フランク・ロイド・ライトの名建築やステンドグラスの教会も♪「博物館 明治村」でレトロ建築に触れる旅

フランク・ロイド・ライトの名建築やステンドグラスの教会も♪「博物館 明治村」でレトロ建築に触れる旅

提供:ことりっぷ

 

愛知県犬山市にある「博物館 明治村」は、全国各地にあった60を超える歴史的建造物が点在する、レトロ建築好きにはたまらないスポット。家具やインテリアを配し、実際に使われていた時代の雰囲気を再現したり、ガイドによる案内で、当時の様子をうかがい知ることもできます。カフェや食事処も、明治の食を再現したメニューがいろいろ。緑溢れる敷地を散策しながら、明治を旅してみませんか。

 

 

貴重な建物を後世に伝えるために。1965年に開村した明治村

貴重な建物を後世に伝えるために。1965年に開村した明治村 村内バスは、1日乗車券500円

愛知県犬山市にある「博物館 明治村」は、今から60年ほど前に誕生した野外博物館。初代館長となった建築家の谷口吉郎氏が、明治時代の貴重な建物が次々と壊されてしまう現状をなんとかしたいと、名古屋鉄道の土川元夫氏の協力を得て創設されました。

 

初夏は散策道や休憩所のあじさいが見ごろに

明治村があるのは、入鹿池のほとりに広がる緑豊かな丘陵地。池を望む展望スポットなどもあり、木々に囲まれた道沿いには季節の花々も。歩いて巡ることもできますが、100万㎡もの広さがあるので、主要な建物前に停車するボンネットバスや路面電車を利用しながら散策するのがおすすめです。

 

18年もの歳月をかけて移築復元した「旧帝国ホテル中央玄関」

18年もの歳月をかけて移築復元した「旧帝国ホテル中央玄関」

日本でもさまざまな建物を設計した、近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト。彼が手掛けた建築の中でも、そのこだわりが強く反映され、彼の代表作としても知られているのが1923年に完成した「旧帝国ホテル」です。関東大震災や戦争を経てゲストを迎え続けてきた建物も老朽化により取り壊しが決まり、明治村に移築されることになりました。

 

2階から見た玄関ホール 照明や椅子、テーブルもライトがデザインしたもの

黄みがかったオレンジ色で建物を印象付けるのが、スクラッチ煉瓦。これは愛知の常滑焼で作られています。幾何学模様の彫刻が施されているのは栃木の名産、大谷石。日本の伝統素材や技術と西洋建築との融合を図っていることもうかがえます。移築に当たって足りない部分は煉瓦やタイルを作り直すなど、明治村に移築復元するために、18年もの歳月がかかったという建物です。

 

テラコッタや石の隙間から照明の光が漏れる、光の籠柱

光の籠柱以外にも足元や壁の間、窓の上部など、さまざまなところに光を取り入れるためのデザインが施されていて、幾何学模様のデザインとともに美しいシルエットを生み出します。2Fには喫茶室もあり、テーブルや椅子、照明などもライトがデザインした空間でお茶をいただくことができます。

 

ライトがデザインしたテーブルとイスでケーキセット(1,200円)を

 

ステンドグラスの光が差し込む「聖ザビエル天主堂」

ステンドグラスの光が差し込む「聖ザビエル天主堂」

明治村の建物の中でも、その美しさから多くの人が訪れているのが「聖ザビエル天主堂」。明治23年に完成した京都のカトリック教会です。中に入ると、ゴシック様式の荘厳な空間が広がっていますが、柱などにケヤキが使われていて、木の温もりに包まれています。

 

オリジナルの薔薇窓は入口横に展示され、間近で見ることができます

入口上部にあしらわれている巨大なステンドグラスは、薔薇窓と呼ばれていて、よく見ると白のペンキで草花の模様が描かれ繊細なデザイン。祈りの空間を優しく彩ります。クリスマスにはステンドグラスのツリーが飾られ、コンサートも開催されているそうですよ。

 

人が訪れ、使い続けることで生きた建物に

人が訪れ、使い続けることで生きた建物に 局員さんもいて郵便を出すことができる「宇治山田郵便局舎」

明治村のさまざまな建物は、移築して内部を公開しているだけではなく、実際に使われているものもあります。例えば「宇治山田郵便局舎」は実際に郵便局として利用でき、手紙やはがきを出すことも。内部には展示室もあり、郵便の歴史を紹介。吹き抜けの円形ホールとなった窓口や切手倉庫なども、細部まで復原されています。

 

芝川又右衛門の別荘など、一部建物では時間を決めてガイドツアーを開催

そして、旧帝国ホテルなど一部建物では館内を紹介してくれるガイドさんがいて、建物の由来や意匠について話を聞きながら建物を鑑賞することもできます。ガイドさんの話を聞くと、当時の建築の面白さやデザインや意匠に込められた想いを知ることができますよ。

 

ここで名作が生まれた「森鷗外・夏目漱石住宅」

夏目漱石や森鷗外、西郷隆盛の弟、西郷從道など、明治の偉人たちの邸宅を復元、再現した建物もありました。「森鷗外・夏目漱石住宅」は、実際にこの建物で名作が執筆されたとされていて、漱石の『吾輩は猫である』にはこの建物を思わせる表現も。二人の作家にゆかりがあるという、貴重な建物です。

 

西洋建築に日本の文化も織り交ぜた「西郷從道邸」

 

レストランも明治スタイル。文明開化の象徴「牛鍋」も

レストランも明治スタイル。文明開化の象徴「牛鍋」も

村内にはカフェやレストランもいくつかあり、明治から食べられるようになった洋食やアイスクリームなどは当時のレシピを再現したものも。なかでも「大井牛肉店」は、明治の文明開化の象徴とされたのが肉料理「牛鍋」が楽しめるお店。「牛鍋」とはすき焼きのような料理で、当時とても流行ったのだそう。「大井牛肉店」では、当時の味を再現して提供しています。

 

「牛鍋 竹」(5,000円※ライス、デザート付き)

小さなテーブルには炭がくべられていて、その上に鉄鍋を置いて調理します。適度にさしの入った飛騨牛を砂糖と秘伝の返しで焼けばいい香り。野菜などの具材と一緒にいただきます。

 

建物も当時の店を移築したもので、西洋風のデザインが施されていますが漆喰塗の木造建築。低い位置に窓があったりと、西洋風ですが日本人が建てた建物であることが感じられます。最後には季節のシャーベットでお口直しして、ゆったりと食事を楽しむことができますよ。

 

明治村限定の商品も。明治の味やデザインをお土産に

明治村限定の商品も。明治の味やデザインをお土産に 薔薇窓をモチーフにした商品はいろいろ

村内のショップには、明治時代の小説を基に再現したお菓子やレトルトカレー、帝国ホテルの公式グッズ、薔薇窓をモチーフにした文房具など、さまざまな品がありました。ここでしか買えない商品をぜひお土産にしてみてくださいね。

 

村内には、昔懐かしい駄菓子屋さんも

近代化によって日本と西洋の文化が融合し、独自の文化が作り上げられた明治時代。現代では当たり前となったもののルーツの多くが明治時代に誕生しているとも言えます。明治村を歩くことで、そんな「はじまり」や当時の人々の暮らしを垣間見ることができますよ。ぜひじっくりと1日かけて、明治の魅力を体感してみてください。

 

 

文:田口真由美

 

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