自然美が楽しめる利尻島・礼文島
日本最北の離島、利尻島と礼文島。利尻島には百名山の利尻富士(利尻山)があり、多くの人が登山に訪れます。一方、礼文島はなんと言っても花が美しい島。これからベストシーズンの夏を迎え、美しい自然が楽しめる2つの島の魅力と絶景スポットを、美瑛在住の写真家・中西敏貴さんがご紹介します。
写真家
中西 敏貴(なかにし としき)さん
1971年、大阪生まれ。独学で写真を学びながら、1990年頃より北海道へ通い続け、2012年に美瑛町に移住。以来、住んでいなければ出合うことができない風景を撮り続けている。光を強く意識した風景作品を主軸に、自然の中に日本の伝統的な造形美を見出す表現にも取り組み、BS朝日「The Photographers3」やNHKの番組などでも取り上げられた。写真展や写真集のほか、カメラメーカーの広告、各種雑誌、企業カレンダーなどでも精力的に作品を発表している。
目次
おすすめの絶景スポット【1】利尻富士(利尻島)
利尻島へは札幌から飛行機でもアクセス可能ですが、利尻島・礼文島ともに稚内からフェリーで向かうのが一般的。その際、稚内からは利尻島にある標高1,721mの利尻山、別名「利尻富士」が望めます。
特に稚咲内海岸(わかさかないかいがん)などから海越しに眺める利尻富士は格別で、海の上に山が浮かんでいるような独特の景観は、朝夕と素敵な表情を見せてくれます。まずは島へ渡る前にぜひ撮影してみましょう。稚内に前泊すれば、夕焼け空と利尻富士を一緒に撮影することも可能。なにより、島へ向かう気持ちが高ぶること請け合いです。
利尻富士(利尻山)
- 住所
- 北海道利尻郡利尻富士町鬼脇
- アクセス
- 利尻島鴛泊港(おしどまりこう)より鴛泊登山口まで車で約10分
おすすめの絶景スポット【2】姫沼(利尻島)
利尻島に渡ったら、まずは姫沼へ向かいましょう。雪を残した利尻富士が水面に映り込むシーンを撮影するには、風のない日がベスト。夜明け前などは風が吹くことが少ないので、チャンスが広がります。
また、条件が整えば星空撮影もおすすめ。クマの心配がない利尻島では安心して撮影に集中できます。
姫沼
- 住所
- 北海道利尻郡利尻富士町鴛泊湾内
- アクセス
- 利尻島鴛泊港より車で約10分
おすすめの絶景スポット【3】ヤムナイ沢(利尻島)
利尻富士から吹きおろす冷たい風のおかげで、夏も雪が残っている場所。それがヤムナイ沢です。利尻島の南東・鬼脇地区から狭い山道を車で走ること30分ほどで駐車スペースへ、そこからは徒歩約10分で到着します。
残雪の迫力を出すために広角レンズを使って撮影するのがいいでしょう。晴れていれば、ここから眺める利尻富士もすばらしい絶景です。
ちなみに、利尻島の海沿いでは6~7月にかけてはエゾカンゾウという黄色い花が咲き乱れます。天然の花畑なので、望遠レンズで切り取るように狙ってみると、群生感をより強調することができるでしょう。
ヤムナイ沢
- 住所
- 北海道利尻郡利尻富士町鬼脇
- アクセス
- 利尻島鴛泊港より駐車スペースまで車で約50分、そこから徒歩約10分
おすすめの絶景スポット【4】桃岩展望台(礼文島)
約300種の高山植物が自生することから、「花の浮島」と呼ばれる礼文島。中でも南部の桃岩展望台周辺は多くの花が群生しています。トレッキングコースとしても人気で、少し歩くだけで多くの花を楽しむことが可能。天気が良ければ海を背景に、風に揺れる花を見ることができ、夕日を絡めたすばらしい景色も撮影することができるでしょう。
ここでも広がりを出すため、広角レンズを使うことをおすすめします。ただ花が小さいので、姿勢を低くして花の密度を演出するのがコツです。
望遠レンズを持っている場合は、クローズアップ撮影にもチャレンジ。気に入った花を見つけたら、姿勢を低くして手前の草木を利用して”ボケ”を作ります。そうすることで奥行きを作り出すことができるでしょう。
桃岩展望台
- 住所
- 北海道礼文郡礼文町香深村
- アクセス
- 礼文島香深港(かふかこう)より桃岩展望台駐車場まで車で約8分
おすすめの絶景スポット【5】澄海岬(礼文島)
美しい海を眺めるなら、礼文島にある澄海岬(すかいみさき)がおすすめ。透き通った水と不思議な造形をした岩礁地帯が独特の景観を作り出しています。晴れた日はその青さがさらに際立ち、吸い込まれそうなほど。望遠レンズで切り取ってみると、その不思議な美しさが際立ちます。
澄海岬
- 住所
- 北海道礼文郡礼文町船泊村
- アクセス
- 礼文島香深港より澄海岬展望台駐車場まで車で約30分
利尻島・礼文島に来たら、ぜひウニを!
利尻・礼文の夏といえばウニ。濃厚なエゾバフンウニや、あっさりしたムラサキウニを使ったウニ丼は最高のご馳走です。中には両方が楽しめるダブルウニ丼も! 獲れたばかりの新鮮なウニを心ゆくまで堪能してください。
両島ともフェリーターミナルの近くにはいくつか食堂があるので、旅の最後の思い出にぜひ。
山と海の距離がとても近い利尻島。これほどの距離感で両方が楽しめる場所はとても珍しいでしょう。百名山にも名を連ねている利尻富士に登り、翌日は海の風景を撮影する。そんな欲張りな撮影旅行ができるのも、利尻島ならではです。
そして、夏の礼文島はとにかく花が美しい! 利尻島ほど高い山もなく、ゆっくり歩きながら心ゆくまで花の絶景を撮影できます。稚内を拠点に2つの島をめぐる旅もおすすめです。ただし、夏の利尻島・礼文島は雨が多いため、撮影に集中できるよう、雨具の用意は忘れないようにしてください。