木を通して徳島を知る!「徳島木のおもちゃ美術館」で木の魅力を体感しよう

徳島木のおもちゃ美術館

「徳島木のおもちゃ美術館」は、徳島県板野郡にある木の魅力に触れ「木育」ができる美術館です。木のおもちゃを楽しむことができるということで子連れ家族に大人気ですが、写真映えするスポットや大人も夢中になれるボードゲームなども用意されているので、さまざまな年代にも利用されています。今回は、そんなユニークな美術館の魅力をご紹介します。

 

「徳島木のおもちゃ美術館」ってどんな施設?

徳島木のおもちゃ美術館

良質なおもちゃを通じた楽しみや学びを提供する「東京おもちゃ美術館」の総合監修の下、徳島県が2021年に設立した「徳島木のおもちゃ美術館」。館内に入ると施設全体にスギの木のやわらかい香りが漂っていることに気づきます。館内で使われている木材の約99%は県産のもので、徳島の森林の豊かさがわかります。

 

徳島木のおもちゃ美術館

休日はもちろん平日も多くの利用者でにぎわう館内には、さまざまな木のおもちゃや、ついつい写真を撮りたくなる写真映えスポット、大人でも頭を抱えて考え込んでしまうボードゲームなどがいっぱい!

 

美術館のコンセプトは「木育・文化継承・多世代交流」

徳島木のおもちゃ美術館

徳島県は面積の4分の3が森林地帯。日本国内において森林率の高い都道府県ということもあり、林業を核とした「地方創生」を目指す「スマート林業プロジェクト」を展開しています。そんな徳島の森林の豊かさを知り、木の魅力や温もりを感じることで、「木育」を推進していくことが当施設の大きな目的のひとつです。

 

徳島木のおもちゃ美術館

また、阿波人形浄瑠璃や遊山箱(ゆさんばこ)といった徳島県の伝統文化には、木の道具との関わりが深いものも多く、館内では徳島の伝統文化に関連した展示も見られます。伝統的な郷土文化を木と関連づけて展示することによって、遊びながらも地域の伝統文化に自然と触れられる工夫がなされています。

 

徳島木のおもちゃ美術館

遊山箱というのは、3段重ねの手提げの重箱のこと。今ではなかなか目にする機会がありませんが、江戸時代から昭和の中頃までは、遊山=ピクニックのようなお出かけの際に、一般家庭でも使用されていました。ここでは、さまざまな意匠を凝らした遊山箱が並んでいます。

 

徳島木のおもちゃ美術館
画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

他にも、当施設が大事にしているのは「みんなで遊ぶ」という体験。昨今のゲームは一緒にいる人と楽しむというより、自分一人でクリアすることに集中してしまうものが多いのですが、ここにあるおもちゃは人と交流しながら楽しめるものばかり。

 

徳島木のおもちゃ美術館
画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

見た目だけでは遊び方がわからないおもちゃもありますが、赤いエプロンを着たボランティアの「おもちゃ学芸員」が遊び方を教えてくれ、世代を超えた交流が生まれる場所にもなっています。子どもが数分前までできなかったことができるようになることで成長を感じ、本人や保護者だけでなく見守るスタッフも同時に喜んで、「みんなで遊ぶ」ことを体感できます。

 

テーマや対象年齢ごとにさまざまなエリアが展開

徳島木のおもちゃ美術館

館内は「里山ひろば」や「ごっこフォレスト」など、テーマごとにエリアが分かれています。エリアによってテーマや対象年齢が違っているので、好みで遊ぶ場所を考えましょう。

 

徳島木のおもちゃ美術館
画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

入り口に最も近い場所にあるのが、「あさん農村舞台」です。徳島県の地方の神社には、江戸時代の幕末期に人形芝居用の「農村舞台」が多く造られ、人形浄瑠璃の上演が行われていました。中には現役のものも残っており、定期的にイベントが開催されています。こちらの舞台でも、浄瑠璃の上演活動を行う部活動「民芸部」に所属する高校生などによって、実際に上演が行われることも。

 

徳島木のおもちゃ美術館

さらにこちらのエリアでは、舞台だけではなく、触って遊ぶことができる遊山箱が置かれていたり、雛祭りが盛んな地域で見られる「つるし雛飾り」が展示されていたりと、見所にあふれています。徳島のいろいろな地方で継承されている伝統文化を一度に触れられる貴重な体験となるでしょう。

 

徳島木のおもちゃ美術館
画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

奥に進むと「里山ひろば」とつながっています。こちらは、山も川も豊かな自然を持つ徳島県の風土を木で表現したエリアとなっており、中央にあるやや平坦な山は県のシンボル的存在である「眉山(びざん)」です。その周りには卵型の木がゴロゴロ転がっており、県を横断するように流れる四国最大の河川「吉野川」がイメージされています。

 

徳島木のおもちゃ美術館
画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

そのすぐ隣には、3歳未満の赤ちゃんとその保護者専用の「赤ちゃん木育ひろば」があります。ここには、ゆっくりとした動きのおもちゃが並べられていて、まだ小さな子どもでも楽しめるようになっています。誤飲の可能性がある小さな部品が使われたおもちゃは置かれていないので、安心して子どもを遊ばせることができます。
天井には県の代表的な工芸品である藍染めされた生地が吊るされており、寝転がった時にはモビールのように見て楽しむことができるような工夫もされています。

 

