3時間で巡る~アートの街「金沢」の魅力を自転車で発見~

KAMU KANAZAWA

石川県金沢市は「金沢21世紀美術館」などアートが盛んな街。かつてこの地を治めた前田家が、武士だけでなく町人にも茶の湯や能を奨励したのが、芸術の発信地になるきっかけだったと言われています。
1日いても楽しめるほどアートスポットがたくさんありますが、ここでは観光の合間の3時間で巡れるコースをご紹介します。

その際にぜひ利用したいのが自転車。城下町の風情が残り、車やバスで入れない小路も多い金沢では、効率よくアートスポットを回るために自転車をレンタルするのがおすすめです。金沢駅を利用する方で時間が余った想定で、一緒にアートスポットを巡りましょう!

 

 

 

【13:00】出発は金沢駅。「鼓門」を見てから「やかん体、転倒する。」へ

鼓門(つづみもん)

2024年3月に北陸新幹線の金沢〜敦賀間が開通し、関西からのアクセスがさらに良くなった金沢駅。兼六園口(東口)を出ると、金沢を代表するアート「鼓門(つづみもん)」が迎えてくれます。荘厳さ漂う鼓門は、金沢の伝統芸能である能楽で使われる鼓をイメージしたもので、フォトスポットとしてもにぎわっています。

やかん体、転倒する。

そんな鼓門からすぐ、金沢駅の近くにも早速、街アート『やかん体、転倒する。』が。地中に埋まった巨大なやかん。使い込まれた黒い持ち手に、鈍い光沢を放つやかん本体が印象的です。

やかん体、転倒する。

ほっこりとした気持ちになり、旅の緊張も解けてくるような感覚が。これは市が募集した「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション2006年」の最優秀作品で「生活と芸術の橋渡しになる」と評価された作品です。金沢にはこの作品以外にも街アートが点在していて、街全体でアートを盛り上げています。

徒歩 約5分

【13:05】自転車を借りて、いざアート旅へ!

金沢駅東ポート

金沢市は観光スポットがコンパクトにまとまっていて回りやすい街。そんな金沢での観光におすすめなのが、公共シェアサイクル「まちのり」です。金沢市やその周辺にある70カ所以上あるポート(自転車を駐輪する場所)のどこでも、レンタル・返却が可能。3段階の電動アシスト付きで、坂が多い市内でも楽々回れます。

 

金沢駅から徒歩約4分の距離にある「金沢駅東ポート」。「まちのり」専用アプリをインストールして会員登録し、アプリから自転車を予約するか、会員登録なしで「1日パス」(1,430〜1,650円)が購入できます。方法は2通りあり、バイクシェアサービスの公式サイトで自転車番号を入力するか、金沢駅から徒歩約4分の「まちのり事務局」などの対面窓口でカードキーを購入して自転車を借ります。起動ボタンを確認し、バイクの充電(50%以上がおすすめ)を確認してから、「金沢21世紀美術館」に向かって出発しましょう!

 

まちのり金沢駅東ポート

営業時間
貸出・返却 24時間可能
※事務局は9:00~18:00
定休日
なし
住所
石川県金沢市本町2-17-22
料金(1日パス)
バイクシェアサービス公式サイトからの予約1,430円
まちのり事務局・提携窓口からの予約1,650円
自転車 約15分

【13:20】街全体がギャラリーのような金沢市

金沢21世紀美術館

街なかにもたくさんの個性的なアート作品がある金沢。「金沢21世紀美術館」に向けて走っている途中にあるのが、「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション2004年」の最優秀作品『走れ!』です。

 

さまざまな人やモノが行き交う交差点に設置されているのも、作品と街の動きとリンクしているかのようで面白いですね。

 

彫刻作品「走れ!」

住所
石川県金沢市片町1-1-27
自転車 約5分

【13:30~14:05】現代アートと言ったらここ!「金沢21世紀美術館」

金沢アート
撮影:石川幸史、提供:金沢21世紀美術館

2024年で開館20周年を迎える「金沢21世紀美術館」。ガラス張りのオープンな雰囲気や、子どもも楽しめる体験型のアートが人気で国内外から多くの観光客が訪れる有名なアートスポットです。本格的な現代アートを観る「展覧会ゾーン」(※要チケット)と無料で気軽にアートを楽しむ「交流ゾーン」に分かれており、じっくりと展示作品を鑑賞する場合はお昼から夕方まで半日いても楽しめます。

 

金沢21世紀美術館
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
撮影:渡邊修、提供:金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館ポートへ自転車を入れたあと、チケットを買ったら、「展覧会ゾーン」にあるレアンドロ・エルリッヒ作の『スイミング・プール』へ。行列ができるほど人気なため、事前にweb予約(観覧日当日のみ)をしておきましょう。

本物のプールに見えるこの作品には、ユニークな仕掛けが施されています。上から見ると、まるで人々が水中にいるかのような独特の視覚体験を楽しめ、プールの下にも人が入ることができます。

 

金沢21世紀美術館

営業時間
展覧会ゾーン:10:00~18:00(金・土曜は20:00まで)
交流ゾーン:9:00~22:00
※チケットの販売は閉場の30分前で終了
定休日
展覧会ゾーン:月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始
交流ゾーン:年末年始(各施設の休室日は展覧会ゾーンに準ずる)
住所
石川県金沢市広坂1-2-1
料金
展覧会ゾーン:観覧料は内容や時期により異なる(プールだけの値段:一般450円、65歳以上360円、大学生310円、小中高生以下0円)
交流ゾーン:入館無料
徒歩 約5分

