瀬戸内海に浮かぶ「江田島」は、広島港からフェリーで約1時間。陸路からも約1時間とアクセスしやすいことから「広島に一番近い島」と呼ばれる島です。
江田島周辺は、広島県が指定する清浄海域のひとつで、広島の名産として知られる「牡蠣」を生産しやすい条件がそろっています。生食用の厳しい審査基準をクリアしており、牡蠣が育つために必要不可欠なミネラルが豊富。塩分濃度も最適なエリアです。今回はそんな「江田島」の牡蠣を堪能できるグルメスポットを中心に、歴史的な観光名所やお土産、パワースポットをご紹介します。
1.「江田島」へのアクセス
江田島へは倉橋島を経由して、車で陸路から行く方法と、広島市、呉市から小用港（こようこう）までフェリーで行く方法があります。フェリーを利用すれば、島々が連なってできる多島美ものんびりと楽しめるので特におすすめ。瀬戸内ならではの風景を堪能しましょう。
島内での移動は、バス・タクシーのほか、レンタサイクルやカーシェア、乗り捨て可能のレンタサイクルを使用することができます。
＜レンタサイクル＆カーシェア貸出し場所＞
・小用港、切串港、中町港、ご安航 江田島 ホテル
＜乗り捨て可能なレンタサイクルの貸出し場所＞
・小用港、切串港、中町港、三高港、ふるさと交流館、Uminos Spa＆Resort、江田島荘
2.江田島の絶品グルメ！牡蠣を堪能できるお店
獲れたての牡蠣を焼いて食べられる牡蠣小屋「山岡水産」
江田島で獲れた牡蠣を各地に卸す「山岡水産」。ここでは冬になると、牡蠣をむき身にする作業をおこなっている加工場の一角を牡蠣小屋として期間限定でオープンしています。1日数組限定で予約を受けており、新鮮な牡蠣をその場で焼いて味わうことができます。席にはタイマーが用意されているので、焼きすぎる心配もありません。
牡蠣は1個（150円）から注文可能。リーズナブルに食べられるのも名産地の牡蠣小屋ならでは。牡蠣を網の上に置いたら、3分程度でパチパチと音が立ちはじめ、磯の香りが漂ってきます。ひっくり返して、ぷしゅっと口を開いたら食べ頃です。
生でも食べられる新鮮な牡蠣なので、やけどには注意しつつも、さっと口に運びましょう。プリプリの食感とともに、濃厚でミルキーな味わいや、牡蠣のエキスがたっぷりのスープが口いっぱいに広がります。
店内で提供されるのは牡蠣のみ。飲み物や調味料、おにぎりなどの持ち込みは自由となっています。そのままでも美味しいですが、色々な調味料で味を変えて楽しむのもおすすめ。焼いた牡蠣に日本酒を注いで「牡蠣酒」にするのも、焼き牡蠣の醍醐味です。
また、店内では殻付き牡蠣とむき身の牡蠣の直売も実施。購入した人は、希望すると専用の道具で牡蠣をむき身に加工する「牡蠣打ち体験」（無料）ができます。牡蠣打ちはコツがいるので、地元の人も滅多に自分ですることはありませんが、やり方はお店の人が丁寧に教えてくれるので、旅の思い出にぜひ一度はチャレンジするのもおすすめです。
山岡水産
- 住所
- 広島県江田島市能美町高田3827-1
- TEL
- 0823-45-2344（※牡蠣小屋の利用は要事前予約）
- 営業期間
- 11月1日～3月31日（※繁忙期12月などは休業）
- 営業時間
- 10:00～15:00
- 定休日
- 日曜
- アクセス
- 「小用」港から車で約20分
大粒なカキフライが地元の人にも人気の「島の台所 旬彩」
「山岡水産」から車で約10分の場所には「島の台所 旬彩」があります。大きなカキフライが食べられる地元の人にも人気の定食屋です。
11月中旬～3月中旬に訪れる場合には、期間限定で提供される「カキフライ定食」（1,500円）がおすすめ。厳選して仕入れた牡蠣はどれも大きいサイズばかり。濃厚でジューシーな食感を味わえます。
江田島の食材を堪能できる、定番の「旬菜ランチ」（1,000円）やお刺身、天ぷらでボリューム抜群の「旬菜御膳」（2,200円）も人気メニューです。
お店は夜になると居酒屋としても営業。観光客だけでなく地元の人にも人気の行列店なので、気になる方は早めに行きましょう。
島の台所 旬彩
- 住所
- 広島県江田島市江田島町江南1-2-16
- 営業時間
- 11:00～14:00（LO 13:30）、17:30～22:00（LO 21:30）※売切れ次第終了
- 定休日
- 水曜・第3火曜
- アクセス
- 「小用」港から車で約15分またはバス「江南橋」下車徒歩約3分
ミシュランガイド広島にも掲載された「にしむら庵」
