室町時代、わび・さびに代表される東山文化が花開いた京都・東山。京都のなかでもひときわ落ち着きを感じるこの地に、2016年に誕生した「フォーシーズンズホテル京都」。
京都駅からは車で約7分、祇園へは車で約5分と便利な場所にありながら、三十三間堂や京都国立博物館へは歩いて7分ほど、清水寺へも徒歩20分ほどと、文化と歴史の香りがただよう好ロケーションです。
敷地内には、平安時代からおよそ800年の歴史をもつ庭園「積翠園(しゃくすいえん)」が。ホテルにいながらにして京都の歴史、伝統、文化を感じられるしつらえやアクティビティが揃います。 “ここだけの京都”をゆったりと体感してみては?
アプローチとエントランスから京都の非日常へ
通称・女坂を上ると、ホテルのアプローチが見えてきます。右手に竹並木、左手に伝統的工法で作られた竹垣が100m以上にわたって続きます。竹の葉がさわさわと鳴る音が、特別な時間の始まりを告げます。
アプローチを抜けると視界が開け、大きな木造の屋根が目に飛び込みます。舞妓さんが和傘を傾けて迎え入れてくれる、そんなイメージで造られたポーチです。
どっしりとした檜の柱、杉材を使った繊細な天井の木組み。屋根のガラスに仕込まれた和紙を通した光が柔らかく、温かなもてなしを予感させてくれます。
館内へ入ると、フラワーアーティストのニコライ・バーグマンによる季節の花々がお出迎え。日本の美意識とモダンな感性が融合したアレンジメントは、ホテルの魅力を象徴するかのよう。
800年以上の歴史をもつ庭園を散策
チェックインを済ませたら、まずはホテルが誇る広大な庭園「積翠園」へ。約10,000平米の敷地に3,000平米の池が広がる池泉回遊式庭園です。
この庭園の歴史は、なんと平安時代末期までさかのぼります。平重盛の別邸「小松殿」の園地として作庭されたそう。現存するこの時代の庭園は少なく、貴重な文化遺産です。
春には桜、夏にはクチナシや紫陽花、秋には紅葉、冬には寒椿や梅が目を楽しませます。
緑の間を歩き、池を眺めていると、時間を忘れてしまいそう。かつては貴族が舟遊びをし、花見や月見を楽しんだという庭園で、日本の美意識を感じる、贅沢な時間がゆっくりと流れていきます。
名庭とともに過ごす客室「プレミアガーデンビュールーム」
いよいよゲストルームへ。今回宿泊するのは、「プレミアガーデンビュールーム キング」。「積翠園」に面した、52~53平米の広々としたお部屋です。
直線を多用したモダンなインテリアに、ふすま風の意匠を取り入れた仕切りなど、和風のしつらえが柔らかな印象を加えます。
ベッドは、フォーシーズンズホテルとシモンズ社が共同開発したオリジナル。適度な硬さで寝心地抜群です。
このお部屋の魅力は、なんといっても「積翠園」の眺め。床から天井まで大きく取られた窓から見える庭園は、まるで一幅の絵のようです。
部屋と庭園がひと続きのように感じるのは、手前の絨毯のオリーブグリーンによるもの。心憎い演出です。
京の伝統を感じる名品に囲まれた客室
クッションカバーは、1688年創業の京都・西陣織の老舗「細尾」が手がけています。細尾の西陣織は、「ルイ・ヴィトン」などラグジュアリーブランドのメゾンでもインテリアに使われており、京都の伝統と革新の融合を代表する企業のひとつ。
このお部屋でも、職人技が作り出す典雅な柄が、モダンなインテリアに溶け込みます。
お茶や茶器にもこだわりが光ります。茶碗は、京都の伝統工芸・清水焼。このホテルのために作られたオリジナルです。手になじみのよいふっくらとしたフォルムに、「フォーシーズンズ」の名にちなみ、四季の草花が描かれています。
香りのよい緑茶は、京都・宇治で元禄年間から宇治茶を作りつづける「丸久小山園(まるきゅうこやまえん)」のもの。
茶筒は1875年に京都で創業した「開化堂」製。職人の手による茶筒は密閉性が高く、国内外にファンが多い名品です。また、茶托は1661年創業の老舗「京漆匠 象彦(ぞうひこ)」のもの。
鳥のさえずりを聞きながら、京都を感じる茶器で、ほっとひと息。
テーブルには、ウェルカムフルーツとホテルのロゴ入りのマカロンが。フルーツは季節によって変わります。写真は、パリっとした皮ごといただけるシャインマスカット。
