英国人作家ピーターさん。方円館の体験工房にて。
やきものの世界は深い。
でもかたっ苦しくなんかない。
やきものの世界は深い。
でもかたっ苦しくなんかない。
「常滑焼セラモール」で出会った英国人常滑焼作家のピーター・シーブリッジさん。なぜ常滑で活動をされているのですか?と聞くと「常滑は自由ですから」との答え。強制されるような慣習もなく、常滑の恵まれた陶土を生かすことができ、窯や先輩たち、発表の場などにも恵まれ、活動に集中できる。常滑を活動拠点だけではなく、人生の拠点に選んだのは、ピーターさんにとっては必然だったようです。ピーターさんは作家活動と並行してセラモール内の「方円館」で一般向けの陶芸体験の先生をされています。考えてみれば、常滑焼を広める展示会なども行うこちらのギャラリー、ショップで、一般の方との接点に「外国人」を起用するという時点で、お堅いやきものの世界ではなく、開かれた、自由な空気を感じられます。「時代とともに時代の要請で作るものを変えてきた。良し悪しはあるかもしれないけれど、やきものはくらしと寄り添う産業だと、私は思っています」とおっしゃったのは同じセラモールの磯村理事長。同じ言葉は、瀬戸のクラフト作家山崎さんからも、瀬戸本業窯八代目後継の水野さんからも聞きました。そして実際、瀬戸のお蕎麦屋で、ノリタケの森で、セラミアムの茶室で、使ってこそ輝く器の世界を体験しました。芸術品としてのやきものの世界ももちろんありますし、これもまた素晴らしいもの。一方で、今回の旅で知った、暮らしの中にやきものを取り込む豊かさ、気楽さもまた、素敵なものです。旅は、その場でしかできない経験、感動があります。と、同時に、その経験と感動を帰ってきてから自分の毎日に、自分の人生に生かす喜びもあります。この旅で、自分のお土産として、瀬戸本業窯で緑爽やかな湯飲みを買いました。休日の朝、その湯飲みで飲んだ冷茶は錯覚かもしれないけれど、とてもおいしく感じ、自分の朝がいつもよりも明るいものに感じました。また、どうしても忘れられない器にも出会いました。なんともかわいらしいその器たち。まず姿とデザインにほれ込みましたが、その作品が、常滑の堀田憲児さんのものであることを知ったのはその後。ご縁あって方円館のギャラリーにて後継を決意したばかりの息子さんとお話しすることができました。残念ながら時間の関係でご本人にお会いすることはかないませんでしたが、次回、また、ここにくる理由ができたような気がしました。旅で出会ったこと。いつもの、自分の日常へのお土産に。これもまた、旅の楽しみなのです。
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瀬戸本業窯八代目後継の水野さんは「産業は産業として、一方で伝統は伝統として残していく」ことに尽力。
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ずらりと並ぶ急須。デザイン、フォルム、機能。ちゃんとお気に入りを選べば毎日がもっと楽しく。
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七宝焼き体験工房で作られた作品たち。作品はもちろん、その体験自体も大切なお土産です。
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徳川美術館
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ノリタケの森(レストランキルン)
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あま市七宝焼きアートヴィレッジ
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愛知県陶磁美術館(セラミアム)・陶翠庵
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クラフト悠季
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瀬戸本業窯
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志庵
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セラモール
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INAXライブミュージアム
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常滑やきもの散歩道