がん患者さんと家族から学んだ安心・快適に旅する秘訣。旅行事前チェックリストも公開

がん患者さんと家族から学んだ安心・快適に旅する秘訣。旅行事前チェックリストも公開

提供:楽天メディカル

旅の醍醐味は、計画を立てる時から始まるもの。目的地を決めて、どこの観光スポットを訪れるかを考えて、宿泊先を決めて――。ただ、病気になると、宿泊する部屋や入浴所などの施設・設備、食事に関するサービスが自分の状況とニーズにあったものか、色々と気になることが出てきます。

そこで今回は、がん患者さん3名と患者家族の方1名に、「より安心して快適に旅を楽しむための秘訣」を語り合ってもらいました。そして、その内容をベースに、「持ち物チェックリスト」と「宿への事前確認チェックリスト」をまとめました。

 

 

参加者

がん患者さんと家族から学んだ安心・快適に旅する秘訣。旅行事前チェックリストも公開
左上から時計回りに、桜井さん、秋山さん、加藤さん、轟さん

桜井なおみさん:2004年、37歳で乳がんと診断され、3年後に再発し再手術。自身の体験を基に、がん患者の就労を考えるプロジェクトの発足、患者の自立を目指す株式会社の設立などを通して、がん患者のQOL向上に取り組む。

秋山千登世さん:2012年、41歳で慢性骨髄性白血病(CML)と診断される。分子標的薬で治療後、5年前から断薬し、現在は経過観察中。個人で複数の事業に関わりながら、CMLの患者サークルの代表も務める。「温泉ソムリエ」資格を今後に活かせないか模索中。

加藤那津さん:2009年、31歳の時に乳がんと診断される。その後、再発・転移。現在も治療を続けながら、週末や連休などに、屋久島を中心に一人旅をしたり、四国の「お遍路」に挑戦したりしている。

轟浩美さん:2016年にスキルス胃がんで亡くなった夫・哲也さんの遺志を継ぎ、胃がん患者家族会理事長となる。自身の体験から情報の大切さを痛感。全国胃がんキャラバンや一般へのがん啓発に取り組む。

※本座談会は、オンライン会議システムを活用して実施しました。

 

旅から得られる新しい景色

――加藤さん、秋山さん、桜井さんの3名は、がんになる前もその後も、国内外のあちこちを旅行されてきたということですが、旅の魅力って何ですか?

 

加藤:学生の頃から旅行が好きで、国内外、本当にあちこちへ行っていました。私は「死ぬときに後悔しないためのリスト」を作っていて、その中には100個以上項目があるんですけど、その多くが「行きたい場所」「食べたいもの」「会いたい人」なんです。

治療が続く中、その達成のために日々生きていて、薬を飲みながら一人旅をしているんですけど、旅行は病気から離れることができる時間になっていますね。

 

がん患者さんと家族から学んだ安心・快適に旅する秘訣 タイ・チェンマイ
ワット・プラタート・ドイ・ステープ(タイ、チェンマイ)

秋山:私は今までに100回くらい海外旅行に行っています。コロナ禍になるまで夏は毎年、子どもたち3人を連れて海外旅行に行っていました。今は、ストレス解消と現実逃避で、主に国内の温泉旅行に行っています。

病気になったら、病気との距離の取り方が大事になってきますよね。病気と共存しながら、自分の心をケアして生きていくために、旅は必要なものだと思います。がんと告知され、落ち込んでいましたが、その2カ月後に、元々予定していたタイのチェンマイに旅行に行きました。主治医にはあまり良い顔はされなかったですが(笑)、とても楽しかったし、リフレッシュできました。今まででいちばん印象に残っている旅行です。

 

桜井:私は国内旅行で、観光地をめぐるというよりも、旅先でのんびりと過ごしたり、散歩をしたりしながら地元の人の生活風景を見たりするのが好きです。

病気になった後に行った旅行のほうが、記憶には残っていますね。旅先で、日常生活では見られない「大きな風景」を見るのって、生きていくのには欠かせないことだと思います。コロナ禍で外出も控えるような生活が続いてきたので、そろそろ旅行に行きたいです!
 

