飛騨高山から車で1時間ほどの場所にある奥飛騨温泉郷。3,000メートル級の山々に囲まれた湯の里には、5つの温泉地があります。こぢんまりとした温泉から大パノラマの露天風呂までさまざまな温泉があるので、ぜひ湯めぐりを楽しんで。
「奥飛騨温泉郷」ってどんなところ?
奥飛騨温泉郷は、北アルプスの3,000メートル級山々に囲まれた温泉地。平湯温泉、新平湯温泉、福地温泉、栃尾温泉、新穂高温泉の5つの温泉街からなる温泉郷。
高山駅から奥飛騨温泉郷までは、バスで1時間ほどの場所にあります。高山駅までは、名古屋からJR東海道本線特急で約2時間35分、高速バス「ひだ高山号」で約2時間50分のアクセスです。
5つの温泉街をめぐるなら、2日から3日かけるのがおすすめ。各温泉地間の移動は自家用車での移動が楽ですが、バスも走っているので、比較的移動がしやすいところも魅力です。
各地からの高速バスが到着する「平湯バスターミナル」では、奥飛騨エリアのバスが乗り放題の「奥飛騨温泉郷2日フリー乗車券」や、新穂高ロープウェイにも乗れる「奥飛騨まるごとバリューきっぷ」も購入できるので、ぜひ活用して。
奥飛騨温泉郷旅の拠点・平湯温泉へ
奥飛騨温泉郷での旅の拠点になるのが「平湯温泉」。平湯バスターミナルからすぐのエリアに広がる温泉地です。奥飛騨温泉郷の中でも最も大きく、最も古く歴史ある温泉とされ、約40の井戸や源泉があり、毎分13,000リットルもの豊富な湯が噴出しています。
大きな時計台が目印の「ひらゆの森」は、立ち寄り湯やお食事はもちろんのこと、宿泊もできる複合施設。開放感のある大浴場のほか、49,600平米の原生林の中に男女合わせて16の露天風呂が点在し、大自然を感じながら入浴できる人気の施設です。
時計台の足元には無料の足湯もあります。平湯温泉の源泉を引いているので、気軽に温泉気分を味わえますよ。バスの出発時間までのちょっとした時間に入るのもおすすめ。
平湯温泉 ひらゆの森
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯763−1
- 電話番号
- 0578-89-3338
- アクセス
- 平湯温泉バス停より徒歩約3分
圧巻の飛騨三大名瀑のひとつ「平湯大滝」
平湯大滝は、飛騨三大名瀑に数えられる美しい滝。日本の滝百選・岐阜の名水50選にも選ばれています。落差は約64メートル、幅約6メートルあり、四季折々の景色が楽しめます。平湯大滝すぐそばの滝見展望広場まで車の乗り入れが可能となり、アクセスが便利に。毎年2月には、氷結した滝をライトアップする「平湯大滝氷結まつり」も開催されます。
平湯大滝
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯
- アクセス
- 平湯温泉バス停より徒歩約30分
平湯温泉のグルメと言えばここ「あんき屋」
平湯温泉グルメを楽しむなら、奥飛騨の田舎料理が食べられる「あんき屋」へ。飛騨牛の豪快な鉄板焼きが名物の人気店です。平湯スキー場や平湯大滝入口のすぐそばにあり、平湯温泉バス停からも徒歩圏内。平湯ICからは車で約2分のアクセスです。
あんき屋の鉄板焼きは熱々の鉄板に乗せた肉や野菜などの食材にふたをかぶせ、蒸し焼きにします。豪快に作る鉄板焼きは、焼ける音とおいしそうなにおいに食欲がわきます。
おすすめは、「あんき屋特製飛騨牛鉄板焼」(単品1,300円・定食1600円)。厳選された飛騨牛をお手頃価格で味わうことができます。かつて奥飛騨にあった銘店・まつやの味つけを受け継いだ伝統の味で、特製のタレをかけて蒸し焼きすることで、飛騨牛の旨味が野菜にも染みわたります。定食には、ご飯、お味噌汁、サラダ、一品、香の物つき。
もうひとつのおすすめが、「あんき屋特製けいちゃん焼」(単品900円・定食1,200円)けいちゃん焼は岐阜の伝統的な郷土料理のひとつです。甘じょっぱい濃い目の味付けは、ご飯が進みますよ。
食事処 あんき屋
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯768−36
- 電話番号
- 0578-89-2755
- 営業時間
- 11:00~21:30
- アクセス
- 平湯温泉バス停より徒歩約13分
無料で楽しめる立ち寄りスポット「ナガセスッポン養殖場」
平湯温泉のお土産として人気があるのが、すっぽんの栄養補助食品やすっぽんのお菓子を販売している「ナガセスッポン養殖場」。奥飛騨の雪解け水ですっぽんを育てている施設で、無料で立ち寄ることができます。すっぽんについて知ることができる豆知識コーナーや、ちいさな水族館もありますよ。
