江戸時代、幕府の直轄地・天領として栄えた大分県の日田は、今でも古い街並みが残り、九州の小京都と呼ばれています。
歴史ある街並みの「豆田町」だけでなく、山々と豊かな水に恵まれ、滝や鵜飼鑑賞、「サッポロビール 九州日田工場」や「いいちこ日田蒸留所」の工場見学、天ヶ瀬温泉など、見どころが豊富。秋の「日田天領まつり」、春の梅まつり、夏の「日田祇園祭」など、季節ごとの祭りやイベントも見逃せません。
日田までは、博多から電車・車ともに1時間10分程度で、由布院や別府に向かう途中にあるので、旅行ルートに組み込んだり、日帰り旅行にもおすすめです。そんな日田のおすすめ観光スポットやグルメをまとめてご紹介します。
小京都・日田を象徴する街並み「豆田町」
日田観光でまずはずせないのが「豆田町(まめだまち)」。古い家屋や商店などが立ち並ぶ街並みは、江戸時代、幕府の直轄地・天領だった頃の名残が。この街並みは、「美しいまちなみ大賞」(国土交通省)や、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
- アクセス
- [電車]JR久大本線「日田」駅より徒歩約15分
[車]大分自動車道「日田」ICより約5分
町内にはショップやカフェだけでなく、ぜひ立ち寄りたい資料館も多数。「天領日田資料館」では日田の歴史を学ぶことができ、「廣瀬資料館」は儒学者・廣瀬淡窓(たんそう)の生家で、彼の活躍を知ることができます。
天領日田資料館
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 水曜日(祭日の場合は翌営業日休)、年末年始
- 料金
- 大人320円、小中高生220円
- 住所
- 大分県日田市豆田町11-7
廣瀬資料館
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌火曜日休)、12月31日~1月2日
- 料金
- 大人450円、小中高生350円
- 住所
- 大分県日田市豆田町9-73
岩尾薬舗 日本丸館
「岩尾薬舗 日本丸館(にほんがんかん)」は、「日本丸(にほんがん)」という薬を販売していた「岩尾薬舗」の屋敷で、当時使われていた薬にまつわるアイテムや生活道具などを見ていると、タイムスリップしたような気分に。建物自体は江戸から昭和初期に建てられたもので、国の登録有形文化財に指定されています。
- 営業時間
- 10:00~16:00
資料館は2月15日~5月、9~11月のみ公開
岩尾薬舗とギャラリー連は通年公開 - 定休日
- 不定休
- 料金
- 大人350円、小中高生250円
- 住所
- 大分県日田市豆田町4-15
薫長酒蔵資料館
お酒好きには「薫長(くんちょう)酒蔵資料館」もおすすめ。江戸時代に建てられた蔵で今も酒造りをしていて、酒蔵見学のほか、ショップでは銘酒「薫長」の試飲・購入、併設のカフェでは、甘酒ソフトクリーム、お酒がほんのり染み込んだ吟醸紅茶ケーキといった、ここだけのメニューも味わえます。
- 営業時間
- 9:00~16:30
- 定休日
- 日曜、祝日
- 料金
- 無料
- 住所
- 大分県日田市豆田町6-31
ビール好きならはずせない「サッポロビール 九州日田工場」
「サッポロビール九州日田工場」は、「サッポロビール」の工場兼ミュージアムになっています。有料の「SAPPORO THEATER」は、「黒ラベル」のブランドストーリーを映像で楽しめ、できたてのビールを試飲できることで人気。 ビールができるまでの様子をパネルや映像で学べる無料のコースもあり、こちらは予約不要です。
- 営業時間
- 10:00~17:00(見学受付、テイスティングサロンL.O.は16:30)
- 定休日
- 月曜、火曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始、臨時休館日
- 料金
- [SAPPORO THEATER]
大人500円、中学生~20歳未満300円、小学生以下無料(試飲1杯付き) - 住所
- 大分県日田市大字高瀬6979
- アクセス
- [電車]JR久大本線「日田」駅よりタクシーで約10分
[車]大分自動車道「日田」ICより約10分 - 見学予約
