三重県桑名市にある「なばなの里」のイルミネーションは、今や全国的にも有名な冬の風物詩。冬季はライトアップされた夜の絶景に注目が集まりがちですが、敷地内には美しい花々や、温泉を引いた足湯、和風庭園をめでながらのんびりいただくランチなど、昼間だからこそ楽しめるスポットも満載です。夜のイルミネーション点灯時間まで、ゆったりと大人な休日を過ごしてみませんか。
日本最大級の花畑も!夢のような小さな村「なばなの里」
「なばなの里」は、遊園地や夏季の大型プールなどが有名で2019年に55周年を迎えた、「ナガシマリゾート」のいち施設。東京ドームが6個以上入ってしまう、およそ30万平方メートルにも及ぶ広大な敷地にたくさんの花々が咲き誇る、花のテーマパークです。コンセプトは「長良川水辺の夢のような小さな村」。お花はもちろん、おいしいお食事や、有名な冬のイルミネーションなど、ゆったりとした時間を過ごせる場所です。
なばなの里は、名古屋駅から直通バスで約30分とアクセス良好。2019年春には、新名神高速道路の新四日市ジャンクションから亀山西ジャンクションが開通し、大阪市内から車で2時間程度と関西からのアクセスも便利になりました。
ゲートに到着し、エントランスで入村料を支払います。料金は、「夏のサービス期間(7月中旬~9月中旬)」は1,000円、冬の「イルミネーション期間(10月中旬~5月初旬)」なら2,300円など、時期によって異なります。年間を通じ、入村料を払うと村内のレストランや土産物店で使える1,000円分の金券「なばなクーポン」が付いてくるので、お得に楽しめます(1,000円未満のものに使用しても、お釣りは出ません)。
また、イルミネーション期間は、14時までに入村すると、本来なら大人1人1,000円する大温室「ベゴニアガーデン」の無料チケットを受け取ることも(当日限り有効)。早めの時間に入村すれば、よりお得に過ごすことができるのです。
季節の花をゆったりと観賞
ゲートを通り村内へ。大きな池を一周囲む形で、売店、足湯、レストランなどが立ち並び、合間を縫うように可憐な花々が咲き誇ります。日本最大級の広さを誇る花畑「花ひろば」や、大温室「ベゴニアガーデン」は見逃せない観賞スポット。美しい景観を眺めながら村内を歩けば、1日十分に楽しめるので、イルミネーション点灯前からの入村がおすすめです。
花まつりも開催される「花ひろば」
ゲートを背にして歩くこと約5分。左手奥に進んだところにあるのが、約13,000坪の広さを誇る日本最大級の花畑「花ひろば」です。チューリップ、ネモフィラなど季節に合わせた花まつりが行われる場所でもあり、取材時(10月末)は「ダリア・コスモスまつり」が開催されていました。
まずは、コスモス。2019年は、約150万本ものコスモスが植えられました。写真は見頃を過ぎたものですが、この年は丈が低く花の部分が大きい品種を植えており、見頃の時期の一面の広がりは格別だったそう。こうした年ごとの違いも花観賞の面白いところです。
一方ダリアはまだまだ多くの花を咲かせていました。2019年の花まつりで植えられたダリアはなんと約200種類、8,000株。大きめのダリアから始まり、奥に進むにつれて少しずつ花が小さくなっていくように植えられており、その植え方や品種は毎年工夫して変えているそう。毎年訪れてその違いを感じたいと思える見事な光景です。
小さいダリアは野球ボールほどの大きさでかわいらしく、大ぶりのものは子どもの頭ほどの花を咲かせており、迫力満点。同じ色が続かないように植えられていて、飽きずに楽しめます。200種あまりすべてのダリアに名前が付けられており、写真右の白いダリアは新元号にちなんだ「令和」という新品種なのだとか。
花ひろばの奥に地上約4.5メートルの展望台がある他、広場通路内は各所にベンチも設置されています。高い位置から花の絨毯のような景観を楽しむもよし、腰を下ろして休憩しながら間近に花を楽しむもよし、ゆっくりと花々を堪能することが可能です。
※イルミネーション期間中、展望台営業は点灯時刻のみとなります。
豪華絢爛!圧巻のベゴニアガーデン
花ひろばを背にして1~2分ほど歩くと、正面にもう1つの見どころである「ベゴニアガーデン」という大温室があります。入口から順に、3つの温室から始まり、一度屋外のバラ園へ出て、最後にもう1つの温室が続く、ゆっくりと回るには1時間程度はみておきたい場所。バラ園は屋外ですが、それ以外は温室なので、寒い時期の観賞にもぴったり。
入場した途端に目に飛び込んでくる色鮮やかなベゴニアの数々。鉢植えはもちろん、天井からつり下がるのもすべてベゴニア。お花に囲まれるような、素敵な空間が広がっています。スタッフの方に撮影してもらえるフォトブースも。あまりの美しさに、撮影も楽しくなるはずです。
