提供:ことりっぷ
今年の秋は、紅葉を見に京都を訪れてみませんか?
八瀬~修学院離宮堂では、秋になると電車を降りてすぐの八瀬もみじの小径で野趣あふれる山紅葉、瑠璃光院で手入れされた庭紅葉や、SNSで話題の鮮やかなリフレクションなど、タイプの違う秋景色が目を楽しませてくれますよ。
比叡山を仰ぐ里山を八瀬から修学院へもみじさんぽ
八瀬もみじの小径。紅葉の見ごろは市街地よりも少し早め
八瀬へは、京都市中心部から路面電車に揺られ約15分。飛鳥時代、壬申の乱で背中に矢傷を負った大海皇子 が、この地を訪れかま風呂で傷を癒やしたと伝わります。そのため「矢背」が転じて「八瀬」となったという説もあるそう。付近では、今もかま風呂を体験できる宿や温泉が見られます。
八瀬へは叡山電車で。「ひえい」は斬新なデザインの観光列車
漆黒のキャンバスに萌える錦秋の秋景色「瑠璃光院」
八瀬比叡山口駅から高野川に沿って進むと秋化粧した山門が現れます。こちらは、春・夏・秋の限られた時期にだけ公開する「瑠璃光院」。寺名の瑠璃とは極楽浄土を彩る七宝のひとつ。
書院1階から見る瑠璃の庭は、一面の苔に覆われ緑の絨毯のよう。苔の間を縫うように、せせらぎがゆるやかなカーブを描いて流れます。
色彩の美しさに加え、窓から望むリアルな紅葉と幻想的な影を落とすもうひとつ紅葉が映し出すシンメトリーにも注目
秋になり「瑠璃の庭」が色づくと書院2階の机や床に紅葉が映り込み、さまざまな色彩が折り重なります。緑から赤のグラデーション、一面の深紅の紅葉など時期による表情の違いも魅力のひとつ。写経をしたり、お抹茶を味わったり、のんびり過ごせそう。
紅葉の参道に誘われて。平安京の鬼門を護る寺院「赤山禅院」へ
延暦寺の塔頭として888(仁和4)年に創建され、災いを封じる方除けの寺院として信仰を集める「赤山禅院」。紅葉の名所としても知られ、石の鳥居から山門をくぐり社殿へと続く参道は、まるで紅葉のトンネルのような美しさ。
紅葉の見頃は11月後半
拝殿の屋根には、かつて夜な夜な悪さをしたため、逃げ出さないようにと、金網の中に入れられた猿が京都御所の鬼門にあたる位置に鎮座しています。
本殿には赤山大明神を祀っています。中国では泰山府君(たいざんふくん)と呼ばれ、命を育む東の方角を司る神とされました。
また、都七福神の福禄寿(ふくろくじゅ)の札所としても名高く、大きな頭は知恵や賢さの象徴なのだそう。
赤山禅院のおみくじは、都七福神の福禄寿の姿。赤・黄・緑・紫の4色がそろう
比叡山の麓に広がる上皇のこだわりが光る「修学院離宮」
千歳橋は、浴龍池の島にかかる屋根付きの石橋。中国風の意匠が珍しい
「修学院離宮」は、1659(万治2)年に造営された後水尾上皇の山荘。造営の際には、上皇自ら草木や石ひとつにいたるまで模型を作って、その配置を熟考したといいます。広大な敷地には上中下、3つの離宮が松並木で結ばれており、壮大な風景が広がる上離宮、しっとり落ち着いた雰囲気の中離宮、上皇の御座所であった下離宮と、それぞれ趣向が凝らされています。
上離宮の浴龍池は、比叡山から流れる水を引き込んだ広大な人工の池。周囲をぐるりと紅葉が彩ります。かつては、島々を舟で廻りながら管弦や詩歌の会が行われました。
中離宮の客殿の違い棚は、大小の棚板が霞がたなびいているように見えることから霞棚と呼ばれています。桂離宮の桂棚、三宝院の醍醐棚と並ぶ、天下の三大名棚のひとつです。
見学は約80分、宮内庁の職員による説明付きのツアーでめぐりましょう。
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修学院離宮から叡山電車の修学院駅までは、修学院離宮道に沿っててくてくと。かつての修学院は、日本海へ通じる若狭街道沿いの賑わい所でした。京の都からは一里(約4㎞)の距離。京を出て最初の、または京に入る最後の休息の場として旅人が行き来したといいます。
後編では、修学院駅周辺のカフェやごはん処、雑貨屋さんをめぐります。楽しみにしていてくださいね。
文:戸塚江里子 写真:小川康貴、宮内庁京都事務所、Pixta 編集:ことりっぷ編集部