑や牛小屋が点在するのみ。半日もあれば島の全貌が把握でき、お気に入りの場所も見つかるはず。

地元住民と話に花を咲かせたり、草を食むヤギを遠目にボーっとしたり、時間とともに刻々と変化する海を眺めたり。素朴でゆったりした島だからこそ、好きなように過ごすことができる居心地の良さにはまりそう。小浜島で暮らす人たち曰く、「八重山諸島の中でも小浜島の黒糖はコクが濃厚」とのことですが、味わい深いのはどうやら黒糖だけでなく、島全体にも当てはまりそうです。
撮影:川畑 公平(一部、PIXTAとスポット先写真提供含む)
取材・文:浅井みらの