- サッポロビール 工場・ミュージアム 見学申込みサイト
見学後に試飲できる「テイスティングサロン」(有料)もありますが、食事も楽しみたいなら、敷地内にあるレストラン「日田森のビール園」もおすすめ。日田の街を眺めながら、できたての生ビールと焼き肉、「サッポロビール」発祥の地・北海道の味覚を味わえて、ランチやディナーにぴったりです。
日田森のビール園
- 営業時間
- 11:00~22:00
- 定休日
- 火曜
うつわ好きには絶対おすすめ!「小鹿田焼の里」
「小鹿田(おんた)焼」は、江戸中期に朝鮮から伝わった福岡の小石原(こいしわら)焼の兄弟窯で、「飛び鉋(かんな)」という技法が作り出す幾何学的な模様が特徴。うつわ好きや料理のプロなどにもファンが多く、小鹿田を訪れたイギリスの陶芸家・バーナード・リーチの作品にも影響を与えたと言われています。
10軒の窯元からなる「小鹿田焼の里」では、川の流れを利用し、「唐臼(からうす)」で陶土を砕いているので、「コン、コン」という唐臼の音が聞こえることも。その音色は「日本の音風景100選」(環境省)に、この地区全体は「重要文化的景観」(文化庁)に認定されています。また、小鹿田焼自体は、国の重要無形文化財にも指定されています。
毎年10月の第2土・日曜日には、すべての窯元が開放され、たくさんの陶器が並ぶ「民陶祭」が開催されます。やきものファンなら見逃せません。
- 住所
- 大分県日田市源栄町皿山
- アクセス
- 大分自動車道「日田」ICより車で約30分
宿泊はもちろん、日帰り入浴も楽しい「天ヶ瀬温泉」
開湯はおよそ1300年前と歴史ある温泉地「天ヶ瀬温泉」。玖珠川(くすがわ)の渓谷沿いに温泉宿が立ち並んでいます。
日帰り入浴ができる温泉宿があるほか、川岸には公共露天風呂※が5カ所あり、川と同じ目線で、せせらぎを聞きながら温泉に浸かるというなかなかできない体験も。天ヶ瀬駅から近いので、日帰り温泉旅行におすすめです。
※豪雨対策として河川拡幅の工事計画が進んでいます。川沿いの公共浴場が移転する可能性もありますので、最新情報は、日田市観光協会 天瀬支部の公式サイトをご確認ください。
玖珠川流域の6つの滝「天瀬六瀑」
玖珠川流域にある6つの滝は「天瀬六瀑(あまがせろくばく)」と呼ばれ、駅や温泉街に近い滝、道の駅が整備されている滝も。観光におすすめの3つの滝をピックアップします。
桜滝
天ヶ瀬駅より徒歩約10分、天ヶ瀬温泉街にも近い「桜滝」。滝までの道は舗装されているため歩きやすく、駅や温泉からちょっと散策するのにおすすめです。 江戸時代の文人・墨客が「砕け散ること花の如く、流下することスダレの如し」と称した、桜の花が舞い散るような美しい滝は必見。
- 住所
- 大分県日田市天ヶ瀬桜竹
- アクセス
- JR久大本線「天ヶ瀬」駅より徒歩約10分
また、天ヶ瀬温泉の宿「山荘 天水」では、露天風呂から桜滝が見え、源泉かけ流しの温泉に浸かりながらの滝観賞が楽しめます。
観音の滝
中央部分にある岩が観音像に似ていることから、「観音の滝」と名付けられたこの滝。国道210号線からも見ることができます。
- 住所
- 大分県日田市天瀬町合田
- アクセス
- JR「天ヶ瀬」駅よりバスで約5分、「丸山」バス停すぐ
慈恩の滝
日田市天瀬町と玖珠郡玖珠町の境に位置する「慈恩(じおん)の滝」は、2段落としになっていて、上段約20m、下段約10m、合わせて約30mの落差があります。 この滝の特徴は、ぐるっと1周する遊歩道があり、滝を裏側からも見られること。夜にはライトアップも実施されるので、ほかの滝とはちょっと違った姿を見ることができます。(2024年7月現在、裏側の遊歩道通行不可、ライトアップ休止中)
JR久大本線の車内からも見えるので、通る際はお見逃しなく!目の前に道の駅「慈恩の滝くす」もあるので、車で移動中に立ち寄るのもおすすめです。
- 住所
- 大分県玖珠郡玖珠町山浦
大分県日田市天瀬町杉河内 - アクセス
- [電車]JR久大本線「杉河内」駅より徒歩約5分
[車]大分自動車道「天瀬高塚」ICより約30分
「天瀬六瀑」は、桜滝、観音の滝、慈恩の滝のほか、「楓葉(かえで)の滝」「山伏(やんぶし)の滝」「夕日の滝」があります。
滝なら「黄金の滝」もおすすめ!
