【京都よりみちこみち】悠久の時を超え、人々を魅了してきたストリート。宇治橋通:前編

【京都よりみちこみち】悠久の時を超え、人々を魅了してきたストリート。宇治橋通:前編

提供:ことりっぷ

 

今回は、源氏物語のクライマックス『宇治十帖』の舞台になった宇治にある宇治橋通をご案内する前編です。宇治川特有の風土に育まれた、おいしいお茶を一服いただいて、冬の寒さにひとときのぬくもりを過ごしてみませんか。

 

絵巻物を紐解くように、風光明媚な宇治をめぐる

絵巻物を紐解くように、風光明媚な宇治をめぐる JR宇治駅南口にある約20年前に設置された茶壷モチーフのポスト

『源氏物語』のクライマックス「宇治十帖」の舞台として名高い宇治。「宇治十帖」 では都を離れて宇治に隠れ住む美しい姫君と、光源氏ゆかりのふたりの貴公子との、切ない恋物語が綴られています。
鎌倉時代には、栂尾髙山の僧・明恵が、茶祖栄西から譲り受けた茶種を宇治の地に植えたのが茶どころとしての歴史のはじまりとなります。 安土桃山時代には豊臣秀吉が堤防の整備を行い、近江と大阪の舟の行き来がさかんに。宇治一帯ににぎわいをもたらしました。

 

宇治川に初めて宇治橋が架けられたのは平安京造営以前の646年と伝わります。宇治橋の欄干から眺めれば、古の人びとが愛したのと変わらないであろう宇治川の風景が待ち受けています。

 

宇治橋通の玄関口で迎える手ぬぐいの老舗「永楽屋」

宇治橋通の玄関口で迎える手ぬぐいの老舗「永楽屋」 手ぬぐいなどのモチーフとして活躍するだるまさんの置物になごむ

宇治橋通と県道の交差地点に店を構える「永楽屋」は、創業は江戸初期、日本でもっとも古い綿布商の平等院店です。

広々とした店内には常時300種以上の柄の手ぬぐいがそろい、昭和初期の柄を復刻したものや、京都の四季や花鳥風月を映した伝統柄、遊び心がキラリと光るモダン柄などバラエティも豊かです。

 

肌触りの優しい「ガーゼ手ぬぐい」(90センチメートル1760円~)や「ガーゼてはん」(60センチメートル約990円)

手ぬぐいは、スカーフ感覚で巻いたり、折ってブックカバーに仕立てたり、額に入れて飾るなどのアイデア次第で七変化させて楽しみましょう。同じデザインでも異なる色使いがある豊富なラインナップは好みのがきっと見つかります。名刺入れやがまぐちのほか、ご朱印帳などもチェックしてみて。

 

焙じ茶の魅力を発見「HOHO HOJICHA」

焙じ茶の魅力を発見「HOHO HOJICHA」 「栗と焙じ茶のミニパフェ」(430円)はあんも白玉も自家製。おみやげにはティーバッグタイプのフレーバー焙じ茶(各650円)を

地元宇治で日本茶の卸売業を営んでいた会社が手がける、全国でも珍しい焙じ茶専門店「HOHO HOJICHA(ホホホウジチャ)」。宇治産を中心とした茶葉を厳選、茶師と茶匠の監修のもとでブレンド・焙煎した多彩な焙じ茶を販売しています。

日光を遮り甘さとうまみをふくらませる「碾茶(てんちゃ)」を使用したり、葉だけではなく茎もブレンドしたりと、茶葉やブレンドを変えることで全く異なる香りや味わいに。ひとくくりに語れない「焙じ茶」の魅力に気づかされます。

 

品評会で500を超える出品数のなかからプラチナ賞を受賞した「悦びの焙じ茶」(450円)

カフェコーナーでは、焙じ茶カステラと焙じ茶ソフトの両方が楽しめる「栗と焙じ茶のミニパフェ」や「焙じ茶クリームラテ」などのアレンジメニュー、専門店ならではの高品質の焙じ茶を味わえます。

