旅の楽しみ方

一生に一度は「加賀屋」。”憧れの宿”であるゆえんを徹底紹介

石川県能登半島の和倉温泉にある老舗旅館「加賀屋」。「記念日や人生の節目は加賀屋で過ごしたい」と、遠方から来るお客様、数十年にわたって通い詰める常連客もいるほど。そこまで愛され、憧れられる宿になった理由を、若女将や仲居さんの想いや、お客様とのエピソードとともにご紹介します。

おもてなしの宿「加賀屋」とは?

加賀屋 外観

加賀屋は、石川県の能登半島最大の温泉地「和倉温泉」にある旅館です。明治39(1906)年に12室の小さな旅館として始まった加賀屋は、そのおもてなしが評価され、昭和天皇・皇后両陛下、上皇・上皇后両陛下といった賓客ももてなす一流旅館となりました。

東京駅からは北陸新幹線で約2時間半、大阪駅からは特急で約2時間半で金沢駅へ。金沢駅からは、特急で約1時間で最寄りの和倉温泉駅に到着します。

花嫁のれん

また、金沢から和倉温泉まで週末を中心に1日2往復運行している観光列車「花嫁のれん」の利用もおすすめ。車内では伝統工芸品の展示や北陸らしいグルメが楽しめるほか、加賀屋で研修を受けた和装アテンダントが乗車しているため、一足先に加賀屋のおもてなしが楽しめます。

「さすが加賀屋」お客様に一生のお付き合いをしたいと思わせるゆえんとは

お客様に一生のお付き合いをしたいと思わせるゆえんが一体どこにあるのか、加賀屋のおもてなしについて加賀屋の若女将・小田絵里香さんに詳しくお話を伺いました。

加賀屋 若女将

「私は九州出身で、15年ほど前に加賀屋に嫁いできたのですが、能登の人は皆さん温かいんです。『まれびと信仰』と言うのでしょうか。『遠方からわざわざ能登まで来てくださって、本当にありがとう』という気持ちを持っている人が多いように感じます。加賀屋も同じで、金沢からさらに1時間かけてここまで来てくれることに、まずは感謝の気持ちを表したい」と言います。

若女将の想うおもてなしとは

送迎バスが見えなくなるまで手を振る従業員

また、「おもてなしは究極のお節介だと思っていて、半歩先に行く微妙な距離感を大切にしています。1歩も2歩も先に行ってしまっては勝手な振る舞いになってしまうので、お客様を見て、聞いて、心をつくしています。従業員には、自分の家族や友人をお迎えする気持ちでおもてなしをするように、と伝えています」とも。

アンケートはお客様からのラブレター

そしてもちろん、お客様のリサーチも欠かしません。若女将は、毎日全ての口コミサイトに寄せられる情報やアンケートに目を通し、月に2回、アンケート対策会議も開いているそうです。

加賀屋 アンケート

「お客様からご意見があればすぐに改善するようにしています。厳しいご意見もありますが、良いご意見も従業員にフィードバックしています。最近では、お客様から『雨の日に迎えに来てくれた仲居さんが、自分の傘が壊れているのに気づき、わざわざ旅館に戻って新しい傘を持ってきてくれて感動した』というお声をいただきました」

加賀屋の客室に置かれたアンケート項目は多岐に渡ります。食事だけでも、朝・夕ごとに、量、味付け、郷土食、季節感など、細かな項目に分かれています。

加賀屋 若女将

「文章でお気持ちが分かるから、手書きを大切にしています。また、お客様の気持ちを聞かせていただきたいので自由記入スペースは多くとっています」と若女将。加賀屋での思い出や、印象的なエピソードを丁寧に綴ってくれるお客様も多いとか。

「アンケートはお客様からのラブレターだと思っています」
加賀屋のおもてなしは、従業員だけでなく、お客様と相互に作り上げているものだと言えるのかもしれません。

世代を超えて愛される宿「加賀屋」

加賀屋の玄関

また、帰り際に「帰りたくない」と泣いてしまうお子さんもいるそう。若女将はその理由を「加賀屋に来て、おじいちゃんおばあちゃんが幸せそうにしているのをお子様が感じているんだと思います」と話します。

加賀屋のおもてなしに感動し、幸せな気持ちになった家族を見て、また行きたいと思われるようになる。そんな風に、加賀屋は世代を超えて愛される宿になったのです。

従業員とお客様の関係を超えた、人対人のお付き合い。それが加賀屋の魅力

担当の仲居さんが付き、身の回りのお世話を全て行ってくれるのも、加賀屋のおもてなしの特徴。日頃一番近い距離でお客様と接している、まさに「加賀屋のおもてなし」を体現している仲居さんにもお話をお伺いしました。

加賀屋 仲居さん

仲居さんの中でも、入社して15年ほどのベテランであり、お客様からの指名も多いというリサさん。なんと、お客様とお手紙の交換をすることもあるとか。

「お客様の中には『ただいま』と言って来てくださる方もいらっしゃいます。もう一つの家のように感じていただけるのはうれしいですね」とリサさん。従業員とお客様の関係を超えた人対人のお付き合いがあるのも、加賀屋の魅力と言えるでしょう。

加賀屋 仲居さん

おもてなしで心がけていることに関しては、「しっかり関わってほしいお客様もいらっしゃれば、そっとしておいてほしいお客様もいらっしゃいます。ちょっとした会話や雰囲気から感じ取って行動しています。会話の中で、お祝いや記念日でいらしているのかな?と思ったら準備をしたり、旅の目的をお伺いして、最適なおもてなしをしたりするようにしています」とのこと。加賀屋の心地よさの秘密は、お客様が求めていることを感じ取り、臨機応変な対応をすることにあるようです。

