提供:ことりっぷ
6月に見ごろを迎えるあじさい。愛知県にもいくつかあじさいの名所がありますが、三河エリアにある「瑞雲山 本光寺」もその一つ。落ち着いたたたずまいの参道や境内を、色とりどりのあじさいが彩ります。あじさいまつりの期間中だけ公開となる本堂や、あじさいの印が素敵な御朱印といったおめあても。この時期だけのあじさいを愛でながら、おまいりしてみませんか。
文化的な価値が高い、深溝松平家の菩提寺
江戸時代に建立された山門へと続く参道
愛知県の三河地方に位置する幸田町。名古屋市から車で約70分、JRの快速電車なら40分ほどでアクセスできる自然豊かな町です。そんな幸田町にある本光寺は1523(大永3)年、深溝松平家の菩提寺として建立されました。
深溝松平家が九州島原に転封になった後も歴代藩主の遺体は当寺に運ばれたことから、境内の東御廟所には転封以前も含めて全当主の廟があります。徳川家康と共通の祖を持つ深溝松平家の御廟所があることは文化的価値が高いと評価され、国の史跡にも指定されています。
ピークには両側があじさいの花でいっぱいに
“三河のあじさい寺”としても名高い
参道の脇の道沿いなど、境内のあちこちにあじさいが
“三河のあじさい寺”としてもよく知られている本光寺。参道と境内には、15種類・約1万株のあじさいが植えられています。タマアジサイやガクアジサイなど和あじさいが中心。赤や紫、白など色とりどりで訪れた人を楽しませてくれます。
かわいらしいつぼみもいっぱい 天候や光の加減で花の色も違った印象に 白いあじさいも清楚な雰囲気
豊かに茂った木々が木陰を作る参道は木漏れ日も美しく、しっとりとした風情に。本堂の前にある梅林では、あざやかな花が日差しに映えるなど、境内のあちこちであじさいの違った趣を楽しむことができますよ。
毎年6月はあじさいまつりが行なわれ、花が見ごろの時期には駐車場にキッチンカーも登場するそう。今年は6月23日(日)頃まで、平日も毎日予定されています。
さまざまな色の調和も素敵 じっくり観察したり、撮影したりも花の名所での楽しみ
おまいりをした後は、寺務所で御朱印を頂きましょう。御朱印には一年を通して「あじさい寺」の文字と、あじさいの印が入ります。あじさいの印は、紫、赤、白の三色から選べます。
おまいりの記念にしたい、御朱印500円
あじさいの時期だけ拝観できる本堂
他のお寺と比べて間口が非常に長い本堂(内部の拝観は有料)
本光寺の元々の本堂は、明治維新の際に取り壊されてしまい、現在は九州島原城主の宿泊所が本堂とされています。1818年に完成した建物は、国の事業の一環として半解体での修復が行われ、令和4年に終わったばかり。6月中のあじさいまつりの期間だけ公開されるので、拝観してみてはいかがでしょう。
藩主の間や大きな梁が目を引く立派な小屋組みなど、歴史と風格が随所に感じられるほか、貴重な資料が展示されている場所もありますよ。
床の間があり、格の高さが感じられる藩主の間 深溝松平家や本光寺にまつわる貴重な資料
境内の散策では「願掛け亀」にも立ち寄ってみましょう。1672(寛文12)年に建立されたもので、参拝者の願いを聞きかなえるため、大きな耳がついています。亀のエリ首(ヘコミ)にお賽銭が入ると願いがかなえられ、万年幸せとなるといわれていますよ。
しっかりと耳がついている亀。願い事を伝えてみて
あじさいだけでなく四季折々の自然にふれられる
季節の花にふれて心安らぐひとときを
他の季節にも美しい花に出合える本光寺。2月中旬から3月下旬に見られる椿は約400種類・1000本と多様で、椿の郷とも称されています。また、3月の梅や4月の桜、秋には紅葉も境内を彩ります。
豊かな自然に囲まれて、心おだやかなひとときを過ごせる本光寺。しっとりとした6月の風情にも安らぐこの季節に、おまいりしてみてはいかがでしょう。
文:豊野 貴子、写真:山本 章貴