「天瀬六瀑」には入っていませんが、日本版画界の巨匠・棟方志功が、その雄大さに魅了され写生したと言われる「黄金の滝」も見もの。紅葉の時期には周囲が黄金色に染まり、美しいコントラストを楽しめます。
- 住所
- 大分県日田市上津江町川原
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より車で約60分
日田天領まつり
江戸時代、日田には管内の租税の徴収や訴訟、庶務をつかさどる「西国筋郡代(さいごくすじぐんだい)」が置かれていました。毎年11月の第2土・日曜日に開催される「日田天領まつり」では、その西国筋郡代の着任風景を再現した行列や、屋台、イベントが催され、当時の日田にタイムスリップした気分が味わえます。
夜には、花月川河川敷や豆田町周辺に、約3万本の手作りの竹灯籠が灯る「千年あかり」も開催され、幻想的な光景が広がります。
- 開催期間
- 毎年11月の第2土・日曜日
- 場所
- 豆田地区、月隈公園周辺
天領日田おひなまつり
江戸時代、九州随一と言われるほど栄えた天領・日田では、莫大な富を築いた豪商も多く、京都や大阪の名だたる職人から豪華なひな人形を買い付けたのだとか。それらが今も残されていて、「天領日田おひなまつり」の期間中、一般公開されます。
開催は、毎年2月中旬から3月末。「廣瀬資料館」や「日本丸館」など、日田市内の旧家や資料館およそ20か所で、絢爛豪華なひな人形やひな道具を見ることができます。 また、同時期には、流しびなや人形パレード、マラソン大会などのイベントも行われます。
- 開催期間
- 毎年2月中旬~3月末
- 場所
- 豆田町、隈町の各資料館・施設
日田おおやま梅まつり
日田市大山町は、半世紀ほど前から「梅栗植えてハワイへ行こう!」をキャッチフレーズに梅の栽培を始め、今では「おおくぼ台梅園」に約6,000本、「ふるや台梅園」に約3,000本もの梅の木が。
見頃を迎える時期に開催される「日田おおやま梅まつり」では、梅園が無料開放され、ピンクや白の梅の花と梅の香りに囲まれての散策が楽しめます。「おひなまつり」とほぼ同時期に開催されるので一緒にまわれます。
- 開催期間
- 2月中旬~3月中旬
- おおくぼ台梅園
- 大分県日田市大山町西大山
[電車・バス]日田駅より枝立行きバスで「ひびきの郷入口」停下車、徒歩約1分
[車]大分自動車道「日田」ICより約25分 - ふるや台梅園
- 大分県日田市大山町東大山
[車]おおくぼ台梅園より車で約10分
そして、大山産の梅だけを使って梅酒や梅製品を造る「梅酒蔵おおやま」も要チェック!
「全国梅酒品評会」2年連続金賞受賞の梅酒や、「世界リキュールコンテスト」金賞受賞の梅酒などがそろい、無料試飲や、工場・樽貯蔵庫の見学、梅酒作りなども体験できます。 併設する温泉旅館「奥日田温泉 うめひびき」でもこれらの梅酒を堪能できます。
日田祇園祭
毎年7月に開催される「日田祇園祭」は、約300年前に夏の厄除けとして始まり、高さ約10mもある豪華な山鉾(やまぼこ)が祇園囃子とともに町内を巡行します。ユネスコの無形文化遺産に指定されています。
祭りの2日前に、全9基の山鉾がそろって今年の出来を見せ合う「日田祇園山鉾集団顔見世」も必見。提灯が辺りを灯す、幻想的な光景も楽しめます。
- 開催期間
- 毎年7月20日過ぎの土・日曜日
- 場所
- 隈竹田地区・豆田地区
祭りの期間外でも、「日田祇園山鉾会館」に行くと迫力ある山鉾を見ることができます。
日田祇園山鉾会館
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 水曜日(祝日の場合は翌営業日休)、12月29日~1月3日
- 料金
- 大人320円、小中高生220円
- 住所
- 大分県日田市隈2-7-10
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より徒歩約15分
三隈川の鵜飼
日田の夏の風物詩、三隈川の鵜飼。約400年ほど前に、この地を統治した豊臣秀吉の家臣が、岐阜から鵜匠を招いて披露させたのが始まりとされ、今では日本三大鵜飼のひとつに数えられています。
ここでは、屋形船に乗って食事をしながら鵜飼鑑賞するのがおすすめ。船は原則貸し切りですが、少人数でも1人4,000円程度で乗合舟を利用できます。
- 開催期間
- 5月20日~10月31日
- 場所
- 大分県日田市三隈川
- 屋形船 予約
- 日田温泉 亀山亭ホテル
日田温泉 小京都の湯 みくまホテル
日田温泉 日田の宿よろづや
リバーサイドホテル山水館
ホテル&レストラン KIZAN倶楽部
屋形船
約200年の伝統を持ち、全国的に見ても大規模な日田の屋形船は、鵜飼シーズンだけでなく、冬もおすすめ。冬は障子をはった舟で、雪景色を見ながら、お銚子と料理を堪能できます。
また、日田温泉の宿「caffel ひなのさと」の船は、イス&テーブル席のオリジナルカフェ船で、天井がクリアパネルの船もあるので、鵜飼だけでなく、星空観賞も楽しめます。
日田やきそば
日田の名物グルメ「日田やきそば」は、こんがりパリっと焼いた麺が特徴。味はもちろんのこと、クリスピーな麺とシャキシャキとしたもやしの食感が支持されています。
日田市内には「日田やきそば」を提供するお店が複数ありますが、中でも、パイオニアとされる「想夫恋(そうふれん)」のやきそばは必食。本店では鉄板で出てくるので、最後まであつあつをいただけます。
想夫恋 本店
- 営業時間
- 11:00~22:00(21:30L.O.)
