京都・北白川にある北白川天然ラジウム温泉は、全国でもトップクラスのラジウム含有量を誇ることで有名な天然温泉です。その効能は体の免疫力を高め、ストレスや疲労回復、健康増進などが期待できるのだとか。
この源泉を有する「北白川ラジウム温泉 えいせん京」は、楽天トラベル ゴールドアワードを3年連続で受賞したというおもてなしの宿。さらに2021年全国の温泉旅館クチコミランキングでも堂々の1位を獲得しています。静かな京都の山あいで、極上のお湯とお料理を楽しむ旅。宿泊は1日4組限定で、大切な人とのステイにもピッタリです。
無料のお迎えサービスでアクセスも心配なし
「北白川ラジウム温泉 えいせん京」があるのは、白川通から比叡山へと向かう山中越えと呼ばれるルートの途中。近くを比叡山の伏流水である白川が流れる緑豊かな場所で、京阪バスと京都バス「地蔵谷」バス停のすぐ近くです。
京阪電車の出町柳駅と市バス銀閣寺道から、無料のお迎えサービスがあるため(要予約)、アクセス面も心配ないのがうれしいところです。車でお越しの場合は、予約不要の駐車場もあります。
京都らしさを感じられるおもてなし
まずは、広々とした玄関を入ってチェックイン。2018年にリニューアルしたという館内は、京都らしさを持つ新しい日本建築を目指して、茶室や数寄屋建築の専門家で、京都迎賓館にも携わっている一級建築士の才門俊文氏に設計を依頼しました。
才門氏が、この場所ならではのものを見せたいと作ったのが、ガラス張りの向こうに大きな花崗岩(かこうがん)の割れ目から染み出る源泉を見せる演出です。
こちらは、ラジウムを含む花崗岩の岩盤から、近くにある水脈の水が染み出ており、全国トップクラスのラジウム含有量を誇る、天然ラジウム鉱泉となっています。岩盤を通るときにろ過されるため、雑菌はほぼゼロで飲用が可能。宿のお料理にもこの源泉を使用しています。
和の趣と木の温もりが感じられるエントランスでは、冬季は暖炉に火が灯り、ゲストを暖かく出迎えてくれます。
チェックイン後は、京都らしく抹茶とお菓子のおもてなしも。お茶を飲み終えると、茶碗の底ににっこりとほほ笑むお多福さんが顔を出します。
お多福さんは、古来より開運厄除、立身出世、良縁安産などの大願成就を呼びこむ福娘として愛されてきた縁起物。この器を手がけたのは、オーナーの祖父で清水焼の窯元・吉峯窯の四代目。京都らしさを感じてもらうため、お部屋の食器やお料理にも清水焼が使用されています。
休憩にも利用できる2階のラウンジには見事な屏風が。こちらは近くを流れる白川のせせらぎの音と調和する「ゆく春」という一帖。季節ごとに変わるという屏風からは、京都の四季を感じることができます。
館内には、お宿とも縁が深い比叡山の絵もあるので、訪れた際にはぜひ探してみてください。宿名の「えいせん」は、比叡山から湧く泉の「叡泉」が由来。親しみやすく、ひらがなにしたものだそう。
おこもりステイにピッタリの全室露天風呂付き
大きな窓が開放的な和洋室スイートルーム「雅(みやび)」
宿泊は1日4組限定で、すべての部屋に専用露天風呂が付いています。今回宿泊したのは和洋室スイートルーム「雅(みやび)」。入り口を入ると、まずは大きなソファが。大きめの窓から差し込む光が明るく、ゆったりとくつろげそうです。
奥にはベッドルームがあります。お部屋は床暖房も完備で、まだ肌寒い時間帯でも暖かく過ごすことができました。
そしてベッドルーム奥の扉を開けると、専用の露天風呂があります。こちらはもちろん天然温泉。時間を気にせず、24時間好きな時間に好きなだけラジウム温泉を満喫できます。
お部屋にはフカフカのガウンとスリッパも用意があり、湯上がりも快適!しっかりと汗が引いてから浴衣に着替えられますね。
そのほかにも、客室にはバスタオルと浴衣、足袋型靴下が用意されており、ロゴ入りの巾着の中には宿の名前入りのタオルと歯ブラシが入っています。
体を洗うボディタオルやシャンプーにコンディショナーのミニボトルなどのアメニティも完備。ドライヤーはダイソン。化粧水や乳液が入ったスキンケアセットもあり、至れり尽くせりです。
お部屋の冷蔵庫には水とジュース、ビールなどドリンクが冷えています。温泉を楽しんだ後は、好みのドリンクでノドの渇きを潤しましょう。冷蔵庫内のドリンクはすべて無料です。
ゆったりとしたティータイムが過ごせるように、お部屋にはさまざまなものが用意されています。コーヒー好きにはうれしいネスプレッソは4種類。ティーカップのほか、いろいろな種類のグラスもそろっていて、ルームサービスでワインや日本酒を楽しむことも可能。
