悠然と広がる瀬戸内海と、その向こうに点在する島々。「海と山に抱かれて、何もしない贅沢」がコンセプトの「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」は、瀬戸内の景色を見渡す絶好のロケーションに建つ、別世界のようなリゾートホテルです。
ホテルにある45の客室は、その全てがオーシャンビューという贅沢。心ゆくまで瀬戸内ステイを堪能する1泊2日の滞在記をお届けします。
目次
- ∟メインダイニングで薪火料理
- ∟夜空の星を観賞
- ∟尾道ラーメンの夜食
- ∟バー「ザ・ダーク」で大人の時間
- ▼滞在2日目
- ∟ヨガやスポーツジム
- ∟地産地消の朝食
- ∟12:00までの過ごし方
- ∟瀬戸内の品をお土産に
時間を忘れてゆったりと過ごせる西日本屈指のリゾートホテル
尾道といえば、しまなみ海道や坂道の風景、レトロな街並みを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」はJR尾道駅・福山駅からそれぞれ車で約40分という、より自然に近い静かなエリアにあります。
ホテルの建物は1973年、造船会社の迎賓館として建てられ、大規模なリニューアルを経て2007年に「ホテルベラビスタ」が誕生。ヨットやクルーザーを停泊できる海の駅「ベラビスタマリーナ」を併設した西日本屈指のリゾートホテルとして、多くのリピーターとともにその歴史を重ねてきました。
まるでもうひとつの我が家のように、落ち着いて滞在できるのが魅力のひとつ。ホテルへ15:00に到着すれば翌日の12:00チェックアウトまで、1泊2日で最大21時間の滞在も叶います。
瀬戸内海へとつながっていくオーシャンロードに導かれて館内へ
ロビーに入ってまず印象的なのは、足元から正面の海へ続いていく「瀬戸内ブルー」のタイル。美しい藍の色合いがオーシャンロードを形作っており、その先には瀬戸内の美しい景色が目に飛び込んできます。これからの滞在に期待を高めつつ、まずはフロントへ。
フロントで受付を済ませたら、しまなみで収穫されたしらぬい(不知火)のウェルカムドリンクをいただき、エントランスにあるソファでチェックイン。1年を通して温暖な気候の瀬戸内は、レモンをはじめとする柑橘類の一大産地で、ウェルカムドリンクにはこの地域らしく季節の柑橘類が選ばれています。
しまなみエリアの島々は、古くから造船産業で栄えてきたという歴史があります。海に面したカフェスペース「ザ・ラウンジ」には、そんな造船産業の背景を感じさせるライブラリーコーナーがあり、船内をイメージした内装。デザインの異なる椅子や机のセレクトもユニークで、どこに座ろうか席を選ぶのも楽しくなる空間です。
大きな窓からは光が差し込み、窓の向こうには瀬戸内海と島々、時折行き交う船など、この土地ならではの眺め。ザ・ラウンジではコーヒーや紅茶、ソムリエが厳選したワインもそろえており、季節ごとに変わるスイーツやカフェメニューも充実。思い思いの過ごし方ができるので、滞在中のくつろぎ拠点として何度も立ち寄りたくなる場所です。
- ザ・ラウンジ
- 10:00~23:00(L.O.22:30)
海へと続く水盤が美しい。「ザ・デッキ」から多島美を見渡す
ザ・ラウンジの先にある「ザ・デッキ」に出ると、眼前に広がる雄大な絶景に思わず声を上げてしまいます。ホテル名に冠する「ベラビスタ」とは、イタリア語で「美しい眺め」という意味。「ザ・デッキ」に立つことで、早くもその言葉の意味を実感することができました。
デッキの中央には、まるで海とつながっているかのような水盤。左右にはソファに座ると視線と同じ高さに水平線を感じることができサンクンラウンジがあり、デッキを囲うようにストライプのシェードがアクセントのソファ席も配置されています。
ザ・ラウンジで注文した飲み物をここで味わうのもおすすめ。潮風を感じながら過ごすひとときが、何ものにも代え難い優雅な時間になります。
デニムの上品な藍色が溶け込む100平米の「テラススイート ツイン」
「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」がある広島県尾道市や、隣接の福山市を有する備後(びんご)地方はデニムの一大産地であり、高いクオリティのものづくりで世界的にも注目されているエリア。客室のソファクッションや壁紙といったインテリアに、広島発の世界的ブランド「カイハラデニム」の生地が採用されており、デニムの藍色が落ち着いた上品さを演出しています。
