京都よりみちこみち 木屋町通【前編】

提供:ことりっぷ

 

春爛漫、こぼれるように咲く桜の花に、誰もが笑顔になる木屋町通。通りに沿って流れゆく高瀬川のせせらぎを聞きながら、随所に残る歴史の片鱗と、京都ならではの素敵なお店を探しにでかけてみませんか。

 

高瀬川の流れにいざなわれ 桜が彩る通りをどこまでも散策

高瀬川の流れにいざなわれ 桜が彩る通りをどこまでも散策 建築家・安藤忠雄が設計したタイムズビル。桜と柳と、陰影あるコンクリートのコントラストが印象的

京都が薄紅色に染まる春、数ある桜の名所のなかでも、鴨川と河原町通に挟まれた木屋町通はアクセスもよく、お花見しながら気軽にさんぽが楽しめると人気です。通りに寄り添うように流れる高瀬川も、春爛漫の景色を引き立てます。夜になると飲食店がひしめくあたりでは、灯りのさんざめく繁華街の顔になりますが、昼の表情はいたって穏やか。のんびりと町あるきができますよ。

花と川が織り成す風景を愛でるなら、空気が澄み渡る朝におでかけするのもおすすめです。ちょっとした科学実験の体験や心鎮まる寺院での参拝、細い路地奥にたたずむショップを探し、クラシカルな名喫茶や緑の広場で休憩しつつ、素敵な出会いを求めて気ままにさんぽしてみましょう。

 

京都発、日本の近代化を科学技術でけん引「島津製作所 創業記念資料館」

京都発、日本の近代化を科学技術でけん引「島津製作所 創業記念資料館」 1875(明治8)年の創業から約45年間本店として使用。明治のたたずまいを残す木造2階建て

地下鉄京都市役所前駅から徒歩3分の「島津製作所 創業記念資料館」。世界に知られる精密機器メーカー・島津製作所の本店と、創業者である島津源蔵父子の住居を兼ねていた建物を資料館として公開しています。

 

ずらりと並ぶ理化学器械の数々

館内には、国産のレントゲン装置「ダイアナ号」をはじめ、多くの理化学器械、標本などを展示。科学って面白い!と思える実験コーナーも人気です。時代の要請にいち早く科学で応えてきた島津の歴史とともに、物づくりにかける情熱に触れてみませんか。

 

芳醇なチョコレートと山紫水明の景色を味わう「サロン ド ロワイヤル 京都店」

芳醇なチョコレートと山紫水明の景色を味わう「サロン ド ロワイヤル 京都店」 ケーキセット1600円。光沢が美しいショコラバニーユは、濃厚なムースショコラとバニラクリーム、ガナッシュ、アーモンドのザクザク生地が重なる

地下鉄京都市役所前駅からすぐ、細い路地をたどってゆけばガラスの扉が迎えてくれるショコラトリー、「サロン ド ロワイヤル 京都店」。1935(昭和10)年創業の老舗チョコレートメーカーが営む高級感ただよう店内では、眺めるだけで幸せな気分になれそうな宝石のようにきらめくショコラやチョコを生かしたケーキがお待ちかねです。

 

鴨川ビューの窓は全面ガラス張りで開放感たっぷり

ショーケースに並ぶチョコレートは、日本酒や柚子、ワサビや豆腐などの和素材が使われているものも多く、バラエティー豊か。併設のカフェでケーキセットを注文すると、チョコレートとピーカンナッツチョコレートが添えられるうれしいサービスもありますよ。

 

一度食べたらやみつきにやさしい甘さのわらび餅「本家月餅家直正」

一度食べたらやみつきにやさしい甘さのわらび餅「本家月餅家直正」 わらび餅3個入り870円。箱を包む青い包装紙には、鴨川のせせらぎと千鳥がデザインされている

「本家月餅家直正」は、創業から200年以上の時を重ね、地元民のみならず観光客からも愛されてきた和菓子の老舗。香ばしいきな粉をまとい、なめらかなこしあんが包まれたふるふるのわらび餅は大人気商品。12時頃からの販売で予約しておくのがベターです。

 

月餅(つきもち)は1個190円。ほか、おやつにもおみやげにもぴったりな季節の生菓子や干菓子などが並ぶ

初代が考案し命名した看板商品の月餅(つきもち)は、中に白あんが入り、皮を飾るケシ粒は月の表面を表したとのいわれもある店名の由来にもなった名物です。

 

悲運のうちに早世した豊臣秀次公と御一族を弔う寺「瑞泉寺」

悲運のうちに早世した豊臣秀次公と御一族を弔う寺「瑞泉寺」 本堂前の地蔵堂には、地蔵菩薩を中央にして両脇に御一族や殉職した家臣らの人形が祀られている

木屋町通に面する山門から参拝者を迎える「瑞泉寺」。安土桃山時代、謀反の疑いにより高野山で切腹し、28年の生涯を閉じた豊臣秀次公に続き、鴨川の三条河原で秀次公の妻子や侍女39人もが斬首されるという惨劇が起こりました。のちに角倉了以が、秀次公御一族を弔うために寺院を建立し、瑞泉寺と名付けたのが始まりです。

 

豊臣家家紋「五七の桐」の瓦にも注目

境内の中央奥には、秀吉の甥の秀次公の石櫃、両側には御一族や家臣の石塔が並び、秀次公御一族を慰めるかのように四季折々の花が咲きます。

 

からだにしみ渡ってゆく滋味深きだしのみそ汁「志る幸」

からだにしみ渡ってゆく滋味深きだしのみそ汁「志る幸」 利久辨當2700円。汁物は白味噌仕立ての豆腐の味噌汁。他の具材にも変更できる(別料金)

創業は1932(昭和7)年、汁物を主役にした店として知られる「志る幸」は、阪急京都河原町駅からすぐの場所にあります。

名物の利久辨當(りきゅうべんとう)は、かやくごはんと5種の肴に風味豊かな汁物がつき、すべてがしみじみとおいしい味わいです。季節のかやくごはんに、半熟卵や焼き物、鶏の旨煮、ワケギのヌタなどが付き、汁物でおなかも温まります。 

 

京都の代表的な風景をあしらった店内。五条大橋や三条大橋の欄干、八坂神社の能舞台をイメージ

幕末、幕臣や志士たちも闊歩した路地に立ち、白く大きなのれんが目印です。井戸水で丁寧にだしを取り、「はまぐり」を「はまくり」にするなど、汁が濁らぬようにとの思いから具材名には濁点をつけないそう。人気の具、大和芋をすりおろして丸めた「おとしいも」もじっくり味わって。

 

 

文:text:Akimi Tanaka、Eriko Totsuka(Rakutabi )、photo:Yasutaka Ogawa 編集:ことりっぷ編集部

 

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