ベゴニアの色彩に圧倒されつつ進むと、「女王様の耳飾り」とも呼ばれる可憐なフクシア、球根の特殊な冷凍保存技術によって冬に楽しめるようになった冬季限定のユリと2つの温室が続き、順路は屋外の「バラ園」へ。約2,300坪の英国風庭園で、バラの優雅な香りを楽しめます。最盛期の春には最も多くの種類が花を咲かせるそうで、5~6月頃の「バラまつり」では夜間にライトアップも行われます。
最後の温室は、再びベゴニアがメイン。こちらには約170席の「ガーデンカフェ」があり、美しいベゴニアを楽しみながらコーヒーやソフトドリンク、アイスなどをいただくことができます。
ガーデンカフェ
- 営業時間
- 9:00~16:00
- 電話
- 0594-41-0751(ベゴニアガーデン)
このカフェを奥まで進むとベゴニアガーデンの出口に突き当たるのですが、「見返りの花 今一度振り返ってご覧下さいませ」との看板が。言われた通りにしてみると…。
まるで絵画の世界に入ってしまったかのよう! 大輪の花ベゴニアを始め、世界各国の数百種で構成されるこの光景は、年中観賞することができます。記念撮影もここでお忘れなく。最後に素敵なお土産をもらえた気分になりますね。
ベゴニアガーデン
- 時間
- なばなの里と同じ
- 料金
- 大人:1,000円
小・中学生:700円
幼児(3才以上):200円
美しい花々を上空から観察「アイランド富士」
ベゴニアガーデンを出てすぐのところにある、ひときわ目を引く富士山にもぜひ立ち寄っておきましょう。なばなの里名物、「アイランド富士」です。かつて遊園地「ナガシマスパーランド」で利用されていた遊具を展望台として活用しているもの。周囲の木々よりも高く、地上約45メートルにまで上っていきます。利用には大人(中学生以上)500円の別料金が必要。
頂点まで達すると、展望台が約7分かけて360度回転。村内のみならず周囲の景色も楽しむことができます。花ひろば(写真中央)はもちろん、夜にはイルミネーションのメイン会場も十分に見ることができますよ。上昇時と下降時は着席している必要がありますが、それ以外は立ち上がったり景色を撮影したりしても大丈夫。
間近で見る花の美しさと、上空から見る村全体の美しさ、どちらも楽しみたいところです。
アイランド富士
- 営業時間
- 21:00までの営業日:10:00~20:30
22:00までの営業日(平日):10:00~22:00
※乗車受付は終了時間の15分前まで。
※悪天候や点検整備により予告なく運休する場合があります。
- 料金
- 大人(中学生以上):500円
3才~小学生:300円
※なばなクーポン(金券)利用不可
お花以外も見どころ満載の村内を散策
なばなの里といえば、イルミネーションや花がメイン。しかし村内にはそれ以外の散策におすすめのスポットもあるんですよ。
美しい植物の風景を楽しむ
エントランスから歩いてすぐ、樹齢約1000年の迫力満点のオリーブの大樹があります。なばなの里のある長島がオリーブ産地になることを目指し、2019年6月にスペインから輸入されたもので、村内ではこのように植物たちがたくさんの美しい風景を見せてくれます。ゆっくり風景を楽しみながら歩いてみてください。
寒い時期にうれしい!ぽかぽかの足湯
散策に疲れたら、こちらもエントランス近くの足湯へ。追加料金なしで気軽に利用できます。お湯は重曹泉の温泉なので、散策で冷えてしまった足をやさしく温めほぐしてくれます。
タオルの自動販売機(1枚100円、現金のみ)もありますが、珍しい「足乾燥機」も。トイレなどに設置されている「ジェットタオル」の足版といったところで、特別用意がなくても足湯が利用できるのはうれしいポイントです。
ゆったりと楽しみたいワンランク上の会席ランチ
村内にはランチにぴったりのレストランも、和洋中と種類豊富に揃っています。せっかくお出かけした日のご飯なら、ワンランク上のメニューをお得に楽しみたい! という方におすすめなのが、事前予約のシステム。対象の5つのレストランいずれかで、3,900円以上の食事を事前予約しておくと、なんと入村料が無料に! 活用して、贅沢ランチを堪能しましょう。
※食事の事前予約で入村する場合、「なばなクーポン」は付きません。
中でもおすすめは、「日本料理 翡翠(かわせみ)」。風情あふれる日本庭園を眺めながら、落ち着いて会席を楽しめるお店です。花ひろばとベゴニアガーデンのちょうど中間地点あたりに位置します。
一番人気で特典対象となる、「松花堂御膳」(3,900円)。季節のものをふんだんに使用した贅沢な御膳の内容は、「季節ごと」というより「その日その日で」変わるとのこと。
例えば、季節の素材の天ぷら。この日はなんと先ほど観賞したダリアが天ぷらに! 食べてみると花の強い香りは感じず、やわらかい歯触りとともに、ふんわりとお芋のようなやさしい香りを感じます。
その日の内容をお楽しみに、せっかくの休日のランチをゆったりと楽しんでみてください。