なかなか見ないティーバッグタイプのフレーバー焙じ茶は、柚子、白桃、苺の3種類。「幸せの焙じ茶」や「極みの焙じ茶」といった素敵なネーミングのお茶はおみやげにもぴったりです。

 

伝統にトレンドを融合したナポリピッツァ「ラジネッロ」

伝統にトレンドを融合したナポリピッツァ「ラジネッロ」 「水牛モッツアレラのマルゲリータ」(1900円)はナポリから週3回直送されるフレッシュなチーズを使用

本場ナポリで修業し、日本や世界の大会で大賞を得た大削恭介さんによるピッツェリア。粉やトマトなど主要な素材は南イタリアカンパーニャ州のものを使用、ピザ生地は常に常温を保つなどナポリの伝統を大切にしています。

 

右上:店内の窓からピザづくりを眺めることができる 右下:「ラジネッロ」(2100円)

店名を冠したズッキーニペーストの「ラジネッロ」やクラッシックなタイプなど、手慣れたリズミカルな手さばきによって瞬く間にピッツァができあがります。

現地の職人を招いて作った薪窯ではパリッと香ばしく焼きあげるピッツァは、もっちりとした食感で、バリエーションも豊富。旨味を逃さないよう注文を受けてからスライスする約6種の自家製ハムなどの具材も名脇役です。

 

インドの街角にあるようなチャイの店「Watte chai」

インドの街角にあるようなチャイの店「Watte chai」 藁を混ぜ込んだ土壁がいい雰囲気の店構え

インドの街角のそこかしこにスタンドがあり、人びとの日常に根づいた「チャイ」。昭和の市場を再生した「大阪屋マーケット」の入り口にある「Watte chai」は、旅をしてチャイとそれにまつわる文化に惹かれたという石原真希子さんがご夫婦で営む、チャイの専門店です。

 

ラム酒がほんのり香るチャイなどのバリエーションもある、自宅でチャイが作れるスパイスセットも販売

クローブ、カルダモン、シナモン、生ショウガなど6種のスパイスを合わせたチャイは芳醇な香り。リユースの茶器なら1杯200円、素焼きの器を持って帰るか割って帰るなら400円です。

インドでは飲み終えたら、素焼きの茶器を落として割るなど使い捨てだそう。土でできた茶器は時を経て自然に還っていくという考えが根付いていて、それが店名の由来にもなっています。

 

噛むほどに味わい深いベーグル「クウネルノツヅキ」

噛むほどに味わい深いベーグル「クウネルノツヅキ」 左から「チーズオニオン」(200円)、「プレーン」(170円)、「宇治抹茶ホワイトチョコ」(220円)

開店直後から地元の常連客、偶然通りかかった旅人までが次々に扉を開いていくベーグル専門店「クウネルノツヅキ」。パンの中でベーグルがいちばん好きという西優子さんがご夫婦で営み、手作りのベーグルには北海道産小麦粉を使用。弾力があってむっちりした食感に、素材本来の風味が広がります。

 

上から「4種のフルーツサンド」(450円)、「こだわりたまごとオリーブのサンド」(350円)、「スモークサーモンとクリームチーズ」(460円)

ベーグルの食べ方を提案したいと、サンドイッチも展開。食事系からデザート系まで充実しています。また、定番のほか、季節ごとに限定の品が登場。冬はりんごキャラメルやクランベリーのクリームチーズ、ココア生地のベーグルが並んでいますよ。

 

 

文:佐藤理菜子 撮影:小川康貴 編集:ことりっぷ編集部

 

ことりっぷの最新記事

Article survey

お客様のご意見をお聞かせください
このページは気に入っていただけましたか?

旅行ガイドブック「ことりっぷ」編集部がお届け。旅と日常をつなぐ、旅好きな女性のためのメディアです。

summersale202407

※当ページのランキングデータ及び記事内容の無断転載は禁止とさせていただきます。
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。
※(税抜)表示以外の価格はすべて税込価格です。場合によって税率が異なりますので、別価格になることがあります。

 
 

TOP