がん患者さんと家族から学んだ安心・快適に旅する秘訣
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――轟さんはいかがですか?

 

:私の場合は、夫の治療のために遠方の病院に通院する前後に心身を休める意味での宿泊をしました。食事が思うようにとれず、治療の副作用もある夫が安心して過ごせる時間・空間を確保するための準備や手配はたやすいことではありませんでした。滞在中も私は気が張っていました。

それでも、宿泊施設では、日常とは違う時間が流れており、2人でゆっくり話す時間を持つことができました。その時間が、私たちにとっては「人生会議(人生最終段階の医療・ケアについて話し合うこと)」でもあったと思います。かけがえのない時間でした。

 

薬は多めに用意。旅前の準備

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――病気になってから、旅行へ行くときの準備面で、何か変わったということはありますか?

 

秋山事前に、宿泊施設の近くにある病院を調べますね。それと、薬は治療薬だけじゃなくて、ありとあらゆる薬を多めにもらって持っていくので、荷物がとても多くなります。解熱剤や下痢止めなどの一般的な薬も、飲み合わせがあるので、普段飲んでいる体になじんだものを持っていくようにしています。

 

:私も、近くの医療機関は全部調べていました。薬など、現地で買えるか分からないものは、どうしても用意して持っていくから大荷物になりますよね。うちの場合は、(夫が)胃がんの進行により、食事をとることが困難になってからは、高カロリー輸液や点滴スタンドも必要な荷物となりました。フックなど、部屋の中に点滴をかける場所があることが分かった場合は、スタンドの持参が不要となり、大変に助かりました。

 

桜井:私は、海外へ行く場合は絶対に、薬はスーツケースと機内持ち込みバッグに分けて入れています。万が一、スーツケースが紛失してしまったら…、といった不安があるので。あとは、主治医に「これがどういう薬か」という説明文書を英語で書いてもらい、薬と一緒に入れていますね

 

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:国内旅行だと「お薬手帳」を持ち歩くように、海外の場合は特に、何があるか分からないから、そういう文書があると安心につながりますね。

 

加藤:私の場合は、治療に医療用麻薬を使っているため、海外旅行へ行くには事前に申請が必要なんですね。その制度自体があまり知られていないのか、国内から出国するときの税関では、毎回確認のために結構待たされる感じです。そういうことも踏まえ薬関係が、いちばん気が重くなる準備ですね。

 

秋山薬は「現地で盗まれたらどうしよう」という不安がありますよね。海外旅行だと正直、「お金は盗まれたら仕方ないけど、薬だけは返して!」と思いますね。

 

全員:本当にそう!! 
 

旅先でのお風呂と食事の事情

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――宿泊施設でいちばん気にすることは何ですか?

 

全員:お風呂!

 

桜井:大浴場の場合、着替えるときの隣の人との距離がどれくらいかを、ウェブサイトに掲載されている写真で確認したり、その日に混む時間帯と団体客が入る時間帯を施設に確認して、その前に入るようにしますね。

 

:普段から感染のリスクにも気を付けていて、脱毛や痩せている身体を他の方から見られることに抵抗もありました。その理由から、私たちは、お風呂付きの部屋を基本的に選んでいました

 

秋山:それと、湯あみ着(入浴着)!大浴場だと、着て入って良いところと、ダメなところがあるんですよね。

 

桜井:ただ、「湯あみ着を着ている人=乳がん患者」っていうポスターが貼られていたのは嫌でした。患者に対する配慮ではなく、患者とそうじゃない人を区別しているように感じたんですよね。「(患者ではない人も)みんな、湯あみを着て入るようにしようよ!」と個人的には思っています。

 

 

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――食事についてはどうですか? 

