奈良公園とその周辺は日本を代表する重要文化財の宝庫で、新しい観光スポットも続々とオープンしている場所。そんな魅力たっぷりの奈良公園エリアで、押さえておきたい定番観光地から注目のグルメが味わえる店舗まで、大人も子どもも一緒に楽しめるスポットをご紹介します。
奈良公園ってどんなところ?
約1300年前の平城京遷都のころ、現在の奈良公園がある場所に信仰の場としてたくさんの寺社が移築され、現在では日本を代表する観光地として多くの人を魅了しています。
奈良公園は約600ヘクタールもの〜園内には山林や川などの自然だけでなく世界遺産の東大寺や興福寺、春日大社のほか、国立博物館などが隣接しています。特に重要な歴史遺産が多いことから、「歴史公園」とも言われているのだそう。
奈良公園へのアクセス
【京都方面から】
JR「京都」駅からみやこ路快速で「奈良」駅まで約46分、近鉄京都線「京都」駅から特急で「近鉄奈良」駅まで約40分。
【大阪方面から】
JR「大阪」駅から快速で「奈良」駅まで約50分、近鉄奈良線「大阪難波」駅から快速急行で「近鉄奈良」駅まで約36分。
今回はJRで向かいました。奈良公園までは、JR「奈良」駅東口のバスターミナルの2番乗り場から、市内循環(外回り)か高畑町(奈良公園)行きバスに乗車し、「県庁前」「県庁東」「氷室神社・国立博物館」「東大寺大仏殿・春日大社前」のうち、目的地に1番近いバス停で下車しましょう。
所要時間は10分ほど。運賃は大人210円、子ども110円です。また、バスを使わずに歩いても20分ほどで到着することができます。
奈良交通「市内循環バス」ページ
土日祝日であれば、奈良観光に便利な「ぐるっとバス」という周遊バスもあります。奈良の観光地を3つのコースで周遊していて、区間内はどこでも100円というお得な値段で乗車できます。JR奈良駅西口から約15分おきに1本の間隔で運行しているので、週末にお出かけの方はこちらもぜひ検討してみてくださいね。
「奈良国宝・古墳めぐり」で散策スタート!
かわいい鹿たちが続々と寄ってくる!
奈良公園には約1,400頭もの野生の鹿がいて、群れ遊んでいる様子を楽しむことができます。その愛くるしい姿は、奈良県のマスコット的存在にもなっています。
今回は広大な奈良公園の敷地の中でも、興福寺や東大寺をはじめ、奈良を代表する神社仏閣を回る「奈良国宝・古墳めぐりコース」を散策。歴史と自然を満喫しながら歩けるコースです。
コース内はどこも有名スポットばかりなので、もし歩き疲れてしまっても先程ご紹介した「ぐるっとバス」に乗車できます。小さなお子さまと一緒でも安心ですね。
広大な敷地には緑が視界いっぱいに広がり、たくさんの鹿と観光客で賑わいます。自然も豊富で景色がきれいなので、ゆったり散策も楽しめます。
「鹿せんべい」(200円)を鹿に与えることができます。この鹿せんべいは、奈良公園内の道端や参道脇にある露店、茶屋、土産物屋などで販売されています。
大人も子どもも、鹿せんべいに夢中なかわいらしい鹿たちに思わず笑顔になってしまうでしょう。持った瞬間にたくさんの鹿が寄ってきます。小さなお子様だけで与えないように気をつけてくださいね。
奈良公園
五重塔が目印! 迫力ある世界遺産「興福寺」
まずは興福寺から散策をスタート。早速たくさんの鹿がのんびり過ごしながらお出迎えをしてくれました!
興福寺は藤原氏の祖である藤原鎌足と、その子息の藤原不比等ゆかりの寺院。併設されている国宝館には、阿修羅像をはじめとした興福寺に伝わる数多くの国宝・重要文化財が収蔵されています。
街のシンボルとなっている興福寺の「五重塔」は高さが50.1メートル。近い将来大規模な修理が予定されています。
2018(平成30)年に約300年ぶりに再建され注目を集めている、色鮮やかな「中金堂(ちゅうこんどう)」へ。20年の年月をかけ、創建時と同じ場所に同じ大きさで再建されました。中金堂内には、興福寺の本尊である釈迦如来坐像などが安置されています。
遠くからの艶やかな外観だけでなく、66本もの巨木を使った柱や7万枚以上もの瓦が葺かれている屋根など、間近で観るからこそ感じられる中金堂の迫力を味わってみてください。
興福寺
- 住所
- 奈良県奈良市登大路町48
- 料金
- [興福寺国宝館]大人 700円、中・高生 600円、小学生 300円
[東金堂]大人 300円、中・高生 200円、小学生 100円
[国宝館・東金堂共通券]大人 900円、中・高生 700円、小学生 350円
[中金堂]大人 500円、中・高生 300円、小学生 100円
- 時間
- 9:00~17:00(受付終了は16:45)
- 定休日
- 無休
- 電話番号
- 0742-22-7755(本坊寺務所)※時間:9:00〜17:00
- 詳細
- 興福寺公式ページ
奈良といえばここ!大仏様のいる寺院「東大寺」
興福寺から15分ほど歩くと、「東大寺」に着きます。奈良の大仏さまで世界中に知られている、奈良を代表する寺院です。1998(平成10)年に古都奈良の文化財の一つとして、世界文化遺産に登録されました。
東大寺の「大仏殿」は世界最大級の木造建築物で、聖武天皇の時代の751(天平勝宝3)年に大仏を安置する場所として建てられたもの。2度の戦火で被災していますが、その度に再建されてきました。現在ある東大寺の建物の多くは、江戸時代に再建されたものだそう。もちろんここにも、かわいらしい鹿がお散歩しています。
東大寺の入り口を入ると、正門にどんと構える「南大門」が現れます。
両側に立つ二つの金剛力士像は、高さが約8.4メートルもあり大迫力!
