中部山岳国立公園を横断する、立山黒部アルペンルートにある「黒部ダム」。思わず息を呑む迫力の光景を一度は見てみたいという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、黒部ダムの見どころやアクセス方法、グルメ、お土産など黒部ダムの楽しみ方をご紹介します。
大迫力の景観を楽しめる「黒部ダム」
「黒部ダム」は、黒部渓谷に建設された日本最大級のダムです。関西の電力不足を解消するために挑んだ「世紀の大工事」とも呼ばれており、1956年から1963年の7年間の月日、総工費513億円、延べ1,000万人もの人手によって完成しました。
ダムの大きさも圧巻ですが、目の前に広がる北アルプスの山々も雄大で、大自然を満喫できるスポットです。黒部ダムの観光時間の目安は1時間程度、ダムカレーなどの名物グルメを楽しみ、周辺アクティビティも体験したい場合は2〜3時間程見ておくと良さそうです。
黒部ダムのベストシーズンは?
季節を通じて様々な景色を眺められるので、四季折々の楽しみ方がありますが初めて訪れる方は、観光放水の始まる6月26日から10月15日の期間がおすすめです。毎秒10トン以上が放水され、音を立てて流れ落ちる大迫力の光景を眺められます。
4月中旬には残雪の立山連峰を眺望でき、例年5月下旬頃までは残雪を、雪解け後は鮮やかな新緑が見頃になります。9月中旬から10月下旬までは紅葉も楽しめるでしょう。
黒部ダムへ行き方は?アクセス方法
黒部ダムがあるのは、3,000m級の山々が連なる富山県立山町です。中部山岳国立公園内を横断する「立山黒部アルペンルート」にあるため、富山側「立山」/長野側「扇沢」の2方向からアクセスできます。より早くアクセスできるのは、長野側「扇沢」を経由して向かう方法です。
東京方面から向かう場合、新宿駅から「特急あずさ」に乗車し信濃大町駅で下車。信濃大町駅から「路線バス」に乗車し、扇沢駅まで向かい「関電トンネル電気バス」に乗り換えると黒部ダム駅に到着します。(所要時間:約4時間)
※時間帯によって新宿〜信濃大町の直通がないので、その場合は松本駅まで特急あずさ、大糸線で信濃大町駅まで行く必要があります。
黒部ダムを一番高いところから眺められる「ダム展望台」
黒部ダム駅到着後、黒部ダムを見るルートは「ダムえん堤」からと「展望台」からの2つに分かれます。どちらのコースも外ではつながっているので行き来は可能。まずは展望台からの眺めを紹介します。
階段220段を上がった先にあるのが「ダム展望台」です。標高1,508mの展望台からは立山連峰をはじめとする北アルプスの大パノラマを楽しめます。
黒部ダムを眼下に、ダムの構造をじっくりと観察できます。観光放水期間には、運が良ければ虹がかかった様子の撮影もできるかもしれません。
展望台、黒部ダム駅から展望台に向かう地中階段、黒部ダムレストハウスの入り口では、湧水をくめます。黒部ダム建設当時、突破するのに難行した破砕帯から湧出する水なので、ぜひ飲んでみてください。
展望台の下には休憩スペースもあって、屋内から眺望を楽しめます。
勇気のある人は「外階段」へ
ダム展望台から新展望広場、ダムレストハウスへとつながる外階段。一段一段、段差が変わる度に黒部ダムを取り巻く大自然の表情も変わるので、移動しながらも景色も素晴らしいです。
臨場感たっぷりの「放水観覧ステージ」
えん堤とほぼ同じ高さにある大迫力のビュースポット「放水観覧ステージ」。観光放水の期間に開放され、毎秒10トン以上の水が水煙を上げる様子を間近に観察できます。ダムレストハウスからスロープがあるので、車椅子やベビーカーの方も気軽に行くことが可能です。
ミストシャワーを体感できる?「新展望広場・レインボーテラス
外階段の最終地点には新展望広場とレインボーテラスがあるので、ベンチに座って観光放水や山並みを眺めてみてはいかがでしょうか。
通常では中々撮れないアングルで、黒部ダムを背景に撮影できる「ふぉっとダム」もおすすめです。新展望広場とダムえん堤に設置されています。(A4サイズ写真 2つ折り台紙付きで1枚1,200円)
黒部ダムのマスコットキャラクター「くろにょん」
散策していると、マスコットキャラクターの「くろにょん」に遭遇しました。工事に憧れて、ヘルメットとシャベルをいつも身につけているのだそう。黒部ダムえん堤を散歩しているので、運が良ければ一緒に写真を撮れるかも!?
