「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝が創業したニッカウヰスキー。その初の蒸溜所が、北海道札幌市内から1時間ほどで行ける余市(よいち)町にある「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」です。蒸溜所内の複数の施設が重要文化財に選定されており、多くの観光客が訪れます。
札幌近郊のお出かけスポットとしても人気のニッカウヰスキー余市蒸溜所へのアクセス、見学からウイスキーの試飲まで無料で楽しめるガイドツアーや蒸溜所内の見どころ、さらに、周辺の立ち寄りスポットもご紹介します。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所へのアクセス
ニッカウヰスキー余市蒸溜所は、JR余市駅から徒歩3分ほどに立地。札幌駅からは小樽駅を経由して約1時間半でアクセスできます。乗り継ぎとなる小樽駅から余市駅までは電車の本数がそれほど多くないため、前もって時刻を調べておきましょう。また、交通系ICカードが利用できるのは札幌駅から小樽駅まで。余市駅では使えないので、札幌駅で余市駅までの切符を購入して向かうのがおすすめです。
小樽から向かう場合は、バスも便利です。JR小樽駅前からニセコ方面行きのバスに乗車し、余市駅前、あるいは余市駅前十字街のバス停で下車。そこから蒸溜所までは徒歩約2~3分です。
車で移動する場合は、札幌市内から高速道路を利用して約1時間。当然ながら、車で訪れた場合は蒸溜所でウイスキーの試飲ができなくなるのでご注意ください。
創業時と変わらない伝統製法でウイスキーを造り続ける
札幌・すすきの交差点にある「NIKKA」の看板は、札幌を訪れる国内外の観光客に人気のフォトスポット。このニッカウヰスキーを造っている余市蒸溜所は、創業者・竹鶴政孝によって1934年に創設されました。
重厚な石造りの正門の奥には、創業当時の面影を残す蒸溜所の風景が広がっています。単身スコットランドへ渡り、ウイスキー造りを学んだ竹鶴政孝は、最愛の妻・リタの故郷であるスコットランドに似た余市町の気候や風土を愛し、この地を選びました。
そして、約90年の時を経た今もなお、余市蒸溜所では伝統的な製法を守りながらウイスキーが造られ続けています。
無料のガイドツアーに参加してみよう
現在も日々ウイスキーが造られ続けている余市蒸溜所では、無料のガイドツアーに参加すれば、ガイドさんの説明を聞きながら製造や貯蔵の様子を見学できます。ガイドツアーは公式サイトからの事前予約制。所要時間約70分のツアーが9:00~15:00まで30分ごとに開催されているので、電車やバスの時刻を考えて予約しましょう。
そのほか、テイスティングセミナーやプラチナムVIPツアーなど、有料イベントにも参加可能です(事前予約制)。
ビジターセンター
ガイドツアーのスタートは「ビジターセンター」から。蒸溜所の紹介ムービーを視聴しつつ、ガイドさんから敷地内の通行に関する注意事項などの説明もあるので、しっかり聞いておきましょう。
蒸溜棟
ニッカウヰスキー余市蒸溜所らしい体験ができるのがここ、「蒸溜棟」。醗酵棟で造られたもろみを、ポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器で2度蒸溜します。ポットスチルの上部には、しめ縄が一つひとつ丁寧に巻かれています。
伝統的な石炭直火蒸溜を行っており、タイミングが良ければ目の前で炉に石炭を入れる様子を見学できることも。こうして余市の力強くスモーキーなウイスキーが造られていくのだと実感できます。
旧竹鶴邸
緑の屋根とガラス窓が印象的な「旧竹鶴邸」。竹鶴政孝と妻・リタが実際に暮らした家が、余市町の郊外から移築されています。
西洋風の外観でありながら、2階の窓からは障子が見えるなど和洋折衷の造り。独特の雰囲気があり、人気の撮影スポットです。玄関ホール内に入ることもできます。
一号貯蔵庫
創業時に建てられた「一号貯蔵庫」の中には、樽が整然と並んで積まれています。重厚な石造りの外壁は夏でも冷気を保ち、あえて土のままにされた床は適度な湿度を確保するための工夫。この土地で何年もかけてじっくりと寝かせることで熟成が進み、おいしいウイスキーができ上がります。
テイスティングホール
見学後は、ガイドさんの案内で「テイスティングホール」などが入った建物へ。試飲ができるほか、ウイスキーなどを購入できるショップ、レストランが入っています。
まずは2階の「テイスティングホール」で試飲タイム。ガイドツアー参加者は「余市」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種類のセットを無料で楽しめます(車で来場している場合やお酒が飲めない人は、受付でソフトドリンクを指定可能)。