ナガセスッポン養殖場
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯362−1
- 電話番号
- 0120-492-272
- アクセス
- 平湯温泉バス停より徒歩約6分
福地・新平湯・栃尾温泉エリア
平湯温泉に比べると、こぢんまりとした印象の3つの温泉。平湯温泉のような大きな温泉施設がないこともあり、静かでゆったりと過ごすことができるのが魅力です。
福地温泉
「福地温泉」は平湯温泉からバスで約10分、新穂高温泉からはバスで約22分の場所にある温泉。平家の落武者伝説が残る温泉地で、平安時代には村上天皇がお忍びで療養されたことから、「天皇泉」とも呼ばれる名湯です。標高は海抜950メートルほどで、夏は涼しく、冬は一面銀世界となります。
エリア内には11軒の旅館・民宿が点在。囲炉裏を備えた民芸調の宿が多く、山里ならではの素朴さと懐かしさを感じさせてくれます。
レトロな雰囲気を味わえる朝市と日帰り湯スポット
そんな福地温泉を気軽に楽しみたいなら、「昔ばなしの里」にある日帰り温泉「石動の湯(いするぎのゆ)」がおすすめです。一度は閉館してしまったものの、復活を熱望するラブコールに応え、2018年の年末に復活した日帰り温泉・食事処です。
毎朝6時半より11時までは、朝市も開催されます。(冬期12月~3月は8時半より11時)
100パーセント源泉かけ流しのお湯は、ラドンを含む無色透明の単純泉。体の芯から温めてくれて、湯冷めしにくいところが特徴です。最近ではあまり見かけなくなったシャワーではなくかけ湯スタイルの昔ながらの洗面エリアは、むしろレトロでかわいいですね。
昔ばなしの里 石動の湯(いするぎのゆ)
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地温泉110
- 電話番号
- 0578-89-2793
- アクセス
- 高山濃飛バスセンターより濃飛バスで約1時間10分、またはバス停「平湯温泉」より濃飛バスで約10分、バス停「福地温泉」下車徒歩約1分
冬限定の絶景「青だる」
福地温泉では、冬から早春にかけて、冬の名物・氷の滝「青だる」も見ることができます。迫力ある氷の様子は圧巻です。ライトアップもあるので、冬に訪れる場合は、ぜひ幻想的な風景を楽しんでくださいね。
新平湯温泉
新平湯温泉は、奥飛騨温泉郷の中心にある温泉地。平湯温泉からバスで約15分、福地温泉からはバスで約5分、新穂高温泉からはバスで約18分の場所にある温泉です。歴史と伝統、そして新しい魅力もあわせ持つ湯量豊富な温泉地で、素朴な民宿から近代的なホテル、和風旅館までバラエティ豊かな宿が揃っています。
新平湯温泉エリアで見逃せないのは、奥飛騨名水の「タルマ水」。点在する飲泉場の中でも「たるまの滝・親水公園」は、おすすめの立ち寄りスポットです。タルマ水は奥飛騨髄一の名水と言われ、このエリアには昔から健康なご長寿が多いことから、「卒中封じの水」とも呼ばれています。
周辺には、縁結びのパワースポットといわれる「もずもの社」などの見どころも。
冬には「タルマかねこおりライトアップ」が行われ、たるまの滝のライトアップ、砂防ダムトンネル内を数万個のLED電球で彩るイルミネーションが楽しめます。また、5月中旬から7月中旬の土日にはそばまつりを開催、初夏にはホタルの観賞も楽しめます。
栃尾温泉
栃尾(とちお)温泉は、平湯温泉からバスで約17分、新平湯温泉からバスで約3分、新穂高温泉からはバスで約10分の場所にあります。昔、トチの木がたくさんあったことからその名が付いたと言われ、素朴な宿が多いのが特徴です。そばを流れる高原川は、渓流魚の宝庫として釣りファンにも人気のエリアで、川魚が食べられるお宿も多くあります。
共同露天風呂の「荒神の湯(こうじんのゆ)」は、野趣あふれる温泉。雄大な山々を眺めながら温泉を楽しむことができますよ。
荒神の湯から500メートルほどの公園には、荒神の湯を引いた足湯もあります。散策の合間にひと休みできるおすすめスポットです。
絶景露天風呂ならここ「新穂高温泉」
奥飛騨温泉郷の中でも特に絶景の露天風呂があるのが、新穂高温泉。平湯温泉からはバスで約32分の場所にあり、北アルプスの槍ヶ岳・穂高連峰への登山口でもあります。豊富な湯量が自慢の露天風呂が多い温泉地で、白樺林の中にホテルやペンションが建ち並び、リゾート感のあるエリアです。
その中でもおすすめなのが、「穂高荘 山のホテル」です。山のホテルといえば、なんといってもケーブルカー「湯めぐり鉄道」で向かう絶景露天風呂が有名です。
