有形文化財に登録されている建物、非日常の時間を提供してくれる客室、自慢の温泉、地元の食材を使った季節の料理など、実際に宿泊した人たちの評価が高い温泉宿にはさまざまな魅力があります。家族と、恋人と、友人と、大切な日に泊まりたい極上の人気温泉宿を6軒ご紹介します。
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おちあいろう
伊豆・天城湯ヶ島温泉郷にある「おちあいろう」は、1874(明治7)年創業の温泉旅館。2つの川が「落ち合う」場所にあることから、江戸時代末期の幕臣・山岡鉄舟によって名付けられ、島崎藤村や川端康成、北原白秋など、名だたる文人に時代を超えて愛されてきました。
約4,000坪の敷地に建てられた本館や別館「眠雲亭」などは、匠の技で生み出された登録有形文化財。全14室の客室はすべて異なる意匠が施され、川のせせらぎと歴史に裏打ちされた和の趣に癒しのひと時を過ごせます。
3カ所ある温泉浴場には内風呂に加え、露天風呂や洞窟風呂、趣向の異なる2つのサウナなどが。美肌の湯と言われる天城湯ケ島温泉ならではの硫酸塩泉を、伊豆の大自然に抱かれながら堪能できます。地元で採れた四季折々の素材を使い、季節によって変わる料理も好評です。
▼宿泊体験記
城崎温泉 西村屋本館
「城崎温泉 西村屋本館」があるのは、山陰随一の温泉地である兵庫県北部の城崎(きのさき)温泉。江戸・安政年間に創業し、160年にもおよぶ歴史と伝統を伝える宿は、国内外からの多くのゲストを魅了し続けています。
一幅の絵画のように美しい日本庭園を囲んでしつらえられた33の客室は、いずれも異なる趣。特に、数寄屋建築の巨匠・平田雅哉氏の手による別棟「平田館」におかれた9室は、どれも匠の美意識を随所に感じる空間となっており、美しい日本の様式美の真髄を心ゆくまで堪能できます。
古くは「古今和歌集」にも詠まれた古湯は、檜風呂や大陸風のタイル風呂など、趣向の異なる3つの大浴場で楽しむことが可能。豊かな地元食材を生かした料理や、城崎温泉の代名詞でもある外湯めぐりも楽しめ、「ここを超える宿を探すのは難しい」とさえ思わせる、唯一無二の滞在が叶います。
▼宿泊体験記
由布院温泉 山荘 無量塔
大分・由布院の山麓にある「由布院温泉 山荘 無量塔(むらた)」は、豊かな大自然と古民家のリ・クリエイトによって生まれる独自の世界観が魅力の温泉宿。滋賀や新潟など日本各地から移築した古民家が配され、山間の静謐な空気を感じながらくつろげます。
一棟ごとに間取りが異なる、古民家を中心とした客室は全12室。いずれも新旧和洋の家具や美術品がしつらえられ、落ち着いた空間を形成しており、こだわりのディテールに触れれば、ときにクラシック、ときにモダンな風情を味わえます。
全客室に温泉が引かれており、内湯ながら開放感あふれる温浴が可能です。部屋食でいただける料理は、ブランドではなく味を愉しむという料理の本質に立ち返ったもの。施設内には宿と世界観をともにする茶寮やバー、美術館などもあり、無限の豊かさに触れられます。
扉温泉 明神館
長野県松本市街から車で30分ほどの奥座敷、扉温泉は日本神話にも語り継がれる伝説の出湯(いでゆ)。標高1,050メートルの渓谷に佇む一軒宿「扉温泉 明神館」は1931(昭和6)年の創業以来、訪れる人を虜にしてきた和のリゾートです。
豊富な部屋タイプから選べる43の客室は、非日常の時間を過ごせる上質な空間。各室に温泉が引かれており、大浴場だけでなく客室のバスルームでも、神々に愛されたという扉の名湯を味わえます。2021年春に誕生した「然 SPA Living」は、リビング中央に配された浴槽が印象的。大自然に抱かれ、極上のリトリートが叶います。
KUSHIマクロビオティック認定シェフを総料理長に迎えた「ナチュレフレンチ菜」でいただける体に優しいフランス料理や、地元の旬食材と伝統の発酵技術を取り入れた「信州ダイニングTOBIRA」の日本料理も好評で、信州ワインとともに楽しめます。
▼宿泊体験記
海石榴 つばき
明治期には、夏目漱石ら日本を代表する文豪たちが静養に訪れたという湯河原温泉。その最奥で山懐に抱かれるように佇むのが温泉宿「海石榴(つばき)」です。首都圏からのアクセスも良好な立地で、多くのリピーターを集める人気宿となっています。
可憐に咲く椿の花に迎えられ、通されるのは木の温もりを感じさせる数寄屋造りに配された客室。窓から美しく手入れされた庭園を眺めれば、瞑想にも似た非日常の時間を味わえます。ミキモトのコスメや椿モチーフのタオルなどを揃えたアメニティーにも、温かな心遣いが。
万葉集にも詠まれた歴史ある温泉は、弱塩泉・弱アルカリ性の肌にやさしい理想的な泉質。庭園の緑を望む大浴場や露天風呂はもちろん、部屋付きの専用露天風呂で楽しめる客室もあります。季節の懐石料理は、料理人の技と器使いも評判。また訪れたくなるなごみの宿です。
▼宿泊体験記
谷川温泉 別邸 仙寿庵
名峰・谷川岳を背景に、1,000坪にもおよぶ広大な敷地にわずか18室のみをしつらえた贅沢な宿が「谷川温泉 別邸 仙寿庵」。すべての客室に源泉かけ流しの露天風呂を備えており、四季折々、刻々と変わる谷川岳の姿を眺めながらの温浴が楽しめるとあって、夏の新緑、冬の雪景色と、季節を変えてたびたび訪れるファンも多くいます。
趣の異なる5つの大浴場、露天風呂は、いずれも谷川の瀬音と深い緑に包まれながら楽しめる癒しの湯。湧出量の多い低張性弱アルカリの湯による温浴効果と、植物性アロマの力を併用したスパでのリラクゼーションも叶います。
上州産黒毛和牛や清流で育った新鮮な岩魚など、地元の海の幸・山の幸をふんだんに使った料理も絶品。天窓から夜空を眺められる部屋や囲炉裏と土壁が和の趣を添える部屋など、多彩な個室が用意されており、プライベート空間でゆったりいただけます。