富良野・美瑛エリアの春の撮影スポットを紹介
北海道の長く厳しい冬が終わりを告げると、雪の下から植物が顔を出し、春の息吹が感じられるように。グリーンシーズンが美しい富良野・美瑛エリアでも春の草花をはじめ、絶景撮影ポイントがあちこちに表れます。そんなとっておきのスポットを、美瑛在住の写真家・中西敏貴さんがご紹介します。
写真家
中西 敏貴(なかにし としき)さん
1971年、大阪生まれ。独学で写真を学びながら、1990年頃より北海道へ通い続け、2012年に美瑛町に移住。以来、住んでいなければ出合うことができない風景を撮り続けている。光を強く意識した風景作品を主軸に、自然の中に日本の伝統的な造形美を見出す表現にも取り組み、BS朝日「The Photographers3」やNHKの番組などでも取り上げられた。写真展や写真集のほか、カメラメーカーの広告、各種雑誌、企業カレンダーなどでも精力的に作品を発表している。
おすすめの絶景スポット【1】融雪剤の散布風景
長く続いた雪の季節に終わりの気配が見えてくる3月。とはいえ、まだまだ美瑛各所の丘には多くの雪が残っています。そこで農家のみなさんが行う作業が、融雪剤の散布です。
黒やグレーの炭をスノーモービルなどに乗ってまくのですが、その紋様が芸術的。日の出と同時に作業が始まり、数時間で終わってしまいますが、それまで真っ白だった雪の丘は、あっという間に墨絵の世界に早変わりします。この時期は日の出も早いのですが、ぜひとも狙ってほしいモチーフです。
また、春は空が霞みやすく、太陽の回りに光の輪ができる「ハロ」という気象現象が見られることも。
観光名所にもなっているクリスマスツリーの木など、ポイントとなる木と一緒に撮影すると不思議な写真を撮ることができます。快晴よりも少し雲の多い日が狙い目で、融雪剤の模様もはっきり見えるので撮りやすいでしょう。
クリスマスツリーの木
- 住所
- 北海道上川郡美瑛町美馬牛
- アクセス
- JR「美馬牛」駅から車で約5分
おすすめの絶景【2】春の野花
美瑛・富良野のあちこちの公園で群生しているのが春の野花。総称して「スプリングエフェメラル(春のはかないもの)」と呼ばれ、まず4月中旬に咲き出すのがフクジュソウ。太陽が高くなると開き、日没には閉じてしまいますので、明るい時間帯に撮影するのがおすすめです。
フクジュソウより少し後に咲き始めるのがカタクリの花。この後、桜へとバトンタッチしていきます。透明感のある花なので、おすすめは逆光で撮影すること。ピンクの花びらを浮かび上がらせて、透明感を強調してみましょう。
カタクリとほぼ同じタイミングで咲くのが、エゾエンゴサク。本当に小さな花なので、地面に座り込んで撮影するといいでしょう。カタクリのピンクと組み合わせると、この時期ならではの色合いで表現できます。
おすすめの絶景スポット【3】公園の桜
カタクリが終わりかけたころに咲き始めるのが、エゾヤマザクラ。美瑛・富良野周辺には多くの公園が整備されていて、そのほとんどに桜の木が植樹されています。公園は日当たりの良い場所にあることが多いため桜の開花も少し早く、ゴールデンウィーク前半から楽しむことができるでしょう。
中でもおすすめは、美瑛から少し北に行った東川町のキトウシ森林公園。西に向かって桜の斜面が広がっているので、夕日との相性が抜群です。夕方の少し赤みを帯びた光を使って撮影してみるといいでしょう。
キトウシ森林公園
- 住所
- 北海道上川郡東川町西5号北44
- アクセス
- JR「旭川」駅から車で約40分
- 公式サイト
- キトウシの森
もう一つのおすすめスポットは、富良野市にある朝日ヶ丘公園。ここは、背後にある雪山とのコラボレーションを狙うことができます。
朝日ヶ丘公園
- 住所
- 北海道富良野市下御料
- アクセス
- JR「富良野」駅から車で約10分
ランチは絶品の海老丼を!
ランチタイムは、美瑛の人気店「洋食とCafe じゅんぺい」で「海老丼」(松1,441円、竹1,210円)がおすすめです。
甘辛のタレで味付けされたエビフライがのったどんぶりはボリューム満点。午後からの撮影のパワーを補給しましょう。窓際の席に座ってやや逆光で撮ると、スマホでもおいしそうに撮影できます。
洋食とCafe じゅんぺい
- 住所
- 北海道上川郡美瑛町本町4-4-10
- アクセス
- JR「美瑛」駅から徒歩約10分
- 公式サイト
- 洋食とCafe じゅんぺい
おすすめの絶景スポット【4】早春の美瑛の丘
4月半ばを過ぎて雪がとけ始めると、美瑛の丘では最もトラクターを見かけることの多い季節になります。雪が残る山をバックに、カラフルなトラクターが行ったり来たりしている様子はのどかです。農作業の邪魔にならないよう、少し離れた場所から撮影することを心がけてください。
朝と夜の気温差が大きくなる春は、霧の季節でもあります。丘から日の出のタイミングを狙うと、朝霧漂う新緑の風景を撮影することができるでしょう。冬では行くことができなかった瑠辺蘂(ルベシベ)の丘などへ上がることも可能になっているので、広がりのある大きな風景をとらえてみましょう。
瑠辺蘂(ルベシベ)の丘
- 住所
- 北海道上川郡美瑛町瑠辺蘂
- アクセス
- JR「美瑛」駅より車で約12分
春の富良野・美瑛は絶景ポイントが満載!
美瑛・富良野の春は、1週間単位で風景が変化していくと言ってもいいほど劇的に季節が進行します。撮影ポイントも冬に比べると飛躍的に多くなりますので、長めの滞在で撮影プランを組み立てるといいでしょう。桜の開花時期も年によって大きく変化するので、1週間程度のステイがおすすめです。
写真・文/中西 敏貴