兵庫の灘(なだ)、広島の西条(さいじょう)と並ぶ「日本三大酒処」として知られる京都・伏見。名酒の黄桜や月桂冠が生まれた地で、酒造見学や利き酒、遊覧船「十石舟(じゅっこくぶね)」を満喫できます。
伏見稲荷大社など有名観光スポットを散策する前の時間を利用して、日本酒の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。
目次
京都・伏見の日本酒が有名なのはなぜ?
京都市の南にある伏見エリアは、桂川、鴨川、宇治川の3つの川が通り、江戸時代は大阪と京都を結ぶ玄関口として栄えました。幕末には坂本龍馬や新選組が活躍するなど、歴史の舞台としても有名です。また、徒歩圏内に有名な酒蔵や見どころが集まっており、1日でまわりやすい便利なエリアでもあります。
伏見では「伏水(ふしみず)」と呼ばれる良質な水が豊富にあったため、酒造りが発展しました。伏見のお酒が「女酒」と呼ばれるのは、まろやかな中硬水から優しく芳醇な甘口のお酒ができるためです。
京阪中書島駅から徒歩約20分、訪れたのは「黄桜 伏水蔵(ふしみぐら)」。黄桜といえば、カッパのキャラクターを使った日本酒のコマーシャルが有名ですが、実は京都で初めて地ビールを作った会社でもあります。そのため伏水蔵では、日本酒の醸造工程に加えて、ビール工場の見学ができるのが特色です。
常時一般公開しているのが唯一という麹室や地ビールを充填している様子も一度に見られて、とても得した気分。黄桜では、ビールにも伏水を使っています。工程は機械化されているものの、日本酒もビールも、職人さんによる品質チェックが欠かせないそうです。
レストランでは日本酒の飲み比べが可能です。伏見のお酒は、女酒といわれるだけあって、どれもなめらかな飲み口。黄桜では特に、日本酒の原料である「こうじ」造りにこだわり、より香り高いお酒が味わえます。
黄桜 伏水蔵
- 住所
- 京都市伏見区横大路下三栖梶原町53
- 営業時間
- 10:00~16:00(入場無料)
※要予約(レストランでの食事は予約メニューのみになります。L.O.14:00)
- 定休日
- お盆、年末年始※臨時休館あり
- アクセス
- 京阪中書島駅より徒歩約20分、近鉄桃山御陵前駅より徒歩約25分
- 公式サイト
- 黄桜 伏見蔵
続いては、京阪中書島駅から約5分歩くと見えてくる月桂冠大倉記念館へやって来ました。なんと、明治時代に建てられた木造の蔵が、そのまま使用されています。
月桂冠大倉記念館には美しい中庭があり、まるでタイムスリップしたような気分が味わえます。この景観を守るために、電線が地下に埋め込まれているそうですよ。
中庭の井戸で、酒造りに使われている伏水が飲めます。とても軟らかくておいしいので、ぜひ飲んでみてください。
展示室では、京都市の有形民俗文化財に指定されている、伝統的な酒造りの用具を見ることができます。
また、月桂冠の歴史をたどる展示も充実しています。中でも約100年前に販売が開始された、瓶詰めの日本酒は特に興味深い品。当時、お酒は酒屋にとっくりを持って行って買うものでした。なじみのない瓶のお酒はなかなか売れなかったそうですが、お酒を旅先でも飲めるよう、ふたの部分にコップを付けて駅で販売することで、普及していきました。ほかにも、昔の酒器などがたくさん展示されているので、ゆっくりと見学して過ごしたい場所です。
見どころたっぷりの月桂冠大倉記念館。20歳以上の方はお土産と利き酒付きで、季節ごとに用意された約10種類の中から3種類の利き酒をお楽しみいただけます。
月桂冠大倉記念館
- 住所
- 京都市伏見区南浜町247番地
- 営業時間
- 9:30~16:30(受付は16:00まで)
- 入館料
- 20歳以上600円、13歳~19歳100円、12歳以下無料
- 定休日
- お盆、年末年始※臨時休業あり
- アクセス