コーヒー専門店「AMAZING COFFEE」によるオリジナルブレンド豆「SETOUCHI BLEND」のドリップコーヒーや、尾道の老舗・今川玉香園茶舗の「尾道紅茶」など、客室のティーセットも充実。ベラビスタオリジナルの「ミックスドライフルーツ」はワインとの相性も抜群です。
室内の冷蔵庫※(有料)に用意されているビールやコーラ、ワインなどのドリンクも、広島や瀬戸内を感じさせる豊かなラインナップ。リビングから続くバルコニーに出て、絶景を眺めながらドリンクを楽しむ時間も最高のひとときです。
※客室の部屋タイプによって冷蔵庫に用意されているドリンク類は異なります。
シンプルながらも高級感のある広々としたベッドルームには、シモンズ社製のダブルベッドが2台設置されていて、夫婦やカップル、友人同士で過ごすのにぴったり。
「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」での宿泊をより特別なものにしてくれるのが、ベッドの上にちょこんと置かれた「ベラビスタ・テディベア」。ウェルカムメッセージとともに宿泊者を迎えてくれるテディベアは、なんと自宅に持ち帰ることができます。
今回出迎えてくれたのは、デニムの生地に白いベラビスタリボンが結ばれたテディベア。季節やイベントごとにベアの生地が変わるので、集めたいというファンも多いのだとか。うれしいサプライズで、特別な思い出をさらに素敵に演出してくれます。
室内のバスルームは、バスタブとシャワーブースが半セパレートになっているので、入浴をゆっくりと楽しむことができます。バスタブトレーも用意されているので、飲み物を持ち込むなどして半身浴を楽しむような長風呂も可能。
ヘアケア・ボティケアなどのバスアイテムは、全てに瀬戸内オリーブ油を配合したベラビスタオリジナルアメニティ。こだわりを持って開発されたというオリーブ油は、海だけでなく森や風を感じるような自然由来の心地よい香りが魅力です。
ヘアアイロンやプラズマクラスターのドライヤーなど女性にうれしいアイテムも充実しています。
館内着とセパレートタイプのパジャマは、どちらもやわらかな着心地。大浴場への移動やラウンジの利用も館内着で行くことができます。
瀬戸内とその先に連なる島々を一望!ベラビスタ自慢の展望風呂
荷ほどきを済ませたら、スパに移動してひとやすみ。スパには展望露天風呂、檜風呂のほか岩盤浴も備わっています。6:00〜24:00までの間、好きな時間に何度でも利用することができます。
展望露天風呂は、外につながっていくかのようなインフィニティタイプ。まだ日の高い日中は、海と多島美のくっきりとした絶景を眺めることができました。
岩盤浴エリアは間接照明のある落ち着いた空間。専用のウェアやタオルが入口の横に用意されているので準備も楽々。体の中からじんわりと温まり、日頃の疲れを癒やしてくれるデトックスタイムです。
- 岩盤浴/檜風呂/岩盤浴
- 6:00~24:00
入浴後は「湯上がり処」でリラックス。ミニカウンターにはミネラルウォーター、柑橘・フルーツ・ハーブなど数種のデトックスウォーター、炭酸水、ミニサイズのビールなど各種ドリンクが用意されています。
ここでいただける「天心山たまごアイス」は、沼隈町にある天心山農園でとれた卵を使った手作りのオリジナルアイス。甘さひかえめながらも濃厚かつスッキリとした口当たりの味わいが温まった体に染み渡っていき、しっかりとクールダウンすることができました。
刻々と変化する瀬戸内の夕景に感動
心も体も温まったあとは、ディナーの時間まで館内を散策。日が沈む時間に外へ出てみると美しい夕日を眺めることができました。
島影の向こうに広がる美しいマジックアワー。夜に差し掛かろうとするザ・デッキのサンクンラウンジには焚火が灯り、一気にロマンチックな雰囲気に包まれます。
「メインダイニング エレテギア」でいただく薪火料理
待ちに待ったディナーは、スペインのバスク地方に伝わる伝統料理にインスパイアされたレストラン「メインダイニング エレテギア」でいただきます。「エレテギア」とは、バスク語で「網焼き屋」という意味です。
座席は薪火を導入したキッチンや調理の様子が見れるライブ感たっぷりなカウンター席と、テーブル席でくつろげるダイニングの2エリアに分かれています。
ここで提供される料理は、ベラビスタが掲げる地産地消のコンセプト「瀬戸内キロメートル・ゼロ」の哲学を体現する「薪火料理」がベースとなっています。薪火はもっとも原始的な調理方法のひとつ。瀬戸内で収穫された食材本来の味わいを自然体でいただけます。