ほかにも、茶の湯と縁が深い大徳寺近くの「皐盧庵茶舗(こうろあんちゃほ)」の「玉露」や「抹茶入玄米茶」、「京都産紅茶」など、1回分ずつに小分けされた茶葉もそろっています。自らの茶畑で丁寧に育てられたというお茶をいれて、優雅なティータイムはいかがでしょう。
お茶が気に入れば、1階のお土産処で購入することもできます。こちらでは、館内で使用されている清水焼の湯飲みなども販売されています。
洋室スイートルーム「萌木(もえぎ)」
2階には、洋室スイートルーム「萌木(もえぎ)」もあります。こちらも専用露天風呂付きでお部屋とベッドルームが別になっています。
「雅」と違うのは、テラススペースがあるところ。近くを流れる白川の音や鳥のさえずり聞きながら、テラスでティータイムもステキですね。
和の趣のコネクティングルーム「比叡」
1階にある「比叡」は、通常2室を接続して使用するコネクティングルーム。こちらは手前の1室に和室のリビングと露天風呂があり、奥がベッドルームとなっています。お風呂のあるリビングとベッドルームが分かれているため、同行者が寝静まったあとでも、気にせず温泉が楽しめそうです。
広々とした大浴場でのんびり
部屋の露天風呂とは別に大浴場もあります。もちろんこちらも天然温泉。広々とした湯船には大理石を使用。明るく開放的な造りで、昼間は日帰り入浴も受け入れています。宿泊するお客さまは、部屋風呂とあわせて楽しまれる方も多いそう。
源泉は数百年の昔より湧出している天然ラジウム鉱泉で、腹痛の時に飲用したり、傷を洗うと治りが早かったりということから、地元の人に「お助け水」と呼ばれていました。温泉のミネラル分と湯気に含まれるラドンが、体を内と外から温めて、免疫を活性化させてくれると言われていて、湯上がりはポカポカといつまでも体が温かく感じます。
大浴場の入口付近には、源泉をくめる場所もあります。まろやかな軟水で臭みもないため、この水を使ってご飯を炊いたり、コーヒーをいれたり。おいしい水として、手持ちのペットボトルなどにくんで帰る方も多いのだとか。
大浴場でしっかりと温泉を楽しんだら、そのままラウンジ横の休憩スペースや、ラウンジでドリンクを飲みながらひと休みするのもおすすめ。源泉でいれるコーヒーやお茶が置いてあり、自由にいただくことができます。
旬の京野菜を使った、盛りだくさんの懐石料理
夕食はラウンジに隣接するダイニングスペースで、旬の京野菜と季節の食材を使った、コース仕立ての懐石料理をいただきます。
料理はすべて、オーナー・藤田恒二郎さんの手作り。京都の仕出し屋で料理の修業をし、さらに仕事でフランスにいた時に、舌で学んだフランス料理のエッセンスを取り入れた和洋折衷。夕食時に出されるお冷やも源泉。まろやかでクセのない味で、料理の邪魔をしません。
まずは、藤の花が飾られたカゴが運ばれてきました。フタを開けると「鰹のココナッツ南蛮」や「空豆の海老団子」など、小鉢に盛られた色鮮やかなお料理がズラリ。どれからいただくか迷ってしまいます。
お次の「茶碗蒸し 桜と菜の花あん」は、フタを開けるとふんわりと桜の香りが。桜の塩漬けをダシにつけ込み、香りを移してあるそうで、飾りの桜と菜の花のピューレがかわいらしい一品です。
さらに、パリパリの食感が楽しい「生湯葉キャビア・パートブリック」など、絶妙なタイミングで次々とお料理が運ばれてきます。
こちらはお造り。少しあぶって、うすくち醤油か江戸時代の万能調味料 煎り酒でいただきます。あぶることによって、皮と身の間にある脂もおいしく味わえるのだとか。
香ばしい炙りにはお酒がよく合うため、追加で日本酒をいただきました。こちらの純米大吟醸「神蔵」は、鴨川沿いにある蔵元の無ろ過の生原酒。料亭専用というレアなお酒を、清水焼の片口と器でいただきます。
メニューには、日本酒のほかにも、赤・白ワイン、ビールに焼酎、梅酒、ソフトドリンクなどがそろっています。
フタを開けると煙が広がる演出が楽しい「鯛の瞬間スモーク」は、ウイスキーの樽をチップにした煙で香り付けされていて、スモーキーな味わいがたまりません。こうしたテーブルで料理を仕上げるパフォーマンスも、食事を盛り上げ、料理の味を一層引き立ててくれます。
さらにこちらの宿は、市内の旅館でも数少ない「旬の京野菜提供認定店」に指定されていて、メニューにもたくさんの京野菜が登場します。
そのうちの一品、肉厚の賀茂茄子に香ばしく焼いたフォアグラをのせたお料理では、希少な春トリュフを目の前でスライスし、惜しげもなく散らして仕上げてくれました。
