提供:ことりっぷ
青もみじや紅葉の美しさで名高い臨済宗の禅寺、東福寺。その境内北側に建つ塔頭「勝林寺」は、財運、勝運、厄除けのシンボル・毘沙門天を本尊とする由緒あるお寺です。季節の風趣が満ちる御朱印をはじめ、お守り、おみくじなど多彩なご利益アイテムが授かれるほか、初心者でも気負わず参加できる坐禅、写経、写仏、ヨガも体験できます。静けさが漂う境内で、慌ただしい日々からちょっぴり離れて安らぎの時間を感じてみませんか。
各線京都駅から好アクセス
こちらが正門(南門)。寺紋は、本尊・毘沙門天のお使いがムカデであることに由来
京都駅からJR奈良線でひと駅の東福寺駅で下車し、徒歩8分ほど。案内板に従って進むと、石段の両脇にのぼりの連なる正門(南門)が見えてきます。
勝林寺の本山である東福寺は、1236(嘉禎2)年、藤原氏の氏寺として栄えていた法性寺の境内に建立されたお堂が起源。火災による焼失を乗り越えて復興し、京都五山に列せられる寺格を誇りました。1550(天文19)年、東福寺第205世住職の高岳令松禅師により東福寺の北東鬼門を守るため、勝林庵として創建されたのが勝林寺のはじまりです。
車の場合は東門側の駐車場に停めて境内へ 本堂は近衛家の大玄関を移築。手前の「吉祥紅葉」は秋になると紅に染まる 訪れたのは晩夏。境内は深い緑に包まれていた
四季の移ろいを感じる花手水
「花手水」とは参拝前に心身を清める手水舎を季節の花で彩るもの
春は桜、夏は蓮、秋は紅葉など四季折々の色彩に染まる境内の一角には、「花手水(はなてみず・はなちょうず)」が。いまでは全国各地のお寺や神社で見られますが、こちらは西山の柳谷観音に次ぐ先駆け的存在。住職の宇野虓堂(こうどう)さん自ら花を選んでアレンジし、週に2回ほど入れ替えています。
このときは夏の花のなかに秋の花を織り交ぜ、季節の移ろいを表現。花を生ける水のなかもひと工夫 東福寺の仏殿天井裏で江戸時代に発見された毘沙門天王像が勝林寺の本尊に。三尊は本堂の最奥に安置
本堂へ上がったら、まずは本尊の毘沙門天に向かって手を合わせましょう。両隣には奥さまの吉祥天、夫婦の御子である善膩師童子がともに祀られています。三尊は秘仏につき通常は扉が閉ざされていますが、毎年お正月と紅葉の時期のみ特別公開されます(2024年秋は11月16日~12月1日、特別拝観料700円)。
日本画家の櫟文峰(あららぎぶんぽう)が約100年前に描いた虎の大襖絵。特別公開時に間近で見られる
種類豊富な御朱印を授かる
「ミニ切り絵御朱印」800円
御朱印は、シンプルな墨書きをはじめ、季節の風光をデザインした御朱印、アニメとのコラボ御朱印など多彩。繊細な切り絵の技法で季節を表現した切り絵御朱印は、蝶々、マリーゴールド、蛍、蓮、朝顔、送り火など季節の移ろいとともに新しいデザインがお目見えします。これらは書置きですが、住職と対面する手書きの御朱印も整理券配布の人数限定で行なわれています。スケジュールはX(旧Twitter)で確認を。
季節の移ろいにあわせて新しいデザインが登場 雨の降る日にお参りに来ると授かれる「雨の日限定御朱印」500円 「トラおみくじ」500円は全8色
おみくじは、その年の干支のほか、毘沙門堂前堂の左右に描かれた大襖絵の虎にちなんだオリジナルの「トラおみくじ」も。手描きであるためひとつずつ表情が異なり、鼻がハートの形になっているものもあるので、お気に入りの一体を選んで。
美と幸福を授けてくれるという吉祥天の「花美守り」800円 「レース守り」1,000円は、その年の干支がレースのデザインに
1回だけの参加もOKの修行体験
坐禅は60分1,200円。休憩をはさんで15分間の坐禅を2回行った後、法話を聞く。詳細はHPで確認を
初心者でも気軽に参加できる写経、写仏、坐禅、ヨガも実施しています。
坐禅は、お寺の歴史や坐禅についての説明を受けたあと、足を組み(正座でもOK)、両手を合わせて静かに目を閉じ、ゆっくりと息を吐いて、吸って……を繰り返します。次第に雑念が消えていき、終わった後は心が整うのを実感できますよ。
写仏は初心者向け1,500円、中級者向け2,500円(いずれも抹茶とお菓子付)。詳細はHPで確認を
珍しい「写仏(しゃぶつ)」も体験できます。写経は経典を綴った文字を筆でなぞるものですが、写仏は、仏さまのお姿を描いた線画を筆でなぞるもの。初心者向けは、大日如来、阿弥陀如来、不動明王など8種の仏さまから選べます。慈悲に満ちた仏さまのお姿にふれてみてはいかが。
写仏や写経を行なう書院からの眺めにも癒される
静けさに包まれた境内で、感じるままにゆっくりと過ごしてみて。帰路につく頃には、きっと心もほどけていることでしょう。
文:佐藤理菜子 写真:マツダナオキ