ANOTHER STORY 不思議な雨の中、「野口雨情記念湯本温泉童謡館」にて。

悲しみも苦しみも、明日への元気
いわきで感じる、人の明るさ、人の強さ。

不思議なことがおきました。取材の初日も2日目も3日目も、サンシャイン「いわき」という名のとおりの青空と元気すぎるぐらいの太陽。日焼け止めスプレーが足りなくなるほど。ところが、2日目の午後、湯本駅の取材を終えて、「野口雨情記念湯本温泉童謡館」に向かおうとすると雨が降り始めたのです。ノスタルジックな街と童謡館の外観に雨が似合う。しばし雨音の中で雨情の世界に触れて、童謡館を後にしようとしたそのとき、雨があがり、また青空が…。今回、いわきの旅をノスタルジックなセンチメンタル・サイドと、元気で明るいサニー・サイドというストーリーにしたのは、平安の世界のせつない歌の物語、炭鉱からフラガールへの世界、そして震災から明るく立ち上がる姿、それはもしかしたら日常の私たちの姿なのかもしれないな、と思ったから。仕事で疲れて、恋で悩んで、なんだか怒りを撒き散らして、でも、きっと明日を信じてる。かもめとともに小名浜の海をかけるクルーズ船の名前はフェニックス号。湯本の女将さんたちが忙しい中、一生懸命に練習していた、やっぺ踊りの風景。地元を明るく、地元の踊りで盛り上げよう！　閉館中に全国に飛び出して復興を力強く宣言した3年前のフラガールたち。悲しみもせつなさも、明日への笑顔の素。波乱万丈の雨情の歩みも、きっと、そこには笑顔があったんだろうな。一人でも、親友とでも。張り切らなくていい。ゆるりとたずねてぶらりと過ごせば、きっと、帰るころには元気と笑顔を思い出すことでしょう。