氷、水、炭酸水も自由に利用できるので、まずはストレートで味見をした後に、自分好みの飲み方を試してみるのもおすすめ。自動販売機では、ちょっとしたおつまみも売られています。
ディスティラリーショップ
試飲でウイスキーのおいしさを堪能したら、1階の「ディスティラリーショップ」でお土産探しの時間です。
ここでしか買えない、余市蒸溜所限定のウイスキーは要チェック。
旅先のホテルや自宅に戻ってから楽しみたい、ミニサイズのセットにも注目。小瓶のウイスキーに、ニシンのジャーキーなど北海道らしいおつまみがセットになっています。
「ニッカのヒゲのおじさん」と呼ばれる「キング・オブ・ブレンダーズ」をあしらったグッズも人気。北海道旅行の思い出に、連れて帰りたくなるお土産がそろっています。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所 ガイドツアー
- 所要時間
- 約70分(試飲を含む)※公式サイトからの事前予約制
- 開催時間
- 9:00〜12:00、13:00〜15:00(30分ごとに開催)
- 詳細
- 余市蒸溜所見学|NIKKA WHISKY
ニッカミュージアム
最後に立ち寄りたいのが、貯蔵庫を改装した「ニッカミュージアム」(予約不要)。ガイドツアーでは製造工程や貯蔵施設を見学しますが、こちらでは竹鶴政孝の生涯や、ニッカウヰスキーを代表する4つのブランド「余市」「竹鶴」「ブラックニッカ」「フロム・ザ・バレル」の歴史について学ぶことができます。
ニッカミュージアム内には、蒸溜所限定などさまざまなウイスキーを楽しめる「テイスティング・バー」(有料)もあります。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所
- 住所
- 北海道余市郡余市町黒川町7-6
- アクセス
- JR余市駅から徒歩約3分
- 詳細
- 余市蒸溜所|NIKKA WHISKY
ニッカウヰスキー余市蒸溜所周辺の立ち寄りスポット
道の駅「スペース・アップルよいち」
蒸溜所から歩いて5分ほどの場所にあるのが、道の駅「スペース・アップルよいち」です。ワインやりんごジュース、アップルパイなど、余市町の特産品を販売するほか、敷地内には「余市宇宙記念館−スペース童夢−」も併設。余市町出身の宇宙飛行士・毛利衛さんの功績を紹介する資料や国際宇宙ステーションの模型、3Dシアターなどがあり、宇宙を身近に感じながら、学ぶことができます。
道の駅「スペース・アップルよいち」
- 住所
- 北海道余市郡余市町黒川町6-4-1
- 開館時間
- 【余市宇宙記念館】9:00~17:00(最終入館 16:00)
【売店】4月中旬~11月上旬/9:00~18:00、11月上旬~4月中旬/9:30~17:30 - 休館日
- 【余市宇宙記念館】4月20日~11月30日/毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、
5月8日、8月27日、12月1日~4月19日(冬期休館)
【売店】4月中旬~11月上旬/無休、11月上旬~4月中旬/毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始 - 詳細
- スペース・アップルよいち 道央
柿崎商店 海鮮工房
おいしいウニの名産地として知られる、積丹(しゃこたん)半島の付け根にある余市町。蒸溜所と合わせてぜひ立ち寄りたいのが、新鮮な魚介が豊富で地元民からも愛される「柿崎商店」。
1階の鮮魚コーナーにはウニやカニ、イクラにホッケ、ニシンなど、地元をはじめ北海道内各地の新鮮な魚介が並びます。全国発送も可能なので、お土産のまとめ買いも便利です。
2階の食堂「海鮮工房」では、人気の「海鮮丼」(1,580円)や「ほっけ定食」(1,000円)などが味わえます。「ウニ丼」(時価)は年間を通じて食べられますが、6月からは積丹半島で穫れたウニも登場。札幌市内などから毎年欠かさず訪れるファンも多く、昼食時には長い行列になることもあるため、時間に余裕を持って行くのがおすすめです。
柿崎商店 海鮮工房
- 住所
- 北海道余市郡余市町黒川町7-25
- 営業時間
- 【店舗】9:00~18:00 【海鮮工房】10:00~18:00(L.O.17:30)
- 定休日
- 木曜日
ニッカウヰスキー余市蒸溜所は、試飲やお土産が購入できるだけでなく、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝が開いた蒸溜所の歴史と伝統に触れ、おいしいウイスキーを育む余市町の風土を体感できるスポットです。札幌旅行の際、日帰りで気軽に出かけられるので、ぜひガイドツアーにも参加してみてください!
取材・撮影・文/羽田さえ
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