一面ガラス張りのダイニングは抜群の解放感。室内にいながら夕暮れの美しい眺めも堪能できます。特徴的な三角形の屋根の内部には、この地域に植生する赤松を約1,600本使用しているそう。灯りがともると、天然木のあたたかな色合いが際立ち、陰影がドラマチックに空間を彩っています。
お料理は、瀬戸内の食材がふんだんに使われたメニューが並びます。地元の契約農園で収穫された瀬戸内野菜に、天然鯛と小エビのフリット、カワハギのカルパッチョが乗った彩り豊かな瀬戸内サラダ。仕上げには瀬戸内の柑橘ドレッシングが使われ、瀬戸内が育んだ海と山の幸をしっかりいただける一皿です。
こちらは、メインディッシュの薪火焼き。分厚い牛イチボの刺しに、塩漬けした生胡椒、弓削島(ゆげしま)の藻塩でシンプルにいただきました。表面をじっくりと薪で焼いたイチボは口にいれた瞬間ほのかな薫香を感じられ、ジューシーなお肉の旨味が広がります。
和の要素を取り入れてアレンジしたというパエリア。もち麦を鯛出汁やキジ出汁で炊き上げ、菊芋やさつまいもなど季節の食材で仕上げています。うまみが閉じ込められたパエリアは絶品!季節によって具材が異なりますが、エレテギアの定番人気メニューです。自家製唐辛子オイルと山椒を煮詰めて作られた特性スパイシーオイルもあり、味変を楽しむのもおすすめです。
大切な人との滞在に選ばれる「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」では、記念日のケーキやプレート、花束、サプライズなどアニバーサリー向けのサービスも充実しています。予約の際には相談してみましょう。
本格的な天体望遠鏡で、夜空の星を観賞
ディナーを楽しんだあとは、プールサイド下のテラス「ザ・スターテラス」での星空観賞へ。ザ・スターテラスには、天体望遠鏡メーカー・ビクセン社の天体望遠鏡が用意されていて、20:00〜22:00まで自由に観察を楽しむことができます。
「星ってこんなにあるんだ…」と思わず息をのむ瀬戸内の夜空。日常から切り離されたような静かなテラスで、都会の空では見えない星空を観測することができました。寒い時期にはダウンコートの貸出もあり、食後にお部屋まで上着を取りに戻らなくても、気軽に立ち寄れます。
夜限定!尾道ラーメンの夜食サービスがうれしい
ザ・ラウンジでは21:00〜22:30の間、「尾道ラーメン」の夜食サービスがあります。尾道ラーメンとは、背脂やいりこ出汁を使った醤油ベースのご当地ラーメン。さっぱりとした醤油の味わいでしっかりと深みのあるスープが絶品で、口いっぱいに旨味が広がります。
夜食らしくハーフサイズなのもうれしいポイント。地元の名物料理がホテル内で味わえるので、せわしなく観光に出かけずとも、館内で尾道を満喫することができます。
夜の訪れとともにオープンする「ザ・ダーク」で大人の時間
1日の最後に訪れたいバー「ザ・ダーク」は、空が暗くなるころにそっとオープンする大人の空間。灯りはピンスポットとボトル棚を照らすライトのみという幻想的なカウンターで、バーテンダーが作るカクテルをいただきます。
特に人気なのは、瀬戸内を代表する「桜尾」のジンを使ったジントニック。夜闇に溶け込んだ非日常の空間で過ごすひとときは至高の時間です。
- ザ・ダーク
- 17:00~24:00(L.O.23:00、火曜休)
ヨガやスポーツジムで体を動かす朝の時間
ぐっすり眠った翌朝は、朝日を浴びながらリラクゼーションヨガに参加。澄んだ朝の空気の中で行うヨガは、心身ともに整う特別な時間。ヨガは前日21:00までの予約制で、開催は土日祝日の7:30〜、8:30〜の2回制。宿泊者は無料で参加できます。
館内には6:00~24:00の時間帯に自由に利用できるジムも完備。シューズやジムの使用料は無料で、レンタルウェア上下の貸し出しもあります。
- リラクゼーションヨガ
- 体験料金:宿泊ゲスト無料(1レッスン6名まで)
開催日時:土曜、日曜、祝日 7:30~、8:30~(2回制)
予約:フロントにて前日21:00までの事前予約制 - ジム
- 6:00~24:00
ジム使用料:無料
レンタルシューズ:無料
レンタルウェア上下(Tシャツ、パンツ):660円
心身ともに喜ぶ、地産地消の朝食タイム
朝食は「瀬戸内 双忘」での和食と「メインダイニング エレテギア」の洋食のどちらかを選べます。今回は、和の味で瀬戸内の料理を楽しめる「瀬戸内 双忘」へ。
