伝統的でも軽やかな料理がノリタケの洋食器に良く合います。
ノリタケの森(レストランキルン)
明治の気骨と情熱が生んだ幸福のテーブル
日本の洋食器の歴史を作り、育んできた
『ノリタケ』ブランド。
1904年(明治37年)、赤レンガ造りの工場が
現在の名古屋駅から程近い「則武」の地に誕生。
都会の真ん中とは思えない緑と涼風の中で
この象徴的な建物は今も、静かにたたずんでいます。
赤レンガがある「ノリタケの森」、
森の中にいるような広場を散歩して、まずは
「クラフトセンター」へ。
流し込み成型によるボーンチャイナの製造工程、
「原型製作」「組み立て」から多彩な「絵付け」など、
伝統と熟練の技を目の前で楽しめて、
実際に絵付けの体験ができるコーナーもあります。
その後は、ノリタケの歴史を物語る名品の数々を見ながら
ゆっくりと堪能できるミュージアムへ。
明治から現代へと続くノリタケブランドの作品がずらり。壮観で美麗。
このミュージアムの展示品を見ていると気づくのは
ノリタケの食器は芸術品としてのマスターピースであるのと同時に
実用品として、海外にも国内にも夢を与え続けていたこと。
ブランドを築いたのは明治の日本人、
その名は、森村兄弟。
後に愛知発で日本の産業とくらしを豊かにしてきた
数々の企業を立ち上げた近現代史の重要人物です。
時代に適した産業が芽生え始める当時の愛知で
それだけではなく、さらに先の豊かさを予見。
輸出産業品としての洋食器ブランド確立への挑戦は、
後の日本のくらしを豊かにするための挑戦でもありました。
明治9年、勇躍、ニューヨークに飛び立ち、
その後、6番街238番館に現地での拠点を開設。
欧米の最新とそれに応える日本の職人たちを結びます。
日本の美、クラフトマンシップを鼓舞しながら、
世界に認められる洋食器づくりを目指して。
優美だったり、かわいらしかったりする展示品の裏に、
明治の男の気骨やその時代の西洋の空気も感じられて。
さらに昭和の豊かさへの渇望も感じる、ただただ
幸せな右肩上がりの時代のテーブルや家族の笑顔など、
なんとも不思議なタイムトリップができるフロアです。
フレンチ出身の山本シェフ。「器に負けないように」と爽やかに笑う。
不思議なタイムトリップの後は、
それらの洋食器とともにゆっくりとお食事を。
芸術品として、実用品としてのお皿、カトラリーを
季節の欧風創作料理とともに楽しみましょう。
赤レンガと緑の森、清らかな水を眺めながら
幸せなテーブルを囲める「レストランキルン」へ。
フレンチの技にイタリアンやスペイン、所々に和。
この日のメイン、イベリコ豚の肩ロース肉も
火の入れ方はフレンチ、ソースはプッタネスカ、
添えられた季節の野菜は、秋の日本のオーベルジュ。
文化の融合を卓越の技術で作品に仕上げるというのは、
シェフにとっては果敢な挑戦なのでしょう。
それは創業の時代の森村兄弟と同じ挑戦。
美しい食器と美味とで、会話も心地よく弾んでいきます。
ノリタケの森
古屋市西区則武新町3-1-36
JR・名鉄・近鉄「名古屋」駅下車徒歩15分、地下鉄東山線「亀島」駅下車徒歩5分 名古屋駅前から市バスもあり
開館時間:10:00~各施設、催事によって違います(HPで確認してください)。
定休日:月曜日(祝日・振替休日に当たる場合は翌平日)、年末年始
入園料:無料 ※クラフトセンター・ミュージアムは500円(大人/一般)