暑すぎない冬こそ自然もグルメも堪能!西表島観光モデルコース

由布島

日本最南西端に位置する八重山諸島に属し、沖縄県内で沖縄本島に次いで2番目に大きな西表島。島の約90%がジャングルに覆われ、独自の多様な生態系を持つことから、2021年7月には世界自然遺産にも登録されました。

最高気温20℃程度と暑すぎない冬は、実は西表島を周りやすい季節。美しいビーチ、ジャングルクルーズ、水牛車体験、グルメなど、壮大な自然の中で丸一日楽しめる西表島の観光モデルコースをご紹介します。

 

 

東京から飛行機、バス、高速船を乗り継いで西表島に上陸

石垣空港

沖縄本島から400km以上も離れた西表島。羽田空港からは那覇空港経由、または直行便でまず石垣空港に向かいます。石垣空港周辺にも熱帯植物が咲き誇り、早速、南国ムードが漂います。

 

石垣空港

空港からは直行バス、または路線バスに乗って石垣港離島ターミナルへ。所要時間は直行バスで約30分、路線バスで35~45分程度。タクシーでも約30分の距離なので、発車時刻のタイミングが合わなかったり、荷物が多かったりする場合はタクシーを利用するのもいいでしょう。

 

石垣港離島ターミナル

石垣港離島ターミナルに到着。西表島への高速船は上原港行きと大原港行きの2路線があり、今回は宿泊する「星野リゾート 西表島ホテル」から近い、上原港行きの高速船を利用しました。

 

石垣港離島ターミナル
石垣港離島ターミナル

乗り場には石垣島出身のプロボクサーで元世界チャンピオン、具志堅用高さんの銅像がありました。ここから西表島の上原港へは高速船で45~50分ほど。時速50~65kmで運航し、大きく揺れることもあるのでシートベルトは必須です。船酔いが不安な人は事前に酔い止め薬を飲んでおきましょう。

訪れた1月の西表島の気候は、平均最高気温20℃、最低気温15℃程度。曇りや雨の日は体感温度はもっと低く感じるので、半袖にカーディガンなど温度調節のしやすい服装をしつつ、薄手のアウターなども持って行くといいでしょう。また、天気が変わりやすいので、折りたたみ傘もあると安心。冬の西表島は動き回っても汗をかきにくく、快適に観光することができます。

 

星の砂で知られる「星砂の浜」で冬の海を独り占め!

星砂の浜

西表島内は車で移動します。今回は、宿泊した「星野リゾート 西表島ホテル」を通してレンタカーを予約。ホテルから車に乗って観光スタートです。

まずは、島の北部にあるビーチ「星砂の浜」へ向かいます。ホテルからは車で5分ほどの距離です。車を降り、小さな看板の矢印に沿って小道を歩いていくと…。

 

星砂の浜

一気に視界が開け、ビーチに到着! オフシーズンということで観光客の姿は少なく、ビーチを独り占めしたかのよう。海水が透き通っていてとてもきれいで、眺めているだけでも爽快な気分になります。「星砂の浜」という名前の通り、砂浜の中に星の形をした砂がたくさん隠れているので、探してみるのも楽しいですね。

 

星砂の浜

住所
沖縄県八重山郡竹富町上原

 

「浦内川ジャングルクルーズ」で西表島特有の自然を満喫

浦内川ジャングルクルーズ

続いて、沖縄で一番大きな川、浦内川(うらうちがわ)へ。河口からジャングルまで続く主流長19km、最大川幅200mもの雄大な川の両岸には亜熱帯植物が生い茂り、さまざまな生き物たちが生息しています。「浦内川ジャングルクルーズ」は、そんな浦内川の魅力を遊覧船に乗って体感できる片道約30分のクルーズです。

 

浦内川ジャングルクルーズ
浦内川ジャングルクルーズ

遊覧船乗り場へは、「星砂の浜」から南へ車で10分もかからない距離。出発時刻の10分前までに乗り場に行き、チケットを購入すれば予約なしで参加できます。2022年1月現在は1日7便(うち2便は大人4名以上乗船時のみ運航の臨時便)で運航していますが、天候などにより変わることがあるので、事前に公式サイトなどで確認しておきましょう。

