日本三大祭りの一つにも数えられる「祇園祭(ぎおんまつり)」は、7月1日から31日までの1カ月間、様々な祭事が行われる八坂神社の祭礼です。17日と24日に行われる「山鉾巡行(やまほこ じゅんこう)」と「神輿渡御(みこし とぎょ)」をはじめ、夜の風情を楽しめる宵山(よいやま)など見どころがたくさん!祇園祭に関する豆知識や楽しみ方、おすすめホテルについてご紹介します。
祇園祭とは?
1100年以上の歴史がある、「疫病退散」の祭り
1100年以上の歴史がある祇園祭。その起源は、平安時代初期にまでさかのぼります。869年に、全国に蔓延した疫病を鎮めるため、当時の平安京の庭園・神泉苑(しんせんえん)に、当時の国の数と同じ66本の鉾をたてて、そこに神輿を渡したことが始まりとされています。
室町時代になると町衆がきらびやかな山鉾を建て、巡行させるようになったそう。1467年の応仁の乱で一時途絶えましたが、1500年頃にはさらに豪華な山鉾を建てたといわれています。
2014年に「前祭(さきまつり)」と「後祭(あとまつり)」が復活!
祇園祭は、八坂神社の祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)が洛中に来て1週間ほど滞在し、八坂神社へと戻るお祭り。八坂神社から洛中の御旅所(おたびしょ)に来るのが「前祭(神幸祭)」、御旅所から市内をまわり八坂神社へと帰るのが「後祭(還幸祭(かんこうさい))」です。
この前祭と後祭は、1966年に統一されましたが、2014年から7月17日の「前祭」、7月24日の「後祭」に再度分かれ、以前の祇園祭の形へと戻りました。山鉾巡行も神輿渡御もそれぞれ2回行われ、巡行する山鉾は前祭と後祭で変わると覚えておきましょう。
祇園祭の日程をチェック!
7月1日の「吉符入(きっぷいり)」から31日の「疫神社夏越祭(えきじんじゃ なごしさい)」までたくさんの行事が行われる祇園祭。2024年のスケジュールをチェックしてくださいね。
<2024年のスケジュール>
7月1日:吉符入
7月10日~7月14日:鉾立
7月14日~7月16日:宵山
7月17日:前祭(山鉾巡行・神輿渡御)
7月21日~7月23日:宵山
7月24日:後祭(山鉾巡行・神輿渡御)・花笠巡行
7月31日:疫神社夏越祭
宵山も!山鉾巡行も!祇園祭の楽しみ方
1.「祇園囃子」の美しい音色を楽しむ
夕方になると、各山鉾町から聞こえてくる「コンチキチン」の音色。祇園囃子は、鉦(かね)、横笛、太鼓によるもので、山鉾ごとに選曲が異なり、総勢約40人が山鉾に乗り演奏を行います。前半はゆっくりした曲調が多く、後半はテンポが速くなりやすいのだとか。聴き比べても楽しいですね。
2.「宵山」を満喫する!
前祭と後祭の3日前から前日(7月14日~7月16日、7月21日~7月23日)に行われる「宵山」は、前夜祭的なイベント。「前祭」では、夕方から交通規制が行われ歩行者天国となり、烏丸通(からすまどおり)を中心に屋台や露店が立ち並びます(15、16日のみ)。
落ち着いた雰囲気の中で祇園祭を楽しめたい方は、露店がなくなる「後祭」がおすすめです。
宵山の楽しみ方はそれだけではありません!各山鉾の厄除け粽(ちまき)を購入したり、お守り、手ぬぐいといった授与品を買ったり、祇園祭限定の御朱印を各山鉾の販売店でもらったりすることもできます。
ちなみに祇園祭の粽は、食べ物ではなく、笹の葉で作られた厄病・災難除けのお守りです。京都では、厄除けとして玄関先に粽を飾る風習があります。山鉾ごとにご利益やデザインが異なるので、どれにしようか迷ってしまいますね。
「屏風祭り」も宵山ならではの楽しみ。山鉾町の旧家や老舗商店では、このタイミングに、秘蔵の屏風や美術品を公開するため、通りからも美しい品々を鑑賞できます。
またこの時期には、各山鉾で行われる「棒振り踊り」(前祭・四条傘鉾・綾傘鉾)や「あばれ観音」(23日の午後11頃・南観音山)などの特別儀式も開催しますよ。
3.きらびやかな「山鉾巡行」を鑑賞
祇園祭といえば、「山鉾巡行」というイメージを持つ方も多いのでは?ただ、山鉾はお神輿が通る前の露払い的な立ち位置というのが正しい見解。派手な音やキラキラ光る豪華な装飾で悪霊を呼び寄せてから、八坂神社の主神である素戔嗚尊を乗せたお神輿が通ります。
巡行順を確認する儀式である「くじ改め」に加え、山鉾を回転させる「辻廻し」は大迫力!舶来の織物や金工品などの懸装品で飾られた山鉾も美しく、「動く美術館」と呼ばれるほどです。
4.活気あふれる「神輿渡御(みこしとぎょ)」へ!