- 定休日
- 元旦、不定休
- 住所
- 大分県日田市若宮町416-1
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より徒歩約11分。
日田市内に、三本松店、大山店、花月店、友田店もあり
ひたん寿司
日田グルメ「ひたん寿司」は、カラフルで美しい見た目が女性に人気。納豆などを入れた酢飯を高菜漬けで巻いた「たか菜巻」を中心に、旬の野菜やお漬物、鮎やうなぎなど、地元の食材を使ったお寿司が並びます。
ひたん寿司発祥の店とされる「彌助(やすけ)すし」をはじめ、日田市内の寿司店で食べることができます。
彌助すし
- 営業時間
- 10:00~22:00
- 定休日
- 不定休
- 住所
- 大分県日田市本庄町3-9
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より徒歩約10分
うなぎ
海がない日田では、昔からうなぎや鮎などの川魚が、貴重なタンパク源として親しまれていたのだとか。豆田町にもうなぎの有名店が何軒かあり、「千屋」ではひつまぶし「日田まぶし」が、「いた屋本家」や「黒田屋」ではせいろ蒸しが人気。
三隈川のほとりにある有名店「戸山うなぎ」では、せいろ蒸しのほか、刺身(湯引き)も評判です。
もみじ
「もみじ」とは、鶏の足を甘辛く煮た日田の郷土料理で、名前の由来は、足の先がもみじの葉のように広がっていることから。見た目に驚く人も多いようですが、豚足のようなとろっとした食感と、皮のパリパリとした食感を楽しめます。
もみじが食べられるお店は市内に複数ありますが、豆田町にある「鳥市 本店」が人気。観光の合間に気軽に立ち寄れます。
鳥市 本店
- 営業時間
- 9:00~19:00
- 定休日
- 無休(お盆、年末年始は要問い合わせ)
- 住所
- 大分県日田市豆田町8-38
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より徒歩約16分
日田杉
日田の名産品といえば「小鹿田焼」だけでなく、杉も有名。屋久島の屋久杉、宮崎の飫肥(おび)杉とともに九州三大美林に数えられ、表面が硬く、赤身部分が多いことから害虫や湿気の影響を受けにくいと言われています。
2018年「第100回全国高校野球選手権大会」に出場した地元・日田の藤蔭高校の応援に、日田杉の拍子木が使われたことでも注目を集めました。
お土産には、日田杉でできた下駄や曲げわっぱなどがおすすめ。下駄なら「月隈木履(つきくまぼくり)」の日田下駄が、ナチュラルなデザインで、履き心地もよいと評判です。
月隈木履
- 営業時間
- 8:00~17:00
- 定休日
- 不定休
- 住所
- 大分県日田市丸山2-208-1
- アクセス
- JR久大本線「日田」駅より車で約5分
日田の玄関口・日田駅の内装にも杉がふんだんに使われて、駅前には日田杉でできた「H TA」のモニュメントも。「I」が抜けているのは、ここに人が立つと「HITA」になるというもの。駅を訪れた際は、杉の香漂う構内とともに要チェックです。
[電車]
博多駅から特急で約1時間10分
由布院駅から特急で約1時間
大分駅から特急で約1時間40分
[車]
福岡ICから約1時間10分
大分ICから約1時間10分
熊本ICから約1時間30分
[高速バス]
福岡空港から約1時間15分
別府から約1時間20分