「穂高荘 山のホテル」に宿泊した人だけが入ることができる、絶景の露天風呂山峡「槍の湯」。晴れた日には北アルプスの絶景を眺めながら、のんびりとお湯につかることができます。
こちらの露天風呂は、奥飛騨でも数軒しかない男女混浴の露天風呂。女性の方用にレンタルの湯浴み着が用意されているので、ぜひチャレンジしてみて。これほどに大きな源泉かけ流しの露天風呂は全国でもとても珍しく、特別な温泉体験ができますよ。
混浴には少し抵抗がある…という方には、女性専用の露天風呂や、グループやご家族でのんびりと入ることができる貸切露天風呂もあります。十分な広さがあり、四季折々の雄大な景色を楽しむことができますよ。
「穂高荘 山のホテル」に宿泊するなら、ぜひ食事付きのプランを。レストラン内の囲炉裏で焼き上げられるアユや、飛騨牛など、奥飛騨ならではの食材が並びます。
朝食には、高山名物の朴葉焼きも。朴葉の上でじっくりと焼き上げる朴葉焼きは、濃い目の味でご飯が進みます。
穂高荘 山のホテル
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂577−13
- アクセス
- 高山濃飛バスセンターより濃飛バスで約1時間30分、バス停「山のホテル前」下車
新穂高ロープウェイにも乗ってみよう
新穂高ロープウェイは日本唯一の2階建てゴンドラ
新穂高ロープウェイは、山麓側の第1ロープウェイと、山頂側の第2ロープウェイの2段構成になっています。特に、第2ロープウェイは日本で唯一の2階建ての大きなゴンドラ。すれ違う時の迫力があります。窓から眺める景色にもワクワクすること間違いなし!どの季節に訪れても大自然の魅力を存分に味わえます。
第1ロープウェイと第2ロープウェイを乗り継ぐと、標高2,000メートルを超える天空の世界へとたどり着きます。西穂高口駅屋上には、標高2,156メートルに位置する展望台が。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン2つ星を獲得した絶景が広がります。
新穂高ロープウェイ
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂710−58
- 電話番号
- 0578-89-2252
- 料金
- 第1・第2ロープウェイ連絡(新穂高温泉~西穂高口)往復 大人3,000円 小人1,500円
- チケット
- 新穂高ロープウェイ 往復Eチケットの購入はこちら【楽天ポイントが貯まる・使える】
- アクセス
- 高山濃飛バスセンターより濃飛バスで約1時間40分、バス停「新穂高ロープウェイ」下車
天空のかけ流し温泉露天風呂「神宝乃湯」
新穂高ロープウェイに乗ったら、ぜひ立ち寄ってほしいのが「神宝乃湯(かみたからのゆ)」。第1ロープウェイと第2ロープウェイとの乗り継ぎ地点にある、新穂高ビジターセンター内にある立ち寄り湯です。入浴料は600円で、レンタルタオルの用意もあります。
神宝乃湯の泉質は、単純硫黄温泉。ややとろみのある温泉で、美肌効果が期待できるメタケイ酸を豊富に含む湯です。源泉の温度がかなり高いため、新穂高の飲用沢水を加えて湯温を調整しているそう。たっぷりと湯の花が浮かぶほどに濃厚な温泉を楽しむことができます。
大自然の中で浸かる、爽快感が楽しめます。神宝乃湯は露天風呂のみで洗い場がなく、石けん・シャンプーなどは使えません。しっかりと、かけ湯をしてから入りましょう。
もっと気軽に温泉を楽しみたいなら、しらかば平駅の足湯もおすすめです。無料で入れる足湯はやや熱め。じっくり浸かり、新穂高散策で疲れた足をゆっくりと癒してくださいね。
神宝乃湯新穂高ビジターセンター
- 住所
- 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷新穂高
- 電話番号
- 0578-89-2252
- 営業時間
- 9:30~15:30(受付15:00まで)※ 季節による変動あり
- 利用料金
- 大人600円 小人400円
- アクセス
- 新穂高ロープウェイ「鍋平高原駅」または「しらかば平駅」より徒歩約1分
奥飛騨温泉郷で温泉めぐりを楽しもう
さまざまな温泉が楽しめる奥飛騨温泉エリアの温泉とグルメをご紹介しました。飛騨高山エリアからさらに山奥に行くため、雄大な自然を感じることができます。北アルプスを眺めながら入ることができる露天風呂も多いので、ぜひ湯めぐりをして温泉を楽しんでくださいね。
取材・撮影・文/河合理恵