カニ、ウニ、イクラ、ホタテ……海の幸をとことん食べつくしたい!というわがままな海鮮欲をすべて満たしてくれるのが、JR小樽駅すぐそばの「三角市場」です。全長約200mのコンパクトな通りに、6つの食堂を含んだ、海産物や野菜、果物などを扱う15もの店舗が凝縮。お食事処は朝7時から営業していて、朝食やランチ、ブランチにもおすすめです。
そこで今回は、基本的な市場の楽しみ方から、おすすめのグルメスポット、駐車場情報まで、幅広い魅力をご紹介。小樽観光をお考えの人は、ぜひお役立てください。
三角市場のなりたち、アクセス、駐車場情報
小樽は北海道の西部に位置し、札幌や新千歳空港からのアクセスが良好です。JR小樽駅までは、JR函館本線の快速「エアポート」を利用すると、札幌駅からは約35分、新千歳空港駅からは約75分。プラス840円で「Uシート(指定席)」が利用できるので座りたい場合は予約しておくと安心です。
小樽駅を出て、左手にある小さな階段を登るとすぐに「三角市場」の入口が見えてきます。目印は左手の「ズバリ安い!!」の看板。このフレーズを聞いただけで、大いに好奇心をそそられますよね。
ちょっと不思議なネーミング「三角市場」の由来は、土地と屋根の形が三角形だから。戦後の昭和23年頃、小樽駅前で、7~8軒の露天商が店を出したのがはじまりだと言われています。
駅と反対側の入口は、札幌と余市を結ぶ国道5号線沿いにあります。駅側よりこちら側の入口のほうが間口が広く、入りやすい雰囲気。駅側からだと入りづらい……という人は、こちらから入ると良いでしょう。
ちなみに車の場合は、専用駐車場はありませんが、三角市場入口に一番近い「小樽市駅横駐車場」の利用が便利です。30分130円、さらに2,000円以上のお買い物や食事で駐車料金が1時間無料になります。
雨の日やノープランでも満喫できるお出かけスポット
小樽駅横という好立地に加えて、三角市場は屋根付きだから、雨の日でも安心です。また店舗ごとに休日はありますが、市場としては基本的に年中無休。一度、中に入ってしまえば、どこかしらお店が開いているので、まず困ることはありません。雨だろうとノープランだろうと、小樽らしい時間を過ごせる観光スポットです。
ただし、店舗ごとに開店・閉店時間が若干違うので要注意。特に、お目当ての食堂へ行きたい人は「せっかく行ったのに、お昼ごはんを食べ逃した……」なんてことがないように、休日と営業時間はしっかりチェックしておくようにしましょう。
小樽駅から、観光客が次から次へと吸い込まれるように入っていく「三角市場」。場内はつねに活気であふれ、足を踏み入れた瞬間、そのエネルギーに圧倒されます。場内の道幅は約2mと狭め。多くの観光客でにぎわう場内は混雑必至です。
特に週末のお昼どきは、通路が人でふさがってしまい動けなくなるほど大混雑することもあるそう。人が少なくなる狙い目は、14時以降。時間のロスをなくしたい人は、少しランチタイムを遅らせて、混雑回避するのも手です。
並んでも食べたい「滝波食堂」の元祖わがまま丼
さて、ここからは「三角市場」に来たら食べておきたい、ツウな海鮮グルメを3つご紹介しましょう。
1つ目は、小樽駅の入口から奥の方(国道5号線沿いの入口からだと2軒目)に位置する「滝波食堂」。ここは海産物を扱う、昭和31年創業の老舗「滝波商店」直営の食堂です。
写真付きのメニューをびっしり飾る派手派手な店構えに目が釘付け!海産物への自信がこれでもかと伝わってきます。
数あるメニューの中でおすすめは、「これを食べていきな~!」と言わんばかりにアピールしている「元祖わがまま丼」。好きなネタ3品で、普通サイズ2,420円、小サイズ2,200円。4品なら、普通サイズ2,970円、小サイズ2,750円。ネタの種類は、定番9つと季節のネタが1つ。生ウニはプラス330円(※価格変動あり)でセレクトできます。
この丼は、ネタの数だけ、思い出を作れるのが特徴。海鮮好きなら4品のわがまま丼をセレクトすべし。今回選んだのは、生ウニ・ぼたんえび・活ホタテ・カニの4品。セットでカニ汁を注文すれば、カニ汁単品550円が300円になりお得です。
いかがですか?この丼からあふれんばかりに盛り付けられた豪華な海鮮丼!ネタは大きくてしずる感たっぷり。思わず目を見開くビジュアルです。
食べてみると、甘みがあって、歯ざわりも良く、新鮮そのもの。特にホタテは、活ならではのコリコリ、プリプリ感があって最高です。気づけば、無心で次々口に運びたくなる、感動のおいしさ!