 

浦内川ジャングルクルーズ

走行しながら船長さんが周囲の動植物について解説をしてくれるので、自然をより深く楽しむことができます。浦内川は満潮時には8km上流まで海水が入り込んでくるため、船が進むごとに海水、汽水域、淡水と変わっていき、その場所ごとに生育する植物や暮らす生き物も異なるんだそう。

 

浦内川ジャングルクルーズ
浦内川ジャングルクルーズ

西表島の植物といえばマングローブが思い浮かびますが、実はマングローブとは海水と淡水がほどよく混ざり合う潮間帯に生育する植物の総称で、植物自体の名前ではありません。世界にある110種類以上のマングローブのうち、日本では7種類が確認されており、西表島にはそのすべてが生育しています。代表的な品種はオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギで、浦内川クルーズではその3種類を見ることができました。

オヒルギは葉の付け根あたりに赤い花のような額をつけることから、アカバナヒルギとも呼ばれます。メヒルギは背丈が低く、小さく先が丸い葉が特徴です。

 

浦内川ジャングルクルーズ

上流に向かうにつれ川幅も狭くなり、亜熱帯林が間近に迫ってきます。

 

浦内川ジャングルクルーズ

頬に当たる風も気持ちよく、あっという間に船着き場の軍艦岩に着きました。ここで降りて往復約2.1km、所要時間約90分のトレッキングに向かう人の姿も。軍艦岩から続く遊歩道を歩いていくと、日本の滝百選にも選ばれている「マリユドゥの滝」や、約200mにもわたる「カンピレーの滝」を見ることができます。ガイドはつきませんが、西表島の自然をより満喫したい人におすすめです。

「浦内川ジャングルクルーズ」は遊覧船に乗るだけなら普段着でも気軽に参加できますが、冬は風で体が冷えることもあるので、上着を忘れないようにしましょう。

 

浦内川ジャングルクルーズ

住所
沖縄県八重山郡竹富町上原870-3
電話
0980-85-6154
時間
9:00、10:00、11:00、14:00、15:30(所要時間約1時間)
※大人4名以上で12:30、13:00の臨時便あり
料金
大人2,200円、子ども1,100円
公式サイト
浦内川ジャングルクルーズ

 

 

特別天然記念物・イリオモテヤマネコの銅像を見学

イリオモテヤマネコの銅像

遊覧船乗り場から、県道215号白浜南風見線(しらはまはえみせん)を時計回りに15分ほどドライブ。通称「船浦海中道路」と呼ばれる海の上の道を走ると、その先にイリオモテヤマネコの銅像が鎮座しているのを発見! 西表島のみに生息し、国の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコですが、実物は地元の方でもなかなかお目にかかれないんだとか。旅の記念に凛々しい銅像を撮影。バックには、約55mという沖縄県最大の落差を誇る「ピナイサーラの滝」も見えます。

 

イリオモテヤマネコの銅像

住所
沖縄県八重山郡竹富町上原

 

マングローブ林の中をお散歩できる「大見謝ロードパーク」

大見謝ロードパーク

イリオモテヤマネコの銅像から車でさらに7~8分走り、大見謝川沿いにある「大見謝ロードパーク」へ。ここには遊歩道があり、マングローブ林の中を散策することができます。間近で見るマングローブは、木漏れ日も相まってとても神秘的です。

 

大見謝ロードパーク

「大見謝ロードパーク」には海が一望できる展望台も。遠くには八重山諸島の一つ、鳩間島(はとまじま)も見えます。しばし美しい海を眺めてリフレッシュしました。

 

大見謝ロードパーク

住所
沖縄県八重山郡竹富町高那

 

 

のんびり水牛車に揺られて亜熱帯植物の楽園「由布島」へ

旅人の駅
由布島チケット

次は西表島から少しだけ足を延ばして、東側に位置する「由布島(ゆぶじま)」へ。由布島は周囲2.15kmの小さな島で、西表島との間の海は満潮時でも1mほどにしかならないため、徒歩、もしくは水牛車に乗って渡ることができます。水牛車の乗り場へは「大見謝ロードパーク」から車で約20分。1日12便運行していて、乗り場のすぐ隣にある「旅人の駅」でリストバンド式のチケットを購入します。

