世界遺産・清水寺へと続く清水坂沿いに佇む「ザ・ホテル青龍 京都清水」。1933(昭和8)年に建てられた小学校の校舎を保存・活用し、世界に誇れるヘリテージ(遺産)ホテルとして2020年3月に開業しました。
小学校校舎の面影を感じるレトロな空間、八坂の塔を間近に望む絶景、アメリカの権威ある格付け「フォーブス・トラベルガイド 」で3年連続4つ星を獲得したホスピタリティ、そして、世界中の名だたるラグジュアリーホテルが名を連ねる「ザ リーディングホテルズ オブ ザ ワールド」に日本で8番目に加盟を認められたラグジュアリーなホテルステイをレポートします。
清水寺のふもとに立つ「ザ・ホテル青龍 京都清水」
「ザ・ホテル青龍 京都清水」があるのは、清水寺に続く清水坂沿い。清水寺まで徒歩約8分、祇園へも徒歩圏内という、観光にとても便利な立地にあります。
観光客でにぎわう古都・京都らしい石畳の道を歩き、ホテルへ。アプローチを進んでいくと、外の喧騒をまったく感じさせない静謐な空間が待っていました。奥まったエントランスが、ここから先は宿泊ゲストだけの特別な空間であることを物語ります。
昭和初期築の小学校校舎を継承したヘリテージホテル
「ザ・ホテル青龍 京都清水」の建物は、1933(昭和8)年に建てられた元清水小学校の校舎を活用しています。当時としては画期的な鉄筋コンクリート造りで、洋風のデザインも高く評価されたそう。
小学校としての役目は2011(平成23)年に幕を閉じましたが、「記憶を刻み、未来へつなぐ」のコンセプトのもと、歴史や文化を未来へつなぐ役割を担うヘリテージ(遺産)ホテルとして2020年3月に開業しました。
校庭は中庭に、講堂はレストランに生まれ変わり、アーチ窓やスパニッシュ瓦の屋根と腕木など、いたるところに当時の意匠を見ることができます。よく見ると、外壁にも丸い時計がかけてあった跡がうっすらと。
玄関では、かつて校庭だった中庭と、「八坂の塔」として知られる法観寺の五重塔が出迎えてくれます。こんな京都らしい風景とともに過ごせるのもこのホテルの魅力です。
敷地面積は7,000平米を超え、中庭を囲むように3つの建物がコの字型に配置されています。向かって右側はかつての校舎でフロントなどがある南棟、左側はホテル開業にあたって元校舎に増築部を加えた客室棟になっています。
校舎の面影を感じるクラシカルな客室
南棟でチェックインを済ませ、渡り廊下をわたって客室へ。東山の山腹にある立地を活かし、渡り廊下の横には大階段が広がります。
ここが小学校だったことをもっとも感じられるのが、手すりや腰板張りを当時のまま残した階段と、教室が並んでいたであろう長い廊下。行き交う生徒たちの元気な声が聞こえてきそうです。
ジュニアスイート クラシック
この日宿泊したのは「ジュニアスイート クラシック」(66.3平米、定員3名)。かつて教室だったことをうかがわせる広々とした空間に、ソファやワーキングデスク、ダブルベッド2台を配置。当時のままの梁や白い壁が、クラシカルでエレガントな雰囲気を作り出しています。
バスルームもゆとりの広さ。洗面台は使い勝手のよいダブルシンクで、歴史を継承しつつも、現代にフィットした設備を備え、快適な滞在を叶えてくれます。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープはスペイン発のスパブランド「ナチュラビセ」。ローズマリーとホワイトティーの香りが優雅なバスタイムを演出してくれます。
お風呂上がりにはバスローブのほか、着心地のよい上下セパレートのパジャマも用意されています。
さらにうれしいのが、客室の冷蔵庫内のドリンクを自由にいただけること。京都ゆかりのビールや酒処・伏見のお酒をはじめ、京都の老舗日本茶専門店「一保堂茶舗」の日本茶、「ロンネフェルト」の紅茶、コーヒーなど充実のラインナップ。