時には旅館にないお酒などをわざわざ外に調達しに行くこともあるそう。お客様の要望に応えられるよう、できる限りのことをする。それが加賀屋のおもてなしのこだわりです。

純和室の客室にて非日常を味わう

能登渚亭の客室
能登渚亭の客室

加賀屋のおもてなしの心はお部屋を始め、施設内の端々から感じられます。加賀屋は特別階浜離宮、雪月花、能登渚亭、能登客殿、能登本陣の5タイプのお部屋がありますが、共通しているのは数寄屋風の佇まいという点。

加賀屋の客室

「畳、ふすま、床の間がある日本家屋が少なくなりましたよね。せっかく加賀屋にお越しいただいたからには、非日常を味わっていただきたいと、純和風を大切にしています」と若女将。

加賀屋の客室

「ただ、ご年配の方などは畳がつらい方もいらっしゃるので、お部屋によって掘りごたつだったりテーブルだったり、しつらえを変えています」とも話し、お客様によって、どのお部屋に案内するか臨機応変に対応している、とのこと。

海側の客室であれば、部屋から目の前に広がる七尾湾の絶景も一望でき、ロケーションも最高です。

温泉には、全ての人が快適に過ごせる工夫が

和倉温泉は、北陸で唯一の海から湧き出る温泉。飲泉もでき、薄めて飲むと胃腸にいいと言われています。そんな温泉を、バラエティ豊かな浴槽で楽しめるのも加賀屋の特徴。

花神の湯
女性大浴場 野天風呂
男性大浴場 野天風呂

女性大浴場は、まるで竜宮城のような鮮やかさの「花神の湯」と、露天風呂がついた「辨天(べんてん)の湯」の2つ、男性の大浴場は広々とした「恵比寿の湯」があります。どのお風呂からも七尾湾の絶景が一望でき、天気のいい日は、夕日で茜色に染まる七尾湾も見ることができます。

男性湯の中のエレベーター

男性大浴場は3フロアに分かれていますが、エレベーターがついており、足の悪いお客様にも快適に過ごしてもらえる心遣いが。

タオルの棚

さらに、お風呂を出るとすぐにタオルが積まれているので、部屋からタオルを持って行ったり、フェイスタオルで体を拭いてから脱衣所に戻ったりする必要がありません。

マッサージチェアや飲料水などの用意もあり、かゆいところに手が届くおもてなしが随所に見られました。

細部にまで心遣いを感じられる加賀屋のお食事

加賀屋 食事
加賀屋 食事
加賀屋 食事
加賀屋 食事

加賀屋のお食事は、季節ごとに厳選した旬の素材、地元の素材を使った料理が一品ずつ運ばれてくるのが特徴。「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいまま召し上がっていただきたい」という気持ちから、自然とこのスタイルになったそう。

また、雪月花、能登渚亭は部屋食も可能。その場合にも一品ずつ運ばれてきます。それぞれのお部屋に仲居さんがつき、丁寧にお料理の説明をしてくれます。

加賀屋 お茶碗

さらに朝食には、前日の夜とは柄が異なるお茶碗を使うというおもてなしも。

「2食目以降は担当の仲居が使用するお茶碗を選んでいます。お客様のお好みが分かれば、お客様に合わせてお出ししています。たくさん種類があるので、1週間分くらいは違うお茶碗がお楽しみいただけると思いますよ」とリサさん。

館内に詰め込まれた石川の伝統芸能にも、おもてなしの心が

加賀屋 漆塗りのピアノ

加賀屋では、館内のいたるところに石川県の伝統工芸品が飾られています。ショーケースに工芸品が飾られている宿泊施設は珍しくありませんが、館内のしつらえとして数多くの伝統工芸品が飾られているお宿はあまりないでしょう。

館内は美術館ツアー

また、その中でも代表的な作品を解説付きで案内する「館内は美術館」というツアーも開催されています。「お客様に能登の伝統工芸を楽しんでもらいたい」というおもてなしの気持ちからできたツアーで、お客様からも好評だそう。

1日2回、各回約45分のツアーで、参加費は無料。チェックイン時に参加の旨を伝えれば気軽に参加ができます。ただし、人数に限りがあるので事前予約が確実です。

館内は美術館ツアー

ツアーでは、話を聞くだけではなく、作品を間近に感じることができるのもうれしいポイント。人間国宝や著名な作家の作品も楽しむことができます。

ラウンジ飛天

また、ラウンジ「飛天」にも、気軽に伝統工芸に触れられる心遣いが。

金沢金箔とコーヒー

テーブルの上に伝統工芸の金沢金箔が置いてあるので、飲み物に振りかければちょっと贅沢な気分を味わえます。目の前の七尾湾の景色を見ながら、ゆったりと寛ぎの時間を過ごすのもおすすめ。


随所におもてなしの心が垣間見える加賀屋。お客様が心地よく過ごせる理由は、「お客様をよく見てよく聞いて、お客様の求める距離感を大切にしている」から。世代を超えて愛される宿「加賀屋」に、ぜひ訪れてみてください。

住所
石川県七尾市和倉町ヨ部80番地
総部屋数
232室
宿泊料金
能登渚亭 1室2名様利用時 おひとり様39,600円~
※掲載料金は2020年3月24日時点のご紹介プランおひとり様あたり最低料金です。ご予約時と異なることがありますので予めご了承ください。

撮影・取材・文:江戸しおり

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