【14:10~14:25】金沢の新しいアートスポット「KAMU KANAZAWA」

KAMU KANAZAWA 

自転車は「金沢21世紀美術館」に置いたまま5分ほど歩くと、2020年6月にオープンした金沢の新しい美術館「KAMU KANAZAWA(かむ かなざわ)」に到着。

金沢アート

美術館といっても、ひとつの建物に美術品が展示されているのではなく、アートを見れる展示室が街中に点在しており、時間がある方は街歩きを楽しむことができます。「金沢21世紀美術館」の近くにあるKAMU CENTERで大人1日チケット(2,000円)を購入したあと、建物内にあるイチオシのアート作品『INFINITE STAIRCASE(インフィニット・ステアケース)』を見ましょう。

KAMU KANAZAWA 
KAMU kanazawaコレクション 《INFINITE STAIRCASE》©️Leandro Erlich

レアンドロ・エルリッヒが作ったアート作品で、だまし絵のような感覚で自身もアート作品に溶け込めます。そのまま写真を撮っても、手前の手すりにぶら下がって撮影しても面白い写真を撮ることができますよ。

 

レアンドロ・エルリッヒは、「金沢21世紀美術館」の人気展示『スイミング・プール』の作者でもあるので、両作品を見た上で共通点を探ってみるのも面白そうですね!

 

KAMU KANAZAWA 

営業時間
11:00~18:00
定休日
月曜(祝日の場合は営業)
住所
石川県金沢市広坂1-1-52
料金
1日券:一般2,000円、中高生1,000円、小学生以下無料

自転車 約15分

【14:40~15:15】圧巻のたんぽぽアートが楽しめる「HIMITO」

HIMITO(光水土)

「金沢 21 世紀美術館」のポートに自転車を取りに戻り、移動を再開して約15分。金沢市民憩いの場である犀川(さいがわ)沿いにあるのが、ギャラリーカフェ「HIMITO(ひみと)」です。「ピールアート」という野菜や果物の皮を使ったアート作品や、たんぽぽの綿毛を飾った店内の空間が話題を呼んでいます。

繊細なアートが隙間なく並んでいるため、触れないように荷物は貴重品以外ロッカーに預け、入館料(1,000円)を払ってから入ります。

HIMITO(光水土)

外観は緑豊かな園芸店のようですが、一步店内に入ると、幻想的な空間が広がっていました。入り口から入る自然の光と、ピールアートからあふれる灯り、アンティークの家具がマッチして、素敵な雰囲気に思わず感嘆のため息がこぼれます。

 

HIMITO(光水土)

「この部屋は20年以上掛けて作り上げたもので、ピールアートはそれ以前からやっています。風に乗っていろいろな場所へ飛び、そこに根をおろしていくタンポポの綿毛。そんなふうにピールアートの魅力がたくさんの人や土地に伝わっていけばよいと思いました」と、オーナー兼アーティストの才田春光(さいた しゅんこう)さんは語ります。

 

HIMITO(光水土)

破棄してしまうはずの果物や野菜の皮を捨てずに、アートとして昇華するピールアートは、サステナブルな取り組みとしても捉えられますね。

 

HIMITO(光水土)

営業時間
10:30〜17:00
定休日
なし
住所
石川県金沢市中川除町51
料金
1,000円
※撮影した場合は、チケット以外に出口付近にあるカメのオブジェに追加でチップを払う
自転車 約10分

【15:25~15:40】「atelier&gallery creava」でお土産探し♪

金沢アート

「HIMITO」から北西に約20分ほど行くと、昔ながらの風情が感じられる人気観光スポット・武家屋敷跡 野村家まで到着します。近くにある「atelier&gallery creava(クリーヴァ)」もぜひ訪れていただきたいスポットのひとつ。陶芸工房・ギャラリー・カフェが併設されているこちらの施設では、アクセサリーの制作体験や地元作家の作品を鑑賞・購入できます。

atelier&gallery creava

時間がない場合でも蔵を改装したアートギャラリーは見ておきましょう。地元作家を中心とした作品が展示・販売されています。日常使いできる作品が多く、自分へのご褒美や親しい人へのお土産を探してみてはいかがでしょうか?日常にアートを取り入れることで、旅の楽しい思い出や、ちょっとした幸福感や豊かさを感じられそうですね。

 

atelier&gallery creava

営業時間
11:00〜17:00
定休日
水曜、木曜
住所
石川県金沢市長町2-6-51

 

【16:00】金沢駅に到着。アートを巡る旅は終了

金沢駅

金沢駅まで戻り、まちのり金沢駅東ポートに自転車を戻したら3時間の旅はあっという間に終了です。3時間という限られた時間で巡るコースだったのでアート作品を絞ってご紹介しましたが、時間がある方はゆっくりとアートスポットを巡るのもいいですね。

 

魅力あるアートスポット巡りが楽しめる金沢市。見るだけでも楽しいですが、実際にアートのなかに入る体験をすることで、さらにアートが身近で面白いものに感じます。金沢に来た際は、自転車でぜひアート旅を楽しんでみませんか?

 

取材・文・撮影/立岡美佐子

 

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