この門をくぐると、まっすぐ引かれた道の先に大きな大仏殿が見えてきます。
大仏殿の中には、高さ約15メートルもの大きな大仏が鎮座しています。大仏殿の堂内には建築当時に最先端の「大仏様(だいぶつよう)」という建築方法が使われており、大仏だけでなくその構造美も楽しめます。
横にある柱には大仏さまの鼻の穴と同じ大きさと言われる穴が空いていて、この穴をくぐり抜けられると頭が良くなる、無病息災のご利益があるなどの言い伝えがあります。子どもにしかくぐり抜けられないような穴なので、お子さま連れのご家族はぜひ挑戦してみてくださいね。
大仏殿の出口を出て左に進むと、奈良の街を見渡せる絶景スポットとして有名な「二月堂(にがつどう)」が奥に現れます。
南北2カ所にある階段から、見晴らしのいい高さにある舞台(回廊)に登ってみましょう。国宝のお堂ながら24時間自由に参拝することができるので、昼間だけでなく夕日や夜景など、その時間ごとの美しい景色を楽しめますよ。
東大寺
- 住所
- 奈良県奈良市雑司町406-1
- 料金
- [大仏殿・法華堂・戒壇堂・東大寺ミュージアム]各大人(中学生以上) 600円、小学生 300円
[セット券(大仏殿・東大寺ミュージアム)]大人(中学生以上) 1,000円、小学生 400円
- 時間
- 4月〜10月[大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂]7:30〜17:30 [東大寺ミュージアム]9:30〜17:30 (最終入館17:00)
11月〜3月[大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂]8:00〜17:00 [東大寺ミュージアム]9:30〜17:00(最終入館16:30)
- 定休日
- 無休
※戒壇堂は2020(令和2)年6月30日で拝観を一時停止します。詳細は公式ページをご確認ください。
- 電話番号
- 0742-22-5511(東大寺寺務所)
- 詳細
- 東大寺公式ページ
ハイキング感覚で登れる! 緑に覆われた広大な「若草山」
東大寺から5分ほど歩くと、奈良公園ですぐに目を引く緑に覆われた若草山の麓にたどり着きます。春は桜、秋は紅葉やススキが楽しめます。日が落ちると、奈良市内の夜景を楽しめる絶景スポットです。
鶯塚(うぐいすづか)古墳がある高さ約342メートルの山頂までは、歩いて30〜40分ほど。ハイキングも楽しめます。
未就学児など小さなお子様連れや体力に自信の無い方は、麓にある広大な芝生で、のんびり昼寝をしている鹿たちを眺めながらゆったり過ごすのがおすすめです。
若草山
- 住所
- 奈良県奈良市春日野町
- 料金
- 大人(中学生以上):150円、小人(3歳以上):80円
- 開山時間
- 9:00〜17:00
※開山期間は、3月第3土曜日〜12月第2日曜日
- 定休日
- 無休
- 電話番号
- 0742-22-0375
縁結びの神様がいるパワースポット「春日大社」
若草山から12分ほど歩いて、春日大社へ。全国にある春日神社の総本社は、約1300年前に平城京を守護するために創建されたこちらの古社です。
神聖な御蓋山(みかさやま)の原始林の中に、朱塗りの鮮やかな春日大社の本殿が鎮座しています。また、重要文化財でもある「中門」は春日大社を代表する建物です。緑茂る木々に囲まれた朱色の社殿は、創建当時と変わらない優雅な雰囲気が漂っています。
本殿を囲むように回廊が建てられており、回廊はたくさんの釣燈籠が吊るされています。
真っ暗な中で溢れんばかりに吊り下げられた幻想的な燈篭を楽しめる、「藤浪之屋」という部屋もあります。毎年8月14・15日に行われる『中元万燈篭(ちゅうげんまんとうろう)』という神事を再現したものだそう。本当に真っ暗なので、注意して歩く必要があります。
境内にある「夫婦大國社」は、日本で唯一夫婦の大國様がお祀りされている、有名な縁結びスポット。
水に濡らすと文字が浮かび上がる「夫婦大國社水占い」(300円)は、子どもも大喜び間違いなし。
形がかわいい「ハートの絵馬」(800円)を夫婦で書くなどして楽しんでみてはいかがでしょうか。
春日大社
- 住所
- 奈良県奈良市春日野町160
- 時間
- 3月〜10月 6:30〜17:30、11月〜2月 7:00~17:00
[本殿前特別参拝]9:00〜16:00
[夫婦大國社]9:00〜16:30
[国宝殿]10:00〜17:00
[萬葉植物園]3月〜11月 9:00~17:00、12月〜2月 9:00〜16:30
- 料金
- [本殿前の特別参拝]初穂料500円
[国宝殿]大人 500円、大学生・高校生 300円、中学生・小学生 200円
[萬葉植物園]大人 500円、小人 250円
- 定休日
- 不定休(参拝不可の日があるため、詳しくは公式ページで)
- 電話番号
- 0742-22-7788
- 詳細
- 春日大社公式ページ
奈良公園周辺にあるグルメもたっぷり楽しんで!