 

:私は旅行予約によく「楽天トラベル」を使っているんですが、予約後に宿泊施設に電話をかけて夫の事情を説明したら、とても丁寧に対応してくださったことがありました。施設の方から、「特別な料理を作ることはできませんが、残すことは気にせず、風味だけでも楽しんでください」と言っていただいたときには、とてもうれしかったです。

また飲み込みに困難があったので、旅先に食材を小さく切るためのハサミを持参しました。食べられる量が限られているので、取り分けるための小さなお茶碗やスプーンも持参しました。そういったものも、例えば、現地で子ども用の小さなスプーンをお借りできたり、小さく切る個別対応が難しい場合はナイフを貸していただけたりといったような、ちょっとした配慮があると助かりますね。
 

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加藤:私の場合、薬の副作用であまり食事がとれないんですね。だから、特に離島の民宿とか登山の際の山小屋のようなところだと、「食事を残すのは申し訳ないな」という気持ちがすごくあって…。だから、宿泊するときには、特に病気のことは伝えずに、「小食なので量を減らしてください」と事前にお願いするようにしています


桜井:病気で食べられるものや量が限定的な人、味を感じられなくなった人でも、目で見て、味を想像して、「みんなと一緒に食事の時間を楽しみたい」という気持ちがありますよね。そういうとき、スタッフの方から「この料理はゆず風味で」とか、「とても熱いので気を付けて」とか、何か一言かけてもらえるだけで、だいぶ気持ちが変わるんですよ。

あとは、医療的な器具などを着けていると、遠巻きからでも他人からの視線というのは感じるものなんです。なので、例えば、朝食はビュッフェ会場から取ってきて部屋で食べてもOKとか、会場の中でも人目が気にならない席に案内してもらえるとか、そういった配慮をしてもらえるとうれしいですよね。

 

 

まずは気軽に聞いてみよう。備考欄を活用して、事前にお宿と相談

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秋山:実は私、ここ1年ほど、あるホテルのフロントスタッフとして働いているんですよ。その経験からみなさんにお伝えしたいのは、まずは事前にホテルに聞いてみてください、ということなんです。お客様からお申し込み時にご連絡いただく情報は、ホテル側はすべて把握しています。

なので、轟さんのように電話での相談でも良いですし、ネット予約の場合は「備考欄」や「リクエスト欄」またはホテルへのメッセージなどに一言書いてもらえれば、ホテル側も事前に準備することができるんですね。例えば、車いすの方なら、チェックイン時間が分かると、その時間にスタッフがお手伝いできるように準備するとか。

 

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桜井:なるほど。私の場合は、「タオルや部屋着を多めに準備してほしい」というリクエストはしたいですよね。シーツや布団などを汚したくないから。私は薬の副作用で髪が抜けていっていた時は、枕にタオルを巻いて寝ていました。あとは、いろいろな処置の時に使ったり、ベッドで横になる時に体の位置を丸めたタオルで調整したり。タオルは、お風呂で使う以外にも便利なんですよね。

 

: カトラリーくらいの大きさなら持っていくのはそう手間ではないけれど、タオルはかさばるので、宿泊施設から多めに貸してもらえると、とても助かりますよね。

 

桜井:私は、予約時にリクエストを「何でも書いて」と言われたら、本当に何でも書いちゃいます。

 

:私の場合、宿泊施設に相談したら、「到着時間には、入口に近いところの駐車場を確保しておきますよ」と言っていただいたことがあります。他にも、「近くに病院やドラッグストアがありますよ」とか、「近くには~~を売っているお店はないので、途中で買ってきていただいたほうが安心だと思いますよ」とか、役に立つ情報を教えていただきました

 

桜井私は、こちらから積極的に、病名をカミングアウトする必要はないと思っています。同時に、病気を理由に「あれもこれもやってほしい」とお願いするのも、ちょっと違うと思っています。個々人の状況に配慮した対応をしてくれると、「ホスピタリティー」を感じるというか、ものすごくうれしいですよね。

 