- 京阪中書島駅より徒歩約5分、伏見桃山駅より徒歩約10分
- 公式サイト
- 月桂冠大倉記念館
月桂冠大倉記念館のすぐ隣にあるのが、ショップ&カフェ「伏見夢百衆(ゆめひゃくしゅう)」。実はこの建物は、大正時代に建てられた月桂冠の旧本店を利用したものです。
ゆったりとした喫茶スペースには、スイーツはもちろん、伏見のお酒が飲み比べできる利き酒セットもあります。
人気の「清酒アイスクリーム」は、バニラアイスクリームにお酒をかけていただく一品。アイスの甘味にお酒の風味がアクセントになっていて、おすすめです。
伏見夢百衆
- 住所
- 京都市伏見区南浜町247
- 営業時間
- 10:30~17:00
- 定休日
- 月曜日(祝・祭日は除く)
- アクセス
- 京阪中書島駅より徒歩約10分
月桂冠大倉記念館の裏にかかる弁天橋の下には、「十石舟(じゅっこくぶね)」という遊覧船の乗り場があります。この船は、江戸時代から明治末期まで、伏見と大阪をつなぐ輸送船として活躍しました。当時、伏見から大阪まで、船で7時間もかけて人やお酒、米などを運んだそうです。
現在では、観光客を運ぶ遊覧船として、歴史ある伏見の町を約50分かけゆったりと巡っています。春には桜、夏は緑、秋は紅葉が楽しめることで人気を集めます。出航時間が時期により異なるので、事前に確認の上行くことをおすすめします。
十石舟乗り場
- 住所
- 京都市伏見区南兵町247(月桂冠大倉記念館裏)
- 営業時間
- 10:00~16:20(季節によって変動あり。冬期、8月の一部休業)
- 定休日
- 毎週月曜日(祝日を除く、ただし、4・5・10・11月は月曜日も運航)
- 料金
- 大人1,500円(中学生以上)・小人750円(小学生以下)・幼児300円(小学生未満)
- アクセス
- 京阪中書島駅より徒歩約5分、伏見桃山駅より徒歩約10分
最後は、伏見のお酒とおいしい料理が豊富に味わえる複合店「伏水酒蔵小路」を紹介します。こちらは、さまざまな種類がある伏見のお酒を、世界に広めることをコンセプトに据えたスポットです。
こちらでまずいただきたいのは、伏見酒蔵組合に属する18の酒造の日本酒を一度に楽しめるきき酒セット。食前酒向きの甘い日本酒から、食中酒向きの辛口へ変化していき最後は大吟醸の食後酒に飲み進めていく、コースドリンクのようなセットです。
これだけ飲むと、自分の好みがハッキリわかりますし、これまで知らなかった蔵のお酒にも出会えて幸せ気分を味わえます。
もちろん、日本酒に合う料理も充実しています。おすすめは、日本酒に合う、酒粕の風味香るポテトサラダと卓上コンロの炭火で炙って食べる海鮮炙り。淡麗な日本酒との相性は抜群です。
さらに、伏水酒蔵小路の中には8つの飲食店があり、お寿司や九州博多創作料理、ラーメンなどバラエティに富んだ90種類を超えるメニューからお好きな料理を出前注文できます。
季節限定の日本酒が楽しめるほか、毎月3日間開催しているイベント「蔵元Day!」期間中は、特別な日本酒を提供しているそう。蔵元(蔵人)さんから日本酒にまつわる話も聞けます。昼から営業しているので、酒蔵巡りの合間やしめくくりに立ち寄りたいお店です。
伏水酒蔵小路
- 住所
- 京都市伏見区平野町82番2
- 営業時間
- 11:00~22:00
- 定休日
- なし※火・水・木曜日のいずれか1日を定休日にしている店舗あり
- アクセス
- 京阪伏見桃山駅より徒歩約4分、中書島駅より徒歩約8分
- 公式サイト
- 伏水酒蔵小路
ご紹介したスポットは、どこも駅から歩いて行ける所ばかり。公共交通機関を利用して、日本酒の旅を心置きなく楽しんでくださいね。
ご紹介したスポットMAP
取材・写真・文/ヒトミ☆クバーナ、楽天トラベルガイド
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