米びつで運ばれてくるふっくらとした広島県産コシヒカリのお米、日替わりのお味噌汁、田島の海苔、真鯛の造り、瀬戸内海でとれた日替わり旬魚の一夜干し、鞆の浦(とものうら)の郷土料理・がす天のほか、四季折々の地元食材に囲まれた豊かな朝食タイムです。
副菜はセミビュッフェスタイル。出汁巻き卵、湯豆腐、れもん鶏、茄子の揚げ浸し、黒豆納豆など約20種類の「旬皿」が並びます。
この日の旬魚は、身の分厚い穴子とかますから選ぶことができました。どちらも捨てがたく、悩んだ末に選んだ穴子の身はふっくらしっとり。旨味たっぷりで滋味深く、食べごたえがありました。
ドリンクには旬の柑橘ジュースや水出し焙茶、デトックスウォーター、保命酒(ほうめいしゅ)ウォーターなどが並びます。保命酒とは、鞆の浦で伝統的に作られている、生薬を含んだ薬味酒。保命酒ウォーターはアルコールを飛ばしてあるので飲みやすく、やさしい甘みが特徴的です。さらにシャンパンも用意されているので、朝から優雅な乾杯を楽しむこともできます。
12:00チェックアウトだからこそ叶う、ゆとりある過ごし方
さらにワンランク上のくつろぎ時間を楽しみたい方は、館内にあるプライベートエステ「Esthetique Salon Sagann(エステティックサロン サガン)」へ。海に面した3室のトリートメントルームがあり、スペシャルケア、フェイシャルケア、ボディトリートメントなど、スイス・パーフェクションを使用したさまざまな種類の施術をうけられます。
2人で利用できる施術ルームもあるので、自分へのご褒美や大切な人へのプレゼントだけでなく、カップルや夫婦で一緒にトリートメントをうけることも可能です。
- Esthetique Salon Sagann
- 9:30~22:00(予約受付時間 9:30~18:00)
こちらは、ベラビスタに滞在したらぜひ見学したかった「RIBBON CHAPEL(リボンチャペル)」。2013年12月に完成した、結婚式用チャペルです。まるでリボンのように絡み合う2本の階段。それらがスパイラル状にチャペルを包む構造は世界的にも有名な建築で、海外から見学に訪れる人もいるそうです。
チャペルの頂上からは木々の向こうにしまなみの景色が望め、クルーザーやヨットが並ぶ「ベラビスタ・マリーナ」も一望。ホテルの建物から少し離れた場所にあるため、客室とはまた違った角度からの眺めが楽しめます。
瀬戸内のこだわりの品をお土産に
散策を終えてチェックアウトの時間が近づいてきました。帰路につく前に、立ち寄りたいのが1階のブティックです。
ブティックには、瀬戸内の雑貨や食べ物を中心に、ベラビスタ・テディベア、ホテルのアメニティ、メインダイニングで使用されているオリジナルの魚醤など、こだわりのお土産がずらりと並びます。
「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」では、地元の「良いもの」をゲストに知ってもらえるよう、オリジナル商品の共同開発も積極的に行っています。
今回はお土産に、「有機レーズンの珈琲クッキー」を選びました。こちらは尾道・向島にある焼き菓子とジャム工房「cosakuü(コサクウ)」が手掛けたベラビスタオリジナル商品で、同じ島にあるスペシャリティコーヒー豆店「珈琲豆ましろ」のコーヒーが使用された風味豊かな焼き菓子です。
到着したその瞬間から、瀬戸内の自然や食の恵みに出会えた「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」での特別な1泊2日。客室、ラウンジ、デッキ、スパ、レストラン……どこにいても自然体で心地よい時間を過ごすことができました。
また、すばらしかったのはラグジュアリーな空間や島並みの絶景だけではありません。いつも自然なおもてなしで導いてくださったスタッフの方々には、これまで知らなかった瀬戸内の魅力をたくさん教えていただきました。
特別な日にはもちろん、なんでもない日にも選びたくなる「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」での瀬戸内ステイ。この特別な時間を、ぜひ一度体験してみませんか。
ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道
- 住所
- 広島県尾道市浦崎町大平木1344-2
- アクセス
- 福山駅・尾道駅より車で約40分
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
- 駐車場
- あり(100台)無料・予約不要
撮影/大林博之 取材・文/安藤未来