 

水牛車
水牛車
由布島

出発時刻になったら水牛車に乗り込み、いざ由布島へ。大きな水牛がゆっくりと一歩一歩進むたびに心地よい揺れを感じます。道中、ガイドさんが三線(さんしん)を弾きながら沖縄の民謡「安里屋(あさとや)ユンタ」を歌うパフォーマンスも。のんびり牧歌的な雰囲気に包まれながら、約15分で由布島に到着です。

 

由布島

その昔、由布島は100人を超える人たちが暮らす島でしたが、1969年の台風で大きな被害を受け、ほとんどの住民が西表島へ移住。島に残ったある夫妻が植物を少しずつ植え続け、現在では島全体が亜熱帯植物園になっています。

 

由布島の植物
オオゴマダラ

島内には身長の何倍もの高さの木々が並び、西表島のワイルドな自然とはまた違った美しさが。色鮮やかなブーゲンビリアが咲き誇るエリアや果樹園、日本最大級の蝶・オオゴマダラが舞う蝶々園などもあり、さまざまな植物や生き物を見ることができます。1時間ほどで島をゆっくり一周することができますが、暑さを気にせず、ちょうどよい気候の中で散策できるのは冬ならではですね。

 

由布島
由布島

ランチは、島内のレストラン&ショップ「水牛商店」で。由布島をはじめとする八重山諸島の特産品や小物などのオリジナルグッズが揃っていて、お土産も買える場所です。

「水牛商店」で提供している「八重山そば」(600円)、「ソーキそば」(900円)、「石垣島産和牛カレー」(1,000円)。八重山そばは八重山諸島のソウルフードで、かまぼことやわらかい細切りの豚肉がのっています。優しい味わいのスープでホッとするおいしさ。島とうがらしをかけてピリッとさせても、これまた美味です。

 

由布島
由布島

島内にある「由布島茶屋」では、食後のデザートがいただけます。西表島の旬の食材を使ってアイスを手作りしている「マーハルジェラート」が営むお店で、絶品ジェラートのほかにコーヒーやケーキも味わえます。西表島産のバタフライピーと塩で作ったオキナワンブルーと泡盛のジェラートをチョイスしました(ジェラート2種・テイクアウト500円)。すぐ目の前の「マンタの浜」に出て海を眺めながら食べれば、最高の気分!

 

由布島

住所
沖縄県八重山郡竹富町古見 由布島
時間
【由布島】9:30~16:00(最終入島時間15:15) 【水牛商店】11:30~LO15:00(ドリンクは9:30~16:00)、
【由布島茶屋】10:30~15:45(コーヒーはLO15:30) ※変更の場合あり
定休日
年中無休
料金
【往復水牛車&入園料】大人1,760円、小学生880円、小学生未満無料
【徒歩・入園料】大人600円、小学生300円、小学生未満無料
詳細
【公式】由布島|亜熱帯植物楽園

 

 

いよいよイリオモテヤマネコと対面!?

イリオモテヤマネコの剥製

イリオモテヤマネコの銅像は見たけれど、やっぱり実物も見てみたい! という人は、「西表野生生物保護センター」がおすすめです。ただ、こちらは展示改修工事のため2022年春まで休館中。そこで、同じくイリオモテヤマネコの剥製が展示されている「竹富町離島振興総合センター」の資料室を訪ねました。西表島の南部に位置し、由布島への水牛車乗り場からは車で15分ほどの距離。資料室には鍵がかかっているので、受付の方に声をかけて開けてもらいましょう。

 

カンムリワシの剥製

イリオモテヤマネコのほかにも、同じく国指定特別天然記念物で絶滅危惧種のカンムリワシ、アカヒゲ、セマルハコガメなど、西表島に生息するさまざまな動物の貴重な剥製が展示されています。剥製といえども迫力があり、動物たちの鋭い表情に圧倒されます。

 

竹富町離島振興総合センター

住所
沖縄県八重山郡竹富町南風見201-47
電話
0980-85-5216
時間
竹富町資料室/9:00~17:00
定休日
土・日・祝日
料金
無料

 

やまねこの巨大滑り台で遊ぼう!