感染症対策のため、到着時はフルーツもマカロンも、それぞれに個包装がされていました。そんな心づかいにも安心感を覚えます。
紅茶はシンガポールのラグジュアリーティーブランド「TWG Tea」のもの。冷蔵庫には、無料の牛乳が常備されています。ミルクティー好きにはうれしいサービスです。
ゲストルームのカードキーも、“和”を感じさせるもの。生育スピードが速く、サステナブルな素材として注目される竹を使っています。
漆のアメニティボックスからバスサシェまでが、バスタイムを優雅に彩る
歯ブラシなどのアメニティは、漆塗りの箱に収められています。開けるたび、雅な気持ちに。
アメニティは、イタリア・フィレンツェ発の「ロレンツォ・ヴィロレッツィ」のもの。天然香料によるパフューム研究からスタートしたブランドです。
ベルガモットのフレッシュさ、オレンジフラワーの甘さ、グリーンティーのエネルギー、まるで春の早朝の「積翠園」のような清々しい香り……。シャンプー、コンディショナー、ボディソープなど、それぞれに違った香りの喜びが感じられます。
バスタイムのお供には、オーガニックのコスメやスキンケア用品で知られる京都のブランド「ちどりや」のバスサシェを。
農薬を使わず栽培したゆずの皮を乾燥させ、詰めたサシェです。天然素材ならではの甘酸っぱいゆずの香りに包まれていると、1日の疲れが吹き飛んでいきます。
暮らすように滞在できるキッチン付きの客室「レジデンシャルスイート」
ホテル内には、広いお部屋にキッチン、リビング・ダイニング、ベッドルームまでを備えた「レジデンシャルスイート」も。
上の写真は「1ベッドルームホテルレジデンスガーデンビュー」。長期滞在はもちろん、子連れのファミリー旅行にもぴったりです。
このお部屋でも、広々とした窓から「積翠園」の景色が楽しめます。さらに、テラスにはガーデンチェアとテーブルが。朝食はルームサービスでもいただけるので、庭園の風景をひとり占めしながら、贅沢なひとときを過ごせます。
また、キッチンには調理器具や食器がひと通り揃い、食洗器やオーブンレンジも完備。洗濯乾燥機まで客室内に備えています。錦市場で買ってきた京野菜を調理したり、我が家のように家族で気兼ねなくくつろいだり。京都に暮らすようなステイが叶います。
午後はお部屋でアフタヌーンティーを
メインダイニング「ブラッスリー」で提供している季節のアフタヌーンティーは、テイクアウトやルームサービスでお部屋に持ってきてもらうことができます。
スイーツ5種とセイボリー4種、スコーン2個を特製のボックスにイン。いずれもペストリーシェフと料理長が腕によりをかけたものです。紅茶は、ドイツの最高級紅茶ブランド「ロンネフェルト」社を代表するセレクション3種類。
誰にも邪魔されず、客室で庭園を眺めながらのアフタヌーンティー。感染症対策としても安心です。
アフタヌーンティーセット テイクアウト
- 提供時間
- 11:00~20:00
※2日前までに要予約 - 料金
- 10,000円(2名分/税・サ-ビス料別)
宿泊者以外がテイクアウトする場合は10,000円(2名分/税込)
夕暮れ時、趣ある茶室ラウンジで京都の地酒を飲み比べ
「積翠園」の最奥にたたずむラウンジ「楓樹(ふうじゅ)」で、夕方から日本酒が楽しめると聞き、散策気分で向かいました。
石畳の小径を進むと、数寄屋造りの「楓樹」が見えてきます。
天井の木組みや番傘の形をした照明がぬくもりを感じさせます。
隠れ家のようなこの場所で、日本酒やシャンパンを楽しむことができるのです。京都の酒蔵から杜氏を招いてのイベントなどが行われることもあるそう。
今回は、京都の酒蔵の日本酒3種類を飲み比べられる「利き酒セット」をオーダーし、池に面したテラス席へ。暮れゆく庭園と池を眺めながらの利き酒は、一段と趣があるもの。
伏見に代表されるように、京都は酒造りが盛んな土地柄。利き酒セットでは、月替わりで京都の酒蔵をピックアップ。このときは、1895年創業の城陽酒造でした。
グラスに注ぎながら説明してくれたのは、日本酒利き酒師でソムリエの資格をもつ大澤忠弘さん。
(新型コロナウイルス感染症対策のため、現在はマスクを着用して接客しています。)
「この『純米酒65』は、京都府産の米『五百万石』を使っています。ふっくらとした米の旨味が感じられますよ」と、ひとつずつ丁寧に解説してくださいます。