かわいい鹿ソフトが食べられる 「まめじか食堂」
奈良公園内の奈良国立博物館から目と鼻の先の場所にあるこのお店では、鹿がモチーフになったかわいらしいアイス「まめじかエアソフト」(600円)が味わえます。
SNS映え抜群の、濃厚なミルクたっぷりのソフトクリームをご堪能ください。ほかにも「和豚もちぶたプレミアムカツカレー」(1,620円)などのフードやコーヒー「まめじかふぇ」(580円)などドリンクも充実しているので、家族みんなで楽しめますね。
まめじか食堂
- 住所
- 奈良県奈良市登大路町59-1
- アクセス
- 「奈良」駅または「近鉄奈良」駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ
- 営業時間
- 11:00〜17:00(L.O.16:30 ※フードのみ16:00)
- 定休日
- 不定休
- 電話番号
- 0742-25-2175
昔の面影を残す「ならまち」で新感覚のそうめんを楽しむ
江戸時代から明治時代にかけての町家が多く立ち並ぶ、元興寺旧境内を中心とした旧市街地「奈良町(ならまち)」は、奈良公園からは歩いて15分ほど。戦災を免れた町並みは、古き良き日本人の生活風景を今も残しています。
そのならまちにオープンした古民家を改装したおしゃれな雰囲気のそうめん専門店「そうめん処スルスル」は、奈良名物三輪そうめんを使った鯛だしスープの創作そうめんで注目を集めています。
大人気の「鯛だしそうめん」(1,000円)などの和風のさっぱりした味わいから、イタリアン・フレンチを学んだオーナーシェフによるトマトやクリームと合わせた創作系まで、バリエーション豊かなそうめんのメニューをどうぞ。
そうめん処スルスル
- 住所
- 奈良県奈良市元興寺町19
- アクセス
- 「奈良」駅から徒歩約20分、「近鉄奈良」駅から徒歩約15分、JR桜井線(万葉まほろば線)「京終(きょうばて)」駅から徒歩約12分
- 営業時間
- 11:00〜17:00(L.O.16:00)
- 定休日
- 月曜日、不定休
- 電話番号
- 0742-23-6435
のんびり古民家で足湯とカフェを満喫
「そうめん処スルスル」から隣の道をちょっと路地に入ったところにある隠れ家のようなカフェ「足湯カフェ 茶の湯」。
こちらのお店ではオーダーするとたらいにお湯を張ってくれ、足湯でほっと寛ぐことができるんです。
足湯とドリンクがセットになった、足湯セットメニュー「Aセット:茶足湯(60分)+1ドリンク」(1,000円)や「Bセット:茶足湯(60分)+1ドリンク(スムージー)」(1,200円)、「からだにやさしい玄米ごはんランチ」(1,200円、茶の坊足湯付きは+500円)などのメニューがいただけます。
今回オーダーした「ならまちプリン」(1,000円・足湯セット)は、プリンとコーヒーゼリーの上に、桃やパイナップルなどのフルーツやクリームが満載! 子どもも大人も大満足のデザートです。足湯と甘いデザートでひと息つけば、散策の疲れも忘れられることでしょう。
足湯カフェ 茶の湯
- 住所
- 奈良県奈良市元興寺町20-3
- アクセス
- 「奈良」駅から徒歩約20分、「近鉄奈良」駅から徒歩約15分
- 営業時間
- 11:00〜日没ごろ
- 定休日
- 木曜日
- 電話番号
- 0742-26-7100
四季折々の自然や景色や楽しめる奈良公園は、大人でも新たな発見があり、子どもたちにとっても新鮮で楽しい思い出が作れる場所。レジャー施設とはひと味違った歴史的な街並みだからこそ感じられる風情の中で、ご家族でゆったり過ごしてみてはいかがでしょうか?
取材・撮影(一部写真を除く)・文/進藤夏葉