『ミシュランガイド広島2013』に掲載された、知る人ぞ知る名店「めん処 にしむら庵」。利尻昆布に、地元江田島近海で獲れたいりこと、地元の醤油で作るこだわりの出汁で手打ちの蕎麦や自家製麺のうどんを堪能できるお店です。
麺類のさまざまなメニューがそろうので選ぶのに迷いますが、今回はせっかくなのでミシュラインガイド掲載メニューの「カキ天うどん」（760円）をいただきます。
もっちりとした食感のうどんと、大きい牡蠣の天ぷらが出汁をほどよく吸って、口の中で濃厚な旨みが広がります。
開店から多くの人が並ぶ、地元の人にも人気のお店です。「カキ天うどん」は、通年提供しているので牡蠣のシーズン（11月～3月）以外に江田島を訪れた方も江田島名物の牡蠣を堪能できます。
にしむら庵
- 住所
- 広島県江田島市能美町中町4704-1
- 営業時間
- 11:00～14:00
- 定休日
- 月曜日（祝日の場合は翌日）
- アクセス
- 「小用」港から車で約20分またはバス「長瀬海岸」下車徒歩約1分
3.江田島のおすすめ観光・グルメスポット
歴史的な趣ある建物も鑑賞できる海上自衛隊「第1術科学校」「幹部候補生学校」
海上自衛隊の専門教育機関で、全国に4カ所あるうちのひとつが「第1術科学校」です。赤煉瓦の建物は映画撮影などにも使用された当時の雰囲気を感じられる建物です。
教育参考館は、先人の遺徳をしのぶ場所として、昭和11（1936）年に海軍士官や財界等からの 寄付金によって建てられました。戦後、海上自衛隊の心の教育をする場所として復活したもので、海軍や海上自衛隊の歴史に関する資料が約1,000点展示されています。江田島観光には外せないスポットのひとつです。
海上自衛隊第1術科学校
- 住所
- 広島県江田島市江田島町国有無番地
- 見学日
- 【平日】11:15～／13:30～／15:15～
【休日】9:30～／11:15～／13:30～／15:15～
※行事等により、見学を中止させていただく場合があります。最新の情報は、海上自衛隊 第1術科学校公式サイトをご確認ください。 - アクセス
- 「小用」港から車で約5分またはバス「第一術科学校前」下車徒歩約1分
- 公式サイト
- 海上自衛隊 第1術科学校
江田島の映えるパワースポット「ネイビーロード」
能美に浮かぶ二つの島は、元々はひとつだった島が空襲を受けて2つに分断されたといわれています。その分断された島の間を干潮になるときにだけ、赤い鳥居が目印の鳥居船霊（ふなだま）社へとつなぐ砂浜が「ネイビーロード」です。
天候や風向きなどの条件がそろわないと見ることができないため、見られた人は幸運といわれているパワースポット。ぜひ一度立ち寄ってみてください。
ネイビーロード
- 住所
- 広島県江田島市能美町中町1265
- アクセス
- 「中町」港から徒歩約13分
自家焙煎のコーヒーを購入できる「コーヒーロースト セレーノ」
約20種類の中から選んだ珈琲豆を好みに合わせて焙煎してもらえる「コーヒーロースト セレーノ」。コーヒー好きな方におすすめの立ち寄りスポットです。
珈琲豆を購入すると、焙煎している間にコーヒーを1杯サービスしてもらえる、うれしい心遣い。手作りケーキやホットサンドなどの軽食もあるので、ティータイムにピッタリです。
店内でいただけるコーヒーは、浅煎りから深煎りまで約6種類。ケーキやパイは季節によって内容がかわります。
コーヒーロースト セレーノ
- 住所
- 広島県江田島市能美町鹿川2151-1
- 営業時間
- 10:00～17:00
- 定休日
- 水曜、木曜
- アクセス
- 「小用」港から車で約20分
美味しいオリーブオイルを見つけられる「江田島オリーブファクトリー」
「江田島オリーブファクトリー」は、レストラン、ショップ、加工場を併設した「安芸の島の実」のアンテナショップ。オリーブ栽培と収穫、商品の加工、飲食や販売までを一貫して行う、全国でも珍しいオリーブの複合施設です。
ショップでは、広島県産オリーブを使用したオリーブオイルだけでなく、江田島・呉の名産品や広島土産品も購入できます。
広島県産オリーブの実を贅沢に使用した「安芸の島の実 江田島搾り」は、オリーブの本場イタリアのコンテストで世界一を獲得した逸品。そのほか、広島県産の乾燥牡蠣をオリーブオイルでつけた「広島牡蠣オリーブオイル漬け」も、お土産にぴったり！パスタやサラダなどの料理に使用するだけでなく、そのまま食べてもおいしい人気商品です。
