世界三大夜景と称される函館の美しい夜景を堪能できる函館山。山麓から山頂までを結ぶロープウェイの空中散歩の様子、山頂施設と鑑賞スポットをご紹介します。夜にきらめく幻想的な光景は、きっと心に残る素敵な思い出になります。
気温が低い時季がおすすめ!函館山から見る夜景
いつ行っても楽しめる函館の夜景ですが、気温が低い時季は空気中の湿度が低く視界が濁りにくいため、明かりひとつひとつがさらにクリアに輝いて見えます。山頂へは11月中旬〜4月中旬の間は道路が通行止めのため、ロープウェイで上ります。
函館市街の夜景を一望できる函館山の標高は334m。あまり高くない山ですが、街をすぐそばで見下ろすような位置にあります。山頂からの夜景はミシュランの旅行ガイドブックで三ツ星に選ばれていて、海外旅行者も多く訪れる函館観光には外せないスポットです。
冬の函館山に行く服装は?
気温は氷点下で地面が凍結しやすいので滑りにくい冬靴で行きましょう。また、雪が降ったらさっと被れるフード付きのコートや撥水加工のあるアウトドアウエアがおすすめ。風が強く室内との気温差が激しいので、脱着が簡単な手袋やストールがあると便利です。
4月の函館の気温は、東京の12月頃と同程度。アウターは普段着ているもので大丈夫ですので、トップスに厚手の綿やセーターを着用したり、保温効果のあるインナーなどで調整するのがおすすめです。
函館駅までのアクセス
東京周辺から函館市へは、飛行機で羽田空港から函館空港まで約1時間20分、空港からはシャトルバスで函館駅まで約20分です。新幹線の場合は、東北・北海道新幹線で「新函館北斗駅」まで行き、「はこだてライナー」に乗り換えて函館駅まで。合計約4時間30分の旅です。
函館山ロープウェイ「山麓駅」まではバスが便利
函館駅から函館山ロープウェイ「山麓駅」までのバスは2種類。9時〜17時台まで運行する「元町・ベイエリア周遊号」は日中の市街を循環するバスで、運賃は一律210円です。
もうひとつは16時〜20時台まで運行する「函館山ロープウェイ接続シャトルバス」で片道240円。
どちらも駅前バスターミナルの4番のりばから乗り、「ロープウェイ前」バス停で下車します。冬季と夏季では運行時刻が多少変わるので注意しましょう。
山麓駅は市街地に近く、観光で人気のベイエリアからは徒歩で約15分。路面電車最寄り駅「十字街」から徒歩約9分です。ただし、山麓駅は急な坂道の上にあるので、駅の目の前に到着するバス移動がおすすめです。
函館市は公共交通が充実しているので、上手く使えば安く楽に観光ができます。駅や観光施設に、JRや市電、バス、ロープウェイまでを網羅した「楽旅まっぷ」というパンフレットが設置されているので、旅の初めに入手しておくと便利です。
また、山麓駅周辺には、函館の街を象徴する元町教会群などの観光スポットがあり、夜間はライトアップされています。時間に余裕があればぜひ巡ってみてください。
ロープウェイに乗って山頂へ
山麓駅からロープウェイに乗ります。天候の影響がなければロープウェイは15分間隔で運行しています。冬季間のロープウェイ始発時間は10時で、上りの最終は20時50分、下り最終が21時です。
山麓駅に着いたら、1階のチケット売り場でロープウェイの搭乗券を購入します。料金は大人往復1,500円。チケットを持って乗り場のある3階へ向かいます。
往復チケットは帰りも使うのでなくさないように注意しましょう。
搭乗の際はチケットに印刷されたQRコードを改札機に読み取らせます。
函館山ロープウェイのゴンドラは125人乗りと大きなものですが、混雑時には満員電車のようになるので、乗り込んだら途中で立ち止まらず奥へと移動しましょう。
山頂駅まで約3分の空中散歩。全方向に大きな窓があります。おすすめは海と街が見える方角で、進行方向に向かって左か後側です。夕日が沈む頃にはきれいな夕焼けも楽しめます。混雑を避けたい方は、少し時間をずらして19時頃に上ると良いかもしれません。
混雑回避のおすすめスポット「漁火(いさりび)公園」
到着すると乗客のほとんどが屋上の展望台を目指して右に進んでいきます。混雑時はその流れについて行ってもゆっくり景色が見られないので、そんなときは先に「漁火公園」に向かいましょう。人の流れとは反対の左にあるドアを出れば漁火公園です。
この漁火公園は人が少ない時間帯があり、ロープウェイのケーブルが視界の端に入る程度で、夜景もきれいです。
また、すぐそばでロープウェイのゴンドラが行き交う様子が眺められて飽きません。夏から秋にかけては、津軽海峡に浮かぶイカ釣り船の漁火がよく見えるスポットです。
食事や土産購入も!函館山山頂展望台
山頂駅を含む展望台施設は4階建て。1階はロープウェイ乗り場とチケット売り場、漁火公園への出入り口があります。また、2階へ向かう通路は屋内ラウンジになっていて、窓際に椅子が並び、ガラス越しに夜景を眺められますが、団体ツアーの集合場所にもなっているので、時間によってはかなり混み合います。
2階には、夜景モチーフのグッズをはじめとしたお土産ショップと、函館の夜景を紹介する映像シアターがあります。老舗レストラン五島軒とコラボしたオリジナル商品「函館ラムカレー」(432円)やお菓子類がお土産に人気のようです。また、テイクアウトコーナーでは北海道産キタアカリを使用した「じゃがバター」(350円)や「いかめし棒」(450円)などの地元グルメが楽しめます。
2階からは屋外の「山頂広場」へ出られます。ベンチがあり、晴れると函館湾が見渡せる心地よい場所です。屋上よりは低いですが夜景も見えます。「函館山」の石碑が立っているので記念写真を撮る人で賑わっています。
また、レストラン「ジェノバ」が2階に、ティーラウンジ「レガート」が3階にあり、どちらも大パノラマの夜景を眺めながら過ごせます。「ジェノバ」では、ランチタイムには塩ラーメン(800円)などの手軽なメニューがあり、夜は北海道十勝牛のステーキセット(5,600円)などの本格的な洋食が味わえます。「レガート」ではサッポロクラシックの生ビール(700円)やワインなどの各種アルコール類、ピザなどの軽食が楽しめます。
4階は屋上展望台で、最も夜景が美しく見える場所です。夜景の写真はここから撮るのがベスト。スマートフォンなどで撮影する場合は手ブレしやすいので、展望デッキの手すりの上に置くようにして固定すると上手に撮れます。手すりから落ちないようにしっかり固定して撮影するようにしましょう。
登ってきた階段を挟んだ反対側にも、一段下がった展望デッキがあるので、混雑している場合は移動してみるのもおすすめです。わずかに角度は変わりますが、こちらからも良い写真が撮れます。
美しい函館の夜景をロープウェイで
函館山ロープウェイ山麓駅は街からのアクセスが良く、さらにロープウェイを使えばわずか3分で山頂まで到達できます。日中の観光を思いっきり楽しんだ後でも夜景には間に合うので、函館の旅の思い出として、大切な人と一緒に訪れてみてはいかがでしょうか?
写真・取材・文/Junko Saito