京都・嵐山といえば、言わずと知れた観光地であり、桂川のせせらぎと豊かな緑に恵まれた訪れる人を癒やしてくれる場所。そんな嵐山のアイコン・渡月橋(とげつきょう)の目の前にひっそりと佇むのが、「MUNI KYOTO」です。ほかでは目にできない景色、味わえない料理、極上のサービス…唯一無二の体験が、ここにはありました。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の目的で、営業時間などは変更になる可能性があります。ホテルの公式ページをご確認の上、ご利用ください。
嵐山・渡月橋の目の前という最高の立地
「MUNI KYOTO」は、2020年8月にオープンしたスモールラグジュアリーホテル。阪急嵐山線「嵐山」駅から徒歩11分ほど、嵐電(京福電鉄)の「嵐山」駅からなら徒歩約4分という、嵐山の中心部にあります。京都駅からタクシーで約30分、宿泊者限定の駐車場もあるので、車での来訪も可能です。
渡月橋の目の前という立地でありながら、よくよく注意しなければ、ここにホテルがあることを見過ごしてしまいそう。というのも、モダンな雰囲気を取り込みつつ、周囲の家屋や嵐山の風景に溶け込むようなデザインが施されているから。「自然と調和した、唯一無二の景色が体験できる」というMUNI KYOTOのコンセプトが体現されていて、さながらお忍び旅行のような気持ちが高まります。
歴史ある大邸宅を訪れたような内観とインテリア
館内は、「美術品が並ぶ大邸宅にお客様をお招きする」イメージでデザインされています。
たとえば、エントランスを入ってすぐ出迎えてくれるのは、陶作家・安藤雅信さん作の水琴窟(すいきんくつ)。甕の中に落ちるしずくの音が共鳴し琴に似た音を奏でる、日本庭園の装飾の一つです。静寂の中に響く水の音は、慌ただしい日常から一転、厳かで心休まる空間を演出します。
華美なものは置かず、シンプルながらも計算しつくされた美しいロビーには、一際目を引く書が。日本に初めて美術としての書を提示した書家・稲田宗哉さんの作品で、ホテル名でもある「無二」と書かれています。
そして、ロビー右側に目を向けると、MUNI KYOTOを代表する庭の一つ「白の庭」が広がります。奥にそびえ立つ松は、桂川の水面から天へと登る龍を、一面に広がる石組みは、嵐山周辺に残る断層涯(チャート)をイメージしているのだとか。ロビーからガラスを通して見ると、まるで一枚の絵画のようです。
夜になるとがらりと表情を変える中庭。時間や天候次第で変わる眺望を楽しみに、館内でのんびりと過ごすゲストも多いそうです。
お庭沿いの廊下を進み、いざ宿泊するお部屋へと向かいましょう。寺院などの回廊を模した、折れ曲がった造りにもご注目を。
他で体験できない景色を堪能できる「リバービュー」客室
客室は全21部屋。今回は、一番人気の2階客室「リバービュー」をチョイスしました。
部屋に入ると同時に、自動で少しずつ窓のスクリーンが上がり、ゆっくりと照明が灯ります。外に広がるのは、MUNI KYOTOを代表するもう一つの庭、「黒の庭」。ロビー横の「白の庭」とは対照的な色遣いで小さな滝が流れ、嵐山を借景に川の流れや自然の美しさを再現しています。さらに渡月橋と桂川が望める、これぞ宿泊者しか味わえない唯一無二の景色です。
最高4.5メートルを超える高い天井が印象的な客室内は、和と洋が絶妙なバランスで融合されています。たとえば壁面に注目してみましょう。片側が「ベネチアンスタッコ」と呼ばれる、大理石を細かく砕いた粉を漆喰に混ぜた光沢ある「洋」、反対側は日本の伝統的な漆喰である「和」が表現されています。
室内のどの場所でも快適な温度と湿度を保つ「床冷温輻射システム」を採用しており、温熱環境も言うことなし。ずっと滞在したくなる快適さも備えます。
室内に飾られているのは、一見すると筆で描かれた絵画のようですが、実はアーティスト・国松希根太さんによる木目を活かした作品。ふたつと同じものはなく、唯一無二の出会いがここにも。
ガラス張りのバスルームからも美しい景色がしっかりと見渡せる、贅沢な造り。
ボウルが2つある広い洗面室なので、眠る前のフェイスケアや朝の身支度もゆったり。日頃の慌ただしさとは無縁の、快適な空間です。
アメニティは、日本のスパから生まれた「ALL THAT SPA」が、ホテル内のスパ施設「MUNI SPA」のために開発したオリジナルプロダクト。日本の風土で育った植物だけを使った、五感すべてにやさしく響く繊細な香りとテクスチャが魅力です。
バスローブやナイトウェア、ふかふかのスリッパにも、渡月橋をイメージしたミニマルデザインのホテルロゴが。肌触りも抜群で、さらなる上質な滞在を演出します。マスクやアルコールスプレーも完備されているので、感染症対策も万全。