デカさと旨さに衝撃「味処たけだ」の伊土丼
続いてご紹介するのは、「滝波食堂」のすぐお隣り「味処たけだ」のデカい、うまい、映える!ビジュアルの破壊力がハンパない海鮮丼「伊土丼(いづちどん)」です。向かいにある「武田鮮魚店」直営だけあって、社長自らの目利きで競り落とした新鮮な魚介類を堪能できます。
さすが創業60年を超える老舗だけあって、店内はノスタルジックな雰囲気です。見上げると、天井が写真だらけ。おいしい笑顔であふれるお客さんの写真がびっしりと貼られており、たくさんの人に愛されている人気店だということがよく分かります。
映えを狙うなら、このお店でしか食べられない「伊土丼(いづちどん)」一択でしょう。この丼をご覧いただいてわかるように、こぼれそう……などと言うレベルではありません。ネタは、サーモンユッケとねぎとろのハーフ&ハーフ。その上には、雲のように泡立てられたふわふわ白身のメレンゲと、プルップルの卵黄がオン!これに自家製イクラの醤油漬けがついて2,000円。
食べてみると、こってり濃厚なサーモンユッケとねぎとろを、やさしくメレンゲが包み込みます。卵黄をくずし、輝くイクラと一緒にご飯をかきこめば、史上最高においしい卵かけごはんが、口内で完成。
聞けば、「伊土丼」のネーミングは、味処たけだが仕入れをするお米屋さん「伊土商店」のご主人が考案したのだとか。「伊土丼」は、まさにその名前に恥じない、知らないと人生損するレベルの卵かけご飯です。
楽天ファンもそうでない人も大満足「さんかく亭」のしまほ定食
3つ目にご紹介するのは、国道5号沿いの入口すぐ、小樽駅側の入口からだと最奥にある「さんかく亭」です。こちらのお店は、のれんに書かれているとおり、「おもてなし」に定評あり!
コスパよく、おいしい海鮮グルメを楽しみたいなら、絶対外せません。市場の食堂では珍しく17時まで営業しているので、少し早めの晩ごはんにもおすすめです。
店内に入ると、野球選手のポスターが、あちこち貼られているのに気づきます。実は、このポスターがミソ。なぜだか分かりますか?
そう!答えは、野球好きの店長考案による、ユニークなメニューがあるから。「しまほ定食」(1,500円)は、うれしい「サーモン刺身」のおまけ付きです。
この定食は、しまほっけ、お惣菜、自家製塩辛、サーモン刺身、ご飯、味噌汁、漬物までついて、驚きの1,500円。ちなみに、楽天ファン限定と書かれていますが、ファンでない人も、同じ値段で楽しむことができます。まさにホスピタリティの塊!
脂がのったしまほっけは、大きくて、食べごたえたっぷり。みずみずしい甘さが、乾いた心と胃袋に染み渡ります。
もともと修学旅行生のために考案したという「学割丼」も見逃せません。こちらは、三角市場の海鮮丼界で最高コスパとなる1,500円!しかも、誰でも注文OK……という神メニューです。リーズナブルに海鮮丼を食べたいなら、利用しない手はありません。
お土産を買うなら、新鮮で品ぞろえ豊富な「綱岸水産」へ
旅の最後にお土産を買うなら、「さんかく亭」の向かいにある「綱岸水産」へ。こちらのお店は、三角市場の組合長も務める老舗鮮魚店。敷居が高そう……と思われがちな魚屋さんですが、物腰おだやかなお店の人が出迎えてくれるので、初めてでも気軽にお買い物を楽しめます。
実は、先ほどご紹介した「さんかく亭」を、お隣りの「奥村商店」と一緒に共同経営しているのも、このお店!
店内には大きな水槽があり、元気いっぱいの活ガニがたくさん。毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、花咲ガニなど、季節ごとに旬のカニを取りそろえています。
また、お店で購入したカニは「さんかく亭」で調理してもらい、即食べることも可能。この上なくおいしいカニをぜひご賞味あれ。
「さんかく亭」でほっけのおいしさに衝撃を受けた人は、「綱岸水産」でお土産にほっけを購入してみては。ここでは、引き締まった白身の「真ほっけ」と脂がのった「しまほっけ」など、ほっけの種類が充実しています。
小樽へ行くなら、駅チカ海鮮パラダイスの三角市場へ。あなたの胃袋と心を、おいしい海鮮で満たすことができますよ!
ちなみに、小樽駅から海が見える「中央通」をまっすぐ下れば、小樽運河へも徒歩約15分で行けます。時間がある人は、ついでに小樽運河へ立ち寄って、旅の思い出を膨らませてみてはいかがでしょうか?
小樽三角市場
- 住所
- 北海道小樽市稲穂3-10-16
- 営業時間
- 開市6:00~17:00、お食事処7:00~17:00 ※店舗ごとに異なります
- 定休日
- 年中無休(店舗により休日あり)
- 公式サイト
- 小樽三角市場
撮影/大林博之 取材・文/安藤美紀