そうこうしているうちに、「牛肉の朴葉(ほおば)焼き」が登場。徐々に火がとおっていくと、みそと朴葉の香ばしい香りが食欲を誘います。
ご飯は旬の桜鯛を使用した「鯛飯」。鯛の骨とアラを焼き、昆布と一緒に炊いたダシを使用していて、フタを開けるととてもよい香りに、思わず歓声が上がります。残ったら夜食用におにぎりにしてくれるのもうれしいところです。
ラストのデザートは、フランス語で1、2、3を表す、アン、ドゥー、トロワの3種類。繊細なリーフ状のクッキーが美しい「すみれのソルベ」に小さな「イチゴのクリームブリュレ」。
そしてラストは、バニラアイスにオレンジリキュールのグランマルニエをかけてフランベした「アイスクリームのフランベ」。どんなにおなかがいっぱいでも、やさしい味のデザートはスルスルと入ってしまう不思議。アルコールが苦手な方は、フルーツソースに変更も可能です。
お料理は日替わりで、リピーターのお客さまにも新鮮な感動を与えられるように、同じものを出さないようにしているのだとか。目もお腹も大満足の季節のお料理。これをオーナーがお一人で作っているというのだから、驚きですね。
和も洋も!よくばりで豪華な朝食
朝食も豪華な和洋折衷。まずは搾りたての生ジュースからスタート。
フレッシュなくだものの香りに、頭がシャキッとお目覚めモードに。この日は甘夏でしたが、くだものは季節によって変わるそうです。
テーブルにのりきらないような大ボリューム。
目にも美しい花型のカゴの中には、生ハムサラダや卵焼き、焼きシャケにお刺身まで。お刺身の鯛は昆布締めしてあり、あっさりとポン酢でいただきます。
みそ汁には、京都御所の南にある「関東屋」のみそを使用。麹が2倍の二段仕込みという製法で作られた、コクのあるみその香りが食欲をそそります。そして、温泉の水を使用した自家製豆腐はとてもまろやかな舌ざわり。
デザートはフルーツにヨーグルト、プリンまであって朝からとても豪華です。
そして、ダイニングに広がるパンを焼く香ばしい香り。なんと1テーブルに1斤、焼きたてのパンが付いてくるのです。この日は抹茶と黒豆のパン。カットしてサーブされたふんわりとやわらかいパンは、おなかいっぱいでも、つい一口頬張りたくなります。
自家製のジャムは、いちごに清見オレンジ、バナナココナッツミルクなど。こちらも季節によって変わります。食べきれない場合、パンとジャムをお土産にして持たせてくださるので、ご安心を。
大切な人と過ごすための、おもてなしの宿
温泉やお料理はもちろん、お客さま一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスが、クチコミでも絶賛されている「北白川ラジウム温泉 えいせん京」。実際に宿泊してみると、リピーターが多いのもうなずけます。
「お茶やお花のお稽古で京都の文化を学ぶうちに、ここも現代にも通じるような京都らしさを伝える施設にしたいと思い、私が還暦を迎える年に思い切って全館リニューアルをしたんです」と話すのは、オーナーの藤田恒二郎さん。
新しくなった館内はしっとりとした和の雰囲気で、絵画やしつらいにも京都らしさが感じられます。
「良質な温泉と、京野菜など旬の食材をふんだんに使用したお料理でお客さまを癒やしたい。ゆったりと気持ちよく過ごしていただくために、1日4組の限定にさせていただいています」と、藤田さん。記念日やプロポーズなど、大切な日のお手伝いを頼まれることもあるのだとか。
自らも、おもてなしを楽しんでいるという藤田さんは、「お客さまに提供したいのは、思い出です。緊張してやって来た初めてのお客さまが、帰りにはリラックスされて笑顔で『また来るよ』と言ってくださるのが、とてもうれしいですね」と、笑顔で話してくれました。
看板の新しいロゴにある「Ra88」とは、ラジウムの記号と原子番号。良質の天然ラジウム鉱泉と、目にもおいしく滋味あふれるお料理に癒やされる旅。大切な記念日には「北白川ラジウム温泉 えいせん京」を訪れてみてはいかがでしょうか。
京都北白川天然ラジウム温泉 えいせん京
- 住所
- 京都府京都市左京区北白川地蔵谷町1-125
- アクセス
- 京阪電車「三条京阪」駅より、京阪バス乗車「地蔵谷」バス停下車すぐ
京阪電車「出町柳」駅・京都市バス「銀閣寺道」よりお迎えサービスあり - 客室数
- 4室
- チェックイン
- 15:30
- チェックアウト
- 10:00
取材・撮影・文:二木繁美