やまねこパーク

剥製を見学したら、「竹富町離島振興総合センター」から徒歩約5分の場所にある「ンママキーやまねこパーク」に立ち寄りましょう。「ンママキー」とは西表島の言葉で「馬を遊ばせる場所」という意味で、以前はこの土地が馬の遊び場になっていたことから名付けられたそう。

 

やまねこパーク

2021年4月にできたばかりの広々とした公園で、ブランコやジャングルジムなどの遊具に混ざって巨大なイリオモテヤマネコの滑り台も。見た目のインパクトもさることながら、滑ってみると傾斜が急で勢いがすごい! 大人も楽しめるスポットですが、子どもたちのために作られた場所なので、十分に配慮しながら遊びましょう。

 

ンママキーやまねこパーク(西表東部公園)

住所
沖縄県八重山郡竹富町南風見201-14

 

イリオモテヤマネコ発見の地&「南風見田の浜」を訪ねる

南風見田の浜

「ンママキーやまねこパーク」から車で西に15分ほど走ると、県道215号の南側の終点に到着します。ここはイリオモテヤマネコ発見の地として知られる場所で、記念碑が建てられています。1965年に中学生が遠足で訪れた際、ケガをした大きなイリオモテヤマネコを捕獲し、それがのちに新種登録する際の標本になったのだそう。

 

南風見田の浜

記念碑から森の中の歩道を少し歩いて抜けると、「南風見田(はいみだ)の浜」が目の前に。ここは約2km続く穴場のビーチ。美しい景色を楽しみながら砂浜を散歩して、リラックスした時間を過ごしました。

 

南風見田の浜

住所
沖縄県八重山郡竹富町南風見

 

西表島観光の締めくくりは絶品料理で!

一隼(いちたか)

夕食はホテルで食べるのもいいですが、連泊するときはぜひ地元の飲食店も訪れてみたいところ。この日は、「星野リゾート 西表島ホテル」のスタッフさんがおすすめしてくれた「一隼(いちたか)」を訪れました。西表島ホテルから車で5分ほどの場所にあり、西表島やその周辺の食材を使った沖縄料理のほか、薪窯で焼く本格的なピザを味わうことができます。人気店なので予約は必須です。

 

一隼(いちたか)

西表島近海でとれた魚が並ぶ「刺盛」(1,848円)。この日はアカジン、キツネフエフキ、アマミフエフキ、クブシミの4種。売りのピザは、西表島の魚とウニマヨネーズの相性が抜群の「カプリチョーザ」(1,848円)を選びました。ほかにも西表島産のイノシシ肉を使った「いのししユッケ」(1,320円)など、西表島でしか食べられない逸品ばかり。お酒も泡盛やフルーツを丸ごと使ったサワーなど沖縄ならではのものが揃っていて、大満足の夜になりました。

 

一隼(いちたか)

住所
沖縄県八重山郡竹富町上原10-726
電話
0980-85-7833
時間
17:00~23:00
定休日
不定休
詳細
西表島 一隼(イチタカ)

 

撮影/岡村智明 取材・文/土田理奈

 

 

 

関連記事

石垣島シュノーケリング
2021/08/04
国内有数のダイビングスポットを持つ石垣島に行ったら、ダイビングやシュノーケリングは外せません。また、マングローブ林をSUPやカヌーでクルージングをするのもおすすめ。世界遺産登録が決定した西表島と石垣島のおすすめ体験ツアー、アクティビティを紹介します。

 

Article survey

お客様のご意見をお聞かせください
このページは気に入っていただけましたか?

ワクワクする旅のきっかけから現地で役に立つ情報まで、確かな情報を旅行者にお届けします。

女子旅特集

※当ページのランキングデータ及び記事内容の無断転載は禁止とさせていただきます。
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。
※(税抜)表示以外の価格はすべて税込価格です。場合によって税率が異なりますので、別価格になることがあります。

 
 

TOP