日本一の高さを誇る「ダムえん堤」
高さ186m、長さ492mを誇る「ダムえん堤」。上から見るとまた違った景色が広がります。ダムの総貯水量はなんと約2億平米以上、スケールの大きさに驚きますよね。
えん堤の中心には目印があるので、ここで記念撮影をしたり、ダムを見下ろしたりしてみてくださいね。
ダムレストハウスで名物グルメ「黒部ダムカレー」を食べる
食事やお土産を購入できる「黒部ダムレストハウス」。1階に売店と軽食のコーナー、2階にレストラン、3階に休憩スペースがあります。
ダム湖をモチーフにした「黒部ダムカレー」(1,300円)。ほうれん草を使った少し辛口なカレーでダムの水を、ご飯は黒部ダムの特徴でもあるアーチ型に、豪快な放水は千切りキャベツとポテトサラダで表現しています。
黒部ダムでしか買えないオリジナルグッズをお土産に
(写真左から)「ふんわり食感のカスタードケーキ」(650円)、ドラマ『黒部の太陽』の放送にちなんで発売された「黒部の恋人」(880円)、「黒部ダムチョコクランチ」(760円)、「黒部ダムクッキー」(600円)。
黒部ダムレストハウス1階の売店では、ここだけの限定土産を販売しています。スタッフの方に売れ筋を紹介してもらいました。黄色いヘルメットが描かれた商品がアイコニックで、多くの人が記念に買って帰るそうですよ。
レストハウスの味わいを自宅でも楽しめる「黒部ダムカレーレトルト」(600円)は、「黒部ダムカレーライス型」(1,540円)とセットでの購入がおすすめ。ダムカレーをおうちでも簡単に作れます。
「マメしばボールチェーン」(870円)、「くろにょんぬいぐるみ」(1,200円)などといった、ゆるキャラグッズもかわいい! くろにょんグッズはぬいぐるみ以外にも、カラビナやタオルなど豊富に取りそろえています。
期間限定でデジタルスタンプラリーを開催
2023年11月30日までの期間限定で、スマートフォンでQRコードを読み込んで参加するデジタルスタンプラリーも開催中。扇沢駅の1階と2階、黒部ダムの駅長室、展望台の休憩スペース、レストハウス1階の5箇所を巡ってスタンプを集めると、景品がもらえます。
アクティブ派は、黒部湖を一周する「遊覧船ガルベ」や遊歩道コースもおすすめ
「遊覧船ガルベ」は、最高標位1,448mの黒部湖を30分かけて一周します。目の前に迫る北アルプスを見上げながら、雄大に広がる黒部の大自然を気軽に満喫できると人気のアトラクション。運航は6月1日から11月10日までの期間で、10時から15時までの間7便運航します。料金は大人1,200円、小人600円です。
遊覧船ガルべの乗り場の奥に進むと、整備された湖畔遊歩道があり、初心者や子ども連れでも安心して森林浴とトレッキングを楽しめます。ロッジくろよん前で折り返せば約1時間で散策可能です。ガイドと一緒に巡る『黒部湖畔ウォーク』などの公募・抽選制のツアーも毎年開催し、人気を集めています。
足を延ばして立山黒部アルペンルートへ
時間に余裕がある方は、立山黒部アルペンルートを横断して富山側へと抜けるのがおすすめ。
黒部ダムから15分程歩くと黒部湖があるので、そこから「黒部ケーブルカー」に乗り黒部平へ(所要時間:約5分)、その後「立山ロープウェイ」に乗り大観峰へ(所要時間:約7分)、さらに「立山トンネルトロリーバス」へと乗り換えると室堂に到着します。(所要時間:約10分)
大観峰駅の屋上にはパノラマテラスがあり、立山の景色を眺められます。乗換駅は、通過点ではなく、それぞれの景観も楽しめる施設なので、そこだけの景色を楽しんでみてくださいね。また、アルペンルート観光の要となる室堂は、高さ20mに迫る雪の大谷や、火山湖の「みくりが池」など迫力のある大自然を感じられます。
室堂観光を楽しんだ後は行きと同じ道程で帰るか、室堂から「立山高原バス」に乗り美女平まで行き(所要時間:約50分)、「立山ケーブルカー」に乗り換え立山駅まで行き(所要時間:約7分)、富山側から帰るか検討しましょう。
黒部ダム
- 住所
- 富山県中新川郡立山町芦峅寺
- 営業時間
- 7:30~17:00
- 営業期間
- 4月中旬から11月30日まで
- 詳細
- 黒部ダム
黒部ダム周辺 宿泊 ホテル・旅館
取材・写真・文/加藤あやな
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