冬も魅力がつまった富良野・美瑛エリア
春から夏にかけてラベンダーをはじめ美しい花々が咲き誇り、多くの観光客が訪れる北海道の富良野・美瑛エリア。真冬になると一面が雪に包まれ、幻想的な景色を楽しむことができます。夏とはひと味違う魅力にあふれた富良野・美瑛の真冬の絶景を、美瑛在住の写真家・中西敏貴さんがナビゲート。1日で巡れるおすすめのスポットをご紹介します。
写真家
中西 敏貴(なかにし としき)さん
1971年、大阪生まれ。独学で写真を学びながら、1990年頃より北海道へ通い続け、2012年に美瑛町に移住。以来、住んでいなければ出合うことができない風景を撮り続けている。光を強く意識した風景作品を主軸に、自然の中に日本の伝統的な造形美を見出す表現にも取り組み、BS朝日「The Photographers3」やNHKの番組などでも取り上げられた。写真展や写真集のほか、カメラメーカーの広告、各種雑誌、企業カレンダーなどでも精力的に作品を発表している。
おすすめの絶景スポット【1】千望峠
厳冬期の北海道は氷点下20度前後まで気温が下がることがあり、そんな日の朝は幻想的な光景を楽しめます。コツとしては、なるべく高台からスタートすること。霧が発生していたり、霧氷がついていたりと変化の大きな季節なので、高台からその日の状況を確認して行動しましょう。
そのポイントとしておすすめなのが、上富良野町にある千望峠(せんぼうとうげ)。十勝岳連峰を見渡せる景勝地です。ちょうど太陽が正面から昇ってくるため、条件が整えばサンピラー(※地平線に対して垂直方向へ太陽から炎のような光芒が見られる現象)なども見ることができるでしょう。
朝日が出ると雪原が黄金色に染まるので、その時がシャッターチャンス。刻一刻と変化する雪原の色を楽しみましょう。時間の経過とともに雪原の色が変化するので、1日で最も忙しい時間帯です。
千望峠
- 住所
- 北海道空知郡上富良野町西6線北22号
- アクセス
- 【電車】JR「上富良野」駅より車で約9分
おすすめの絶景【2】ダイヤモンドダスト
ここがベストというスポットはありませんが、富良野・美瑛エリアでは冬の冷え込んだ朝には、ダイヤモンドダスト(※空気中の細氷が太陽の光に反射してきらきら輝く現象)やサンピラーの撮影が楽しめるかもしれません。
氷点下15度よりも冷え込み、無風という条件にはなりますが、そういう日に巡り会えば探してみてください。コツとしては、目線より少し下の日陰を探すと見つけやすいと思います。
おすすめの絶景スポット【3】鳥沼公園
朝日やサンピラーの撮影後は、木々の霧氷と気嵐(けあらし※水面から蒸発している水蒸気が冷やされて霧が発生する現象)を狙ってみましょう。アクセスも簡単で狙いやすいのが、富良野市の鳥沼公園です。
冬でも凍らない沼から気嵐が立ち上り、それらが木々に霧氷の花を咲かせます。逆光での撮影になるので、レンズに入る光をしっかりと遮蔽しながら撮影するのがコツです。
鳥沼公園
- 住所
- 北海道富良野市東鳥沼1-527
- アクセス
- 【電車】JR「富良野」駅よりバス「3号」バス停下車すぐ
おすすめの絶景スポット【4】十勝岳温泉郷
さらに標高を上げてみましょう。上富良野町にある十勝岳温泉郷では、圧倒的な山岳風景を撮影することができます。登山をしなくても車があれば駐車場まで行けるので、誰でも雪山の撮影を楽しめます。
体力に自信のある方は、スノーシューを使うとさらなる絶景が待っています。十勝岳温泉郷の駐車場から20分も歩けば、まるで冬山登山でもしたかのような気分。撮影後は、北海道で最も高地にある温泉宿「十勝岳温泉 凌雲閣」で温泉とランチを楽しむのもおすすめです。
十勝岳温泉郷
- 住所
- 北海道空知郡上富良野町吹上
- アクセス
- 【電車】JR「上富良野」駅よりバス「十勝温泉」バス停下車
【車】道央自動車道「滝川」ICより約90分
おすすめの絶景スポット【5】五稜の丘
午後には高台に上がり、丘の陰影と十勝岳連峰の山並みを楽しむのもいいでしょう。美瑛にある五稜の丘からは大雪山国立公園を一望できるため、大スケールの写真を撮ることができます。傾き始めた太陽が丘に陰影を作り、さらに立体的になってくる時間帯を狙ってみましょう。
五稜の丘
- 住所
- 北海道上川郡美瑛町五稜
- アクセス
- 【電車】JR「美瑛」駅より車で約20分
冬の富良野・美瑛で絶景を撮ろう!
冬の北海道は昼間の時間が短いため、思いのほか忙しい行動になりますが、効率よく動けばたくさんのバリエーションを楽しむことができるでしょう。ここ数年は美瑛の青い池のライトアップも行われており(※4月30日まで)、日が暮れてからも十分に撮影が楽しめます。
日の出前から日没後まで、冬の美瑛・富良野はひとときも飽きさせない絶景の連続です。しっかりとした防寒着をご用意いただき、冬の旅を楽しんでください。
写真・文/中西 敏貴