ミニバーには、さまざまなドリンクが取り揃えられていて、アルコール以外は無料というのもうれしいおもてなし。お茶は宇治「丸久小山園」のティーバッグ。コーヒーは世界中の農場から選りすぐった豆を取り扱う「ミカフェート」が、MUNI KYOTOのためにブレンドしたオリジナルと、細部までこだわり抜いたサービスに感動です。
南部鉄瓶でお茶を淹れたら、テラスで心安らぐひとときを過ごしましょう。幾度となく嵐山を訪れている人でも、部屋からのこの景色は望めないはず。「黒の庭」や桂川から聞こえる水音に浸るもよし、部屋に用意されているランタンスピーカーを持ち出して、好きな音楽を楽しむもよし。少し日が暮れてきたら、お酒を片手に夕涼みも素敵です。
円山応挙、竹内栖鳳(せいほう)など、ホテルのお隣にある「福田美術館」で販売されている絵葉書に封筒、便箋も備えられているので、大切な人へ旅先から手紙をしたためることも。もちろん、お土産として持ち帰ることも可能です。
快適さとここにしかない眺望に出会える客室をより堪能するなら、インルームでのアフタヌーンティーもおすすめ。焼き菓子やマカロン、ケーキなど、パティシエが腕によりをかけて作るスイーツをご堪能あれ。
特別な体験と感動を与えてくれる客室は全3タイプ
MUNI KYOTOには、今回宿泊した「リバービュー」を含めて全3タイプの客室が用意されています。
1階「ガーデンテラス」は、「黒の庭」を目の前で楽しめるお部屋。
テラスに出ると心洗われるような美しい水音が聞こえますが、一旦窓を閉めれば、外の音がほとんど聞こえない精度の高い防音設備に驚きます。朝・夕・夜と、それぞれの景色を楽しみましょう。
4名まで泊まれる「メゾネット」は2階と3階がつながっていて、戸建ての別荘のような気分が味わえます。気の合う仲間や家族と、誰にも邪魔されないのんびりとした時間が流れます。
ラウンジで、刻々と移り変わる渡月橋を眺めてホッと一息
17:00~19:00までは、1階のレストラン「MUNI LA TERRASSE(ラ・テラス)」を宿泊者専用ラウンジとして自由に利用可能。客室からとはまた違った角度から、渡月橋を望めます。
ウェルカムドリンクとして用意されているのは、シャンパンやワイン、クラフトビール、カクテルといったアルコール類はもちろん、ノンアルコールワインやソフトドリンク、グリーンティーなど。地元の銘柄も多く、目からも舌からも京都を堪能できます。
日が暮れてきてからの眺めも、また格別。刻々と移り変わる嵐山の顔を楽しんで。
まるで別世界のような空間で、最高級のディナーを
ディナーは、地下にあるコンテンポラリーレストラン「MUNI ALAIN DUCASSE(アラン・デュカス)」で。パリ、モナコ、ロンドンにある「アラン・デュカス」の三ツ星レストランで経験を積んできたシェフ、ユーグ・ジェラール氏が厨房で腕を振るいます。
日本各地から選りすぐった食材を、最高の状態で提供してくれるガストロノミック・レストラン。料理のみならず店内の美術品も見どころで、一際存在感を放つ大きな絵画は、なんとシャガールの作品。ほかにも、イタリア・ポラダ社の家具やディスプレイされているバカラのグラスなど、目も眩むほど贅を尽くし洗練された空間でいただく、まさに唯一無二のディナーになるに違いありません。
MUNI ALAIN DUCASSE
- 営業時間
- 17:30~21:00ラストオーダー(最終入店20:30)
爽やかな嵐山を眺めながらいただく朝食で、お腹も心も満たされて
一晩ゆっくりと過ごしたら、前日ウェルカムドリンクをいただいた「MUNI LA TERRASSE」で朝食をいただきましょう。朝の渡月橋も美しい。
3種類から選べるメインの卵料理を中心に、自家製パン、フルーツなどコンチネンタル料理をコース仕立てで。
フレッシュジュースは、にんじん&オレンジ、きゅうり&りんご、ざくろ&レッドグローブ&ミントなど季節の素材をミックスしたもの。地元の無農薬食材を使用しています。自然の甘みが口いっぱいに広がる、朝にぴったりの爽やかさです。野菜サラダは、大根で巻いた根菜にナスのペースト、枝豆のつるをトッピング。
クロワッサン、ブリオッシュなどのパンは、すべて自家製。お腹がいっぱいのときには、持ち帰りも可能です。自家製マーマレード、チョコレート、亀岡産ビーポーレン入りはちみつ、奈良県産黒米のジャムと、ちょっと珍しいトッピングも。
メインは、「コンテチーズとベーコンの目玉焼き」をチョイス。こだわりの農園から仕入れた特別な卵を使っていて、濃い黄身が食欲をそそります。カリッと焼き上げた豚肉のコンフィとバケットを添え、仕上げに削ったチーズをオン。
ほかには、自家製スモークサーモンとオランデーズソースが完璧なハーモニーを奏でるポーチドエッグ、甘さ控えめのバゲットにバニラビーンズ入りの生クリームをつけていただくブリオッシュがあり、どれも洗練されたシェフのこだわりが光ります。