銀閣寺近くに店を構える「御菓子司 緑菴」のお菓子とともに、歴史を感じる空間でくつろぎの時間を過ごせます。
「ザ・ホテル青龍 京都清水」には48室、15タイプの客室があります。「ジュニアスイート クラシック」以外の客室も一部ご紹介します。
スタンダードキング
「スタンダードキング」(44.6平米、定員2名)も、クラシカルな雰囲気を存分に堪能できる一室です。一部の客室にはアーチ窓が備わり、日本の引き算の美学を応用したシンプルなインテリアが校舎の面影を一層引き立たせています。
パノラミックスイート
館内でもっとも広い客室「パノラミックスイート」(136.3平米、定員3名)は、広々としたリビングダイニングとベッドルームを備えています。
ベッドルームからは京都東山のシンボル、八坂の塔が目の前に! 夕日に照らされた塔や夜ライトアップされた塔、ベッドに横になって眺める塔など、さまざまな表情を楽しめるのはこのお部屋に泊まった人だけの特権です。
ベッドルームのとなりにあるバスルームも八坂の塔ビュー。絶景とともに贅沢なバスタイムを楽しめます。
リビングダイニングも大きくとった2面の窓から、京都タワーや京都の街並みを一望します。奥には、食器やカトラリーもそろうミニキッチンとワインセラーが。
テラスも付いているので、気候のよいときにはアルコールを片手に、遮るもののない京都の大パノラマを楽しむのもよさそうです。
プレミアムツイン パゴダビュー
八坂の塔を望むなら、増築部分にある「プレミアムツイン パゴダビュー」(60平米、定員3名)もおすすめ。ミニマルなデザインの中に、京都らしい伝統的なしつらえが光る和モダンな一室です。
お点前体験やドリンク・軽食を無料で楽しめる「ゲストラウンジ」
そして、「ザ・ホテル青龍 京都清水」には宿泊ゲストだけが無料で利用できる「ゲストラウンジ」があり、中庭を望むソファや八坂の塔を望むカウンター席などで思い思いにくつろげます。
抹茶お点前体験とコーヒー豆挽き体験
ゲストラウンジでは、自ら点てた抹茶や豆から挽いたコーヒーを味わうアクティビティも用意されています。
コーヒーは京都「小川珈琲」の豆を使用し、挽きたてを楽しめます。豆やお湯の分量、注ぐ時間まで書いてあるので、普段コーヒーを淹れない人も気軽に体験できます。
ミルを回してゴリゴリと豆を挽き、時間と分量を計りながらドリップしていると、いつのまにか集中し、瞑想しているかのような気分に。自らの手で挽いて丁寧に淹れたコーヒーのおいしさは格別でした。
カクテルタイムはアルコールもフリー
15:00~22:00のカクテルタイムには、京都のクラフトビールや地酒、ワイン、ウィスキーなど、さまざまなお酒がカウンターに並び、自由に楽しめます。
さらに、抹茶胡麻豆腐や湯葉、漬物といった京都らしいオードブルから、生ハムやチーズ、ナッツといったお酒のお供も好きなだけ。生八ツ橋やマカロンなどのスイーツもそろいます。
自宅のリビングのような居心地のよさについ長居してしまい、のんびりと京都の夜を満喫しました。
ゲストラウンジ
- 営業時間
- 7:30~22:00
- 料金
- 宿泊者無料(17:00~は13才未満のお子様は大人同伴の場合に限り利用可能)
また、ホテルの上には提携のルーフトップバー「K36 The Bar & Rooftop」が。360°広がる京都市街の夜景とライトアップされた八坂の塔を望む抜群の開放感のもと、アルコールや料理を楽しめます。
大人気のバーですが、宿泊ゲストには事前予約可能といううれしい特典があります。
夜の静かなホテル周辺を散策
日が暮れると、ライトアップされた元校舎が美しく浮かび上がります。小学校の面影を探して館内を散策するのも、このホテルならではの楽しみ方です。
さらに、ホテルを出て、周辺を少し散歩してみることに。昼間は大勢の観光客が行き交う産寧坂や二寧坂も、夜はとても静か。