日本料理 翡翠
- 営業時間
- 21:00までの営業日:11:00~21:00 LO:20:30
22:00までの営業日:11:00~22:00 LO:21:00
- 電話予約
- 0594-41-0753
- 事前予約など詳細
- なばなの里「日本料理 翡翠」Webページ
お茶や甘味、お土産も。ほっと一息つける「村の市」
食後のお茶など、休憩できるカフェも村内に点在しますが、特におすすめなのは「なばな茶屋」です。エントランスそばの売店「村の市」の中にあります。
こちらが、通常の安永餅となばな安永餅、そしてお茶がセットになった、「お呈茶セット」(300円)。
三重県桑名市は、東海道五十三次随一の宿場町として栄えました。当時から諸大名に親しまれた安永餅は、餡入りの餅を薄くのばし焼き色を付けた桑名市の名物。なばな安永餅には、アブラナの芯の部分を若葉とともに摘み取った「なばな」が練り込まれており、ほんのりとした緑色と香りが、穏やかな気持ちにさせてくれます。
店頭ベンチでのイートインはもちろん、お土産としてお餅を購入することも可能です。
寒い時期であれば「ぜんざい」(550円)もおすすめ。温かい小豆と焼きたての餅が、お腹を温めてくれます。
なばな茶屋のある「村の市」では、さまざまなお土産品を購入することもできます。ナガシマリゾートの中の「ナガシマファーム」で栽培されたイチゴを使った商品も販売されていますよ。中でも「朝摘み苺のジャム」(650円)が人気。甘さが控えめで、フレッシュな甘酸っぱさが味わえます。
村内で醸造されている、オリジナル地ビールも購入可能。本場ドイツの製法でありながら、木曽川の清水でつくるビールは日本人好み。「ピルスナー」・「デュンケル」・「ヴァイツェン」の3種類があるので、ビール好きの方は飲み比べをしてみると楽しそうですね。
村の市
- 営業時間
- 21:00までの営業日:9:00~21:00
22:00までの営業日:9:00~22:00
※なばな茶屋をはじめとするテイクアウトコーナーは仕込みなどの準備が出来次第開店
- 電話
- 0594-41-0760
なばなの里イルミネーション情報
お花畑やたくさんの立ち寄りスポットを楽しみながらあっという間に日が暮れると、いよいよイルミネーション点灯時刻! 今年のポイントをチェックしておきましょう。
2019年のテーマは「さくら」
今季のイルミネーション開催期間は2019年10月19日~2020年5月6日。11月下旬~12月末は点灯時刻が17:00(大晦日のみ17:10)で、年明け以降は少しずつ点灯時刻が遅くなっていきます。点灯後は村内がとても混雑し、場所によっては一方通行となるところもありますので、くれぐれもご注意を。
世界最高峰の技術を採用し、木々・花々との共演、水上の大規模ライトアップなどが楽しめて、国内最大級ともいわれるなばなの里のイルミネーション。2019年のメイン会場のテーマは「さくら」です。桜を軸として、日本の四季をイルミネーションで華やかに表現しています。光に包まれる絶景の様子や、日ごとの点灯時刻・営業時間などは、公式Webページでもチェックしてお出かけしてみてください。
なばなの里 イルミネーション 公式Webページ
なばなの里 イルミネーション2019
- 開催期間
- 2019年10月19日~2020年5月6日
- 点灯時間
- 最長17:00~22:00
※日により異なります。
早めの入村でイルミネーションの秘密をチェック!
せっかく昼間に入村した際には、イルミネーションの電球をぜひ間近で見てみてください。ちょっとした発見がありますよ。
約200メートルに渡って続く「光のトンネル」は有名ですが、ここで使われている電球、実はかわいらしい花の形をしているのです。
メイン会場から伸びる、もう1つのトンネルも電球に工夫が。今年のトンネルのテーマは「菜の花」ということで、やわらかい雰囲気を演出するために、電球だけではなく白い葉がつけられていました。こういった発見も、昼間に訪れるからこそです。
イルミネーションだけではなく、数多くの花の観賞や会席料理に甘味など、ゆったりと一日過ごしたいなばなの里。せっかく行くなら夜だけでなく、昼間から訪れるのがおすすめです。近隣にはナガシマリゾートのオフィシャルホテルも充実。宿泊者はなばなの里の入村料が不要になるなどの特典もありますので、お出かけの都合に合わせて予定を組んでみてください。
なばなの里
- 住所
- 三重県桑名市長島町駒江漆畑270
- 電話番号
- 0594-41-0787
- 営業時間
- 9:00~21:00(日によって22:00の場合あり)
- 定休日
- なし。ただし7月頃に設備点検のため5日間程度の特別休館日あり。
- 開花状況などその他詳細
- なばなの里 公式Webページ
取材・撮影・文/鞠ようこ