提供:ことりっぷ
平安時代に紫式部が綴った『源氏物語』は、国内外で愛される世界最古の長編小説。全54帖にわたる物語の最終章「宇治十帖」の舞台となった宇治は、いまもっとも注目したいエリアです。宇治市源氏物語ミュージアム館内の「雲上茶寮(うんじょうさりょう)」では、庭園をイメージしたフォトジェニックなパフェや、茶どころならではの香り豊かな宇治茶が楽しめます。美しい庭園を眺めながら、ゆったりとティータイムを過ごしませんか。
源氏物語「宇治十帖」の舞台へ
宇治市源氏物語ミュージアムは、青もみじや紅葉の隠れ名所
宇治は、『源氏物語』の主人公・光源氏の亡き後、孫世代の恋物語を綴った「宇治十帖」の舞台です。ヒロインの浮舟が2人の貴公子からの求愛に揺れ動いた場面のキースポットとなる宇治川は、千年の時を超えた今も滔々と流れています。
『源氏物語』の世界を垣間見られる「宇治市源氏物語ミュージアム」は、そんな宇治川たもとの小高い丘の上にあります。京阪宇治駅から徒歩8分、京都駅から向かうなら、JR奈良線に乗って宇治駅で下車、徒歩15分です。
庭園を望むミュージアムカフェ
雲上茶寮の入り口はこちら。ミュージアムショップも併設されている
カフェやショップのみの利用なら入館料は不要ですが、『源氏物語』の世界をわかりやすく体感できるミュージアムも見ごたえがあるので、ぜひあわせて訪れてみて。エントランスから左手へ進むと、カフェ「雲上茶寮」があります。
店名には、「宮中や俗世から離れた雲の上のように静かな場所で、伝統の宇治茶の上質な味わいを楽しんでほしい」という思いが込められているそう。
明るい光が差す大きな窓越しに庭園が望める 白砂とお茶の木の緑とのコントラストが美しい枯山水庭園
看板メニューの「庭園パフェ」
「庭園パフェ」1,650円。 個性的な器のデザインも魅力
「庭園パフェ」は、季節替わり。このときは、「青紅葉の州浜」で、抹茶のシフォンケーキやゼリー、アイスクリーム、いちごを敷き詰めた上に、柚子ムースの砂紋、抹茶チョコムースの山、抹茶クラムの苔をあしらって、州浜が表現されていました。カエデの若葉の上に、雫に見立てた寒天を添える粋な演出も素敵です。
季節の上生菓子と日本茶
日替わりの「きんとん」440円と「抹茶 匂宮(ICE)」770円
日本茶と好相性の上生菓子は、2種から選べます。この日選んだのは、宇治の和菓子店「幸栄堂」による日替わりのきんとん。口のなかでさらりとほどける上品な味わいです。ほかに、和菓子作家・まきのあやさんが、宇治十帖のストーリーをイメージし、和と洋、古と現代を融合させた創作和菓子も。
選りすぐりの日本茶を味わう
ふくよかなうまみを感じる「玉露 薫」990円
日本茶の第一人者である茶匠の監修のもと、選りすぐった宇治茶や日本茶がそろいます。抹茶、玉露、煎茶、焙じ茶、和紅茶、それぞれ温・冷がラインアップ。抹茶、玉露、煎茶は、パリで行われた日本茶品評会「japanese tea selection paris 2021」で金賞に輝いた茶葉も用意されています。冷茶は、注文後に一滴ずつゆっくりと茶葉のうまみを抽出する水出しのスタイル。ガラスのボトルとグラスも涼やかです。
水出しで茶葉のうまみをじっくり抽出
風味豊かな日本茶を、お庭を眺めながらゆっくりと味わうひとときは、まさに雲の上にいるような気分。
ティータイムのあとは、さわらびの道を歩いて宇治川に架かる朝霧橋を渡り、平等院を参拝するコースがおすすめ。源氏物語の世界にふれて、宇治の魅力を存分に体感できますよ。
文:佐藤理菜子 撮影:マツダナオキ