レストランでは、オリーブオイルをふんだんに使用したピザやパスタなどのイタリアンを味わえます。テラス席もあるので、目の前に広がる海を望みながら食事を楽しむのもおすすめ。
そのほか、秋には加工場でオリーブオイルを搾油する作業の見学も可能です。収穫されたオリーブがどのような過程を経て自分たちのもとまで届くのか、見てから料理をいただけるのもここならではの体験です。
江田島オリーブファクトリー
- 住所
- 広島県江田島市大柿町大君862-3
- 営業時間
- 平日 11:00～16:00（ラストオーダー 15:00）
土日祝 11:00～18:00（ラストオーダー 17:00） - 定休日
- 月曜 ※月曜が祝日の場合は営業、翌日休業
- アクセス
- 「小用」港から車で約20分
巨大な鬼がお出迎えしてくれる「島の駅 豆ヶ島」
入り口にある巨大な鬼に目を引かれる「島の駅 豆ヶ島」は、地元の人に親しまれている「徳永豆腐店」のアンテナショップ。同店の「鬼壺豆腐」が江田島の名物豆腐として広く知られています。壺型の容器に入った見た目には普通の豆腐ですが、口にするとびっくりするほど辛いので、辛いものが好きな方は是非試してみてください。
さまざまな種類の豆腐が並び、江田島の郷土料理「大豆うどん」（490円）などが食べられるイートインコーナーもあります。
店内には、自分で好きなだけ盛れる「豆乳ソフトクリーム」（580円）のコーナーも。甘さ控えめな味わいなので、たくさん盛っても難なく食べることができます。
そのほか、デザート感覚で食べられる「福豆腐」（白100円、赤120円）などかわいい豆腐にも注目です。
島の駅 豆ヶ島
- 住所
- 広島県江田島市大柿町飛渡瀬601-13
- 営業時間
- 11:00～16:00
- 定休日
- 火曜（祝日の場合は水曜）
- アクセス
- 「小用」港から車で約15分
併せて巡りたい！江田島周辺の観光スポット
10分の1戦艦「大和」に圧倒される「大和ミュージアム」
江田島周辺にも、一度は見ておきたいスポットが多数あります。日本一の海軍の工場の街として栄えた歴史を垣間見ることができる「大和ミュージアム」は、シンボルの10分の1戦艦「大和」のほか、貴重な実物資料などを展示。歴史に詳しくない人でも十分に楽しめるコンテンツがそろっています。
大和ミュージアム
- 住所
- 広島県呉市宝町5-20
- 営業時間
- 展示室・ミュージアムショップ 9:00〜18:00（展示室入館は17:30まで）
- 料金
- 一般（大学生以上）500円、高校生300円、小・中学生200円
- 定休日
- 火曜日（火曜日が祝日の場合は翌日休館）
※ 4月29日〜5月5日、7月21日〜8月31日、12月29日〜1月3日は無休 - アクセス
- JR「呉」駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- 大和ミュージアム
広島といえばここ！世界遺産「嚴島神社」
江田島から少し足をのばして、宮島の「嚴島神社」へ行くのもおすすめ。海上に浮かぶ神秘的な姿が評価され、1996年に世界遺産に登録されました。瀬戸内海にそびえたつ朱色の鳥居は、一度は見ておきたい景観です。広島港からはいつでも宮島行き高速船が運航しています。呉港からも4月から11月の土日祝のみ高速船が運航しているので、小用港から呉港を経由すれば、江田島観光を楽しんだあとに、厳島神社へ行くこともできます。
嚴島神社
- 住所
- 広島県廿日市市宮島町1-1
- 営業時間
- 1月4日～2月末日、10月15日～11月30日 6:30～17:30
※1月1日は0:00～状況判断、1月2～3日は6:30～18:30
3月1日～10月14日 6:30～18:00
12月1日～12月31日 6:30～17:00 - 料金
- 大人300円、高校生200円、小・中学生100円
- アクセス
- JR「宮島口」駅、広島電鉄「広島宮島口」下車宮島口桟橋から高速船で宮島桟橋（約10分）「宮島桟橋」から徒歩約10分
「呉」港からクルーズフェリーorスーパージェットで「広島」港（約22分）、「広島」港から瀬戸内シーライン宮島桟橋（約32分）「宮島桟橋」から徒歩約10分 - 公式サイト
- 嚴島神社
5.紹介中の掲載スポット一覧MAP
江田島は広島から約1時間で訪れることができる島です。フェリーに乗って瀬戸内の景色を楽しみながら行けるのも旅の醍醐味。江田島で獲れた美味しい牡蠣や多島美の景色を堪能してみてはいかがでしょうか。
取材・文／三宅 美保 撮影／桐林 和美