徳島木のおもちゃ美術館

中央のエリアに位置している館内最大の高さと広がりを持つ開放的な空間は「ごっこフォレスト」です。山を散策するような感覚で、木で作られた農林産物の収穫ごっこができます。例えば、県の名産品である椎茸が原木で育てられていることも再現されていて、その後ろには柚子やすだち、梨やぶどうなども並んでいます。磁石でくっついているので、本当に収穫しているような体験ができますよ。

 

徳島木のおもちゃ美術館

畑のようなゾーンには、大根や人参、竹の子といった木でできた野菜が置かれています。あえて色が塗られていないものがあることにも注目。これは先入観にとらわれずに目の前のものを判断することで、子どもの想像力を育むことを狙いとした工夫です。色がないと、意外と大人も「これは何だろう?」と考え込んでしまうものなので、子どもと一緒に会話をしながら収穫すると思わぬ発見があるかもしれませんよ。

 

徳島木のおもちゃ美術館

「ごっこフォレスト」の奥につながるのは、「うだつのまち」。県内屈指の人気観光スポットである「脇町うだつの町並み」を模したエリアとなっています。「うだつ」というのは、建物の二階部分に突き出した小柱や装飾のこと。元々は防火壁の用途で使われていたものが、後に富の象徴となったことから、出世できないことを「うだつの上がらない」と表現する慣用句が生まれたとされています。

 

徳島木のおもちゃ美術館

「うだつのまち」はスペースごとにテーマの異なる木のおもちゃが展示されていて、けん玉やコマなど昔の日本で楽しまれていたおもちゃや、徳島で生み出されたおもちゃを楽しむことができます。写真の「ジスイズヴィークル」は、徳島県北島町の「小石製作所」によって作られた木の車。使っている木材の種類によって微妙に色や重さが違っているので、手で持って比べてみましょう。

 

徳島木のおもちゃ美術館

その隣のスペースには、「てるぺん 不思議な椅子」という徳島県上勝町のスギ材を使ったおもちゃが並べられています。一つひとつはただの椅子の形をしたおもちゃですが、組み合わせ方次第で家のような形になったり、迷路になったり、モニュメントのような形を生み出したり…。さまざまな形を作ることで子どもたちの独創性や想像力を育みます。積み上げている途中で崩れて足や顔に当たっても、軽くてやわらかいおもちゃなので、小さな子どもでもいろいろな形づくりにチャレンジできますよ。

 

画像提供:徳島木のおもちゃ美術館

「ゲームひろば」には、未就学児でも楽しめる初級のものから大人でも頭を使わないとなかなかできない上級のものまで、さまざまなボードゲームが並んでいます。シンプルなものであれば馴染み深い「リバーシ」もあります。三目並べにアレンジが加えられたアメリカ発祥の「ゴブレット・ゴブラーズ」などの世界各国から集められたゲームがそろっています。

 

徳島木のおもちゃ美術館

木以外で作られたおもちゃも置かれているのが「グッド・トイひろば」です。ここにあるのは、世界中のおもちゃから約2,000人のおもちゃコンサルタントによって選定される「GOOD TOY AWARD」を獲得したものばかり。100種類以上あるおもちゃの中には、ブロックをドミノのように倒した後にひもを引いて立ち並べることができる「カーブドミノ」などの、ユニークなおもちゃが並んでいます。

 

「隠れた楽しみ」も探してみよう

徳島木のおもちゃ美術館

館内には、言われなければ気づかないようなちょっとした遊び心が隠されています。紹介した吉野川の卵の中には、どんぐり型のものが混ざっています。約5万個ある卵の中に100個あるので、頑張って探してみてください。

 

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他にも、「ごっこフォレスト」の中央にそびえたつシンボルツリーの中は、らせん状に滑り降りることができる木製の「渦潮すべり台」になっています(対象年齢4歳以上)。一見するとただのオブジェなので、見逃さないようにしましょう。

 

徳島木のおもちゃ美術館

靴箱や荷物入れの鍵に付けられたキーホルダーも木でできていて、ちょっとしたところにも木の温もりを感じる工夫がされていることがわかります。徳島の山桜の木をそのまま使ったベンチが置かれていたり、加工の違いによって見た目や感触の異なる2種類の床材を隣り合わせで使ってみたりと、さまざまな工夫があるので探してみるのも楽しみ方のひとつです。

 

徳島木のおもちゃ美術館

入り口と遊ぶエリアをつなぐ「鎮守の杜トンネル」は人気の写真映えスポット。木でできたアーチがいくつも並んでいるような作りとなっていて、千本鳥居のようなトンネルです。横から差す日の光も相まって簡単に映える写真が撮れるので、ぜひ記念の一枚をここで撮ってみてくださいね。

 

木を通して感じる徳島の魅力を体感してみよう

徳島木のおもちゃ美術館

豊かな自然に囲まれた徳島県の魅力を、木を通して体感できる「徳島木のおもちゃ美術館」。子どもだけではなく、大人も楽しみながら学びを得ることができるため、幅広い人から人気となっています。「遊び」「木」「おもちゃ」といった視点から、徳島のことを深く知る体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

徳島木のおもちゃ美術館

開館時間
9:30~16:30(7~8月は9:30~17:30)
休館日
水曜日(祝日の場合開館、翌日休館)
住所
徳島県板野郡板野町那東字キビガ谷45-22(あすたむらんど徳島内)
入館料
大人800円、小中学生300円、小学生未満は無料
アクセス
【車】徳島空港から約30分
駐車場
あり(無料)

 

取材・撮影・文/岡本大樹 

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