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ヘルプマーク

加藤:私が飛行機に乗ったときに、カバンに「ヘルプマーク」がついていることに気がついた航空会社の方が、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてくれたことがありました。こちらから何も言わなくても、誰かがさり気なく気にかけてくれてると分かるだけで、心強く感じるんですよね。宿泊施設やレストランでもヘルプマークの認知度が上がって、それをつけている人を気にかけた対応が増えるとうれしいです。

 

秋山:私は経験者としてがん患者さんの気持ちが少しは分かると思っているので、ホテルの現場で自分なりにできる限りの対応をしたいと思っています。これからは、特にコロナ後の旅行需要も踏まえ、病気への理解や患者さんへの配慮がもっと必要になるかもしれません。

宿泊施設側もお客様のリクエストに応えようという気持ちはあると思うので、ネット予約の際は備考欄やリクエスト欄、メッセージ機能などを活用して、配慮してほしいことを事前に伝えたり、近隣の知りたい情報を教えてもらったりして、もっと気軽に宿泊先に相談しても良いと思います。

 

旅行への不安は?行く勇気と、止める勇気

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北海道・美瑛の風景

――旅行へ行くこと自体に、不安はないですか?

 

加藤:意外とよく聞くのは、お医者さんが旅行に賛成してくれないというケースですかね。「現地で何かがあったら危険だから」という理由で、患者が希望しても、警戒したり反対したりする場合があるようです。なので、医師の方にも、「患者にとっての旅の大切さ」の理解が広まると良いなと思います。

 

桜井:がん患者の友達が、転移が分かって最後の海外旅行に行こうとしたら、家族全員から反対されたそうなんですね。でも、主治医が「何かあったら現地の医者に連絡して対応してもらえるようにするから」と言ってくれて、旅行へ行けたそうです。旅行って人生の中で重要な時間だと思うので、「行く前から無理だ」とあきらめずに、「どうやったら行けるか?」をみんなで考えて、チャレンジしてほしいなと思います。

 

加藤:それで言うと、私は体調があまりよくない中、少し無理をして予定していた旅行に行って、旅先で体調を崩し、まわりの人に迷惑をかけてしまったという経験があります。それからは、自分の「旅行に行きたい」という気持ちだけでなく、自分の体調や旅先の状況などを見極めて、少しでも不安があるようだったら当日でもキャンセルするなど、「まわりに迷惑をかけないようにする」決断を下すことも、重要だと思うようになりました。

 

:私は、「病気になったから、旅のあり方を変えないといけない」という考えではなく、「旅に何を求めているのか」を考え、しっかりと準備をして行くことが大事かなと思っています。

 

秋山:無理のない範囲で近場から始めて、徐々に遠いところへ旅行できるようになれば良いですよね。

 

桜井:早く旅行に行きたいー!みんなとも、オンラインじゃなく対面で会いたい!

 

全員:本当ですよねー!その日を楽しみにしています!

 

※本座談会は、オンライン会議システムを活用して実施しました。
 

がん患者さん・家族の経験を踏まえた、旅行の準備と事前確認のチェックリスト

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座談会に参加いただいたみなさんは、旅に出ることで気分を変えられる、日常から離れられる、そういった旅の大切さを実感されています。そしてみなさんの体験談などから、事前の準備をしっかりしておけば、がん患者さんも旅を楽しむことができるということが分かりました。必要なことは、安心して旅行ができるための持ち物の確認と、宿泊施設との事前のコミュニケーション。簡単に確認できるように、リストにまとめました。それぞれの状況に合わせて自由にカスタマイズしながら、準備万端に旅行を楽しんでください。

 

リストのダウンロードはこちら

 


“旅行から、がん克服”プロジェクト

旅行から、がん克服”プロジェクト

がんになっても安心して旅を楽しめる社会を実現する「“旅行から、がん克服”プロジェクト」。がん患者さんと旅に関するコラム、旅に対する意識調査結果、旅行情報のQ&Aなど、がん患者さんの「旅」を後押しする情報をご紹介します。


 

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