これも、このホテルに泊まった人だけが味わえる特典のように感じられます。夜のしっとりとした雰囲気の石畳の道を存分に堪能しました。
貸切でゆったりとバスタイムを楽しめる「プライベートバス」
客室のバスルームもゆとりの広さでとても快適ですが、ホテル内には貸切の「プライベートバス」もあり、家族みんなでバスタイムを楽しむこともできます。
ここは講堂だった場所で、天井高は3m超。広々とした空間でゆったりと癒やしの時間を過ごせます。
プライベートバス
- 営業時間
- 7:00~22:00
- 料金
- 90分間 6,000円(4名まで利用可能)
朝、空いている時間に清水寺観光へ
「ザ・ホテル青龍 京都清水」の魅力のひとつが、清水寺など人気の観光スポットに近い絶好のロケーション。
清水寺は朝6:00開門なので、空いている朝のうちに清水寺に出かけるのもおすすめです。ホテルからは歩いて8分ほど。清水の舞台からの絶景を独り占めする贅沢が味わえるかもしれません。
元講堂のレストランでいただく贅沢な朝食
朝食は「restaurant library the hotel seiryu」でいただきます。
ここもかつて講堂だった場所で、今は1,000冊以上の本が並び、まるで図書館のよう。天井が高く開放的でありながら、書架が空間を区切り、プライベート感も演出しています。
また、テラス席も利用可能。大階段と中庭、京都の山々を見渡せます。
朝食メニューは洋食と和食があり、「Well-being Breakfast」と題した身体も心も満たされるコース仕立て。
コースは、日替わりの目覚めの一品から。次に理科の実験で使うシャーレを思わせるフタ付きの器でサラダとフルーツ、ヨーグルトが登場します。
ドリンクのラインナップには、フルーツジュースや豆乳入り野菜ドリンク、ヴィネガードリンクに加え、スパークリングワインも。”朝シャン”できるなんてとても贅沢です。いろいろ味わえるカゴ盛りのパンにもテンションが上ります。
続くメインディッシュは7種類から選べ、注目はしば漬け入りリゾット。平飼いの濃厚な卵をのせた卵かけごはん風のリゾットに、しば漬けのアクセントが効いたホテルオリジナルのメニューです。
メインはほかに、濃厚卵のオムレツや米粉で作ったもちもちのパンケーキ、そば粉のガレット、京都の銘柄豚「京都ぽーく」の肩ロースといったボリューム満点の一品も。
和食は、彩りが美しい季節の料理6皿を木のボックスに詰めた和朝食と、鍋料理の2種類から選択可能。お鍋は、ハモなど旬の食材を香り豊かなダシで堪能します。
和食出身の料理長が手掛けているとあって、和食も人気なのだとか。洋食と和食、どちらにしようか迷ってしまいますが、連泊して、日替わりで選ぶのもよさそうです。
restaurant library the hotel seiryu
- 営業時間
- 7:00~10:30 (ラストオーダー10:00)
歴史ある元小学校の校舎が、ラグジュアリーホテルとして見事に生まれ変わった「ザ・ホテル青龍 京都清水」。観光に便利な立地にあるものの、八坂の塔を眺め、ゲストラウンジや客室でのんびり過ごしたり、ノスタルジーに浸りながら館内を散策したり、外に出ずとも、京都をゆっくり満喫できます。次の京都旅行は、「ザ・ホテル青龍 京都清水」でおこもりステイを楽しんでみませんか?
ザ・ホテル青龍 京都清水
- 住所
- 京都府京都市東山区清水2-204-2
- アクセス
- 京都駅よりバスで約20分、バス停「清水道」より徒歩約5分
- 駐車場
- なし(提携駐車場あり)
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
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撮影:正井聖樹 取材・文:楽天トラベルガイド編集部