嵐山の気持ちいい風を感じられる広々としたテラス席も人気です。
MUNI LA TERRASSE
- 営業時間
- ブレックファースト:7:00~9:30ラストオーダー
ランチ:11:30~14:00ラストオーダー
ティータイム:14:00~16:30(ラストオーダー15:30)
凝り固まった心と体をほぐすスパ&フィットネス
地下には、極上のスパ「MUNI SPA」を併設。客室と同様、漆喰塗の壁が温かみを感じさせるこの空間は、日本の原材料や伝統文化のエッセンスを取り入れたメニューを取り揃える、ホテルのコンセプトを体現した場所です。
客室のアメニティにも置かれている「ALL THAT SPA」の製品をたっぷり使ったトリートメントが受けられます。たとえば、熊本県のネロリや広島県のレモン、和歌山県のミカンなど…日本の自然の恵みがたっぷり詰まった植物の繊細な香りは、体に7つあるチャクラポイントに響き、得も言われぬ心地よさ。
ロビーと施術室には、洗練された中にもやわらかさが感じられるガラス作家・イイノナホさんの作品が。木漏れ日のようにやさしく光が広がるシャンデリアは、「時の花」と名付けられています。
施術室の壁面にも漆喰が使われており、心の底からリラックスできる空間です。スイスのクリニック発のエイジングケアも受けられます。
MUNI SPA
- 営業時間
- 13:00~21:00(最終受付20:00)
※SPAは宿泊者以外も利用可 - 料金
- 「バランシング」 60 分20,000円など
スパの隣には、普段から汗をかくことを習慣にしている人のために、最新のマシーンを揃えた24時間利用できるフィットネスジムも完備されています。
絶品焼き菓子を嵐山散策のお供に
ウェルカムドリンクと一緒にいただいた極上の焼き菓子は、1階「MUNI LA BOUTIQUE(ラ・ブティック)」で購入できます。昔からフランスで旅やピクニックのお供に用いられてきた焼き菓子は、どれもパティシエが一つずつ手作りしたもの。多めに買って、嵐山散策のおやつにぜひ。詰め合わせもあるので、大切な人へのギフトにもぴったりです。
MUNI LA BOUTIQUE
- 営業時間
- 10:00~17:00
「福田美術館」で、美しい日本美術に触れる
MUNI KYOTOに泊まったのなら、お隣の「福田美術館」は必須の観光スポット。宿泊期間中に使える入館券がついているので、宿泊日、またはチェックアウト後に足を運んでみましょう。
MUNI KYOTOと屋根の勾配を同じにしたデザインでありながら、水が流れる「動」の庭だったホテル側とは対照的に、美術館側はいわば「静」の庭。これは、眼前を流れる大堰川(おおいがわ)と桂川の様子を表しているそうです。
「たとえ美術に詳しくない方が見ても、感動を与えられるような」作品をコンセプトに約1,500点をコレクション。竹内栖鳳、横山大観など江戸~近代の日本画を中心に集められた館内では、最短およそ30センチメートルの至近距離で名だたる作品を鑑賞できます。
展示室の中央にはベンチが設けられており、座ってゆっくりと鑑賞できるのもうれしい心遣い。開館は10:00ですが、事前にホテルを通じて連絡をしておけば、ホテル宿泊者に限り9:30から入館可能。美術館を貸し切り状態で楽しめます。
福田美術館
- 営業時間
- 10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始
- 入館料
- 一般・大学生 1,300円、高校生 700円、小中学生 400円、障がい者と介添人1名まで 各700円
※MUNI KYOTO宿泊者は宿泊期間中に使える入館券付き
大切な人と大切な日に。MUNI KYOTOでの特別な滞在を
どこを切り取っても素敵な想い出になる、MUNI KYOTOでの極上旅。忘れられない時間が過ごせました。ぜひ大切な人と、唯一無二のひとときを。
MUNI KYOTO
- 住所
- 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3
- アクセス
- 【電車】
嵐電(京福電鉄)「嵐山」駅より徒歩約4分
阪急嵐山線「嵐山」駅より徒歩約11分
JR山陰線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山」駅より徒歩約12分
【車】
京都縦貫自動車道「大原野」ICより約25分 - 客室数
- 21室
- 駐車場
- 3台あり、1泊2,750円、要予約
※新型コロナウイルス感染拡大防止の目的で、営業時間などは変更になる可能性があります。ホテルの公式ページをご確認の上、ご利用ください。
撮影:福羅広幸、取材・文:水谷映美