17日の夕方(18時半頃)、八坂神社の前に3基のお神輿がそろう光景は壮観のひとこと。その日の夜中に輿丁(よちょう・お神輿の担ぎ手)の活気ある掛け声とともに、それぞれ所定のコースを巡り、24日まで四条御旅所に留まります。
四条御旅所
- 住所
- 京都市下京区四条通寺町東入南側貞安前之町
5.ほかにも様々な楽しみ方が…
最大10トンを超える山鉾を、釘など一切使わずに組み立てる「鉾建て」(10〜14日、18〜21日)や、お店ではこの時期だけいただける限定メニュー、華やかな花傘巡行(24日)など楽しみ方は無限大です。
快適に観光するための注意点
熱中症に気を付ける
祇園祭が行われる7月は最高気温が35度近くになる日もあるので、熱中症対策は万全に。京都は湿度も高いため、体感温度はさらに高く感じるでしょう。帽子を被り、水分や塩分の補給をするのはもちろん、日傘やサングラス、扇子などできる限りの熱中症対策をするのがおすすめです。
混雑を避ける
国内外からたくさんの観光客が集まる祇園祭。山鉾の近くでは、人が集まりすぎて前に進めないこともしばしば。早朝に見学する、公共交通機関を利用する、近くでホテルを取るなどして混雑を避けましょう。
客室から山鉾巡行が見えるおすすめホテル
ホテルミュッセ京都四条河原町名鉄
阪急「京都河原町」駅より徒歩約3分、八坂神社も徒歩圏内と便利なロケーションにある「ホテルミュッセ京都四条河原町名鉄」。無料のレイトアウトチェックは12時までなので、山鉾巡行が見れるチャンスもさらに広がります。
MIMARU京都 新町三条
家族や友人で利用できる「MIMARU京都 新町三条」では、山鉾が通る新町通側の客室に泊まれます。客室にはキッチン・ダイニングスペースがあり、調理器具も完備されているので、食材を持ち込んで料理することができます。
イビススタイルズ京都四条
スタイリッシュなデザインの客室が特徴的なホテル「イビススタイルズ京都四条」。観光にも便利な四条通りから山鉾巡行を見ることができます。乾燥機能付きの洗濯機が完備されたコインランドリーもあるので、長期滞在にもおすすめです。
※プランがすでに完売している場合がございます。
※タイミングによっては山鉾巡行が見られない場合がございます。
7月17日前祭限定!有料観覧席が確約されたホテル
前祭では、御池通の河原町通から新町通までの間に有料観覧席が設置されます。山鉾巡行の先頭が通る時間は、河原町通りに午前10時20分頃、新町御池通りに午前11時20分頃です。
京都山科 ホテル山楽
山鉾巡行を間近で見られる有料観覧席が確約された「京都山科 ホテル山楽」。朝食は京会席ビュッフェ形式で、「近江牛のしゃぶしゃぶ」も食べ放題です。宿泊プランは6月16日までの先行販売限定なので、予約は急ぎめに!
node hotel
「アートコレクターの住まい」をコンセプトにかかげ、現代アートが館内に展示されている「node hotel」。祇園祭期間中は、蟷螂(とうろう)山鉾もホテル前で眺めることができます。
ダーワ・悠洛 京都 by バンヤン・グループ
ローカルガイドから祇園祭の特別レクチャーが聞ける「ダーワ・悠洛 京都 byバンヤン・グループ」。コース料理の夕食・和洋ビュッフェ朝食の2食付きでぜいたくなひとときを味わうことができます。
※プランがすでに完売している場合がございます。
祇園祭
- 日程
- 7月1日:吉符入
7月10日~7月14日:鉾立
7月14日~7月16日:宵山
7月17日:前祭(山鉾巡行・神輿渡御)
7月21日~7月23日:宵山
7月24日:後祭(山鉾巡行・神輿渡御)・花笠巡行
7月31日:疫神社夏越祭 - 公式サイト
- 八坂神社・山鉾連合会
文/立岡美佐子
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