利き酒には、香りが広がりやすいよう、あえてデザートワイン用のグラスが採用されています。
グラスに鼻を近づけると、芳醇な香りが感じられます。3種類それぞれ、果実のような香りがあったり、キレがあったり。米の種類や造り方によって、こんなにも違いがあるんだ!と日本酒の奥深さを感じることができました。
ホテルオリジナルの「フォーシーズンズホテル京都 特別仕込み 山田錦 純米大吟醸」(180ml 7,000円/税・サービス料別)も。京都北部の丹後を代表する酒蔵、竹野酒造とともに造り上げた逸品です。
原料となる米はホテル専属契約水田で有機栽培。できあがった酒袋を吊るし、自然にしたたり落ちる一滴一滴を集めるなど、こだわり抜いています。
楓樹
- 営業時間
- 17:00~20:00
- 料金
- 利き酒セット3種 4,800円(税・サ-ビス料別)
ディナーは目にもおいしいモダンキュイジーヌ
ディナーは照明を落とし、シックな雰囲気を醸し出すダイニング「ブラッスリー」で。
腕をふるうのは、フランスのミシュラン星付きレストランでの経験も豊富な古賀隆稚シェフ。日本の美意識を融合させたフレンチは、見た目も繊細。なかでも、彩りも美しい前菜「自家製サーモンのマリネ レモンと野菜の宝石仕立て」はファンが多い一皿です。
また、夜の京都の街を楽しみたいなら、タクシーで5分ほどの祇園界隈へ出かけるのも手。ミシュランの星付きの名店が集まっています。
清々しい庭園の緑を目にしながらいただく朝食
2日目はアメリカンブレックファストからスタート。自家製ヨーグルトや卵料理、ポークソーセージとベーコン、ホームベーカリーまたはトーストなどのボリューム満点のセットです。
卵料理はオーソドックスなオムレツのほか、エッグベネディクト、トリュフ風味の温泉卵、パンケーキなどから選べます。
朝食は「積翠園」の眺望が開けるメインダイニング「ブラッスリー」にて。朝日に輝く緑もご馳走のひとつ。
アメリカンブレックファストのほか、和朝食、ヘルシーブレックファストも用意されています。
朝食
※新型コロナ感染症予防のために、現在は朝食ブッフェを休止し、セットメニューで提供しています
- 営業時間
- 7:00~10:30
おもてなしの心を感じる感染症対策
フォーシーズンズホテルが共通で実施しているもてなしのゴールデンルール。それは「人にしてもらいたいと思うことをほかの人にする」というシンプルなもの。
時節柄気になる感染症対策にも、その信条が貫かれています。医療のエキスパートとの提携により生み出された「リード ウィズ ケア」に従い、さまざまな感染症予防策がとられています。
ゲストルームには、マスク、手指消毒剤、消毒用ウェットティッシュのセットを完備しています。
スタッフとの対面なしで受けられるパーソナルなサービス
客室に備え付けられたタブレットからは、写真付きのメニューでルームサービスをオーダーできるほか、タクシーの手配など、チャットで各種相談や手配ができます。
ランドリーも非対面で依頼できるバトラーボックス
お部屋の入り口の横には、バトラーボックスが。ランドリーに出したい衣類や磨いてほしい靴をボトラーボックスに入れて、扉横のボタンを押すだけで依頼は完了。
客室の外にも扉があり、ピックアップして、お手入れが完了すると、再びバトラーボックスに入れておいてくれます。対面することがないので、お部屋でリラックスしているときでも気にせず利用できます。
ほかにも、スタッフとの接触を極力少なくするため、ルームサービスのお皿を使い捨てのものにすることもできます。
ステイ中に利用したい最新フィットネスや京都らしいエクスペリエンス
フィットネスジムやプール、サウナでリフレッシュ
地下2階には、本格的なエクササイズができるフィットネスルームも。最新の機器が揃い、ハードなトレーニングにも対応できます。ウッディな香りがただようなか体を動かせば、気分もすっきり。
石造り風のインドアプールは、リゾートに来たかのような雰囲気。20mのプールでしっかりと泳ぐもよし、ジャグジーやプールサイドでくつろぐもよし。思い思いにリフレッシュできます。ぜひ、水着を持参して。
プールやフィットネスジムで動いた後は、そのまま温浴施設へ。温浴のほか、水風呂やサウナ(男性はミストサウナ、女性はドライサウナ)を備えています。もちろん、1日の観光の疲れを癒やすために利用しても。ガウンやバスタオルはロッカーに用意されているので、手ぶらで利用できます。
ウェルネス施設
- 営業時間
- 8:00~20:00
(新型コロナウイルス感染症対策のため短縮営業中。通常時はフィットネスジムは24時間使用可能) - 料金
- ホテル宿泊者は無料
伝統的な茶室での茶道体験
ラウンジ「楓樹」に隣接する茶室「積翠亭」では、プライベートな茶道体験ができます。背をかがめないと入れないにじり口などを備えた本格的な茶室です。こちらも一面がガラス張りで、「積翠園」の風景を眺めながら、風趣な時間を過ごすことができます。
伝統的な数寄屋造りの茶室ながら、椅子とテーブルが。カジュアルにお茶を体験できるのがうれしいところ。
プライベート茶道体験
- 営業時間
- 10:00~16:00
- 利用対象
- ホテルの宿泊者
※1週間前までに要予約
※2名より受付 - 料金
- 8,000円(1名/税・サ-ビス料別)
人力車でのプライベートツアー
ホテル専属「フォーシーズンズ人力車」に乗ってのオリジナルのツアーも用意。いずれも三十三間堂、京都五花街のひとつ宮川町などを巡る、東山の魅力が詰まったコースです。120分コースでは、京都最古の禅寺・建仁寺まで足をのばします。
フォーシーズンズ人力車
- 営業時間
- コンシェルジュに要問合せ(要予約)
- 利用対象
- ホテルの宿泊者
- 料金(2名あたり)
- 60分 17,500円
90分 25,000円
120分 32,500円
(税込・サービス料別)
そのほか、一般公開されていない寺院での座禅体験や、芸妓さん・舞妓さんとのお座敷遊び、約220年続く京提灯の老舗でのミニ京提灯作り、手裏剣や苦無(くない)など忍法修行ができる武道体験など、京都ならではのオリジナル体験プログラムが多数用意されています。
子連れファミリーには鯉の餌やりも
「積翠園」の広大な池には、優雅に泳ぐ鯉の姿が。子連れファミリー向けに、鯉の餌やりができます。生き物や自然とのふれ合いは、またとない思い出になってくれるはず。希望者はスタッフに声がけを。
鯉の餌やり
- 料金
- 無料
館内を歩くだけでアートとの出合いが
館内で何気なくアート作品にふれられるのも、このホテルの楽しみのひとつ。
ロビーフロアでひときわ目をひくのは、神戸(かんべ)智行の作品「雪見窓」。和紙と銀箔で、上から見た池の風景を表現しています。
同フロアでは、「染付」の技術で人間国宝に認定された近藤悠三から、その孫の近藤高弘にいたるまで、京都・清水を拠点に活動する陶芸一家・近藤家の作品も見られます。
1階のエレベーターホールにあるこの作品は、庭園にあった歴史ある庭石を使っています。7つの石は、上から見ると「心」の文字になっていて、ホテルのおもてなしの心を表現。石の切断面にガラスを埋め込んだ作品で知られる作家・藤堂による、ホテルの昔と今をつなぐ作品です。
名だたる寺社や京都の中心部に近い利便性と、喧騒を離れた落ち着きと静けさ。「フォーシーズンズホテル京都」なら、名所への行楽にもゆとりあるプランが立てやすく、おこもりステイでも「積翠園」で京の四季を堪能できます。
長い歴史を誇る古都の魅力を、ホテルにいながらにして深く体感できる「フォーシーズンズホテル京都」。夫婦・カップルの記念日や、自分へのご褒美旅行はもちろん、レジデンシャルスイートに宿泊すれば、両親への孝行旅行にも。大切な人と、京都の四季を満喫してみては?
フォーシーズンズホテル京都
- 住所
- 京都府京都市東山区妙法院前側町445-3
- アクセス
- 京都駅より車で約7分、京阪本線・七条駅より徒歩約10分
- 駐車場
- 5,000円/泊(77台、予約不要)
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
- 宿泊予約
- 楽天トラベル「フォーシーズンズホテル京都」
楽天トラベルでは、5と0のつく日に「フォーシーズンズホテル京都」をはじめとした高級ホテル・宿を予約すると、宿泊料金が5%OFFになるキャンペーンを実施しています。お得に泊まれるこの機会をお見逃しなく!
撮影:福羅広幸 取材・文:仲川僚子